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野生の風 野生の風
オレンジマリー/アフリカの深い色彩を。
 久しぶりに村山由佳の本を読んだ。最近色々なジャンルに手を伸ばしているので、以前読んでいた作家の本はほとんどご無沙汰である。 まだアフリカに行った事はない。というよりも、正直興味がなかった。うっすらと「行ってみたい」とは思っていても、ヨーロッパほど強く惹かれる事もなく、アジアみたいに身近に感じられる事もなかった。サバンナのイメージしかなかったし砂漠やマサイ族とか、ちょっとした事しか知らない。 主人公の多岐川飛鳥が染色家だという設定も気になっていた一つの点だ。写真家や画家、建築家と比べてはるかに遠く、馴染みのない職業だからだろうか…。 小学生の頃、一度だけ授業で布を染めたことがあった。布のところ…  全文読む 評価する

解夏 解夏
オレンジマリー/結夏と解夏。
 短編集だとは思わなかった。『解夏』がこの一冊に長編として収められていると思っていた。というのも、映画化したしドラマ化もしている。だから、本書を読んで意外で意外で、とても驚いた。 解夏、という名に馴染みがなく訳も分からなかったが、この物語が特殊な病気によって失明していく男性とその恋人を描いたものだという大まかな流れは知っていて、このタイトルとどう繋がるのか興味があった。たった二文字のこのタイトル、漢字も響きもなんだか印象深く、普段なら分厚い本は読もうと思わないところ手に取るまでに気持ちを高ぶらせた。 ベーチェット病。 聞いたことも見たこともない病気である。私も生まれつき弱視で、これは遺伝らしい…  全文読む 評価する

魂の伴侶 魂の伴侶
オレンジマリー/今、ふと周りに目を向けた。
 NYに移り住んでから約2ヶ月。毎日あくせくと動き回り、ようやく読書する時間を作れるようになった。そして、そんな時期にこの本を勧められて開いてみた。 まず2,3行で目が離せなくなってしまった。ここに来てから知り合った人々、そしてたまたま電車に乗って同じ車両に乗り合わせた人々、街で擦れ違った人々、接客してくれた人々…。本書を読み終えて振り返ってみると、それらが偶然ではなく起こるべくして起こった出会いなんだと思えてとても不思議な気持ちになる。そして、人との関わりに意味を感じ、また大切に思う気持ちも強くなる。 語学学校で知り合った日本人の友達、日本にずっと住んでいたらまず出会える確率はないに等しい。…  全文読む 評価する

Nana Nana
オレンジマリー/些細は甚大…。
 こうして矢沢さんの漫画を読むと毎度思うことなのだが、人間の持つ繊細な心理状態を描くのが実に巧妙だ。それはもう、苦しいほどに登場人物たちの心が伝わってくる。これまで私が出会ってきた数々の漫画で、この上ない笑いを引き出してくれるもの、勉強になるもの、じんわりと感動を与えてくれるもの、真正面から向き合わざるをえなくなるものなど、様々だが、矢沢さんの作品はいつも、勇気や希望を与えてくれる。子供の頃は子供なりの感動を与えられ、大人になったらなったでその年齢相応の感動を与えられる。例え漫画を卒業する年齢に達しても、矢沢さんの漫画は卒業できずに生きると思う。事実、そうである。 奈々とナナの友情は不変のよう…  全文読む 評価する

やっつけ仕事で八方ふさがり やっつけ仕事で八方ふさがり
オレンジマリー/想像していたのは…。
書評を投稿しようと検索してみて、初めて「これ、ミステリーなんだぁ」と思ってしまった。と言うのは、私が知っているミステリーのスタイルではなかったのだ。失踪してしまった母子を探すという主体だと思い、ページをめくっていくと、色々なエピソードが絡まってくるのを感じた。まず、登場人物が多すぎて、把握していくのが大変だった。次に主体だと思っていたことは最終的にはあまり関係なかった。そういうことを踏まえて見てみると、正直私は好まない。無理もないだろう。バウンティハンターという職種に縁の無い日本人である私の観点であるし、文化も違えば生活スタイルも全然違う。なかなか入りこめないのは仕方がないだろうと思う。踏んだ…  全文読む 評価する

