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31 - 60 / 142 件
A型自分の説明書 A型自分の説明書
オレンジマリー/A型ですけど、何か?
 また可笑しな本が登場したなぁと本書を手にとってみた。血液型で人の性質の判断なんてバカバカしいと思う人も多々いると思う。けれどいくつもの研究結果として、顕著に各血液型の傾向が分かれるという。私は自分なりの統計学で、やはりその違いを見てきたように思う。では、自分は一体どういった傾向なのだろうか?それを知るには興味深い一冊である。 よく言われる事。「生真面目だね」「頭固いね」「肩の力を抜け」その頻繁に出てくるヒトからの言葉もまた、本書には登場してきたので驚いた。自分の傾向が、たった一文で一つ一つ面白おかしく描写されると笑いが漏れるというものである。だから、電車の中で読む事はお勧めしない。また、表現…  全文読む 評価する

独白するユニバーサル横メルカトル 独白するユニバーサル横メルカトル
オレンジマリー/残虐というだけにとどまらない、狂気に優しいストーリー。
仰天、の一言に尽きる一冊。そもそも、本書を手に取ったきっかけが恩師の『仰天の一冊です』というメールだった。なんて事を思いつく作家なんだろう…と半ば放心した程だ。表現がグロテスクだし、けれども狂気の沙汰という一言で片付けられる代物でもない。生々しい表現に眉間に皺を寄せたりもしつつ、けれどもページをめくる指は止まらなかった。なんと言ったら良いのだろうか…狂気に優しいと言った方が的確のように、私には思える。特に『オペラントの肖像』は大好きな絵画に大きく関わっているストーリーで、一番印象的だった。目頭が熱くなったりもした。設定は、未来だろうか…?FBIとかCIAを思わせる組織が古き美術を愛する物を陰で…  全文読む 評価する

正義のミカタ 正義のミカタ
オレンジマリー/それぞれの正義。
400ページ以上もある本書を、半日で読破してしまった事には自分でも驚いた。夢中になって、地下鉄での移動中も重たい本書を持ち運んで読み耽った。本多氏の、期待の一冊である。ただのいじめられっ子ではなく、相当ないじめられっ子を要に展開されていくストーリーである。おぞましいいじめっ子だった畠田が、輝かしく楽しいはずのキャンパスに居た時の主人公の衝撃、手に汗を握ったくらいだ。不意に助け舟があり、主人公の生活は瞬く間に変わっていった…。等身大の大学生活が描かれ、有り得そうな事件に有り得そうな設定。一物語としてではなく、もっと近いところから読める。弱いと決めてかかっていたのは主人公本人だけで、実はいじめ抜か…  全文読む 評価する

光ってみえるもの、あれは 光ってみえるもの、あれは
オレンジマリー/奇想天外な展開が癖になる一冊。
  予想さえできない展開が、癖になる一冊である。主人公、翠は変わった母子家庭で育った高校生。翠は至って普通の少年だが、彼を取り巻く環境や友人たちや大人たちが、異質な世界をもたらす。自分の高校時代と照らし合わせて、忘れかけていた記憶が沸々とよみがえる思いで本書を読み進めた。 高校時代。自分を確立させるために手探りしていたり、大人という響きが妙に気になったりする時代だと思う。そういう時期に一緒に居る大人たちは、影響力が凄まじいものである。父親であるけれど、戸籍上は関係の無い大鳥の何気ない翠の家庭への出入りであったり、母親である愛子との微妙な関係であったり。何事にもさして動じないような祖母…  全文読む 評価する

女性の品格 女性の品格
オレンジマリー/当たり前のようだけど、実践が難しい事柄。
本書に書かれている事柄は、全て当たり前のように思う事だ。時間を守ったり、小さな約束でも守ったり、何かのお礼に高価過ぎないものを贈ったり…。けれども、実際にそういう事柄をきちんと実践している人というのは少ないものだ。連絡する、と言って連絡しなかったり、今度食事にでも…と言い合っていたのにそのままだったり。けれども、そういう些細な事柄でも覚えている人は、覚えているしそれを実行に移すかどうかというのはその人の品格に関わってくる、というのも頷ける。何かをしてもらった場合、きちんとメモを取った方が良い、と本書に書かれていた。それも肯定できると思う。何かをしてもらった場合、記憶を頼りにしていると意外に忘れ…  全文読む 評価する

