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愛国者の銃弾 (Joy novels)
著者 田中 光二 (著)
成田に降りた3人の武装テロは米人を人質に、都心のホテルに侵入。彼らは日本政府がザイールの地獄の消耗戦に派遣したPKF要員の生き残りだった。愛国とは何か、国益とは何かをつき...
愛国者の銃弾 (Joy novels)
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商品説明
成田に降りた3人の武装テロは米人を人質に、都心のホテルに侵入。彼らは日本政府がザイールの地獄の消耗戦に派遣したPKF要員の生き残りだった。愛国とは何か、国益とは何かをつきつける。97年刊の再刊。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
田中 光二
- 略歴
- 〈田中光二〉1941年ソウル生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。「黄金の罠」で第1回吉川英治文学新人賞受賞。他の著書に「怒りの大洋」「母なる森の血よ」「オリンポスの黄昏」他がある。
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この話は、充分面白いのですが、あとがきの著者のことばを読んで唖然。田中さん、あんたこのお話からどうやって第二次大戦の日本軍が正しかった、だから改憲賛成と言えるの?オカシクナイ?
2005/10/22 16:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりの田中光二です。正直、もう手にすることはないかと思っていた田中光二本。無論、躊躇いがなかったわけではありません。タイトルに見える「愛国者」がきな臭いです。しかも、カバーはギンギンにミリタリーオタクしてます。
で、この話は以前書下ろしで出た本の新装版です。ま、直感で言うんですが、もう巨匠クラスの年齢になった作家としては、田中は最も書き下ろしの率が高いのではないか、そんな気がします。特に文庫での書き下ろしが多い。実は、私が田中作品を読まなくなったのは、彼の文庫書下ろしの作品が詰まらなくなったからなんですね。なんていうかロマンが感じられなくて、もとから文章は真面目だけのものですから、こう、読む喜びを感じない。結局、10年以上のご無沙汰でした。
で、この話、実際の舞台は、近未来、それも直近の日本ですが、その遠因となった場所はザイールです。ザイールがどういうところであるか、はこの作品にかなり詳しく出ていて、それは私の認識と大して変わりありませんから、読んでもらうとして、とりあえず言えば独裁者のもと、民族主義的な反政府活動が内戦の様相を呈している、そう言っておきます。
で、そこに国連が反乱鎮圧の軍を派遣するわけです。常任理事国入りを目指すドイツ、日本もそれに軍を出すわけですが、日本が今までと違うのは、湾岸戦争、アフガン、イラク戦争と最初は金だけ、次は後方支援、次は危険区域を安全と言い張っての自衛隊の派遣、となし崩しに国際社会に協力しながら、第二次大戦の戦争責任を曖昧にしたままだから、全く国際的には評価されてこなかった、だから今回は本格的戦闘に参加する、そういう意気込みが首相と防衛庁にあった、そこです。
で、愛国心、という言葉につられて募集に応じたのが、自衛隊でよりぬきの男たちでした。その一人が25歳の陸曹竜村晋です。で、彼と行動をともにしていたのが陸士長で25歳の沢井則之、23歳の東不二夫、見村宗介、21歳の黒岩大三です。そして彼らは現地での先頭の中で行方不明となってしまうのです。
そして、戦争で息子を亡くした家族にインタビューをしに行くのが、TBCテレビ社会報道局のニュース・キャスターでいささか剣のある美貌の持ち主草薙容子です。ま、ここまでにしておきますが、現実に動き出している改憲の動き、或は国民になんの説明もないままに推し進められる常任理事国入りの動きなどを念頭に置きながら読めば、肯けることは大きいはずです。
さて、話自身は楽しめたのですが、巻末の著者あとがきを読んで???となりました。どうも田中はこの小説で、自虐史観は不要である、太平洋戦争は一概に間違いとはいえない、日本の軍備も必要である、平和憲法は変えるべきである、と思っているようなのです。
どうしてこの話から、読者をそちらに導こうというのか、疑問を通り越して、幾らなんでも無理だろう、と思いますね。敗北を認めることは自虐ではありません。冷静な判断です。ここを理解できない、単なる言いがかりを聞かされると、所詮、ヤクザと同じか、と思いますね。
自分が歳をとった、後がもうない、いっそのこと皆を道連れに死んじまえ、は自民党の老人議員と右翼だけで充分です。
最後に目次を書いておけば、第一部 闇の奥、第二部 テロリストの秋、第三部 灼熱の彷徨、第四部 失われた者の墓碑銘、あとがき、です。