ご近所物語 ご近所物語
オレンジマリー/何年か経って、また読みたくなる。
 この話はりぼんで連載していた頃に読んで、それっきりでした。久々に読みたくなり、友達に借りて読んでみたらやっぱり面白かったです。読み始めると止まらなくなるので、もっと時間に余裕のある時に読もうと思います。 ヤザガクに通う登場人物たちの心理描写がとても分かり易くて読み易いです。実果子とツトムの微妙な関係、ナイスバディ子の出現、勇介の介入。1巻目なのに様々なハプニングが起こり、ハラハラします。 傷つく度に実果子はピアスを空けたり髪を染めたり、外面的な変化を求める。そういう心を理解しているツトムはなんだかんだ喧嘩しても放って置けない。二人とも素直になれないので、思い合っていてもかみあわない。第三者か…  全文読む 評価する

バカの壁 バカの壁
オレンジマリー/思っていたよりも、気楽に読めました。
 人から聞いたりテレビで観たりしている限り、結構厳しいことをずばずば言っていて、ちょっと怖い印象を受ける、と思っていたが硬すぎず砕けすぎずで終始気楽に読んでいた。 まだ、人の考えだとか心だとか、そういう小難しいことを考えもしなかった時代を思い出す。ただ毎日が楽しくて、土にまみれて鉄棒にぶらさがっていたが、年を重ねていくうちにうまくいかないことも増え、悩むようにもなった。以前は嫌われるのが嫌だとか、理解し合える、なんて思っていたが今となっては平行線になった思考は重ならないと思っている。合わない人とは合わない。でも格別深く関わっていくとかではないし、気にすることないかと割り切っている。まっさらだっ…  全文読む 評価する

絶対泣かない 絶対泣かない
オレンジマリー/絶対泣きません。
 目に見える強さは弱さをカモフラージュする。本当は、弱い。 本書では悲観的になっている主人公が一筋の光を見出したり、本音を隠してきた主人公がそれをぶちまけたりするストーリーが目立ちました。目の前が真っ暗になっても、ほんの些細なことで光が射したりします。哀しみには終わりがあるし、逆に楽しみにも終わりがあります。そういう日常で自然的に知っていくことが巧みに文章化されている。だから共感もできる…。 文緒さんのすごいところは、一瞬にして起こったことの表現や、感情の揺れ、主人公以外の思いが意外であったり、しかもそれらを短編で巧妙に描いてしまえるところです。一編ごとにわくわくし、落ち込んで立ち直れる。とて…  全文読む 評価する

長い長い殺人 長い長い殺人
オレンジマリー/物から見た私。
 宮部みゆきさんの本を、以前から読みたいと思っていたけれど借りたり買ったり、たまってしまった本をなんとか読んでしまおうと思っても忙しく、年末この本に手を伸ばし、ようやく昨日読み終えた。書評を投稿するのは実に久しぶりで、何を書こうか伝えようか熟考している。 まず、本書を読み始めて間もなく、語り手が財布である事に驚いた。ふと頭の片隅に過ったのが夏目漱石の「我輩は猫である」だった。 物、動物、人間以外の『何か』から見た自分。意思があるのかどうかは知らないが、もしそれらが心を持っていたならば私はどう思われているだろう。そんなことを考えたこともないので、不思議な心持で読み進めていった。 ある殺人事件を、…  全文読む 評価する

みんないってしまう みんないってしまう
オレンジマリー/仲間といても、孤独。
 文緒さんの数々の作品の中でも、とりわけ印象深い一冊。友達に何か貸して、と言われる度に手が勝手に「ブルーもしくはブルー」「きっと君は泣く」「ブラックティ」「みんないってしまう」「シュガーレス・ラブ」の五冊に伸びる。どれも身近に感じられ、人事として読めないものを秘めている。そしてそれらを読破した友達から感想のメールが届く。 そう、私の友達は文緒さんの文章に魅了されていきました。私自身、文緒さんの小説大好きですから、感動を共感できる友達ができて嬉しいです。 本書の中でもストーカーの主人公の話を鮮明に覚えている。電話線引っこ抜かれたり、しまいには意中の人が出したゴミを漁る…。緊迫感が伝わってきました…  全文読む 評価する