風に舞いあがるビニールシート 風に舞いあがるビニールシート
オレンジマリー/揺るぎ無い信念。
森絵都の直木賞受賞作だということで、以前から読みたいと思っていた。長編かと思っていたけど、6つから成る短編集である。 最初の『器を探して』は、たった一つの器を求めて出張する弥生を要に語られているが、彼女が属するケーキ屋のオーナー、ヒロミのこだわりといったら凄まじいものである。そのヒロミは、芸能人のようなイメージが湧いてくる人物で、弥生はマネージャー的立場のようでもある。弥生は出張中に結婚という安泰と、仕事との間で葛藤を味わうがそれでも信念を貫こうとする。自分が力を添え、ラ・リュミエールの名を広めようという強い信念である。ヒロミの嫌がらせに耐えつつ、日々雑事をこなしていく弥生だ。いいように使われ…  全文読む 評価する

流しのしたの骨 流しのしたの骨
オレンジマリー/風変わりな家庭の日常。
江国香織の本を手に取ったのは、いつぶりだろうか。まだ十代の頃に恩師に借りた数々の書籍の中に、江国香織の本が混ざっていたのは覚えている。大人で、ちょっと切ない空気を纏っているストーリーが印象的な作家だ。当時の私はまだ子供で、どうにも解せない何かがあったように思うけれど、年月を経て経験も積み、今読んだら昔理解できなかったことも理解できるかもしれない、と単純な動機で読み始めた。  語り手は、三女のこと子である。 家族のメンバーはそれぞれ個性ある性質で、特に他の家庭に傾注したことがない私にとっては、ちょっと不可解でもあった。日本の家庭、というよりは海外の家庭、という範疇に属する方が自然な気もした。 決…  全文読む 評価する

日暮らし 日暮らし
オレンジマリー/その日暮らし。
 前々から、宮部みゆきの時代小説には定評があるのを知っていた。そして本書が手元にふとしたきっかけでやってきて、いよいよ味わう事ができると心が弾んだ。 まずは、時代背景であったり、その時代に沿った言葉遣いが際立った。江戸、今は東京と呼ばれていて、賑わっている場所で起きた、色々な事件。個人的には前半よりも後半の方が感情が盛り上がったり落ち込んだりと忙しかったように思う。とりわけ印象が残った事件は、大商家の主人の愛人の身に起こった事件だ。彼女が住まっていた屋敷に棲む、子盗り鬼。そこに住み込みで女中をしていたお六にまつわる物語。登場してゆく人々や起こる事柄が、根をたどっていくと繋がっていたりして、まる…  全文読む 評価する

対岸の彼女 対岸の彼女
オレンジマリー/セピア色だけど鮮明な記憶。
 角田光代が直木賞を受賞したのはいつの事だっただろうか。 私は読書生活の上でこだわっている事が一つある。直木賞受賞作を読破していくということだ。あれほど有名で、大きな賞を受賞するのだ、そこには読者の心を突くような、動かすようなことがあるはずである。なんて勝手に思っているのだ。 兄がまだ、ニューヨークに居た頃に一緒に見た「情熱大陸」という番組で、角田光代が取材を受けていたのを見てから、本書を手にした。彼女のポリシーに感心したからだ。もうあの番組を見たのはだいぶ前の事なので内容はうろ覚えだが、格好良いという印象を持ったことを覚えている。そんな彼女が紡ぎ上げた作品だ。とても楽しみに読み始めた。 主な…  全文読む 評価する

世界の果ての庭 世界の果ての庭
オレンジマリー/理解し難い一冊。だけど…
 本書についての私の最初の感想が、ちょっと不安でもあったので他の書評を拝読させていただいた。やはり、皆、私と同様に「なんだ、これは?」という感想を抱いている。そして、それが本書の狙いなのではないかと思う。完結する物語はいくらでも存在するが、こうして未完のように完結し、完結しているようで、新たな謎を投げかけている本はあまり見ないように思う。正直、こういう本を手にしたのは、初めてのことなので多少困惑した。 まず、本書はいくつかのストーリーが同時に進行し、展開される。個人的に気になっていたのは、脱走兵の話だ。結果的には脱走しなかった戦友たちが帰国出来、脱走に成功した兵士は帰国出来なかった。では、彼は…  全文読む 評価する

