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太陽の塔
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T.O./頭でっかちで、不器用で、自意識過剰な主人公の、悶々たる、されど美意識あふれる失恋物語
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頭でっかちで、不器用で、自意識過剰で、しゃれて小粋にスマートに過ごすような「軽い生活を送ること」は、自分の美意識が許さないし、不器用ゆえに出来もしない。さりとて、そのような生活がまったくうらやましくないかというとそうでもない、とひそかに心の奥底で認めないでもない主人公の、失恋物語。なんともその悶々たる様子が、面白いですし、主人公も、あえて「悶々たる生活」を選んでいるところがあって、それも、ある種共感できます。 ずっと昔、私自身が大学生だったころ、周囲にいた男子学生って、こんな感じだったなあ、と思って読んでおりましたら、この森見登美彦さんって、ずいぶん若いのですよね。1979年生まれといいます…
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図書館内乱
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T.O./2作目のむずかしさ
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「図書館」と「戦闘」との取り合わせ、という意表をつく設定で人気を博した『図書館戦争』の続編です。関東図書隊に入隊し、その中の図書特殊部隊という戦闘職種に抜擢された主人公笠原郁が、彼女の同期生の、手塚光、柴崎麻子、そして上司の堂上教官、小牧教官ともども、本作品でも変わらず元気な姿を見せてくれます。今回は、この5人の中心メンバーそれぞれが、各章でスポットライトをあてられて、その私生活や図書隊入隊までのいきさつなどが紹介され、彼らがより一層近い存在となって描かれます。 前作を面白く堪能し、続きを読みたいと思っておりましたので、すぐさまこの続編も手にしました。 もっとも、前作は、設定がそもそも意表を…
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SF魂
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T.O./小松左京作品の底を流れるもの
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小松左京のことはあまり詳しくはありません。そのあふれんばかりの才能のむくまま、自由闊達に次々と多くの作品を発表して来た人だと思っておりました。それが、日経新聞で彼が「私の履歴書」を連載していたのを読む機会があって、旧制中学時代の戦争体験が深く彼の心に残っていることを知り、意外なその一面にちょっと興味をそそられ、その直後に出版された本書を手に取りました。 本書は、小松左京の長年のファンであるという新潮新書の編集者の依頼により、小松左京が自身の半生と自作について語ったものです。彼の作品についてばかりでなく、一九七0年の大阪万博開催へのかかわりなど、その多方面にわたる多彩な活躍についても語られてい…
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風が強く吹いている
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T.O./巷で絶賛の作品ですが
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巷で絶賛の作品です。走ることが大好きで、でも、ある出来事のため、今では競技生活から遠ざかっている主人公走(かける)が、やはり走ることに情熱を燃やすハイジと出会い、無謀にも箱根駅伝出場を目指すという計画に、仲間とともに取り込まれていくというストーリーです。何のひねりも、どんでん返しもなく、主人公達は途中でいくつかの困難に直面しながらも、最後には予想通りの結末を迎えます。大きなサプライズのない展開ながら「読んでいて胸が熱くなる」「感動する」「それは作者の筆力のゆえだ」との感想が相次いで示されています。 私はこれまで、三浦しをんの本は、どちらかというとエッセイの方を好んで読んできました。彼女のエッ…
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文壇アイドル論
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T.O./なっとくの1冊
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単行本で出たときから評判になっていたこの本ですが、文庫本化を機に手にしました。取り上げられているのは、いずれも80年代から90年代に一躍ブームを巻き起こした、村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫の面々。斎藤美奈子の、いつもながらの鋭い指摘と歯に衣を着せない明快な論調は、この本でも健在で、読んでいて心地よかったです。しょっぱなから、村上春樹が提供する「ハルキランド」はゲーセン(ゲームセンター)であるとの比喩にまず興味を引かれ、吉本ばななの作品をコバルト文庫のそれになぞらえるという分析に、なるほど両者の読者層には共通点があるかもしれないなと納得させられ、上…
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水曜の朝、午前三時
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T.O./書いてある内容は、かなり濃いものですが、文章自体は、淡々としているというか、凛としているというか。
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Bk1の書評で興味を引かれて手にしました。45歳で脳腫瘍で亡くなった女性が、自分の死ぬ前に一人娘にテープを遺し、そのテープを起こしたもの、というお話です。ヒロインの女性は、自分がかつてとても好きだった人がいたこと、でも、ある事情でその人とは結婚できなかったこと、そんなことを死ぬ前に娘にテープに吹き込んで遺したというものです。 その女性は、1970年に万博のコンパニオンを勤め、そこで件の彼と出逢ったという設定です。1970年という時代、まだ今よりはずっとコンサーバティヴな時代で、世間の目とか、そんなものもあった時代のお話で、これは「オールド・ファッションド・ラブソング」「古風で床しい恋愛小説」…
