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1 - 30 / 165 件
ぼくには数字が風景に見える ぼくには数字が風景に見える
nory/だれのからだも違っている
ロンドン生まれの著者はアスペルガー症候群とサヴァン症候群である。πの小数点以下22000桁以上を暗記していて、十カ国語を話すことができる。生まれたときから泣き止まない赤ちゃんで、少年期は人とは違いすぎる感性で大いに戸惑う。しかし、自分にできることを求め、次第に外の世界に足を踏み出していく。そこから世界が広がり、友人もできて、独自の能力を発揮するようになる。数字や言語に対する視覚化は音楽のように著者の頭の中を自在に飛び回る。おだやかに書かれている頭の中の風景に楽しい気分になる。こんなふうに本になるまでには、相当の訓練と努力とまわりの人々の愛情が必要だっただろうが。『そして、とても不思議に思った。…  全文読む 評価する

鉄板病 鉄板病
nory/てっーぱん【鉄板】鉄の板。その堅さから転じて、手堅い、ハズレない、間違いがないこと。ーーびょう【鉄板病】「鉄板」なものだけを求め、「鉄板」でいたいと過度に欲する病気
てっーぱん【鉄板】鉄の板。その堅さから転じて、手堅い、ハズレない、間違いがないこと。「〜レース」「〜ネタ」ーーびょう【鉄板病】「鉄板」なものだけを求め、「鉄板」でいたいと過度に欲する病気。初期症状として、常に正解ゾーンにいたい、人の考えを鵜呑みにする、損に敏感、記憶を喪失する、などが見られる。これを読むと、ギョーカイにいる著者が散々 鉄板な人たちにやられてるんだろうなというのが想像できる。プロデューサーという職業柄、むしろ鉄板側を率いてもおかしくないのに、こういう着眼点を持っているというところに著者の価値があるのだろう。食事をするのにも徹底的にリサーチして絶対にハズレない店を選ぶ。限定品や「売…  全文読む 評価する

一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある 一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある
nory/生きていてもいいんだよ
自ら命を絶ったり、人の命を奪ったりすることを憂う編者が、生きるってすばらしいということを伝えるために集めた詩たち。鈍感力を身につけることができない繊細な心に、これらの詩が届きますように。 人は何か一つくらい誇れるもの持っている 何でもいい、それを見つけなさい 勉強が駄目だったら、運動がある 両方駄目だったら、君には優しさがある 夢をもて、目的をもて、やれば出来る こんな言葉に騙されるな、何も無くていいんだ 人は生まれて、生きて、死ぬ これだけでたいしたもんだ          ビートたけし「騙されるな」かっこ悪くてもいいじゃない。今、ここに存在することが気の遠くなるような確率での奇跡。生きてい…  全文読む 評価する

家族のさじかげん 家族のさじかげん
nory/人とのつながりという豊かさ
誰もかれもが忙しく、電話をするのにもメールで確認するような現代で、著者とまわりの人たちは奇跡のようにゆったりと、深い心の底でつながっている。一風変わった人たちが多いのだけど、そこがまた微妙なさじかげんで成立している。友だちの届け物を持ってきたコイシさんに、ふとした思いつきで本を貸す。ほとんど知らないコイシさんにこんなことしてよかったんだろうかと思う著者のもとに、「できればまた、蔵書のなかから『特選』二冊ほど、お貸しください」という手紙を添えて本が返ってくる。それからというもの著者が自然と選ぶ本たちは、偶然にもコイシさんにとって時宜にかなった本ばかりで、きちんと読後感が書かれて戻ってくる。あるい…  全文読む 評価する

親がしてやれることなんて、ほんの少し 親がしてやれることなんて、ほんの少し
nory/子供を見守るということ
子供の心というものは、たとえ身一つにつながっていたのが離れた瞬間でも覗き見ることはできない。親の所有物なのではなく、まったく別の人格なのだ。そこを前提にしないと、いろんなことを間違っていく。著者の子供の小学校の卒業式のこと。式が終わって、子供たちのあとをぞろぞろと保護者がついて行って教室に入る。先生も生徒も日常を装い、別れのときを迎える。かすれた声で「卒業おめでとう」と言う先生。そこで著者ははっと気づく。「ここは、保護者が見学する場面じゃない…。 ビデオをまわす場面では、なおさら、ないよ…。 子どもたちは、いま、教室に言っている、さよならと。 子どもたちは言う、先生、ありがとう、と。」-そして…  全文読む 評価する