幸福純度100%の自分を生きる本 幸福純度100%の自分を生きる本
オレンジマリー/目には見えないスピリチュアルの世界。
 この頃、スピリチュアルな事柄に関心を示す人が増えてきている。そのため、一昔前までは「胡散臭い」だとか「目に見えないものを信じるわけにはいかない」だとか非難されるような事柄でも、ドキュメンタリー番組などでひっきりなしに堂々と、とりあげられている。そういう時代の訪れではないだろうか、と思っている。前世であったり、目に見えない偉大な「何か」の存在であったり、決定的な輪郭を持たないことでも現代の人々は注目し、理解しようとする傾向にあるのではないだろうか。 本書に書かれている内容と似たような内容の書物を、頻繁に目にする。江原さんを筆頭に、こうしてそういう「目に見えない、形のないもの」を懸命に表現し、訴…  全文読む 評価する

さゆり さゆり
オレンジマリー/祇園で花咲いた、青い瞳を持つ芸妓の半生。
 最も重要な点だと思ったのは、京の言葉遣いに風情がある。これはやはり、京に実際足を運んだことのある、その風景だったり言葉に縁のある、日本人にしか本当の意味での良さには気付けないのではないだろうか。 本書は主人公が語り手として、その半生を語っている形になっているが、その言葉遣いだったり今はもう廃れし古き良き日本語が溢れている。元はと言えば、これらは英文で描かれていて、これは日本語訳されたものなのだが、そこもまた驚くべき点だと言えるのではと、私は思う。翻訳者の力量に、敬服だ。 上編は、正直言って展開が遅く、多少気持ちばかりが馳せる思いをしたのだが、下編の展開には目を瞠るものがる。なんせ、主人公さゆ…  全文読む 評価する

永遠の出口 永遠の出口
オレンジマリー/自分が歩んできた遠い日々の道。
 何よりもまず、読み始めてからまもなく、書かれていることに対して身に覚えがあることに驚く。かつて、私も主人公と同じことを思っていた、考えていた、行動した…。今となっては色褪せてしまった幼少時代が、再びスポットを浴びて鮮やかに思い出される。そうだった、そうだったと読んでいる最中に、何度も頷けた。 そして、森絵都の表現力の深さ、巧みさに圧倒される。先をにおわす事を言っていても、先が読めないのだ。小学生の頃、卒業と言われてもピンとこなかったし、泣いてた人も少なかった。きっと、卒業という意味がどこか曖昧で、消化しきれていなかったのだろうと思う。この先当時のクラスメイトたちと会える機会がないかもしれない…  全文読む 評価する

最後の息子 最後の息子
オレンジマリー/新しい世界との出逢い。
 最初に、登場人物の呼び名がニックネームであることに私にとって新鮮味があった。特に閻魔ちゃんについては、私はてっきり「女性」だと思っていたんだけど…実は。 吉田修一は、芥川賞受賞者だっていう知識しかなかった。高校時代の世界史教師の趣味が読書で、誰かオススメの作家はいますか、という私の問いに対しての答えが、吉田修一だった。 本書は、その先生が交換留学する生徒たちの付き添いでアメリカを訪れ、ついでに行うことになったNY市内見学で、NY在住の私を訪ねてくださった時に手土産として頂いた。 読み始めてまもなく、今までに感じた事のない雰囲気を本書から感じ取り、多少戸惑った場面もあったが徐々に慣れた。初盤で…  全文読む 評価する

真夜中の五分前 真夜中の五分前
オレンジマリー/一卵性双生児。
 唐突ですが、あなたは人生で、本当に見分けがつかないくらい似ている双子に出逢ったことはありますか? 私は中学生の時に、同じクラスにそっくりな双子のかたわれがいました。一月もすれば、性格が違ったり、外見上の微妙な違いに気づいて見分けがつくようになるものだと当時は思っていた。 だがしかし、本書を読み始めてまもなく、私は本当に見分けがつかない双子と知り合った。それこそ頭を抱えてしまうくらいにそっくりで、何がどう違うのか、全く分からない。体格はおろか、顔つき、慎重、声、そしてファッションに至るまで似ている。趣味、賢さ、ほとんどを共有しているように映る。 本多孝好特有の、透明で不思議極まりない空気が完全…  全文読む 評価する

