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紙の本
楽園 上 (文春文庫)
著者 宮部 みゆき (著)
未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳...
楽園 上 (文春文庫)
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商品説明
未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳で亡くした息子、等が“超能力”を有していたのか、真実を知りたい、というのだ。かくして滋子の眼前に、16年前の少女殺人事件の光景が立ち現れた。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
忙しいときこそ、我を忘れて読書に没入したいあなた向け
2010/12/09 09:07
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部みゆきは、やはりただ者ではない。文庫本で、上巻・下巻とも400~500ページになる大作なのに、読者は無我夢中で読み切ってしまう。下巻の後半になっても、まだ謎が次々に浮かんできて、その先の展開に期待感を高められてしまう。
これほど作品世界に没入させてくれる作家というのも希有ではないだろうか。私はミステリ分野の作品を好んで読むわけではないが、特別なものを感じないではいられない。
何しろ、読んでいる最中、周囲のことが気にならなくなるのだ、電車の中で読んでいても、自宅で読んでいても、職場の昼休みに読んでいても、ひとり作品世界に遊ぶことができる。
ふだんは混雑する電車に押し込まれてつらい思いをするが、まるで気にならなくなる。本を開くスペースさえあれば、それでOKである。周囲に誰がいるか、どのくらい混雑しているか、かまうことはなくなる。自分は宮部作品の中にいるからだ。
深夜、やむを得ず本を閉じて布団に潜り込むとき、我に返る。「ああ、なんて幸せ。こんな作品と出会えて」
ところが、宮部みゆきの作品から、気の利いた一文を取り出してくることは思いのほか困難である。評価の高い作家の場合、その作品を読んでいると、嘆息するような言い回しに出会うことが多い。「そうか、こんな言い回しもあるのか」と。
それが、宮部みゆきの場合、どのセンテンスも飾り気がない。珠玉の一文を取り出してくることはむずかしい。ごく普通のいくつもの文がただ連なっているだけである。
それにも関わらず、読者を引き込むということは、その文の連なりが、すぐれた物語を紡ぎ出すからだ。
「いくつもの点が線となり、いくつもの線が面となる」とは言い古された表現だ。宮部みゆきにはこの表現が、ぴたりとあてはまる。何げない一文の連なりが、ひとまとまりの事件を生みだし、そうした事件の連なりが壮大な物語になる。その物語は、堅牢にして味わい深い世界を構築している。
執筆に取りかかる前に、よほど入念に取材し、資料を集め、構想を練るという準備をするのだろう。そうでなくては、これだけこみ入った作品にはならないはずだ。
いくつかの出来事が同時並行的に進行し、謎を深めていく。結末に近づき、真相が解き明かされていくプロセスになると、早くも名残惜しくなってしまう。作品世界に没入できる時間が終わりに近づくわけだから。
宮部みゆきは優しい人だ。登場人物の造詣にそれがあらわれている。どんな人が登場しても、ふんわりと柔らかい空気に包み込まれている。装飾性を排した表現で、これだけの人物描写ができるとは、すばらしい。目の前に登場人物がまざまざと浮かんでくる。着ているものも、話す言葉のトーンも、身のこなしも、すべて読者に伝わってくる。
本書では、サイコメトリーという超心理学的事象を中心に展開する。この摩訶不思議な事象が、読者の好奇心をくすぐらずにはおかない。いったい、ことの真相はどうなのだろう、本当にサイコメトリーの能力を少年は有しているのだろうかと。
主人公の編集プロダクション勤務の元フリーライター前畑滋子の八面六臂の活躍にもはらはらする。なかなか大胆な仮説を持ち出しては、それを実証していく。この種の事件の真相を探るのを前畑は本職とはしていないのだが、過去の自分の経験に照らし合わせて、のめり込んでいく。
前畑滋子、サイコメトラーの少年、その母親敏子、少年に見透かされる土井崎一家、弁護士、と登場人物は多いが、読者が混乱することはない。巧みに描き分けられているからだ。
最後まで飽きさせない作品。読者であることの幸せ。それを教えてくれる宮部みゆきであった。
紙の本
全てを描く作家
2019/04/24 18:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は『楽園』というタイトルであるが、以前の大ヒット作品である『模倣犯』で活躍したキャラクター、前畑滋子を再登場させた小説である。『模倣犯』では相当多くのキャラクターが登場し、読者も途中で休憩を取ろうものなら、読書を再開しても誰が誰だか分からなくなり、覚えきれないほどだった。
その中でもジャーナリストらしい仕事をしていた前畑滋子は、エネルギー溢れる仕事をしていたので、読者に強い印象を植え付けていた筈である。その前畑滋子は『模倣犯』の混乱の後、しばらくそれらしい仕事をしていなかった。言うなら呆然と事実の衝撃を味わっていた。
ある日、12歳の少年の母から指名で依頼があった。この少年は交通事故で命を落としたのだが、この少年が描いた絵が何らかの暗示を与えていたのではないかという知人の示唆があり、その真偽を前畑に確認してもらいたいとの依頼である。
その12歳の少年は霊感を持ち、サイコメトラーの能力を持っていたというのである。それをまた引き受けた前畑は、その調査を一つ一つインタビューなどで解明していく仕事にのめりこんでしまう。この少年の描いた絵の中に、『模倣犯』を想起させる絵があったのである。
この絵の中には、他の事件を想起させる絵も含まれており、前畑滋子だけでなく、読者もその解明に引き込まれてしまう。長編ではあるが、少しも長く感じさせない。これまでの作品と同様、インタビューでの会話の描写から謎の解明の過程を実に巧みに描いている。。
本書も文庫本上下2冊で長いのである。宮部の小説固有のインタビューの中での会話を細かく描いているが、それを読者は長くは感じないであろう。出版社は宮部をストーリーテラーと評していたが、ストーリーテラーとは、物語の筋だけを過不足なく描く作家を指す言葉であろう。しかし、宮部はその場の雰囲気を含めてあらゆることを表現している点で、
ストーリーテラーとは異なると思う。全てを書き尽くしているのである。
これまでもせっかく面白いキャラクターを登場させてきたので、本書のようなキャラクターを再登場させることは、今後も是非やってもらいたいと思う。その中には時代劇があっても結構だと思う。
紙の本
流石、宮部さん!
