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されど“服”で人生は変わる されど“服”で人生は変わる
みーちゃん/おしゃれっ気が少しもなくて、いつも男のような格好ばかりしている大学生長女のために求めた本ですが、彼女は読み終わると、なんと、この私に「読んだら」と廻してきました。神を恐れぬ娘よ・・・
いつも地味めの服ばかり選んで、今ひとつ女らしさにかける大学生長女のために選んだ本ですが、密かに「ママのセンスって変!」と娘ふたりどころか夫にも「お前の母さんもだけど服に関してはセンスないなあ」って言われつづける私の汚名挽回のために選んだ一冊でもあります。ふふふ、いまに見ていろ、お前たち・・・まずカバーがいいです。地の色、強烈なオレンジ色もですが、モデルさんたちのきちんと揃えた足がいいです。若い人の脚、というには少し柔らかみがなくてギスギスした感はあります。なんていうか、30前後のOLが合コンのために着飾っちゃった、風のところがないわけではない。スカートだって、普段着じゃあありません。でも、なん…  全文読む 評価する

ctの深い川の町 ctの深い川の町
みーちゃん/こんな運転手がいるタクシー会社が町にあったらなあ、って思います。ま、その人が学校の同級生、っていうのはいいかどうかは分かりませんけど。
好きなデザインの本です。チョッと見にYA本ではないか、と思わせる頁数と愛らしい装画。カバー色は粘土色なんですが、どちらかと言えば輝きをなくしたゴールド、っていったほうが正しい気がします。色といえば、その地色と装画の線の色 黒、そして書名などの白という三色、いたってシンプル。でもそれが何ともシャレています。そんな装丁は、おなじみのコンビ、坂川栄治+田中久子(坂川事務所)、装画は中村純司です。初出誌は「群像」2008年6月号で、ctの深い川の町、とタイトルも変わっていません。ちなみに、ctって何でしょう、タクシーを意味する、っていう人もいますが「タクシーの深い川の町」ってなると全く意味不明です。車…  全文読む 評価する

耽美なわしら 耽美なわしら
みーちゃん/エロスを期待するのでしたら、森の他の本を選んでください。ホモ、バイ、ノンケは登場しますが、SMはなし。どちらかというとお笑い?いえ、ユーモアといったほうがいいかも。カミングアウトできないもどかしさをお楽しみください。
この作品、初出は「小説ASUKA」1994~1995年だそうで、その後、ASUKAノベルスとして出たものを今回、早川書房から完全版として装いもあらたに復活したものだそうです。カバーイラストがいいです。これが46版あたりだとちょっと辛いかもしれませんが文庫本にはピッタリのもので、色合いも落ち着いていていいです。そんなカバーイラスト・扉カットはシライシユウコ、カバーデザインはハヤカワ・デザインです。森奈津子、耽美とくればエロ、だと思うでしょ、フツー。出版社さんには申し訳ありませんが、全然違います。ゲイ、レズ、バイ/ノンセクと言葉は出てきますが、その手の描写は全くありません。カバーの案内の最後に出て…  全文読む 評価する

永遠の故郷−薄明 永遠の故郷−薄明
みーちゃん/吐露するといった感のあった前作とはかわって、極めてオーソドックスな、吉田らしいエッセイになっています。そのぶん、感動は減りましたが、逆に家にあるCDを聴き直したい、そういう気にはさせてくれます。あなたはどちらがお好き?
最愛の人を亡くしたことで、このまま筆を断ってしまうのではないかと心配していたので、『永遠の故郷─夜』の著者名に吉田秀和とあるのを見たときは、正直、驚きました。そして、今までのようなカシットした書き方から離れ、ことばをもっと少なくし、しかも今まであまり語ろうとしなかったことなどにも自由に触れる姿を見て、ああ、これが晩年にふさわしい書き方かもしれないと安心しました。とはいえ、吉田秀和は1913年生まれ、もう百歳も間近です。それを考えると、この文章は奇跡といってもいいのではないか、そう思ったりします。今後、何冊の本が吉田によって書かれるかは分かりませんが、私にとってそれらは全て神様の贈りものとしかい…  全文読む 評価する

