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商品説明
親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける。『八日目の蝉』から三年。衝撃と感動に震える、角田光代の最高傑作誕生。【「BOOK」データベースの商品解説】
大人たちの“秘密”を知った私たちは、自分という森を彷徨い始める−。親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける長編小説。『毎日新聞』日曜くらぶ連載に加筆・修正を加えて単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
角田 光代
- 略歴
- 〈角田光代〉1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。「空中庭園」で婦人公論文芸賞、「対岸の彼女」で直木賞、「八日目の蟬」で中央公論文芸賞を受賞。
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書店員レビュー
幼い頃の数年間、年に...
ジュンク堂書店三宮店さん
幼い頃の数年間、年に1度のキャンプで出会う6人の少年少女。
ただただ楽しい夢のような数日間に秘められていた現実を、大人になり、それぞれの形で知ることになる。
ばらばらの人生を歩み、偶然なのか必然なのか再び呼び寄せられるように集まった彼らが知る、あの楽園の秘密とは・・・?
親子とは、夫婦とは、家族とは何なのか?
その重たく重大な問いかけの先にあるものは。
世のなかの常識や倫理だけでは量ることの出来ない“しあわせ”のかたちが、ここに、あります。
また、目を逸らしたくなるような葛藤を前にする6人それぞれの、閉じこもることから扉を開ける勇気が存分に詰まっています。
深いやさしさと、凛とした強さを感じる、人生の物語です。
前を向く力をもらいました。
文藝書担当K
幼い頃、夏のキャン...
ジュンク堂書店秋田店さん
幼い頃、夏のキャンプに出会った子供たち。キラキラする夏の日々は
ある日突然終わりを告げます。
やがて大人になり、それぞれに複雑な事情や悩みを抱えながら別々の道を
歩んでいます。
そんなときふと思い出すのがあの夏の楽しかった思い出。
それと同時に思う疑問、あのキャンプはなんだったのか・・・。
その真実に向かい合うとき、それぞれがまた集い始めます。
楽しかった思い出には実は重大な秘密が隠されていた、
その真実に向かい合う登場人物の苦悩が丁寧に描かれていて
読んでいて苦しくなる思いがしました。
立場は違えども誰もが一度は考えるであろう、「自分とは、何か。」
自分はなぜ生まれてきたのか、家族とは、親子とは何か・・・。
重いテーマだけにラストシーンに向かうにつれて、登場人物たちが
悩み苦しみながらもなんとか前に進もうとする姿に
それぞれの形で幸せになってほしい、
そう願ってしまうようなそんな作品でした。(文藝担当)
紙の本
人と人とがつながり、生まれるもの。
2010/09/29 14:56
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年の7月、都の男性最高齢111歳の白骨化遺体が自宅から見つかった事件は、全国に衝撃を与えました。
この事件は行政の問題だけではなく、家族の在り方を考えさせられました。
「一人で暮らしている老人は他人が関与していますから安心ですが、家族と一緒に暮らしている老人は危ないです。家族が社会から隠してしまいますから」とコメンテーターが語っていました。
いま、家族の存在が危ぶまれています。
『ひそやかな花園』は帯に書かれているように「親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける」角田光代さんの渾身の一冊でした。
夏になると弾の別荘に集まってくる6組の家族たち。
子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてきます。それは波留と樹里の会話に象徴されています。
「若草物語。メグは、ジュリーだね。私はジョーかな。ベスはサーちゃんで、エイミーはノンちゃん」
「じゃあローリーはケンちゃんだ」
「じゃあ、雄一郎と弾は?」
それとは対照的に、親たちの秘密めいた会話と謎めいた行動で始まる冒頭は、さすがです。
毎年行っていたキャンプが突然なくなり、誰よりも夏のキャンプを天国のように思っていた紗有美の成長をたどりながら、物語は進んでいきます。
