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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.3
- 出版社: 白水社
- サイズ:20cm/772,49p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-560-08038-2
- 国内送料無料
紙の本
井上ひさし全選評
著者 井上 ひさし (著)
1974年〜2009年、各新聞社・出版社・放送局・公共団体・財団・劇団・民間会社等から委嘱された賞や懸賞・公募の審査から、井上ひさしが担当したものを年代順に収録。文学・演...
井上ひさし全選評
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商品説明
1974年〜2009年、各新聞社・出版社・放送局・公共団体・財団・劇団・民間会社等から委嘱された賞や懸賞・公募の審査から、井上ひさしが担当したものを年代順に収録。文学・演劇の新たな成果を全選評が浮き彫りにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
井上 ひさし
- 略歴
- 〈井上ひさし〉1934年山形県生まれ。上智大学外国語学部フランス語科卒業。劇団こまつ座主宰。72年「手鎖心中」で直木賞、「道元の冒険」で岸田戯曲賞・芸術選奨新人賞受賞。
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著者/著名人のレビュー
36年、のべ370強...
ジュンク堂
36年、のべ370強の演劇・文学賞の選考委員を務めて
きた著者の選評は、紙に踊る文字と、舞台で踊る
言葉両方を見つめてきた人ならではの目線があります。
2005年第四十九回岸田國士戯曲賞の選評冒頭、
「舞台の上に、ほかの形式ではとても表現できないような
特別な時空間を創り出すこと。その特別な時空間に
貫禄負けしないような強靭で生き生きとした言葉を紡ぎ
出すこと。・・・(略)」
からはじまる、「評者が頭のどこかに置いている物差し」
についての提示は短い文章であるがゆえ、ぴりりと
引き締まって迫ります。
そんな選評がぎっしりつまった全772ページ+索引。
(webほんのしるべ「今日はこの本」2010年3月2日の本)
書店員レビュー
井上ひさしさんは、確...
丸善天文館店さん
井上ひさしさんは、確かに日本を代表する劇作家、小説家であったけれど、
私にとっては、最も信頼できる書評家のひとりであった。
井上さんの書評を読んで、手にした作品のなんと多いことか。自分が支持
していた作家が直木賞を受賞できなくても、井上さんの選評を読むことで
慰められた。
井上さんは作品を深く読み込み、作者が試みようとしたことや、最も伝え
たい箇所を的確に指摘し、そして褒めた。私たち読者の、貴重な代弁者で
もあったのだ。
私たちは本当に、本当に得難い人を失ってしまったのだと思う。
それでも、私たちはまだ、この広大な活字の世界を旅しなければならない。
この選評集は、そんな私たちの、心強い道標となってくれるに違いない。
文芸・文庫担当 松浦
紙の本
前代未聞の途方もない「書評集」
2010/09/20 08:04
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:稲葉 芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは前代未聞の途方も無い「書評集」である。
作家・評論家が書いた書評を一冊に集めた本は別に珍しくもなんとも無い。古くは、百目鬼恭三郎が「風」の筆名で『週刊文春』に連載した(1976年~81年)書評を収録した『風の書評』という名著があるし、近くでは、『鹿島茂の書評大全 和物篇・洋物篇』という大作もある。では一体何が「途方も無い」のか?それはこの書が、文学賞の「選評」を集めたものであるからだ。
井上ひさしは生前、数多くの文学賞の選考委員を務めた。本書は、1974年~2009年に著者が担当した小説・戯曲等の賞の選評370余を網羅し、本文だけで700頁を越える大作である。文学賞の選考委員の中には、対象作品をきちんと読まないで選考会に出る不届き者もいるらしいが、稀代の凝り性で途方も無い書痴だった井上ひさしは――当り前といえば当り前だが――常に、選考作品を全て熟読した上で臨んだそうである(唯一、第六回司馬遼太郎賞受賞作『モンゴル帝国の興亡』だけは、「買ってはあるのですが読んでいません」と正直に告白しているのが微笑ましい)。「選評」であるから「書評」に比べて短めなのは致し方ないが、その「選評」は作品に対する厳しい指摘と暖かい励ましが絶妙にブレンドされ、立派な「書評」「エッセイ」の域にまで達している。本当に井上ひさしという人は、きちんと作品が読めて新しい才能を発掘する目利で、その新しい才能を客観的批評に出来る筆力を有した人だったんだなあと、改めて思い知らされる。
本書には35の賞の選評が登場するが、中でも最も読み応えがあるのはやはり「岸田國士戯曲賞」(1979年第23回~2009年第53回)と「直木三十五賞」(1983年第88回~2009年第141回)である。勿論、著者が『道元の冒険』と『手鎖心中』で各々の賞を受賞し、自分の出世作となったことへの恩返し的意味合いで力が入った面はあるだろう。しかしそれにもまして、この二つの賞の選評には、戯曲・小説はどうあらねばならぬか/どうあって欲しいかという、著者の文学観、理念、期待が真摯にかつ熱っぽく語られていて、読む者の胸を打つ。例えば、第48回岸田賞選評で記している「信条と付則」などは、井上ひさし的演劇論のエッセンスとも言える。
「書評集」というのは多分それほど売れないジャンルだと思うが、ましてや本書は「選評集」である。こんな無謀な試みをした白水社にはただただ脱帽し、感謝するのみである。