ロレンツォ・デ・メディチ暗殺 ロレンツォ・デ・メディチ暗殺
みーちゃん/正直、勿体ない内容です。暗殺の陰にいたのは誰か、ということが歴史学者にとっては重要なんでしょうが、暗号がいかに解かれたか、という部分をもっと描けば、ノンフィクションとしての完成度は高まったはず。いい編集者がいればねえ・・・
今回はデータ篇が充実しているので、それは後半に廻して最初から感想を書きます。大変わかりやすい内容で、読みやすい本なのですが、塩野七生のようなフィクション風の語り口にしたので、衝撃的な発見に基づく事件が、最初からそうであったかのようにしか受け取られない気がします。ルネサンスを文芸復興としか捉えないのが大半の日本人にとって、ロレンツォ・デ・メディチ暗殺自体が遠い話で、正直、モンテフェルトロが事件の黒幕であろうがなかろうが、日本人のルネサンス観を変えるようなものではないわけです。シモネッタにはそういう考え方はまったくありません。つまりシモネッタにはイタリア人、あるいはルネサンスオタクしか眼中にないん…  全文読む 評価する

ポルトガルの四月 ポルトガルの四月
みーちゃん/異色、っていう意味でいえばピカイチだとは思うんです。グルメとはちがうゲテモノ食い。でもどこか、というかだから、ユーモラス。でも、こんな子供とはつきあいたくないなあ、なんて思ったりして・・・
素敵なカバー画です。銅版画? それとも木口木版? 線自体はカチっとしているのにどこか柔らか味があって、それに全体に黄味がかった色合いがなんとも優しい。しかもです、食事から漂う匂いを表現している湯気マーク? の雲のような柔らかなハッチング表現、文句なしです。そんな装画は磯良一。しかもカバー表の題字と著者名のロゴデザイン。もったいないのは背ですね。何の変哲もない活字体、なんじゃカバーのロゴに対するこだわりは・・・そんな装幀は、岩郷重力+WONDER WORKZ。浅暮三文は、人間の感覚を扱った話を作るのが得意なようで、今回は味覚と嗅覚、あるいは食感がキーです。カバー折り返しの案内は気がかりな夢から、…  全文読む 評価する

話してみよう旅行の英語 話してみよう旅行の英語
みーちゃん/高校生の大名旅行? これで海外行こうっていう高校生がいたら顔を見てみたい。やっぱり沢木耕太郎『深夜特急』に心動かされる高校生なら信じることができる。いやはや文章の力というのはかくも差があるものかとつくづく思います。
英語が苦手で浪人中の次女のために、と思って手にした本です。岩波ジュニア新書は、偶に外れがあるものの総じてツボをおさえた説明と、ムダのない構成、分かりやすい文章で、基本に立ち返って物事を理解しようとするには最適なシリーズで、中高せいから中高年まで幅広く読まれるべきものでしょう。カバー後ろの案内ですが、話してみよう 旅行の英語歴史好きの秀雄くん、リスニングに自信のある次郎くん、英語を自由に使いたい深雪さん――高校生の仲良し3人組が、「教室で習った英語を使ってみたい」とイギリスの旅へ。知恵を出し合いながら生きた英語を体験します。3人と一緒に街を歩き、イギリスと英語の魅力に触れてみよう。となっています…  全文読む 評価する

川は静かに流れ 川は静かに流れ
みーちゃん/これぞハードボイルド。良くも悪くも、オーソドックス。ただし、これでアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞とれるなら楽だなあ、って思います。それと主人公の愚かさ、まさに『ライムギ畑でつかまえて』を生んだ国らしい。
良くも悪くもアメリカのハードボイルド小説だな、っていうのが読んだ印象です。これでアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作とれるなら、福田和代『黒と赤の潮流』なんてドーナル、って言いたくなります。つまり、いままでの長いハードボイルドを一歩も超えてはいない。ただしタイトルは『黒と赤の潮流』よりはずっといい。そして、類型に嵌っていることを無視すれば、それなりに面白い話ではあります。でも、主人公であるアダム・チェイスに魅力がないのは困りものです。いい年をして自分が置かれている状況がまったく見えていません。チンピラレベルでしょう。こんな男を主人公に据える必要性があったのか? なんて思います。ま、『ライ…  全文読む 評価する