イチロー×矢沢永吉英雄の哲学 イチロー×矢沢永吉英雄の哲学
nory/現役こそすべて
己の哲学を貫いて輝くふたりの豪華な対談である。 とにかく、言ってることがいちいち響いてくる。なぜ響いてくるのかといえば、このふたりが現役であるということに尽きる。そして、まだまだ進化し続けている。 これを読んで、現役であることの大切さをしみじみと感じた。これが、リタイアして上からものを見ている人の言葉だったらそうはいかない。ずっと前にシンクロの選手をインタビューしていた小谷実可子が、すでにテレビで活躍していたにもかかわらず、さびしそうに「そっちはいいよ」と言っていたのが今でも心に残っている。 どんなに苦しい思いをしていても、たとえ負けっぱなしであっても、評論家は現役にはかなわない。現役であれば…  全文読む 評価する

失踪日記 失踪日記
nory/不条理な世界
子供のころ、友達の家にこの人の不思議な漫画があったのでなんとなく読んでいた。あとは新井素子との交換日記とか。ある日突然、ふらりと失踪してからホームレスとしての生活を始める。それがものすごくクールに描いてあって、漫画家の視点はどんな状況でもあくまで漫画家なんだなと思った。警察で職質され、失踪届が出ていることがわかって奥さんが迎えにくるのを待っているときに、ファンという警察官が色紙を買ってきてサインをねだり、「夢」と書いてくれというので絵にその言葉を添えたという話はものすごく不条理な世界をかいま見た気分で頭がクラクラした。そして再度失踪して、なぜか配管工なって教育まで受け、社内報に漫画を投稿する。…  全文読む 評価する

人間自身 人間自身
nory/オットコマエな言葉たち
2月に癌で亡くなった著者の最後の本。久々に感動した。あまりにもオットコマエな言葉たちに。「自殺のすすめ」では、世の中がいやになって「誰でもいいから殺したかった」という青少年たちに、「人を殺したくなったら、自分が死ね。それが順序というものだと」と言い放つ。ここまで言える人はそうそういない。はぁ〜っとため息が出る。そしてまだまだ、「癌だから死ぬのではない。生まれたから死ぬのである」「思い込みこそが人間を不自由にする」などのオットコマエな言葉が続く。話は変わるが、先日テレビで、動物は基礎代謝が高いほど寿命が短いという説があり、それでは人間はどうだという質問が出ていた。先生は、「はっきりとはわかりませ…  全文読む 評価する

おれちん おれちん
nory/〈おれちん〉かく語りき
かつて、ニーチェはツァラトゥストラに「超人」を語らせた。著者は〈おれちん〉に「おれちん」を語らせる。「おれさま」=自分が一番偉く、支配欲が強い人間「ぼくちん」=依存症で自閉的な人間〈おれちん〉=自己中心的で、しかも自閉的な人間さらに、〈わたし〉という人間。〈わたし〉とは共同体の中に存在し、すでに崩壊している共同体がいまだ「個」よりも重要だと思っている人間である。かつて、ツァラトゥストラは「神は死んだ」と言った。そして、〈おれちん〉は「〈わたし〉は死んだ」と言う。『〈わたし〉という古くさい一人称は、すでに死んだのだ。これからは〈おれちん〉の時代である!』もっと個性をと言われ続け、〈おれちん〉は育…  全文読む 評価する

ばらとおむつ ばらとおむつ
nory/しげちゃんとせっせ
銀色さんの母、しげちゃんが脳梗塞になってしまった。兄、せっせによる介護記録のメールと、「つれづれノート」の続きを合わせたような本。 「づれづれノート」シリーズが終わってしまったので、銀色さんの最近の状況がわからなくなっていたのだけど、これでまた知ることができた。しかし、これは完全に「つれづれノート」では? しげちゃんの写真を初めてみたが、銀色さんとそっくり。これまでのしげちゃんの素っ頓狂な会話はこの姿から出てきていたのかと思うと納得。 だいぶ症状もよくなってきて、大好きな相撲を見ているしげちゃん。ときどき、右手か左手を挙げる。勝つ方の力士を予想しているのだそう。声に出すと、どちらかの力士を応援…  全文読む 評価する