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九月の四分の一
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T.O./心に静かな余韻が残る短編集
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読み終えた後、心に静かな余韻が残る短編集。4つの短編のいずれも、「僕」という一人称で語られ、「僕」がこれまでに出会ったり、今も付き合っている女性とのラブ・ストーリーが描かれます。ラブ・ストーリーといっても、話は、「僕」が彼女と出会ったころの思い出を語るものであったり、「僕」の前から姿を消した女性の話であったりして、その語り口はあくまでも静かなトーンとなっています。もっとも、「僕」がその女性や、その女性と出会えたことを大切に思う気持ちは、その静かな語り口からも、切々と伝わってきます。なので、必ずしもハッピーエンディングではない話が多いのですが、そんな話も、しみじみとした切なさは感じられても、暗…
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陽気なギャングの日常と襲撃
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T.O./軽妙洒脱な会話が楽しい
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『陽気なギャングが地球を回す』の続編。前作と同じく、それぞれ「特技」を持ったおなじみの四人組が活躍しますが、今回この四人は、銀行強盗もするけれど、それ以外の活躍もします。タイトルに「日常と襲撃」とあるように、四人はそれぞれの日常生活のなかで、同僚や知人の相談にのったり、人助けをしたりするのです。第一章では、四人の日常生活に起こったそんな出来事がひとつずつ描かれ、それが他の話とつながったりつながらなかったりしながら、物語は進んでいきます。そして第二章、第三章と進むにつれ、話はどんどん加速度を増して展開し、二転三転して、最後には、いろんな話がカチリカチリとかみ合って、結末を迎えます。若干、あまりに…
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白洲次郎占領を背負った男
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T.O./白洲本の本命本
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白洲次郎のことは、まったく知りませんでした。それが昨今の白洲次郎ブームのおかげで、書店の店頭に平積みされていた白洲本の1冊をたまたま手にする機会があり、彼が戦後の占領時代、吉田首相の側近として活躍した話に俄然興味を抱きました。そこで、何冊か関連の本を続けて読み進み、この本に至りました。 この本は、さすがに山本七平賞を取っただけあって、読み応えのある、質量ともに充実した中身の濃い本でした。白洲次郎については、その生い立ちや、イギリス仕込みのダンディズム、著名な白洲正子夫人、河上徹太郎をはじめとする文化人との交流、戦後の日本を築くにあたっての活躍、と華やかなエピソードには事欠きませんが、その反面…
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ココ・マッカリーナの机
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T.O./中島京子のうまさを改めて実感
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中島京子は、作家になる前、雑誌の編集の仕事をしていて、その仕事に飽き足りなくなり、会社を辞めて、教師交換プログラムに応募し、アメリカに1年間滞在していたのだそうで、これは、そのアメリカ滞在のときのエッセイです。『イトウの恋』や『FUTON』を書いた中島京子という人がどんな人なのか、ちょっと知りたくて、手に取りました。 もっとも、そういう好奇心はあったものの、下手なキャリアアップ的な話や、「外国でこんなことを学んだ」的な体験談は、時としてちょっと鼻につく場合もあるので、どうだろうかなあ、と少しばかりひけ腰ぎみに読み始めました。ところが、これがとっても面白かったのです。まず最初から、いきなり占い…
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陽気なギャングが地球を回す
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T.O./素直に楽しめるエンターテインメント
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いい感じに仕上がったエンターテインメント。素直に楽しめる作品です。伊坂幸太郎の作品の中では、今まで読んだ中で一番面白いくらいじゃないかな、という気がします。 それぞれ「特技」を持った4人が、銀行強盗をしていく話です。伊坂作品の中では初期の作品ですが、軽いタッチで、エンターテインメントに徹して書かれています。昔、映画で、ポール・ニューマンと、ロバート・レッドフォードが主演した「スティング」というのがありましたが、あの感じを思い出しました。読んでいて最後が気になって途中でやめられず、用事を先に延ばして読み終えました。 伊坂幸太郎の作品は、ミステリー的な要素もあるせいか、結構、殺人事件やら暴力事件…
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銀の犬
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T.O./ケルト民話を舞台にしたファンタジーの世界を堪能
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ケルト民話を素材に繰り広げられたファンタジックな物語。祭人(バルド)と呼ばれる、音楽を奏でることで、いろんな祈りや呪術を使う人が登場するお話です。祭人(バルド)は人間ですが、ケルトの世界が舞台ですので、人間も、妖精も、妖魔もあれこれ出てきます。いろんな技を持つ祭人(バルド)の中でも、祓いの祭人(はらいのバルド)と呼ばれる、迷っている魂をしかるべきところへ送ってやる使命を帯びた、選ばれしバルド、オシアンがこの物語の主人公です。このオシアンと、その連れであるやんちゃで明るいブラン少年を中心に、5つの物語が連作的に展開されます。迷っている魂を送ってやる話ですから、その前提には、魂が迷わざるをえない、…
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