名探偵コナン(少年サンデーコミックス) 名探偵コナン(少年サンデーコミックス)
オレンジマリー/探偵ものってわくわくします。
 学生時代は毎週欠かさずアニメを見ていました。今は残念ながらたまにしか見る事ができないのですが、暇さえあれば見たいと思います。 全身黒尽くめのいかにも怪しい男たちの行方を追う名探偵コナン。見かけは小学生だけど頭脳は本来の工藤の物で、明晰だ。時折黒尽くめの男たちの手がかりを掴むが結局残念な結果に終わる。幼馴染の蘭にコナンの正体気付かれそうになりながら、しかし博士や両親、関西の高校生名探偵服部、いろんな人に正体を知られ支えられ、事件を解いていく。率直に、おもしろいですね。 小学生時代、ホームズと怪盗ルパンを好んで読んでいたのを思い出します。そういう、怪盗だとか探偵だとか憧れていました。初心を振り返…  全文読む 評価する

神様 神様
オレンジマリー/言葉無き生き物に、言葉を。
 母校の司書に勧められて手にしてみた。読んでいて、一番最初に驚いたのは動物が言葉を発していたことだ。それでもすぐに馴染み、ああ、そういう作品なんだと認識しました。 印象的だったのは人魚の話。人魚にすっかり魅了され、手放せなくなってしまい、自分が廃れていってしまう危険性に恐れる。ちょっとぞっとしましたね。人魚と言えば、谷崎潤一郎が描いた人魚を思い出すが、その艶かしい容姿の描写に脱帽だった。最後は意を決して手放せて本当に良かった。 河童の話も心に残りました。河童という生き物は、私の中でツチノコくらいにあり得ない生き物となっています。だから、小説だしと割り切って読んでしまえた自分が少し寂しいですね。…  全文読む 評価する

マリンブルーの風に抱かれて マリンブルーの風に抱かれて
オレンジマリー/カリフォルニアの海、実際に見てみたい!
 私が持っているのは文庫ではなくて漫画なのですが、矢沢さんの作品にはどれも夢とか、明日とか、未来が眩く輝いています。眉根を寄せて目を細めてしまうような眩しさです。だから繰り返し読みたくなる。私は持っている漫画や本は一生持っていようと思いますが(ただし例外もあります)、友人の中には一度読んでしまったら売ってしまうという人もいます。持っている数々の魅力溢れる作品にはどれも愛着があるし、ストーリーも結構覚えている。高校時代、恩師に「ストーリーを忘れるような読み方はしない事」と言われ、今でもそれは忠実に守っている。読んだ事を忘れてしまわないよう、しっかりと胸に、記憶に刻んで。 マリブル、と呼ばれている…  全文読む 評価する

MOMENT MOMENT
オレンジマリー/とても静かに、体温が上がる。
 しゃらくせぇ。 なんとなく老人のこの台詞が繰り返し思い出される。触れる機会が極端に少ない言葉だからでしょうか、ツボにはまったようです。 本多氏特有の空気、言い回し、冗談。相変わらず秀逸です。 死を前にした人にだけ伝わる必殺仕事人伝説。願い事を一つだけ叶えてくれる黒衣をまとった人物がいる。それを背負った一人の大学生、灰色の作業服を着た掃除夫…。設定も架空っぽくて、幼い頃に見たアニメのヒーローを思い返す。幼馴染の森野や患者たちとのやりとりも笑える場面はあるし、しんみりしている中にもホットな部分があってとっつきやすい。 ちょっとした人間の仕種、癖、そういったものを巧みに表現するのは極めて難しい。ど…  全文読む 評価する

緑の午後 緑の午後
オレンジマリー/うっすらと見える、ただならぬ波。
 ずっと平穏でほんわかしていたショーリとかれん。ここにきて温和な波は緩やかに荒れ始めた。 ショーリにも妹ができ、母親ができ、一気に二人も家族が増えた。 ハプニングは尽きない。中でも印象的だったのは星野との摩擦。星野は食事もまともに摂れなくなり、明らかに心身共に弱っていった。失恋っていうのはいつまで経っても慣れないし、もちろん慣れるべきでない。そしてそれは身体に予想以上に響く。傷ついても立ち上がろうとする星野は痛ましく、優し過ぎるくらいのショーリの行動には唸ってしまう。恋愛沙汰は、誰も傷つけずに穏やかに済ませることなんてほとんど不可能だと思う。 そして次に思わず「ほう…」と声をあげたのはショーリ…  全文読む 評価する