エピローグでおとうさんに宛てた紗有美の手紙を読み、わたしは父が嫌いで親は選べないだなぁ、と思ったころを思い出しました。
そんなわたしも母親になり、わたしの子もまた、そう思ったことがあったのでは、と思います。
角田光代さんは家族でいることの意味を、また家族の根源であるこの世に生まれてきたことの意味をも問いかけています。
その象徴的な箇所は、野谷光太郎と弾がガード下の焼鳥屋で会い、二人の目の前に置かれたうずらの卵の入った大根おろしです。
書評タイトルは帯から引用しました。
角田光代さんの渾身の一冊に出逢えてよかったです。おすすめです。
紙の本
角田光代はどこまで伸びるんだろう、そんな気がしてなりません。ミステリタッチの物語の展開から浮かび上がる過去の微妙な人間関係と、未来に向かう決意、もとから巧い作家でしたが、まだまだ伸びしろがあるというのが立派です。
2011/03/09 20:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここ数年の毎日新聞からでる本、かなりいいのじゃないでしょうか。出版点数では朝日新聞社に及びませんが、クオリティでは凌ぐといっていい。鳴かず飛ばずの読売新聞を加えて、本から新聞社を眺めると、それはそれで面白い。ま、読売は傘下に中央公論新社を持っていて、平野啓一郎『かたちだけの愛』のように面白い夕刊連載作品を中公から出したりしているので、安直に新聞社の出版部だけの動きでは判断できないことは確かではあるんですが・・・
で、平野の『かたちだけの愛』が新聞の連載物だったのに対し、角田のこの作品も毎日新聞に連載されました。ただし、〈毎日〉ではなく〈毎日曜日〉の紙面を飾ったのですが。ついでに書誌的データを書いてしまえば、初出は、毎日新聞「日曜くらぶ」連載 2009年4月5日~2010年4月25日、*単行本化にあたり加筆、修正を行う、だそうです。
いつものようにブックデザインから入りましょう。ブックデザインは、鈴木成一デザイン室、イラストレーションが辻 恵、とあります。好きなカバーデザインです。品、というか格調があって、しかも夢がある。決してクールではなくて、熱い。色は少ないです。白地になんていうか血を薄めたような朱に黒が少し入ったような色の濃度を変化させた、光のまばゆさを感じさせる凄い作品。でも、HPに載っている角田の
*
毎週荒井良二さんの絵を見られるなんて、すばらしく贅沢なことでした。荒井さんの作品が持つまばゆい光に、このつたない小説は幾度も助けられたことと思います。荒井さん、読者のみなさん、一年間花園探索におつきあいくださいまして本当にありがとうございました。
*
という言葉を読むと、荒井良二の絵を見てみたかったと思います。しつこいくらい書きますが、連載されたものを本にするときは値段のことはあっても初出時の挿絵は極力収めるべきだと思います。単行本を買うのは、ある意味、値段をあまり気にしないコアなファンになりつつあります。それなら文化遺産として考えて完本として挿絵入りにする。そして文庫になるときに絵を削る。どっちにせよ、本を高いと思う人は文庫で買うのですからそれでいいのじゃないでしょうか。むしろ、挿絵が付いているなら単行本を買う、という読者だって出てくると思うんです、私・・・
早速内容です。HPの案内の言葉は
*
幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。 しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。 「あの集まりはいったい何だったのか?」 別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。 大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める――。
親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける、角田光代の新たな代表作誕生。
*
です。ミステリ的な要素を持った作品で、時間的な要素が絡んできます。ざっくり、構成と章、その時代を書いておけば、プロローグ、第一章が1985年~1999年、第二章が2008年、第三章が2009年、第四章は記載がありませんが2009年でしょう、そしてエピローグ。2008年と9年に再会と謎解き的なところがあるので、2008年の主な人たちの年齢を書いておけば紗有美28歳、紀子26歳、賢人28歳、樹里30歳、弾30歳、波留26歳、雄一郎27歳となります。
