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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.2
- 出版社: 祥伝社
- サイズ:20cm/249p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-396-63332-5
紙の本
竜の涙 ばんざい屋の夜
著者 柴田 よしき (著)
東京・丸の内の片隅に、ぽつんと暖簾をかかげる小料理屋。少しさびしそうな美人女将の手料理をもとめて今宵もこころに疵を負った客が訪れる—。【「BOOK」データベースの商品解説...
竜の涙 ばんざい屋の夜
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商品説明
東京・丸の内の片隅に、ぽつんと暖簾をかかげる小料理屋。少しさびしそうな美人女将の手料理をもとめて今宵もこころに疵を負った客が訪れる—。【「BOOK」データベースの商品解説】
東京・丸の内の片隅に、ぽつんと暖簾をかかげる小料理屋。少しさびしそうな美人女将の手料理をもとめて、今宵もこころに疵を負った客が訪れる−。『小説NON』連載に加筆訂正をして単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
竜の涙 | 5−54 | |
---|---|---|
霧のおりてゆくところ | 55−97 | |
気の弱い脅迫者 | 99−134 |
著者紹介
柴田 よしき
- 略歴
- 〈柴田よしき〉東京生まれ。青山学院大学卒業。1995年「RIKO」で第15回横溝正史賞を受賞しデビュー。ほかの著書に「回転木馬」「ふたたびの虹」など。
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紙の本
心にほっかりと明かりを灯してくれる“ばんざい屋”に行ってみませんか。
2010/03/13 10:07
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
京都では、家庭で作るお総菜(そうざい)のことを“おばんざい”と言うのですね。その、おばんざいをメインに出している、東京・丸の内界隈の小料理屋の女将(おかみ)と、店を訪れる客との心の触れ合い、心の交流を描いた連作短篇集。
シリーズの前作の読み心地がとてもよかったものですから、本書もそこそこ期待して読みはじめました。そしたらこれが、期待以上によかった! シリーズ二作目だし、前作からかなり間が空いているし、どうかなあとちょっと心配していたのですが、ふと目頭を熱くしてくれる温かな味わいは格別。
北森鴻の手になるビアバー“香菜里屋(かなりや)”もそうですけど、こんな店がほんとにあったらぜひ行って、美味しい料理を食し、心地よい店の雰囲気に浸ってみたいものだなあと思いましたね。
ただし、“香菜里屋”では、不思議な謎を客がマスターに話して、それを店の客同士、推理し合いながら、最後はマスターの工藤が解くというスタイル(アシモフの『黒後家蜘蛛の会』を彷彿させる連作短篇ミステリ)でしたが、“ばんざい屋”では、悩み事を抱えた店の客が女将と話し、家庭的な味の料理を食すうちに、心の重荷がだいぶ軽くなっていると、そういう話の流れになっています。ミステリというよりは、時代小説の江戸・人情ものの雰囲気に通じる趣を感じます。藤沢周平の時代小説(例えば、『三屋清左衛門残日録』のような)に出てくる小料理屋のたたずまいに近いものがあるかなあと。
また、“ばんざい屋”を訪れる客が人生の転機を迎え、それにどう向き合い、決断していくかも、本書の読みごたえのひとつ。
心さびしい夜、ナイトキャップ代わりに、丹波出身の女将が営む“ばんざい屋”に足を運んでみてはいかがでしょう。前作『ふたたびの虹』を読んでから、本作に向かうことをおすすめいたします。