カラフル カラフル
オレンジマリー/本書に出会えたこと、幸福です。
 久々に弾んだ心で一気に読んでしまいました。 近頃はまともにパソコンと睨み合う時間も持てず、本を一冊読み終えるたびにパソコンを恨めしく見つめ、嘆息をもらす。本を読むと、必ず何かしらの影響を得、感慨を持つ。そしてそれをこのbk1の場を借りて誰にというわけでもなく伝えたくなります。もうすでに、4冊分の感想が私の頭の中、胸中に舞っています…。そしてその一つを、今解放したいと思います。 とは言ったものの、感情を文字に表すのは至難の業。こうしてbk1に書評を投稿する時は辞書を片手に、うな垂れる。なかなか思うようにぴたりと適切な言葉を見つけることができないのだ。言葉が変でも笑って許してやってください…。 …  全文読む 評価する

ピーチガール ピーチガール
オレンジマリー/分かれ道にさしかかったら…。
 ついにこんがらがった糸を解く時がきました。ももの選択やいかに!? 高校時代に急速に流行したピーチガール、当時はまださえのいじめも甚だしく、ももは苦しみ続けていたが、いまやさえの覇気は萎え、ももは失われた自分の幸せを取り戻そうとしている。とーじと岡安、どちらがももにとってより大切か。見守るだけである。 幸い、本書はコミック化するのが早めなので待ちくたびれることもない。半年に一冊コミック化している漫画もあるので、その点では有難い。 さて、岡安兄。これは曲者ですね…。結果的には何事もなくて良かったが、これでさえが本当に妊娠していたら!? 考えただけでも胸が痛みます。あの極悪非道なさえが、あそこまで…  全文読む 評価する

星々の舟 星々の舟
オレンジマリー/舟に乗って、どこへ行く?
 読み始めに思った事。村山さんにしてはシビアな話だなあ…。 一つの家族の一人一人の視点から語られる、短編集みたいな作りだ。兄妹と知らずに愛し合ってしまった二人、相手のいる人ばかりを好きになる人、戦争を生き抜いた人、家政婦から後妻に迎えられた人、団魂世代の人。 霞んだ世界のように淡々と、ストーリーは流れる。空気が濃くて、咽てしまうような、思わず目を伏せてしまうような…。 中でも一番添って読めたのは貢の娘、聡美の話だ。ものすごく可愛くて賢くて人気がある親友。微かだが確かに在る劣等感。身に覚えがある。クラスの男子から「お前引き立て役だ」とか「よく並べるな」とか、そういう事を言われた経験もある。私は悔…  全文読む 評価する

Nana Nana
オレンジマリー/哀しみの芯。
 人の心ってとても繊細で、脆くて、だけど強くもある。粉砕したって時間をかけて元に戻る。いや、元に戻るという表現はそぐわないかな。生まれた時の心に比べると、当たり前だが傷だってたくさんついているし、その傷だって「つけられた痛み」と「つけた痛み」とに分かれるだろう。大まかに言えば。殻を剥いたゆで卵のようなつるりとした心だって、生きていくうちに壊れ、修復してはまた壊れ、そして傷を知ることによって豊かに頑丈になる。「NANA」を読むといつも『人の心』について考えさせられる。 今回印象的だったのはタクミの行動。今までは“女にルーズで薄情”というイメージだったが、この巻では“夫と父親”という言葉を意識させ…  全文読む 評価する

できる!基本の和食 できる!基本の和食
オレンジマリー/和食大好き!
 私は煮物が別段好きで、本書を2年前に購入。元々料理は好きだし、お菓子も気が向けば作る。器具や材料の都合上、気に入りのものしか作れないが平日の静かな昼間に気分転換として作ると晴れやかだ。 このシリーズのイタリアンも合わせて買い、手作りの好物を味わうささやかな幸せにひたる。中華も買おうかなと、思っていたりする。 本書で特に良い、思った料理は「筑前煮」「鳥の唐揚げ」「けんちん汁」だ。筑前煮は書かれている食材に好みの食材をプラスして作るとたまらない。日本人で良かったと思った瞬間(笑)。唐揚げはソースが塩ベースっていうところが新鮮だと思った。職場のレシピで作った醤油ベースのソースと並べて楽しく食事。け…  全文読む 評価する

