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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.4
- 出版社: 実業之日本社
- レーベル: じっぴコンパクト新書
- サイズ:18cm/206p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-408-45212-8
紙の本
教科書ではわからない遺伝子のおもしろい話 (じっぴコンパクト)
著者 林崎 良英 (著)
今、「遺伝子」の常識がくつがえっている。生命をコントロールしているのは「RNA」だと思える発見が相次いでいるからだ。遺伝子の研究の歴史や仕組みをわかりやすく解説するととも...
教科書ではわからない遺伝子のおもしろい話 (じっぴコンパクト)
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商品説明
今、「遺伝子」の常識がくつがえっている。生命をコントロールしているのは「RNA」だと思える発見が相次いでいるからだ。遺伝子の研究の歴史や仕組みをわかりやすく解説するとともに、最新の遺伝子事情をレポートする。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
最先端科学では、DNAよりもRNAの注目度があがっている
2009/07/22 21:48
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
DNA花盛りの時代だ。DNA分析によって、次から次へと病気と関連した遺伝子が見つかる。先日、椎間板ヘルニアに関するものまで見つかったという新聞記事を見たときには、さすがに驚いた。
しかし、DNAは万能ではない。すべてがDNA、もしくは遺伝子で説明がつくわけではないと著者は言う。本書を読んで、目から鱗が落ちた。
著者の言葉では、DNAは「設計図」にあたる。これをもとにタンパク質という生物の基本要素を作り出す「作業員」がRNAということになる。
長らくDNAが科学者の研究対象だった。近年、ヒトゲノム計画によって、30億対の塩基配列が解読されるに至った。そうして、意味のある塩基配列の部分は「遺伝子」と呼ばれて、その数は、およそ2万2000とされている。
かつては、10万とも言われていたのが、研究が進むにつれて数が減り、最新の数字は2万2000に過ぎない。”過ぎない”というのは、人間よりもっと単純な生物とくらべて少なすぎるという印象があるからだ。そうなると、高度な精神機能をもつヒトをヒトたらしめているのは、ほかにありそうだということになる。
それがRNAに求められそうなのだという。パソコンに例えれば、DNAはハードディスクで、RNAはCPU、タンパク質はプリンターになると著者は言う。
DNAという設計図を読み取ってタンパク質を作り出す作業をするRNA。最近では、むしろRNAにサイエンスの光があたりつつある。RNAには、従来から理解されていた、DNAの情報をもとにタンパク質を作り出すという「単純作業」ではすまないものがあるのだという。
どうも、これまで考えられていた以上に、さまざまな振る舞いをRNAはしているらしい。遺伝子が2万2000にすぎないとすれば、DNAのそのほかの部分は意味のないジャンクだらけということになる。しかし、RNAの働きをよく見てみると、タンパク質を作り出す指令が書き込まれていないDNAにも、どうやらいろんな役割があることがわかってきたという。
タンパク質を作り出す情報を持たないDNA(nc-DNAというのだそうな)、つまり、かつてはジャンクなDNAとされていた部分にも、けっこう大きな意味があると推定されるようになっている。
細胞がガン化するのを防ぐ仕組みも、DNAとRNAを関連づけてやれば見えてくるという。この分野の研究の最先端は、RNAに向かっているらしい。でも、まだ始まったばかりで、これから続々と新たなメカニズムが明らかになっていきそうだ。著者も断定せずに、これからの研究次第ではDNA、RNAの分野の景色ががらりと変わりそうだという予感で締めくくる。
著者はなるべく平易にDNAや遺伝子、RNAの世界のことを語る。しかも、現時点で最新の話題にふれているのだから、ありがたい。「DNAだけじゃありませんよ」という著者のメッセージが科学的好奇心を刺激する。