ファースト・プライオリティー ファースト・プライオリティー
オレンジマリー/あなたのファースト・プライオリティは何ですか?
 読みたい、読みたいと本書が刊行されて以来思い続け、なんとなくこんな時期にまで延期になってしまっていた。大好きな山本文緒、ということで、楽しめる確信があった。また小気味いい文体で、さっくりとした印象の本なのだろう、と思っていた。そして、やっぱり予想通り、とても軽快な、それでいて時折重みがのしかかり、最後はスパッと終わっている短編が連なった一冊だった。 本書に登場する主要な女性はみんな、31歳である。 31歳、ファースト・プライオリティは一体何なんだろう? 結婚、仕事、恋愛、家庭、夢…挙げてみたら限がない。十人十色で、人それぞれ一番大切な、優先したいものがあるのだ。 山本文緒の文章で驚かされるの…  全文読む 評価する

あなたが私を好きだった頃 あなたが私を好きだった頃
オレンジマリー/古びたフィルムを観ているよう。
 私はあまり、エッセイに手を伸ばさない。しかし、先日書店へ行った時にふと、本書が目に留まり、そして少し眺めた後、レジにそれを持って行っていた。帯に書かれている「日本にもこんな感性を持っている人がいたんだ! と感動した」というセンテンスがとても気になったのだ。大きな「国」で囲った範疇だ。ページを開くのが楽しみだった。 人は誰だって、人生の中で後悔を幾度と無く経験している。あの頃に戻れたら、とかあの時ああしていれば、とか何かに躓く度に、途方に暮れた時に思ってしまう。 本書は、著者自らの経験を通して書き下ろしたエッセイである。 とある恋人たちの、出会いと道のりと、そして別れ。出逢った時には希望を抱き…  全文読む 評価する

パリのトイレでシルブプレ〜〜! パリのトイレでシルブプレ〜〜!
オレンジマリー/誰にでもある、海外での恥話。
 いや〜感服だ!ここまで話題に豊富でおかしなことをする人っていないんじゃないかと思ってしまった(笑)笑いが出る出る…地下鉄内でこぼれそうになる笑い、顔だけは我慢できずににんまり、と私自身がおかしな人状態でした。 中でも強烈な印象を受けたパリの有料トイレ内のエピソード。恥をここまで笑いにすりかえられたら上等。当時は真面目に行動していることでも、先で思い返すと滑稽に思えることなどたくさんある。私は外国人の友達に、オシタシって何?と聞かれて、英語でほうれん草はSpinach(スピナッチ)。それを茹でてだし醤油で和えるんだよ、と頭では教えていたつもりだったのに友人の顔は見る見る曇り、ついには眉間に皺が…  全文読む 評価する

催眠 催眠
オレンジマリー/催眠?
 催眠、と聞いて、何を連想するだろうか? ちゃんとした専門知識を持ち合わせていない人がほとんどの世の中では、本書に登場する数々のキャラクターと同じ意見を持つのではないだろうか。催眠術にかけられる、意のままに操られるから怖い、などなど。そしてもちろん、私もそう想像する無数の人の中の一人であった。 嵯峨がカウンセラーとして、とある占い師に目をつけて、多重人格の疑いを持つ。私は以前、多重人格者の話をテレビで観た覚えがあった。だから嵯峨が言っていたことにはすんなりと賛同できたのだ。そしてそう疑いを持った理由も、きちんとした根拠が語られている。 朝比奈や倉石、実相寺の視点でも物事を見て語っているので、偏…  全文読む 評価する

「和」の食 「和」の食
オレンジマリー/日本酒は好きですか?
 日本人に生まれたからには、日本酒を「美味しい!」と嗜みたい。だけど私はお酒が弱く、ビールはグラス1杯で顔が赤くなってしまう。その後気にせず飲み続けると頭痛はするし、気分も悪くなるから、ワインやビールよりもよっぽど強い日本酒なんて、飲めないな…と半分諦めていた。それに、辛いアルコールは苦手なので、尚更無理かなと思っていた。そう、日本酒といえば、強くて辛い、と先入観を持っていたのです。 ところがニューヨークに住み始めてから兄に、日本酒を勧められて「水みたいだから、本当に。飲んでみなよ」という言葉を半信半疑に思い、一口にぐいっとショットを呷った。喉ごしが良く、するすると通る感じがして、辛くもなくて…  全文読む 評価する