青酸クリームソーダ 青酸クリームソーダ
みーちゃん/特技は妹いじり、兄と妹でラヴラブ、っていうのがなんとも好きなんですが、案外それは言葉だけで描写が少ないんです。それがちょっと物足りない。西尾維新だったらもっとベッタリ、エロ可愛く書くかな、なんて思ったりして。でも佐藤って、こういう小説を書いてたんですね、驚きです
佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』の書評で、私は                  ※佐藤作品は講談社ノベルスで『クリスマス・テロル』を読んだだけでした。舞城王太郎の存在が大きすぎて、似た印象の作品を追いかける気がしなかったというのが実際です。ただし、その後、様々なところで前衛作家としての佐藤友哉という名前を見かけては、フムフムと思っていました。例えば大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!リターンズ』のROUND3:UNDER30歳の新人作家、有望株は?です。金原ひとみ、島本理生、青木淳悟、三並夏、水田美意子、森見登美彦、滝本竜彦、綿矢りさ、白岩玄、豊島ミホ、辻村深月と並んで佐藤友哉の名…  全文読む 評価する

黒と赤の潮流 黒と赤の潮流
みーちゃん/女らしからぬ骨太なミステリ。ただし、どこかで読んだような印象がついて回るのが残念。むろん、東南アジアの人がカギを握るという点では現代らしいんですよ、でもどこか昔の映画を見るような・・・
福田和代、初めて読む作家です。著者名の平凡さから、もしこの本がハヤカワ・ミステリワールドの一冊でなかったら多分手にしていなかったと思います。げに、早川の名の重さかな、です。でも『赤と黒の潮流』というのも野暮ですねえ、なんだか松本清張の時代に戻ったみたい。でも、デザインは基調となる色がいいので及第点。ちなみに、写真は海沼武史、装幀はハヤカワ・デザインです。早川本は、カバーの案内が結構詳しいので、今回もカバー後の案内を拝借。阪神大震災で祐一は両親を亡くした。何かを亡くすのは初めてではない。超高校級スプリンターだった彼は二年前に事故で引退を余儀なくされた。走れない脚は亡いも同然だ。だが、ボート仲間の…  全文読む 評価する

詩羽のいる街 詩羽のいる街
みーちゃん/嫌いじゃないんです。ネット荒らしがテーマっていうのも厭じゃあない。仕掛けもわるくはない。でもねえ、あまりに詩羽が立派過ぎて・・・でも泣けます、はい
徒花スクモの画を見ていると、真鍋博のそれを思いうかべてしまうんですが、それって変でしょうか。きちっとした均一な線、白地に美しい色合い、真鍋の赤と青に対して、徒花の黄色と緑、人口と環境、っていう時代の反映による違いはあるものの、根っこは一つじゃないか、って思うんです。こういう画を見ると、文化的な香りではなく文明を感じるんです、私・・・西村弘美(角川書店装丁室)の仕事も、どっちかっていうとチープで安直。とはいえ、この本。大変人気があります。山本の小説としては一番じゃないのか、なんて思います。個人的には『アイの物語』の格調をより高く評価しますが、このお話のストレートな訴えに心動かされないほど鈍ではあ…  全文読む 評価する

