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商品説明
1920年代から1960年代初頭までの物理学史、化学史、人類学史、薬理学史、そして、より哲学に近い一種の生命論を配置する。相対的に重要性の高い科学の諸領域をカバーした論考。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
〈科学思想史〉の来歴と肖像 | 金森修 著 | 1−103 |
---|---|---|
原子核・素粒子物理学と競争的科学観の帰趨 | 岡本拓司 著 | 105−183 |
眞島利行と日本の有機化学研究伝統の形成 | 梶雅範 著 | 185−241 |
著者紹介
金森 修
- 略歴
- 〈金森修〉1954年札幌生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。同大学大学院教育学研究科教授。著書に「サイエンス・ウォーズ」「科学的思考の考古学」「遺伝子改造」など。
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紙の本
じつに読みごたえのある本である
2012/04/15 12:31
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
じつに読みごたえのある本である。全体の4分の1の文量をしめる序章だけでもすごい。科学思想史とは何か、科学史とは何がどう違うのか、から始まり、日本の科学思想史の研究や、論文、刊行本について、解説している。読むべきだと思う本が増え過ぎて困った。あとがきで「読書案内だ」とも云っているが、そのような機能もおおいにある。
個別の論考として、次の4編が掲載されている。
第一章原子核・素粒子物理学と競争的科学観の帰趨
第二章眞島利行と日本の有機化学研究伝統の形成
第三章日本人起原論と皇国史観—科学と神話のあいだに—
第四章日本漢方医学における自画像の形成と展開—「昭和」漢方と科学の関係—
第五章生物学と歴史哲学—生物学と歴史哲学—
どれも相当に読みごたえがある。
第一章では、日本の物理学者の第一世代である長岡半太郎と第三世代の湯川秀樹や朝永振一郎との、欧米の学会や研究者たちへの競争意識や考え方の対比が興味深い。
第二章では、眞島利行とその弟子の野副鐵男の、研究手法は欧米の最新の実験解析手法を取り入れるが、研究対象は日本にありふれた産業用材料を用いて、欧米の研究者がやらないことをやるという考えややり方がが、その後の日本の有機化学研究の独創性の基礎になった点に納得した。
第三章では、科学研究も政治と無関係には存在できないことに、反発や残念な想いや、やむをえないやあたりまえだ、というように複雑な思いを感じた。科学も一つの文化であり、一つの思想だということである。
第四章では、日本、中国、韓国の間では、同じ漢方医学でもいろいろな差異があることがわかった。現在多くの大学や病院で漢方医学が見直され、研究されて、進歩していることと、昭和初期の漢方医の活動との関連がわかった。
第五章では、生物学が哲学に、哲学者(特に京都学派)にどのような思索のきっかけを与え、どのように影響を与えたのか、あるいは論争を起こし、思索を深めたのか、おおいに関心を引き出された。