夜露死苦現代詩 夜露死苦現代詩
nory/夜露死苦!
現代詩がふつうの人の手に届かないところにいってしまってから久しい。少なくとも、私が生きてきた中では一度もない。著者は行き詰まり、難しくすることで生き残ろうとする現代詩の業界に、NOを突きつける。 しかし、見渡してみれば、巷には詩があふれている。痴呆老人の頭の中に。ヒップホップの中に。風俗店の案内の中に。湯のみの書き付けに。特攻服の刺繍に。 多くの人々に親しまれている詩人、相田みつをにスポットを当てているのもおもしろかった。『だれもが愛しているのに、プロだけが愛さないもの』 わかりやすいものは認めないというのか。上段から見下ろすことなく、言葉たちを救い上げる著者に敬意を覚える。  全文読む 評価する

猪木詩集 猪木詩集
nory/元気が一番!
ここにもひとりの詩人がいた。その名はアントニオ猪木。ブラジル移民の運命を背負い、闘い続け、夢を追い続けてきた男のピュアな魂と感受性に打ちのめされる。詩って技術じゃない、心の叫びなんだと思い知らされる詩集だ。不安だらけの/人生だから/ちょっと足を止めて自然に語りかけてみる「元気ですかーっ!」/自然は何も/言わないけれどただ優しく/微笑みかえしてくれた元気が一番/今日も/サンタモニカの/一日が始まる       <サンタモニカの朝に>猪木じゃなくて、誰がこんな詩を書くことができよう。元気があればなんでもできる。迷わず行けよ。行けば分かるさ!  全文読む 評価する

酔いがさめたら、うちに帰ろう。 酔いがさめたら、うちに帰ろう。
nory/やるせない
カモちゃん。戦場カメラマン。フリージャーナリスト。西原理恵子と結婚し、ふたりの子供をもうけるも離婚。アルコール依存で十回目の吐血のあと、精神病院のアルコール病棟に入院する。これは、その入院中の体験を書いた本である。一応、「フィクションです」とあるが、大部分は実話だと思う。結婚していたときから西原は、彼の心には大きく深い穴があるというようなことを書いていたが、その穴はどんなに石を投げ込んでみても底が見えないほど深かったようだ。母親がいくら言っても酒を飲み続け、血を吐き続け、あげくの果てに入院。まわりの人間が愛と忍耐をもって救いたいと、どれだけ力を尽くしても飲んでしまう。自分でもこれが最後と決意し…  全文読む 評価する

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 スピリチュアルにハマる人、ハマらない人
nory/「そのまんまのあなたでいいんだよ」と言われたい?
これを読んで、みんな自己肯定されたいんだな〜と大きくうなずいてしまった。悩んでいても、「そのままのあなたでいいんだよ」という言葉を求めているんだなと。 それを言うのは簡単だけど、先に進まないというか、何も変わらないというか。 そう言ってもらいたい気持ちはよくわかる。しかし、良薬口に苦しであえて破壊されてしまってもいいのではないか。そこから新しい何かが生まれてくるんじゃないかと。 本来、スピリチュアルな世界というのは、「自分の魂を磨き、まわりの人の幸せのために力を尽くす」というようなことではないかと思うのだが、今では「現世利益」のみ。お金儲けや恋愛成就のためのスピリチュアル。 そんな批判の中、意…  全文読む 評価する

未来を変える80人 未来を変える80人
nory/理想と現実を両立させたハイブリットな起業家たち
たとえば、環境的、人道的な問題が完璧にクリアされて、尚且つ採算がとれる事業があったとしたら、心ある人は誰だってそっちを望むに違いない。そんな夢のようなことが地球上には数多く存在しているのだ。シルヴァンとマチューという若者ふたりは、そういうハイブリッドな起業家を訪ね歩いて話を聞いてきた。まさに問題山積みの地球を救うスーパーヒーローばかりだ。といっても、彼らは自分たちのまわりの問題を解決しようとしてたどり着いた道なのだけれど。ノーベル平和賞を受賞した、マイクロクレジットの創設者ムハマド・ユヌスを筆頭に、フェアトレード、エコロジー洗剤、害虫の天敵の虫を使った農業、ゴミから資源を生み出すシステム、劣悪…  全文読む 評価する