立原道造・堀辰雄翻訳集 立原道造・堀辰雄翻訳集
みーちゃん/企画としては、確かに言われてみれば目新しい。それに現代仮名遣いになって読みやすくなっています。でも、時代の流れというものは残酷です。比較的面白いアポリネイルでも、現代作家の作品を越えてはいない、そう思います。時は残酷・・・。
前々から詩は苦手だ、というより嫌悪しているといったほうがいいような私ですが、思いついたように、「それでいいのか?」なんて思います。ま、私にとってそれは悪魔の囁きみたいなもので、殆ど耳を貸しませんが、今回はついついその声に誘われてしまいました。無論、立原・堀の名前あってのことで、他の作家であったらやはり黙殺が続いたことでしょう。で、読んだ印象はといえば、やはり詩は駄目だけれど、詩人の手になる翻訳は悪くはないなあ、特にシュトルムとアポリネエルについては読んで損しなかった、って思います。でも、立原・堀両氏には悪いのですが、一番ためになったのは高橋英夫の解題、青春の翻訳だったかな、なんて。高橋はともか…  全文読む 評価する

ミスター・ミー ミスター・ミー
みーちゃん/人によっては怒るかもしれません、そんなバカな話があるか、って。男は生まれた時から性に目覚めているはずだって。でも、こうやってクルミーの手にかかると生臭いはずの物語がなんともユーモラスなものに・・・
この本、東京創元社の海外文学セレクションの一冊です。判型は四六判、仮フランス装ですからかなり洒落たつくりになっています。品格、という点では新潮社のクレストブックに一歩及びませんが、書籍に囲まれ、パソコンでヌードを鑑賞する老人(ミスター・ミー)を描いた装画が、いかにもコミカルでいいです。ちなみに私、アンドルー・クルミーのことを全く知りませんし、東京創元社の海外文学セレクションといっても、外観だけでなく内容の点でもクレストブックにひけをとっているので、よほどのことがない限り手をだしません。そんな私がこの本に手を出した、それは本山木犀の装幀によるというよりは、ひとえに古村耀子の装画のおかげです。とい…  全文読む 評価する

マリオネット・エンジン マリオネット・エンジン
みーちゃん/西澤の作品にはもともとSF的な要素もあるんですが、ミステリ的な解決を主眼に置いていないのが、この作品集に収められているそうです。それと古い作品。そのせいか、イマイチ切れがない・・・
正直、これって既にハードカバーで出たものがノベルズになったんじゃないか、って思ってました。なんとなくタイトルが『ソフトタッチ・オペレーション』を思わせるんです。字面だって、言葉だってまったく違うんですが、神麻嗣子の超能力事件簿シリーズかな、なんて思うんです。でも、違うんです。初単行本化なんですって、驚き!ちなみに、カバー画は西澤作品としては異色の純SFもの。担当は、初期グインサーガやSFマガジンの表紙を独占していた感のあった加藤直之の手になる新作。ちなみに、あとがきには、カバー画担当の加藤直之についての西澤の思いが詳しく書かれていて、このカバー画にはオリジナル作品があるそうです。カバーデザイン…  全文読む 評価する

ヘミングウェイごっこ ヘミングウェイごっこ
みーちゃん/贋作をテーマにしたSFなんですが、それがヘミングウェイの小説の偽物、っていうのがちょっとね、日本人には分かりかねます。ま、陶器の偽物を外人が理解できない、っていうのの裏返しみたいなものなんでしょう。でも、魅力的な女性はでてくるし、辻褄はなんとなく合うし・・・
SF読みでない私にとって、ジョー・ホールドマンといえばガチガチのハード・SFの雄、っていうことになります。ま、『終りなき戦い』も『終わりなき平和』も読んでいないし、他の書名も簡単に思い浮かばない状況です。そんな私が久し振りに手にしたのがネビュラ賞、ティプトリー賞を受賞した『擬態―カムフラージュ―』、これが滅法面白かった。ま、SFをエイリアンが出てくるお話、と定義すれば確かにSFなんですが、私はどちらかというと恋愛小説として読みました。充分に楽しんだ上で、ジャンル分けなんで読者にとって目安に過ぎないし、むしろそれに拘るとこんなに面白いお話を読み逃すことになる、なんて思ったものです。で、『ヘミング…  全文読む 評価する