落花流水 落花流水
オレンジマリー/一人の女性の風変わりな生涯。
 まず、このタイトルである。「落花流水」。一見漢詩のようなこのタイトル、文字を見るとその情景が浮かんでとてもきれいなイメージがあるし、発音すればすっきりしている。なぜだかは分からないが、なんなく惹かれるものがある。 幼馴染みとの婚約なんて、きっと多くの人が幼少時代にしたことがあるのではないだろうか。 手毬のように、幼少時代から外国人と交流があるというのは、保守的な日本ではそうそうないことだろう。両親が国際的だったり、片親が外国人であるケースを除いて、の話しだけども。 海外のライフスタイルというのは、確かに興味深いものだ。日本人は味噌汁をご飯と一緒に飲むけれども、外国ではスープを前菜として楽しむ…  全文読む 評価する

天使なんかじゃない 天使なんかじゃない
オレンジマリー/女の子なら憧れる理想像。
 ニューヨークに留学してから、幾度となくこの「天ない」が恋しくなった。このマンガを愛読していたのは小学生の頃だったが、今読み返しても最高にぐっとくる、自分の中で一生ものと呼べる傑作。少女マンガの巨匠、矢沢あいが描いた学園物語り。そして昔も今も変わらず心に残っているまみりんの一言が「私は冴島翠みたいになりたい」である。そう、幼かった私も、翠のような女の子になりたかった。そして、翠に憧れた女の子は、決して少なくなかったのではないだろうか。 高校時代に覚えのある、幼くがむしゃらな恋、卒業してから数年経つ今でも鮮明に残っている友情、クラブ活動や学園祭。どれもが掛け替えのない想い出となって、卒業アルバム…  全文読む 評価する

OUT OUT
オレンジマリー/見えない殺意。
 カバーを見た時、思わず大英博物館に保管されているミイラを思い出した。足を折り曲げ、身を縮めるように永遠の眠りについている本物の人間。ページを開く前から「死」というものを想像していた。 弁当工場の夜勤に勤める主婦たちが要となって物語は展開されている。給料と不釣り合いなほどのきつい労働、主婦たちは金銭的に余裕が無く厳しい現実を受け入れ、しかし耐えても耐えても未来に光は見えずに「こんな生活から早く抜け出したい」と願う。しかし単調な生活の流れが、ある日突然、殺人という形でひっくり返されてしまう。 リアリティに富み、人間として持っていて当たり前だろう欲と不満を巧妙に取り組み、主婦それぞれの視点から一つ…  全文読む 評価する

アフターダーク アフターダーク
オレンジマリー/静の中の動、動の中の静。
 待ちに待った村上春樹の新作。当初、私の本書に対するイメージは『ノルウェイの森』に似たものだった。しかし雰囲気は村上春樹がかもし出すものに違いないが、全体的な流れ、展開は大きく違っている。 ある姉妹に起こる、一夜の出来事の話だ。一章ごとに姉と妹の話が展開されていくが、とても読み易くて良かった。姉は深い眠りの海に浮かび、妹は夜の街の脈に揉まれて行く。 登場人物一人一人がどこかしら、誰かしら繋がっていて、絡まった糸を解していくように読み進めていけた。妹は淡々としているが、徐々に波に飲まれていくし姉は微かな異変に遭う。妹の話はなんだか都会の真夜中、人の知らぬところで起こり得るものだ。ひどく現実味があ…  全文読む 評価する

つい他人に試したくなるもっと読めそうで読めない漢字 つい他人に試したくなるもっと読めそうで読めない漢字
オレンジマリー/漢字に自信がある人、集合!
 日本を離れてから、日本語を書く機会が激減して、恋しくなってこの本を手にしてみた。しかもタイトルが「読めそうで読めない漢字」だ。 国語の成績が一番良かった学生時代の漢字への好奇心が沸沸と復活して、これは2冊目だが1冊目をトライしてみようと思った。しかも、結構読めるだろうと自負を持って…。 ところがだ。開いてみると早速窮地に追い込まれた。1冊目の常識編なんかは結構読めたのだが、学識編はお手上げだった。「これが読める日本人自体、若い世代で見つけるの難しいのでは?」というものが勢ぞろいである。一口に『古寺』と言っても実は何通りも言い方はある。もっと風情があり、もっと情緒的な表現法が日本語には多く、だ…  全文読む 評価する