人生の旅をゆく 人生の旅をゆく
nory/思い出だけが人生だ!
「私たちは、死ぬときに、お金も家も車も恋人も家族も、何も持っていけない。(略)持って行けるのは、もう持ちきれないほどにたくさんになっている思い出だけだ。(略)そしてよき思い出をたくさん創ることだけが、人生でできることなのではないか、そう思う。」ばななって、どうしてこんなに日常の些細な出来事から意味を見いだせるのだろう。そのアンテナと感受性にシンクロして、まるで自分が体験したことのようにかけがえのないことに思えてくる。十二歳で死んでしまった犬の話からは、もう号泣。大切な人たちとのお別れに、号泣。思い出とは、自分が生きてきた軌跡そのものだ。いいことも悪いことも、何にもなかった人生よりはいい。やりた…  全文読む 評価する

ハッピィ・ハウス ハッピィ・ハウス
nory/ハッピィ・ファミリーへ
13歳のるみ子は父親の「しばらく家族をやめる」宣言をきっかけに、ひとりで家を占領してラブホテルにしてしまう。家族がいなくても、家とお金があればいい。家族はほとんど機能してなくて、とくに居心地いいってわけでもない。学校にも積極的に行こうとは思わない。 深く考えたら不幸になるような気がするから考えない。何も期待しなければ、案外幸せのような気もする。家があって、食事ができて、ベッドがあって、ついでにパパとママまで付いていれば、そこはハッピィ・ハウス。 でもやっぱり自分の居場所を探してしまう。 生きているうちに幸せになりたいなと思う。 そんなるみ子に大人は「好きな人をつくって、新しい家をつくれ」という…  全文読む 評価する

私という病 私という病
nory/「自分探し」から「分身探し」へ
中村うさぎ 47歳。まだまだ自分探しの真っ只中。彼女はこれからは「分身探し」へと発展するだろうという。女であることを喜ぶ自分と、男たちからの女扱いを拒否する自分。その矛盾に苦しみながら、東電OLに自己を重ね、分身探しのためデリヘル嬢という職業を体験する。矛盾を抱えている人間はたくさんいると思うが、社会に適応するために無難な顔で生活している。しかし、プライドが高く、主体性にこだわる強烈な自意識があればこそ、人に支配されることを拒み、人にはできないことをやって勝利の快感を得ようとする。彼女の場合は性的強者になって自分を解放したいと願った。さらにそのプライドの高さゆえに、こんなにもイタい私だけど自覚…  全文読む 評価する

ああ息子 ああ息子
nory/息子ってやつは…
息子を持つ世のお母さん方はこんなにも苦労しているんだということが、これでもかというくらいわかる一冊。息子たちの「異次元体験」を並べてみる。 ・廊下にサラダ油を撒いてお腹ですべる ・物心つくころには武田久美子一筋 ・「太(ふとし)」という自分の名を「犬」と書く小4 ・「うちのお父ちゃんのちんちん、3ぼ〜ん」と自慢する ・3人息子の食事…稲荷寿司100個、餃子150個が最小単位 ・4人息子の食事…ひと月米70キロ知っている人で3人の息子のお母さんは「ご飯は朝5合、夜5合。そして、毎日肉!肉!肉! あたしゃ、そのためにパートに出てるのよ!」と言っていた。その上、やつらはどれだけ成長しても何の役に立た…  全文読む 評価する

春になったら莓を摘みに 春になったら莓を摘みに
nory/理解はできないが受け容れる。ということを、観念上だけのものにしない、ということ
ため息が出るほどの上等な人々と著者の交流。こんなにも静かに美しく生きている人がいるんだとあたりを見回してみる。ページのほとんどは英国(イギリスとはいわない)のウエスト夫人とのことなのだけれど、この人がどんな国の人でも、どんな境遇の人でも、どんなに悪人でも、献身的に面倒を見て、裏切られてもまったく懲りずにまた渦中の栗を拾うような人物なのである。それも大げさにではなく、ごく自然に。『理解はできないが受け容れる。ということを、観念上だけのものにしない、ということ』「理解はできないが受け容れる」ということすら難しいのに、ウエスト夫人はすべて受け入れ、行動する。それがどんなに大きくすばらしいことか。世界…  全文読む 評価する