ジェネラル・ルージュの伝説 ジェネラル・ルージュの伝説
みーちゃん/「ジェネラル・ルージュの伝説」っていうタイトルでとっくに小説が書かれていたと思っていたんですが意外でした、まだだったんですねえ。海堂ワールドがよくわかる一冊ですが、虚実のありかたに少し疑問が・・・
先日も、海堂が編集した『松本清張傑作選 暗闇に嗤うドクター 海堂尊オリジナルセレクション』のあとがきを立ち読みしていたんですけど、やっぱりこの人はいいなあ、って思いました。勿論、海堂のことです。そして思いました、海堂作品の出版ペースっていうのも、松本清張なみなんじゃないか、って。だって、この本の直ぐあとに、『極北クレイマー』を出しているんですよね。森博嗣なみでもある、なんて思います。で、『ジェネラル・ルージュの伝説』。書店の平台で見たときもそのデザインに惹かれました。単に色が赤で強烈、っていうだけならば今までの宝島本と少しも変わらないのですが、今回はその色からして違います。なんとも色っぽい赤…  全文読む 評価する

裏太平記 裏太平記
みーちゃん/晩年の半村作品は、どこか私のイメージするものとは違っていました。この作品も例外ではありません。私はすなおに1970年代の若き半村に軍配をあげます。
1970年代に伝奇小説を甦らせた作家として忘れられない存在が半村良です。半村なくして高橋克彦、夢枕獏、隆慶一郎はなかった、いや、もしかすると半村以降の作家は誰一人として彼を超えていないのではないか、そうまで思うのです。私が買った彼の最後の作品は1993年出版の『妖星伝』の第七巻ですが、それは1980年に一応完結したかに思えた第六巻が出て13年後のことです。ちなみに私が読んだ彼の最後の作品は、彼が逝く前年にだされた『すべて辛抱』でした。晩年の半村の小説は、タイトルこそ伝奇小説風で読者の期待を書きたてましたが、実は歴史小説に近いもので、語り口もどちらかというと扱うものは全く違うものの、作者の考えを…  全文読む 評価する

ももんがあからっ風作戦 ももんがあからっ風作戦
みーちゃん/数あるシーナさんの本の中でもピカイチのタイトルじゃないでしょうか。ももんがあ、を持ってきただけでここまで楽しくなる。でも輪をかけていいのが中身。ちょっと下品なところがたまらない・・・
このシリーズ中、一番面白かったと言っていいでしょう。なんといってもタイトルがいいです。「からっ風作戦」だけなら普通ですが、それに「ももんがあ」が絡むと、もうそれだけで降参です。ま、「ももんがあ」ではなくて「むささび」でもかなりいけるんでしょうが、「ももんがあ」の最後の「があ」が効いています。なんていうかゴジラが水面から出てくるときのような感じで・・・今回も沢山の文章が収められていますが、参考までに私が思わず笑ってしまった章のタイトルを書きます。★マークは中でも特に面白かったものです。それから沢野ひとしの挿絵は、そのくねくねぶりも相変わらず笑えますが、なにより小さな文字で書かれた文が抜群の出来で…  全文読む 評価する

ジョニー・ザ・ラビット ジョニー・ザ・ラビット
みーちゃん/装丁は素晴らしいです。手にしたときの感じ、重さ、表紙の硬さ、どれもいい。話の流れも悪くはない。でもね、ウサギにしたことのよさが伝わらない。なんたってキモの部分、そこがピンとこない。映画『ロジャー・ラビット』とは似ても似つかない世界、勿体ない・・・
東山彰良といえば『ラム&コーク』を大分前に読んだ記憶があります。読んだ記憶はあるものの、中味がどう、内容がこう、といったことは全く思い出せません。自分のメモを読んでみても情けないことに何も思い出せない。要するにあまり感心しなかった、っていうことなんでしょう。さほど以前の作品が気に入ったわけではないのに、今回の本を手にしたのはちょっとぼやけたような、パステルかなにかだろう、ソフトフォーカスな兎と水平線が握ればくしゃっとなってしまいそうで、見ているだけで心が温かくなってくる。そんな愛らしい装画と(エリザベス・ムーン『くらやみの速さはどれくらい』で、私が牧野の装画を褒めた文章のコピペ)、東山彰良とい…  全文読む 評価する