博士の愛した数式 博士の愛した数式
オレンジマリー/80分に秘められた永遠。
 土曜の午前中、たまたま「王様のブランチ」を観ていた。ブックランキングやムービーランキングが発表されるので、心待ちにしてテレビの前に座っていた。‘哲っちゃんのブックナビ’というコーナーで本書が紹介され、私は書店に走った。数学が大の苦手で数式なんて見るのも嫌なはずなのに私はレジに本書を持って行った。 読み始めから素直に入り込め、好印象を受けた。老いた数学者の家に派遣された家政婦の視点から語られていて、10歳の息子ルートと阪神タイガースが物語の中でも重要なポジションに置かれている。野球に疎く、数式を嫌う私がこんなにも夢中になれた、その事実は少なからず私をうろたえさせた。逆に言えば、知識のない人でも…  全文読む 評価する

デッドエンドの思い出 デッドエンドの思い出
オレンジマリー/一面の金世界。
 深々と雪が降った時「一面の銀世界」と表現するだろう。雪は、それがたとえ闇の濃い深夜でも、街灯より明るく道を照らす。それはもう、目を細めてしまうほどに。その光景は関東に住む私にとって別世界のようだ。 書店で本書を見かけたとき、真っ先に思い浮かんだのは「金世界」という言葉だった。私の脳が勝手に作り上げた言葉だが、この表紙に相応しいと妙に納得してしまいました。本書が発売された時に購入していたのだが、わざと読まずに本棚で眠らせていた。秋が深まるのを、私はじっと待っていたのだ。 一言で言うとやってくれたな感に浸れます。深い憂いも、底のない哀しみも、蝋燭の火程度の温かみによって救われる。そんな事を真剣に…  全文読む 評価する

友情 友情
オレンジマリー/友情…?
 武者小路実篤の代表作。この、なんとも厳つい名前が気になって本書を手に取ってみた。 読み始めてまず気になったのは「〜せずにはいられない」などの二重否定表現。それが頻繁に出てくるので、強調、強調、強調という感じがしてなんだか強調が当たり前になって変な印象を受けた。 主人公は杉子に恋をして、その恋が要となって物語は動く。 この本に登場する人物は皆そうなのだが、かなり自分中心に語っている。唯我独尊というか…。個人的には好かない性質ですね。 それぞれが想う相手を崇敬し、言い過ぎだって程褒めちぎる。そして相手の言動を自分にとって都合の良い解釈をしている。恋愛って人をこんなにも幸福な気分にさせるのか、と感…  全文読む 評価する

雪の降る音 雪の降る音
オレンジマリー/年末年始を思い出す。
 タイトルから、季節は冬で物語が流れるのかと思っていたら、始まりはバリバリの夏。少し戸惑いはしたが、まあいいやと思ってページをめくった。 勝利の父親の話、私はなんとなくそうなればいいなと思っていたので結構嬉しかった。それが勝利の顔見知りだということにはさすがに驚きを隠せなかったが…。 相変わらずの勝利とかれん。彼らの進展はいつなんだろうと温かく見守らせてもらっている。のほほんと穏やかに、寛大に、ゆっくりとしたペースで絆というものを培って欲しい。学際や勝利のライバルのハプニング、勝利の大学の仲間の話、話題豊富で時間を忘れられる。一冊読み終えると「あれ、もうこんな時間?」とびっくりすることもしばし…  全文読む 評価する

九月の四分の一 九月の四分の一
オレンジマリー/それぞれの場所で、瞬く想い。
 大崎氏の初めての短編集。書店に立ち寄った時に表紙を見て惹かれた。なんだか最近、風景写真が表紙に使われていたりすると立ち止まって手に取っている。知らない土地なのに、視線が固定される。癒しを求めているのだろうか…。タイトルがタイトルだし本当は九月の初旬に読みたかったのに、こんな時期になり、とても悔しいです。四つの恋愛、それぞれが沁みます。本書は私に絶大な感動を与えてくれた。一話ごとに舞台も変わるので意識を切り替えやすいのも利点だ。 将来何をしたいのか、十年後の自分は何をしているのか、果たしてちゃんと働いてご飯を食べて普通に生活しているのだろうか…。そんな不安が螺旋状に舞い、途方に暮れる時期。十代…  全文読む 評価する