現実入門 現実入門
nory/「現実」っていったい何ですか?
この人のエッセイを読んでいない人は損していると思う。世間というものから遠いところにいる人間のおかしさ、哀しさ。歌人である著者が文学的に描くダメぶり。今回も何度も笑ってしまった。海外旅行も、独り暮らしも、髪型を変えることも、お年玉をあげることもしたことのない(人並みに経験したのは「就職」と「しゃぶしゃぶ」くらい)、『人生の経験値』が極端に低い著者が、日常にあるいろんなことを体験してみるというエッセイだ。献血、占い、合コン、ぶどう狩り、ブライダルフェスタ、一日お父さんなど、著者の視点を通すとそこは異次元の世界に見えてくる。その中でも健康ランド体験が一番おもしろかった。フロントで「健康わくわくランド…  全文読む 評価する

この本が、世界に存在することに この本が、世界に存在することに
nory/この本が世界に存在することに感謝します
『読み終えて、神さまありがとうとまず思った。 神さま、この本が世界に存在することに感謝します、と。』無数ともいえる数が存在し、その中から出会う本は運命的に偶然で、また自分の状況や時期によってマッチするものなんて奇跡に近いと思う。だから、私たちは奇跡を求めて今日も本を手にとる。ひとときのやすらぎを得ようとしたつもりが、人生を変えてしまうほどの本に出会えるときもあるから。これは本にまつわる物語を集めた短編集だ。自称でもいい、本が好きな人にはぜひ読んでもらいたい。寒い冬の夜に、ほかほかと心が温まるお話がいっぱい詰まっている。そして、読み終わったあとは自分の本棚を見回して、一冊一冊の本の思い出を反芻し…  全文読む 評価する

本当はちがうんだ日記 本当はちがうんだ日記
nory/世間に入れない人間の日記
あー、これめちゃくちゃおもしろかった。この著者のダメ人間ぶりに笑わせてもらいました。80年代に青春を過ごした人にはたまらんと思う。歌人という肩書きや、名前の印象、新聞の書評の文章から、すごいおじさんなのかなーと思ってたけど、1962年生まれなんですね(十分おじさん?)。いっかげん(一家言)ある空気のお店では、本当にこの食べ方でいいのかとパニクり、十年間通ったスポーツジムではとうとう友達ができず、陰で「修行僧」と呼ばれる。この世間に入りたいけど、どうしても入ることができない感が哀しくておかしい。著者はオークションもやっているらしく、「キムタク着用」で検索したら、347件も出てきたらしい。その中に…  全文読む 評価する

赤い長靴 赤い長靴
nory/本当のことを求めない
子供のいない夫婦の微妙な心の動きを描いた物語なのだけど、最初から最後までずーっとビミョーだった。微妙、微妙の積み重ねで、ふたりの世界の存在の仕方を感じることができた。夫婦といいながらも、本当のことを話し合っているとは限らない。むしろ、話さないことで成り立っている場合もある。自分が見たことをいくら言葉で話しても、相手は見ることはできない。相手が体験したことも、こちらは想像することもできない。そもそも共有できることなんて、共有しなければいけないことなんてあるのだろうか。相手がいないときにこそ愛おしく思えるのだという感情にはうなずけるものがあった。いたらいたでこっちの生活をかき乱される。しかし、いな…  全文読む 評価する

最後の聖戦!? 最後の聖戦!?
nory/中村うさぎはどこへ行くのか
やっぱり、人の欲望が行き着くところは、モノではなく美貌なのか。たしかに年をとるごとに、健康や美容への関心はどんどん膨らんで行く。そりゃ、大変な思いして努力するよりも、ちょちょいと手術してキレイを手に入れる方がいいよな(もちろん、リスクも大きいけれど)。見た目に自信があると、女は性格変わります。ーなんか、中村うさぎも行き着くところまで行っちゃってるようで、観念的、哲学的な内容が多かった。おもしろいところはほとんどなし。唯一おもしろかったのは、シワとり手術の最中の出来事だった。ー今後の彼女はどうなっていくんでしょうね。ものすごく大きな転換をしないと、読者も本人も飽きてしまうだろう。無理して全壊して…  全文読む 評価する

