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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.10
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/331p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-10-590087-8
紙の本
無限 (CREST BOOKS)
ある真夏の一日、アイルランドの片田舎に建つ屋敷。生死の境をさまよう老数学者アダムを、家族たちが取り囲む。若き妻アーシュラ、父と同じ名を持つ息子アダム、傷つきやすく閉じこも...
無限 (CREST BOOKS)
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商品説明
ある真夏の一日、アイルランドの片田舎に建つ屋敷。生死の境をさまよう老数学者アダムを、家族たちが取り囲む。若き妻アーシュラ、父と同じ名を持つ息子アダム、傷つきやすく閉じこもりがちな妹ピートラ、息子アダムの妻で女優のヘレン。そして、それを密かに見守る、いたずら好きの「神」たち。神々は気まぐれに人間に入り込んでは美人を追いかけまわし、時間を止めてしまったりもする。不完全な、限りある命の人間たちを淡々と観察しながら、ときに「神」は、愛することや死ぬことに憧れを抱く—。慈愛と思索とユーモアが響き合う傑作長篇。【「BOOK」データベースの商品解説】
生死の境をさまよう父と、そのまわりに集まった家族。彼らをひそかに見守るのは、気まぐれで野放図な「神」たち…。深遠にして奇想天外、ユーモアが息づく長篇小説。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ジョン・バンヴィル
- 略歴
- 〈ジョン・バンヴィル〉1945年アイルランド生まれ。作家。批評家。「コペルニクス博士」でジェイムズ・テイト・ブラック記念賞、「ケプラーの憂鬱」でガーディアン賞、「海に帰る日」でブッカー賞を受賞。
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紙の本
人が生きるか死ぬか騒いでいるときに、誰も知らない人間が紛れ込んで暮らし始める。いや、なんとも凄い小説です。じっくり読みましょう・・・
2011/12/08 21:57
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
カバーのイラストがいいです。てっきりヨーロッパの大家のスケッチだと思ってしまいました。さほどに味があります。それにしても日本人がここまで西洋の神の姿を洒落た形で描けるとは・・・畏るべし、日本人、でしょうか。ま、Illustration by Hattaro Shinano だけで担当者を日本人だと判断する方が無理、ま外国人か日系二世か、そんなものかもしれませんねえ、日本語で併記しろっていうの、新潮社! Design by Shinchosha Book Design Division !!
カバー折り返しには、The Infinities として
ある真夏の一日、アイルランドの片田舎に建つ屋
敷。生死の境をさまよう老数学者アダムを、家族
たちが取り囲む。若き妻アーシュラ、父と同じ名
を持つ息子アダム、傷つきやすく閉じこもりがち
な妹ピートラ、息子アダムの妻で女優のヘレン。
そして、それを密かに見守る、いたずら好きの
「神」たち。神々は気まぐれに人間に入り込んでは
美人を追いかけまわし、時間を止めてしまったり
もする。不完全な、限りある命の人間たちを淡々
と観察しながら、ときに「神」は、愛することや
死ぬことに憧れを抱く――。慈愛と思索とユーモ
アが響き合う傑作長篇。
と書いてあります。三部構成で、最後に訳者あとがきがつきますが、正直、この作品のどこが傑作なんだろう? って思います。ストーリーを追うつもりでいると、却って混乱するのではないでしょうか。少なくとも、私はわけが分からなくなりました。で、私としては人間のほうを追うことにしました。
まず、アダム・ゴドリーです。脳卒中の発作を起こして以来昏睡状態に陥って、ぴくりと身動きすることさえできず、点滴や排泄用のチューブにつながれて、かつては自分の書斎だった、自宅の最上階の小部屋、スカイルームの暗がりに寝かされて、意識があるのかどうかすら定かではない老人です。
アーシュラは、その寝たきり老人アダムの若い妻で、娘といっていいほど年が離れているそうですが、何歳とは明記されていません。年齢については、この物語に登場する人物の多くが、不詳で、読んでいてイメージが掴みにくい要因の一つです。ちなみにアダム Jr.はなんだかこの母親に気がありそうなんですが、今はやりの義母となんちゃら、というような展開にならないところが、どうももどかしいというか・・・
で、アダムとあっさりかかれるのが、父の死期が近いことを知って駆けつけたのっそりした大男の息子です。アーシュラへの気持ちは分かりますが、なんでこんなに父親を恐れるのか、よくわからないというか、ま、感情が表にでにくい人間です。年齢はよくわかりませんが老いた父親ということから普通なら40代なんでしょう。でも子供がいない、妹が十代、妻が若い女優、となると30代でしょうか、住所不定いじょうに年齢不詳は困る・・・。
そんな男としての魅力皆無のアダムの妻がヘレンです。正直、アダム Jr.にはそぐわない奥さんで、その理由の一つが女優であること。当然、美人なので、寝たきり老人になぜか変な行動を取らせてしまったりします。若い義母アーシュラとあまりうまくいっていないのは、夫の母に対する屈折した想いを感じてというより、年齢が近く、若く見える美貌の同性への反発があるからではないでしょうか。
ビートラは、年齢がはっきりしている唯一の登場人物? です。老アダムの19歳になる娘で、リストカット常習者です。作中人物のなかでも、特に行動がつかみにくく、心の動きも兄同様つかみにくい。遺伝でしょうか。無論、つかみにくいと言っても彼女の視点で描かれる場面も、他の登場人物同様にあるのですが、それでもよくわからないのです。それがこの小説の特徴といえそうです。
そんなビートラですが、彼女にも兄同様、ちゃんとしたボーイフレンドがいます。それがロディです。ただし、彼のお目当てはビートラではなくて、彼女の高名な父親に近づくことです。それだけを目的にビートラのボーイフレンドになっている男ですが、小説の後半で思いもかけない行動に出ます。同様に後半、思わぬ存在感を示すのがアイヴィ・ブラウントです。かつての館の持ち主で、今は料理番になっている老女ですが、彼女と老いた独身の牛飼いダフィの活躍ぶりにご期待ください。
わけがわからない人間が多数出ててくる話ですが、ベニー・グレースもその一人、というかビートラに匹敵する存在です。アダムの往年の同僚を自称する、正体不明な怪しげな親爺で、アダム一家はだれも彼のことを知りません。ところが、そんな男は屋敷に堂々と入ってきて、そのまま居座わってしまいます。そういう意味でかなり気持ちの悪い老人です。
さらりとよむと、ちょっと面白い話で終わってしまいます。やはり、再読、再々読をして楽しむ一冊でしょう。時間を十分とって取り掛かってください。
紙の本
神が見つめる、人の生死や思い。
2015/09/11 09:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
万能の神による人間観察…といっても、常に視座が神なわけではなくて、登場人物が視点人物になったりもする。そういう意味ではふわふわとして、統一性のない印象も受ける。それこそが神を表現するひとつのやり方なのだろうか?それにしても、少し読みにくい。でも発想としてはおもしろいと思う。神のいたずら心が人間の意識を遠くに運んで行ったり、気づかれないうちにセックスしたりする。描写は緻密で丁寧。しっかり読むには集中を切らさない必要がある。後半は話がややだれ気味になった感あり。