姑獲鳥の夏 姑獲鳥の夏
オレンジマリー/モノクロの世界より。
 本書を兄に手渡された瞬間、微かな疲弊が過ったし、微かな落胆があった。本書の厚さに対してである。飽きっぽい性格のため、分厚い本というのはなんとなく避けて生きてきた。これまで読んで心から長かった、と思うのは谷崎潤一郎の「細雪」である。数冊に分かれていればまだ救いようがあったのに…などと思いながら沈んだままの気持ちで読み始めた。 第一印象は、純文学的な文章だなと思っていた。古き時代に使われていた言葉・漢字が登場した。また教養深い作者なのだろう、本当に多くの歴史的書物の名前が目についたし、常人では絶対に届かないような観念が知的に響いてくる。 なんだ、そうなのか、それもそうだと納得しっぱなしであった。…  全文読む 評価する

ベストフレンド ベストカップル ベストフレンド ベストカップル
オレンジマリー/全世界の男女がこれを読んだらきっと。
 些細な誤解が元で言い争いになったり、自分が伝えたい思いがなぜか歪曲して伝わってしまったり、思いがけない亀裂が入ったり、そんな経験は誰だってするものである。 そんな男女間の擦れ違いを見事文章にし、解説してくれている。そして問題を挙げてはその解決策を授けてくれる。本書は「ベストパートナーになるために」の2作目だが、少し難易度も上がり、解釈するのが難しくなっている。 異性の心理なんて到底分からないだろう。 例えば女性が男性に「ああするべきだよ」と指示するのは別に相手が不完全で、今のあなたでは全然駄目だと言いたいからではない。ただ単に、その方が良いんじゃないかと思っているだけだし、相手にあれこれ聞く…  全文読む 評価する

ベスト・パートナーになるために ベスト・パートナーになるために
オレンジマリー/痛いところを突く本。
 え!? まず最初に発した言葉である。本書を読み始めて間もなく、私は驚愕した。眼で追っていく全ての事に、身に覚えがあったからだ。それはもう、痛いほどに。 学校で友達が本書について話していた。その奇跡のような本は事実を述べていて、またこれまで理解しようにも不可能であった異性の心理が理解できるというのである。私は彼らの話を半信半疑で聞いたがやがて、驚きを隠せなくなっていった。記憶をたどればたどるほど、深く納得でき、そしてその当時見えなかった裏を見る事ができた。我慢できなくなり、その日のうちに私は本書を購入した。急速に、仲間の間で本書は流行していったのだ。 女性のみなさん、身に覚えがないだろうか。恋…  全文読む 評価する

恋愛中毒 恋愛中毒
オレンジマリー/Areyouloveholic?AmIloveholic?
 初めに登場した男性が要となって物語が進行していくのかと思っていた。しかしいつしか彼の上司の愛人と思しき女性が語り手として物語が展開している。 執拗な彼女に悩まされる男性。彼女の行為はストーカーと呼べるものだろう。しかし誰もが密かに抱いている感情をそのまま表現すれば、もしかしたら必然的にそうなってしまうのではないか。本当の意味で恋に落ちたら、相手の都合を冷静に考えられるだろうか? 相手のことをきちんと考慮し、尊重することはできるだろうか? この物語は誰にでも起こりうる物語だと思う。それが彼女の立場であれ、彼の立場であろうとも。 一度我を失ってしまえば、冷静に物事を見つめることは困難になるだろう…  全文読む 評価する

夢にも思わない 夢にも思わない
オレンジマリー/些細なことから展開される真実。
 探偵ごっこ。小中学生のころ、私は探偵ごっこや秘密基地を作って遊んでいた。妙に頭の回転が良い子もいたし、精神年齢が高い子もいた。それを思い起こさせる作品だった。 中学生の視点から、一つの事件を描いている。さすが宮部みゆきと言ったところだろうか、描写が細かく想像し易かった。何人か重要な人物が出てくるが、みんなそれぞれが生き生きとしていて誰も翳っていないのが評価すべき点だろう。個性もあるし、スピード感もある。子供の視点から描いているということで、深刻な事件なのにシビアになり過ぎず読み易かった。 島崎のような男の子って、結構いるものだ。妙に頭の回転が良く、たとえ嘘をついたってそれを見透かしてしまうよ…  全文読む 評価する

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