ぷちすと ぷちすと
nory/やるな、室井佑月
はっきりいって見直した。というか、こういう人とは知らなかった。テレビに出演しているときは、そこらへんにいるねーちゃんとしか思えなかったのだが、初めてまともにこの人の小説を読んですごく面白いと思った。これは男と女の、または女と女の微妙な関係を描いた、数ページのプチストーリーを88編集めた本だ。全編に流れるテーマは「欲求通して何が悪い」だ。登場人物たちはみんなあっけらかんと自分の欲求を押し通してくる。本音をいえば、誰だって自分か一番かわいい。自分の都合のいいように世の中が動いてくれた方がいいに決まっている。しかし、ヘタなプライドや、いい人と思われたいという気持ちから、ついつい損をしてても言動を押さ…  全文読む 評価する

現代日本女性詩人85 現代日本女性詩人85
nory/誰のための詩
まえがきに「現代詩は誰に向かって書かれてきたのだろう。自分と仲間たちだけに顔を向けていたのか」とあるように、詩は今や閉じたところにあって、なかなか口ずさむようには存在しない。そんな中にあって編者は「破れそうなほど内圧が高かったり、血を流していたりする」言葉を聞きたいために、この1冊の本を作った。1875年生まれの大塚楠緒子から1962年生まれの川口晴美まで幅広い人選で、バラエティに富んだ詩が厳選されている。与謝野晶子の「君死にたまうことなかれ」は、今読んでも心揺さぶられるものがあり、この詩は世界のどこかで途切れることなく続いている戦争があるかぎり、決して忘れ去られるものではないと思った。私が一…  全文読む 評価する

豚を盗む 豚を盗む
nory/生きることの大半は繰り返しと別れ
「ありのすさび」「象を洗う」に続くエッセイ。「生きることの大半は繰り返しと別れ」という内容の書き出しのとおり、日常の繰り返しと小さな変化がつらつらと書かれている。これを読むと、何も起きないということもまんざらではないなと思える。ゆったりと流れる時間の中に漂って、身を任せてみるしあわせもあるもんだと。  全文読む 評価する

飢餓の娘 飢餓の娘
nory/中国の裏側
中国は今でも表と裏の顔を持つというが、これは裏の顔である重慶のスラム街で育った著者の自伝的小説である。高級知識人の家柄を舞台にした「ワイルド・スワン」とは対局をなす世界だ。著者は大飢饉の直後に生まれ、生まれながらにして飢餓の魂をかかえていた。人々は皆、生き残るためにどんなことでもしてきた。スラム街の生活はそれは凄惨なものだ。人としての尊厳などない。いつか暮らし向きがよくなるだろうというわずかな希望もない。著者はそこから自力で脱出しようとする。父母との確執、6人兄弟の争い、出生の謎、教師との恋愛、文化大革命。やはり文脈のほどんどは裏切りと狡猾さに占められる。しかし、ほんのわずか1%に中国人の高潔…  全文読む 評価する

対岸の彼女 対岸の彼女
nory/彼女たちの行く末
小夜子は三十代の主婦。子供を遊ばせようと公園に行くが、ほかの主婦たちの派閥に入れずにうんざりしている。母親友達もできず、娘のあかりも同じ年の子と仲良くできない。苛立ちから逃れたい彼女は仕事をしようと思い、偶然にも同じ大学の同級生だった葵が経営する会社で働くことになる。葵は独身で自由に見えたが、そんな葵も高校時代はクラスの派閥からはじきだされまいと必死だった。人の目を気にして、仲間ばすれのターゲットにならないように慎重に気を配っていた。唯一、信用できる友達のナナコはどこの派閥にも属さず、自由に動き回っていた。葵はナナコについていったら、どんなところでも行けそうな気がした。一方、小夜子は葵といると…  全文読む 評価する

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