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- カテゴリ:小学生 中学生
- 発行年月:2011.4
- 出版社: 東京創元社
- サイズ:20cm/265p
- 利用対象:小学生 中学生
- ISBN:978-4-488-01330-1
紙の本
きみに出会うとき
きょう、ママにハガキがとどいた。三年間応募しつづけて、ついに当選したんだ。うちのママが「ピラミッドクイズ」に出場する。“あなた”の予言のとおりだ。ミランダはママとふたり暮...
きみに出会うとき
紙の本 |
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- 税込価格:12,650円(115pt)
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商品説明
きょう、ママにハガキがとどいた。三年間応募しつづけて、ついに当選したんだ。うちのママが「ピラミッドクイズ」に出場する。“あなた”の予言のとおりだ。ミランダはママとふたり暮らし。ある事件以来、親友だったサルとはろくに口もきいてない。でも、新しい友だちだってできたし、昼休みのバイトだってはじめた。そんなミランダのもとに謎のメッセージがとどきはじめる。まるで未来を知っているかのような“あなた”からの不思議なメモ。“あなた”はだれ?どうしてわたしにこんなメッセージをよこすの?少女の不思議な体験と成長を爽やかに描いた、ニューベリー賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【ニューベリー賞(2010年)】【ボストングローブ・ホーンブック賞フィクション部門(2010年度)】ママとふたり暮らしのミランダのもとに、謎のメッセージがとどきはじめる。まるで未来を知っているかのような“あなた”からの不思議なメモ。少女の不思議な体験と成長を描く、タイムトラベル・ファンタジー。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
レベッカ・ステッド
- 略歴
- 〈レベッカ・ステッド〉1968年生まれ。大学卒業後弁護士に。結婚、出産を経て作家を志す。「きみに出会うとき」でニューベリー賞受賞。
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紙の本
出会うというより、確かなものが届く物語
2011/11/20 08:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少なくとも2回読んでしまう物語です。
最後まで読んで、もう一度、最初から再確認してしまいました。
2回目読むと様々なヒントが細かくちりばめられている、伏線というよりヒントです。
ちょっとした言葉、ちょっとした表情・・・そんなものにヒントがたくさんあるのは、物語だけの
中ではないのだとつくづく思ってしまいます。
形としては1978~1979年のアメリカ、ニューヨークに住む小学6年生の少女、ミランダの
物語・・・児童文学ではあるのですが、もともと児童文学というジャンル、くくりがアバウトですから
侮れないものがたくさんあります。
ミランダは、シングル・マザーの母と2人暮らし。
物語は、同じアパートにいる同じ年で、小さいころから仲良く、双子のようにしてきたサルという
男の子とミランダが絶交するところから始まります。
ミランダの心傷ついた様子とそれを強がって母にも打ち明けないつらさがちらりちらりとわかります。
そこで学校の女の子と仲良くなりますが、たまたまジュリアという女の子と絶交したアンヌマリーと
仲良くなります。
「絶交」と書くのは簡単ですが、これは子どもにとってとてもつらい状況です。
物語はサルの絶交と同時にミランダのお母さんが、憧れのクイズ番組「ピラミッド・クイズ」に出場できる
ところから始まるのです。
しかし、ミランダの元に不思議な手紙が届く。まるでミランダのすべてを知っているかのような
謎めいた手紙。家の鍵がなくなって、家さがしをされたような跡もあり、ミランダはその手紙が
あまりにも具体性に欠けているので、悩んでしまう。手紙には絶対他の人にみせるな、とも。
ミランダは色々なものを抱えています。しかし、表向きはごく普通の小学生の女の子。
内心の揺れる気持を、作者は丁寧に綴っています。
ミランダは母のことをよく観察していて、もし、ここにママがいたら・・・と想像します。
「ママがいたら、プラスチックの皿で頭をひっぱたいていたと思う」「ママだったらこういうのを
「目立ちたがり」と言うだろう」など。
母しかいないけれど、距離を持って母を観察し、友人たちを見極めようとして、かなりミランダの
心は身構えているという様子です。それがなんとも切ない。
正義感が強くて、しっかり者でもちょっと頼りない母親や学校の同級生たちとの葛藤、男の子に
恋心を抱くと同時に嫉妬心も生まれるなんて、鋭いところです。
1970年代末というのがよくわかるのが、ニューヨークの街をはだか男が走り回って小学校では
外で食事をしてはいけません、というところ。昔、日本でも同じころ裸で街を走り回るという
ストリーキングなんて人がいて世間を騒がせていました。
そして、子どもたちが家に遊びに来てすることはとにかくテレビを見るということです。
お母さんが出場することになった、一般視聴者参加型のクイズ番組などもなつかしいですし、
子どもたちはレコードを聞く。純粋な都会っ子です。
さて、ミランダの元に届く手紙。
何故、どうして、誰が?というミステリ要素。母や学校といった繊細な人間関係、子どもだと馬鹿にしてはいけない
観察眼と 傷つきやすい心。
それが見事にからみあって、最後ミランダがすべてを知る、そして、周りの人との 関係を少し、少しですが
変えていく、成長していく、そんな姿が健気で、ガラスのように繊細で なおかつ正直で、時代を描き、
そして謎をからめていく。そんなストーリーテラーとしての手腕が 大変すぐれていて2度読みしてしまう底の深い物語と
なっていました。
原題は'WHEN YOU REACH ME' 出会うというより、届く。
ミランダの周りの人々の気持がすれちがいがちな時、手紙が届く。たどりつくところなど遠い先であっても
ミランダには確かなものが届いたのです。