君は誰に殺されたのですか 君は誰に殺されたのですか
みーちゃん/もしここに書かれる母親の叫び声が実際のものだとすれば、真実は必ずしも人の心をうたない、と言えます。その狂態が読者の気持ちを引かせ、評価も下げている。折角いいテーマを扱っているのに勿体ない・・・
ドキュメント、ということが良くわかる装幀ですが、驚きや感動はこのブックデザインでは味わえません。Eric Pearle/ゲッティ イメージズのカバー写真もフツーですし、新潮社装幀室の仕事も平均を出てはいません。ただし、本のタイトルはストレートであるせいか、強烈です。パロマについては散々報道されましたが、あらためて「パロマ湯沸器事件の真実」なんてかかれると何か新事実が出てきたのか、なんて思います。出版社のHPには親の一途な思いが、奇跡を起こした!息子が東京で一人、急死した。病死だという。が、10年後、実はその死因が一酸化炭素中毒であったことを両親は知った。何故? どうして? 息子の死の真実が知り…  全文読む 評価する

ゲド戦記 ゲド戦記
みーちゃん/このお話をファンタジーっていうくくりで評価してしまったから、いけなかったんだと思います。トールキンの『指輪』はファンタジーでいいけれど、『ゲド』は違う。なんていうか分類を拒否するような話ではないか、そんな気がしてなりません。読み返して良かった一冊。
私の中でゲド戦記の評価は高くありません。読んだのがいつのことだったか、トールキンの指輪物語はもう30年以上前に読んでいましたが、ゲド戦記はもっとあと。娘が幼稚園に行っている頃に読み、その後、続巻が出版されるたびに読んできたものの、正直、一度として感心したことはありませんでした。それはル=グウィンのSFにも言えて、どうもピンときません。ル=グウィンは、ともかく難しい。おまけに登場人物に魅力がありません。さらにいえば夢がない。総じて暗い、としか言いようがない。正直、これを「指輪」にならぶファンタジーの傑作、という人の気持ちが分かりませんでした。私にとって、文学というのは苦しむためのものではなく、あ…  全文読む 評価する

神器 神器
みーちゃん/この小説が推理作家協会賞や星雲賞を受賞できないとしたら、日本の読者もだめだなあ、なんて思います。深く重い、想像を絶するメタ小説、さすが奥泉光、まるで半村良の伝奇SFを読むような・・・
この本の案内を見たとき、これは絶対に読まなければ、と思いました。まず、久し振りの奥泉光、というのがあります。どうも私は好きなんですね、この人の作風が。エンタメ系純文学というか、純文学系エンタメというか。文章だけとってみれば、村上春樹より硬質で中味が濃い気がします。で、書店でチェックしました。予想外だったのは箱がついていないことです。ま、エンタメと割り切れば納得できるんですが、でも純文学と考えれば、箱がついて当たり前。とはいえ、それは一昔前の常識であって、今となれば純文学だって箱入りは珍しいかもしれません。でも、芥川賞をとった作家の上下二巻本となればねえ、箱くらいつけても罰は当たんないんじゃない…  全文読む 評価する

