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商品説明
化身、幽鬼、卜占、趙美人…。長安や洛陽などを舞台に、怪異な人間の情念に迫る中国唐代の奇譚集。狐になりたかった少年の理由とは? 狐の化身に弟子入りする少年を描く表題作のほか、「鳩胸」「雲鬢」など全7編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
鳩胸 | 5-35 | |
---|---|---|
雲鬢 | 37-65 | |
股肉 | 67-100 |
著者紹介
森福 都
- 略歴
- 〈森福都〉1963年山口県生まれ。広島大学医学部総合薬学科卒業。96年「長安牡丹花異聞」で松本清張賞、「薔薇の妙薬」で講談社ホワイトハート大賞優秀賞を受賞。著書に「漆黒泉」「琥珀枕」など。
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紙の本
ミステリ臭くはないんですが、れっきとしたミステリ。昔で言えば、変格ってえ奴ですね。で、終わり方は単純にハッピーじゃあないんですが、楽しめます
2006/01/28 17:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
いま、中国ものを書かせたら、この人が一番かな、って思えるのが森福都です。出身地と名前から、かってに除福の子孫で、都を追われた渡来人の末裔、なんて妄想しちゃうのは、彼女の書く中国ものが余りに自然な感じがするせいで、決して私の愚かさのせいではありません、念のため・・・
で、いつに無く派手な感じのする装画は佐藤美絵、装幀は中島かほる、だそうです。印象は強烈なんですが、もうちっと自己主張を抑えてもよかったんじゃあないでしょか。そこに収められたお話、実はこれも案外キツイ印象の作品ではあるので、ま、いいか、といえないことはない、ふむふむ。収められているのは7篇。タイトルの印象は、結構重い・・・
十歳でみなし児になった俺を引き取ってくれたのは母の兄の妻の叔父だった。24歳になった俺に話を持ち込んできた18歳になるその家の娘は、20歳になる姉を「鳩胸」。長安で名前がうれてきた、女の髪を専門に手がける髪結い、彼が客先で見たのは近々、芸妓を妻に迎えるという新進士だった「雲鬢」。
先帝のお気に入りだった琵琶の名手だった師匠が亡くなって七年、その娘に将来を嘱望されている新進の官僚様がめをつけた。師匠のもとに引き取られて芸を仕込まれた弟子は「股肉」。狐の化身と言われている老人のところに、狐になりたいという12歳の少年があらわれて「狐弟子」。
幽鬼にとりつかれたことでト占ができるようになったという姉とその弟と知り合いになった少年に、姉弟が持ちかけてきたのは「石榴缶」。奇妙な人捜しをするようになった男は長安で女と結ばれるが、結婚後も人捜しを続けて「碧眼視鬼」。一時は宮殿に納められていたという絵をめぐる双子の画家の「鏡像趙美人」。
そうですね、ハッピー、って喜べる作品は一つもありませんね。なんていうか、中国人のもつ底の深さ、というか奥の見えなさというところが印象的で、仕方ないか、って納得してしまいます。基本的にはミステリで、捻りがあるんですが、それをあまり感じさせません。話とうまーく溶け合っているので、単純にあちらのお話として読んでしまいます。
無いものねだり、みたいで嫌なんですが、一つでいいから心から笑える作品があったらな、って思います。ま、表題作についてはホットするところもあるんですがね・・・