ココナッツ ココナッツ
オレンジマリー/可愛い探偵。
 「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=00017757&volno=0000" target="_blank">チェリーブラッサム」の続編。ヒョウスケお便利商会の大仕事を文緒さんならではの文章で描いている。元々“便利屋”という職種があるとは知っていたけれど、私にとってのそれは“質屋”くらい未知な職種だった。周辺に便利屋も質屋も営んでいる人がいないからだろうか。便利屋、質屋、探偵事務所、ほとんどテレビでしか見た事がないし、現実味が薄い。 実乃たちの街は有名シンガー黒木洋介の出身地。それが本書のポイントとなる。黒木洋介が地元でライ…  全文読む 評価する

未来のうてな 未来のうてな
オレンジマリー/「うてな」とは?
 恥ずかしい話だが、本書第一巻で私はポロポロ止めど無く涙を零した。あの、健の母の生命の灯火が今にもふっと消え入りそうなシーン、たまらない。感受性の強い高校生の頃読み始めたが、接したことのないタイプのマンガだっただけに、夢中になった。 健の持つ宿命「放浪」、そのせいでいろんな事が身に降りかかる。本人が望んでいなくても。苺ちゃんとの恋仲はどうなるんだろうとハラハラしたが、物語の終盤では立場は入れ替わる。絶えず変化があり、退屈しないマンガでした。 うてな、それに登ることができたなら過去と未来が見渡せる。過去を見ると無数の道をぎゅっと一本に紡ぎ上げる自分が見え、未来を見ると無数の道が開けているという。…  全文読む 評価する

ウルフ物語(マーガレットコミックス) ウルフ物語(マーガレットコミックス)
オレンジマリー/容姿端麗、スタイル抜群、けれど非常識!
 未だかつてこれほど笑えたマンガとはお目に掛かったことはない。 容姿に似合わず自分勝手で非常識極まりない女の子。そしてとっても意外な秘密を持ち、読者の笑いをひたすら引き出す。人間が理性を取っ払って行動したって鞠生にはかなわないと思われる。とにかく笑いが欲しいという人に、本書を強くオススメしたい。本書の面白さは実際読んでみなくちゃ理解できないと思います。だから内容に触れるのは避けたいと思います。 容姿端麗、ファッションセンスは良いと思うが奇抜な時もあり、スタイルはスーパーモデル並み、けれど非常識な佐伯鞠生に感服です。 ちなみに今まで本書を友人・家族に紹介して、笑わなかった人はいません。作者の岩田…  全文読む 評価する

伊豆の踊子 伊豆の踊子
オレンジマリー/癖があるけれど、悪くない。
 端的に感想を述べると、難しい。誰が話しているのかが不明確な所もあり(私の知識が浅いからかもしれないが)何度も同じ個所を読んだりした。川端康成は初めてだけど、芸者の描写がすごく繊細で素晴らしい。芸者の口紅の滲み、とかふとした仕種の説明。うまく言えないが、現在大活躍している作家の本では味わえない面白みが在る。 本書は「伊豆の踊子」「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」から成っている。 三島由紀夫の後書きに記されているように、静的、かつ動的なデッサンによって的確に組み立てられた処女の内面は、一切読者の想像に委ねられている。川端康成が、読者に与えるのはあくまで輪郭だけだ。あとは読者それぞれが彩色してゆく。 本…  全文読む 評価する

きみの知らないところで世界は動く きみの知らないところで世界は動く
オレンジマリー/茜色の空。
 私はただ一冊読んで、それだけでその著者と自分の相性を計らない。やはり先入観は植え付けられるけれども、それを受け入れた状態で他の著書に目を向ける。だって、自分が好きな作家の本だって、好きな作品と好きにはなれない作品とに分類されるから。 片山さんの本は「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=02010772&volno=0000" target="_blank">世界の中心で愛をさけぶ」が初めてでしたが、私にとってはさほど感情が揺れない作品でした。とにかく売れている、という意識も感情の揺れの妨げになったのかもしれない。 それなら新作…  全文読む 評価する

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