喜の行列悲の行列 喜の行列悲の行列
みーちゃん/これだけ多くの登場人物をきっちり描き分ける、さすが直木賞作家だなあ、なんて思います。でも、似たような雰囲気の傑作、恩田陸『ドミノ』の面白さには及ばないかな・・・
あんまり何度も書くと藤田に怒られるかもしれませんが、彼の作品が好きではありません。特に直木賞を取るあたり、戦略的に恋愛小説を書く、と宣言してからのものが好みではありません。ま、それ以前もいい読者ではなかったんですが、それで一気に腰が引けてしまいました。恋愛を商売にするな! ってね、恋愛だけじゃなく文学に対する侮辱ですよ、それって・・・といっても、全然読まないか、っていうとそうでもありません。もしかして、なんて偶に気が向くと手にします。『艶紅(ひかりべに)』『異端の夏』『愛の領分』と直木賞受賞後に読んで失望して、『キッドナップ』もいまいちで、最近では『現代の小説2008 短篇ベストコレクション』…  全文読む 評価する

ミステリーとの半世紀 ミステリーとの半世紀
みーちゃん/なぜ日本推理作家協会賞を同じ人が何度も受賞してはいけないのでしょう。もし、複数回の受賞が可能であれば、賞の権威は海外の小並みに高かっただろうに。なぜか、その経緯は書いてありません。でも、推理作家協会のことについては歯に衣着せず書かれています。
日本人の推理作家として、私がその理論を最も高く評価しているのが佐野洋です。佐野の文を読むたびに、いつも何かを教わります。ミステリにおける論理とはなにか、ミステリを書く上での心構え、守るべきルール、そしてミステリの楽しみ方。佐野自身の作品で確認することも楽しみですが、彼が他人の作品をどう読むかは、まさにお勉強です。そんな佐野作品との付き合いは既に四半世紀を越えます。ところが私の記憶では佐野が自分の(作家)人生を語ったものを読んだ記憶がありません。無論、そうそう作家が自分の回想録を書いていたら商売にならないわけで、乱歩だって正史だってその手のものをそんなに書いているわけではありません。ただし、です…  全文読む 評価する

灰塵の暦 灰塵の暦
みーちゃん/火の中で踊り狂う悪鬼、いよいよ日本人が本性を現します・・・。南京大虐殺はなかった、植民地時代に相手の人間を日本に強制的に連行しても拉致ではない、と言い張る今の日本、常任理事国になんかさせるもんか、こんな国!
たまたま、ですけれど私は今まで読んだ風の払暁―満州国演義1―事変の夜―満州国演義2―群狼の舞―満州国演義3―炎の回廊―満州国演義4―という四冊と比べて、今回の巻のカバーが一番好きです。色合いもですが、Stocktrek Images,Daniel J Cox/Getty Images という注のついた写真がいいからではないか、そう思います。最初は噴煙かと思いました。次は艦隊が攻撃されているのかもと。でも手前に樹木らしいものがあります。もしかすると南京陥落の時の遠望かな、なんて思いもしました。装幀は新潮社装幀室、地図製作は綜合精図研究所です。で、お話の舞台ですが西暦一九三六年――昭和一一年――皇…  全文読む 評価する

ローマ亡き後の地中海世界 ローマ亡き後の地中海世界
みーちゃん/スペイン王カルロスの、人の命をゲーム感覚でしか捉えられない無神経さには本当に苛々します。これが政治というなら、今の自民党政治と何にも変わりません。パワーゲーム?子供の遊びとおんなじじゃない・・・
読んでいて苛々してしまうのは、「第五章 パワーゲームの世紀」におけるアンドレア・ドーリアの動きであり、ドーリアをしてあえて敗戦の道を選ぶことをさせたスペイン王カルロスの、人の命をゲーム感覚でしか捉えられない無神経さなのですが、実はこれこそが政治でありパワーゲームであることを知ると、やはり政治家と軍人だけはなるものじゃあない、と思います。それでも、インカ帝国を滅ぼしたコルテスを例にひきながら、最後まで英国のような世界戦略を持ちえなかったこのスペイン人の動きを自己中心的な民族性ゆえと断じれば、ああ、そうかと得心が行きます。それに比べてヴェネツィアの視野の広さ。でも、その視野をもっていても大国の思惑…  全文読む 評価する