ミステリと言ってもいい作品なので、内容には踏み込まずに、今、名前をあげた人たちについて少し詳しく説明をしておきましょう。
紗有美は、牧原紗有美といいます。母子家庭だったせいか、小さい時からイジメにあい、五歳からキャンプに参加しました。2008年には28歳で、8年前、20歳の時に一人暮らしを始めています。樹里より二つ年下で、本を読めば解りますが、性格的に一番問題があり、家庭がどうのこうのという前に、イジメにあうのが当然とも思える女性です。
紀子は、香田紀子といいます。1985年、三歳のときにキャンプに参加しています。参加した子供たちの中では一番幼かったせいもあるかもしれません、大人になっても、どこか人に頼るというか自分で判断をしないところがあります。ただし、紗有美のように他人を羨み、或いは不必要なまでに卑下し、相手を自分の地平まで引き摺りおろして納得するような厭らしさはありません。
賢人は松澤賢人。紀子がキャンプに参加したとき、幼い彼女の相手をし、1989年、最後になるキャンプの年に、紀子と結婚のまねごとをします。紀子より二歳年上で、1990年、両親が離婚をし、再婚した母と暮しています。鈴木姓になることもできましたが、その後も父の姓を名乗っています。幼い時からませていましたが、自分の行為の意味を理解できないようなところがあり、そういうところが女性にもてる所以かもしれません。
樹里は船渡樹里です。五歳からキャンプに参加して、1986年に8歳とあります。母は涼子といいますが、父は後に家を出てしまいました。キャンプに参加する子供たちに中で一番年上で、紗有美より二歳年上。年齢故か、子供たちの中では最も落ちついていますが、ときに苛立ちを隠せなくなったりします。2005年、27歳の時、岸部敦と結婚しています。
弾は早坂弾、別荘の所有者の息子です。両親の碧・眞美雄は資産家です。祖父はレコード機器を製造する会社経営で、眞美雄が開発した車専用オーディオで父の会社を大きくした成功者で、そのせいか、子供の弾自身も、優等生であることを自分に強いているようなところがあります。1987年の記事に、二年前7歳の時、とあるので何とか年齢の特定ができました。
雄一郎は、苗字がわかりません。14歳の時、母・俊恵が家を出ています。1999年に18歳と記載があり、その前の年に高校中退して一人暮らしを始めています。高校中退も含め、傍からみれば落後者のようですが、本人はそういうことを気にしていず、むしろ、そういうことを気にし、他人を羨んだりする人間とは一線を画す、もしかすると7人の中で最も魅力ある男性かもしれません。
子供時代の印象は最も薄いかもしれないのが波留です。野村波留といい、1982年生まれ。母香苗と暮しています。そして、部外者ながら弾に仕事を依頼されたことで、最後に話に絡んでくるのが作家の野谷光太郎です。結末が衝撃であるかどうかはともかく、それぞれ別の道を歩んでいた子供たちが、大人になって惹かれあって集まってくる、その様子がとても素敵です。とはいえ、結末は決して甘いものではありません。それでも、希望が仄かに見える、それがいい。
角田光代、本当にすごい作家です。
紙の本
表紙絵とタイトルだけを観て手にした私にとって2作目の角田光代
2019/09/04 10:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るい - この投稿者のレビュー一覧を見る
又々、最初は、サスペンス?これからの展開は??
子供時代のサマーキャンプのところは、何が言いたいの?
何を伝えたいの?と意味がわからず、退屈で、この先読むことを放棄しようかと思いました。
そう思っても余程のことがないと放棄したく無い私は、読み進めて、少し面白く感じて、はっきり話の輪郭を掴めた時に、怖くも感じました。
角田光代さんの作品は、2作目だけど、「八日目の蝉」の作者と知り、テレビドラマで観た事を思い出します。
その後、雑誌か何かで、コラム?エッセイを読んだときは、常識的な印象のみで、この作家の作品は読んでいないな!知らないな!と「八日目の蝉」のことも結びつかなかったです。
新聞で、この中の登場人物と同じ出生の方々の悩みを特集した記事を数年前に読みました。
この作品の中で提供した男性は、人助け、ボランティアという言葉を使うけれど、そこから派生する問題、生まれた子供がどう思うか、家族関係はどうなるのか、そこを深く考えなかったのかと思います。
そもそもクリニックの医師!
物事は、多面的に、両面を見なければならない。
そう改めて思います。
また、生まれた以上、自分に責任を持たなければならないということに改めて気付く作品です。