回想のブライズヘッド 回想のブライズヘッド
みーちゃん/こういう傍観者が主人公、っていう話は嫌いです。読んでいて少しも楽しくありません。しかも、主人公の態度たるや、明らかに一家の滅亡を焚きつけているとしか思えない。いやだいやだ腐った男・・・
あいかわらず上巻に、下巻の内容を含んだ解説をつけるという暴力的な構成をして恥じることのない岩波書店ですが、ここまでくると文化の担い手っていう看板、下ろせっていいたくなります。頁数からの判断でしょうが、結局、値段のことしか頭にないのか、岩波、って思います。意味ないです、こういう構成。やるなら上巻の注だけにとどめるのが筋でしょう。下巻を読み終わって、さあ、ゆっくり解説を読もうと思っても、そこには奥付しかない。なんていうか、階段の最後を踏み外したような感じ、というか中途半端さ。読者の都合ではなくて出版社のそれが優先しているとしか思えません。ぷんぷん・・・で、正直、上巻は面白くありません。全く面白くな…  全文読む 評価する

GOTH GOTH
みーちゃん/この写真がなかったら魅力は半減、ていうか、高梨臨、素敵です。でも、ブックデザイン、そんなに凄い? 褒めすぎじゃない?
理由はわかりませんが寡作作家の道を選んだのかな、と思われる最近の乙一です。『GOTH』という字が見えたのと、少女らしい女性の写真が沢山あるので、これは旧作の『GOTH』に写真を組み合わせただけの、一種の新装版だろう、と思い込み今まで読まずに来ましたが、ひょんな事から読むことになりました。文字数が少ないので、楽に読み終わる、というのも私には魅力です。小説の内容については出版社のHPに出ている乙一7年ぶりのGOTH書下し短編と写真が織りなす必携ビジュアルブック山奥にある連続女性殺人事件の死体遺棄現場へ赴いた森野夜。その場で出会い、記念撮影のシャッターを押してくれた男とは? 7年ぶりのGOTH新作1…  全文読む 評価する

肺魚楼の夜 肺魚楼の夜
みーちゃん/昨年、光文社が出した本の中で、装幀ベスト。中身もいいんですが、人間に魅力がないのが問題。これだけのトリックを考えたのに、勿体ない。ということで★一つ損した感じ
ともかく、造本とカバーデザインがいいです。特にレンガ作りの家であろう一部を撮った写真。その場の空気の透明さ、気温の低さ、若干の湿り気をさえ感じさせる壁の一部。高さが異なるアーチ型の窓には、なぜか板が室内側から張られている、それは小説の内容と似ていながら微妙に違う、それでいて思わず「これが現場」と思わせずにはいないものです。装丁は光文社の仕事が多い泉沢光雄、カバー写真 Zoran Milich/Masterfile/amanaimages です。それと、著者名と書名が並んだ時の漢字の雰囲気がいいです。黒っぽくてインキが一杯詰まって、闇がそこから流れ出してくるような感じ。タイトルと小説のイメージを…  全文読む 評価する

鼓笛隊の襲来 鼓笛隊の襲来
みーちゃん/筒井康隆コレクション『秒読み』を先に読んじゃったんです。ああいう傑作と比較されちゃうと、類似感のある作品は全く印象に残りません。ユニークな「鼓笛隊の襲来」「彼女の痕跡展」「覆面社員」だけで★四つは甘いかなって、辛目の採点。
シンプルなデザインで、カバー表と背にサイズを変えたオレンジ色の八分音符が描かれていて、これがなんともニンジン的でかわいらしいものです。カバーの紙も、縦横に細かい筋が浮き出したもので、手触りがちょっと普通ではないので面白い。そんなブックデザインは松昭教、イラストは、まつ あきのりです。で、三崎亜記。自分でも驚いたのですが『となり町戦争』を読んでいないんです。いやあ、前にも同じことを書いていたことすら忘れてました。その後の『バスジャック』『失われた町』は読んでいます。でも、評価となると悪くはないけれど・・・。特に『失われた町』の俗な甘さが私の好みにあわなかった。ただし、『バスジャック』はなかなかよ…  全文読む 評価する

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