2017/03/18 21:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻だけで500ページに及ぶ大作ですが、あっという間に読みました。流石、宮部さん!話に引き込んでいく力量に感服しました。
近未来予知を絵で表現する子供の死。その子供が超能力者か否かを確認することで、母の悲しい思いに寄り添えると考え、始めた調査だったはずなのに謎が謎を呼び、更にはあの「模倣犯」にも飛び火。全ての話がどのように繋がっていくのか、とにかく面白いです。話が広がり始めたところで上巻が終了。等くんは本当に超能力者なのでしょうか?何か良からぬ事が起きるのではないかと感じつつ、下巻へ。
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まさか模倣犯の登場人物が出て来るとは
2019/09/29 22:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻ではまだまだ謎が多い。時折挟まれる断章が何を意味しているのが、これが本編とどうつながっていくのか。謎はまだまだ解明のとば口にも立っていない。しかし、模倣犯の登場人物が出て来るとは。読んでいない方は模倣犯を先に読んだ方がいい。
紙の本
模倣犯のルポ・ライター前畑滋子が追う謎の少年の能力!
2016/12/24 09:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、宮部みゆき氏の超大作「模倣犯」を担当したルポ・ライター前畑滋子がしばらくの心身の静養を経て、再び復活して活躍するストーリーです。ある少年は、小学校6年生の時に交通事故で死亡してしまいましたが、彼は多くのスケッチを残していました。その中には、彼が知っているはずもない『模倣犯』で事件の起こった山荘や、火災現場の床下から娘の殺害遺体が見つかった家のスケッチなどがあり、前畑滋子は彼の母親の依頼で、彼がどのようにこういうスケッチを描くことができたのかを調べていきます。本書(上)は比較的ゆっくりと物語が進んでいきます。
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模倣犯の続編ですが
2015/08/08 00:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本すき - この投稿者のレビュー一覧を見る
模倣犯の続編ですが これだけでも読めますし
宮部先生の本の中で登場人物の描写 愛おしさが強いんではないかって思う作品です
大好きですこの本。
泣きました
紙の本
一気読み必至の宮部みゆきの世界
2016/12/24 01:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hiroyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
「模倣犯」の続編的な作品ということになっているが、物語は一部繋がっているとはいるだけで、新たに複雑怪奇な物語が展開する大作である。「模倣犯」から前畑滋子が主人公となって、多数の人物が絡みあいながら進行してゆく物語は、一気読み必至である。
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知りたいこと
2024/02/15 16:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やさし - この投稿者のレビュー一覧を見る
「楽園」を読むために「摸倣犯」をひっさびさに再読したので、あの事件後も続いている世界のこととして読めました。(その後どうなったか気になる登場人物が何人もいるけれど、軸となる滋子の他は少しだけ出てくるくらいでした。それでも救いを感じるエピソードがあって嬉しかった。)もう死んでしまっている誰かのことを調べるという難しいことを、どうしてもという気持ちをもって進めていく。その過程で少しずつ不穏な何かが見えてきて、仲間のようなメンバーも増えていく。子を想う母が、姉を知りたい妹がどんな真実にたどり着くのか、早く知りたいような怖いような。ときどき入る断章も怖い演出です。
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模倣犯の後に読むべき本
2021/05/20 06:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る
模倣犯での登場人物が主人公になり、主要人物も出てくるので、読むなら模倣犯を読んでからのほうがよい。
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これから
2021/05/05 11:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
まだまだ謎が多くて、下巻に期待です。
本編の間に挟まれてる断章も、今のところ意味不明。
前畑さん、支えてくれてる人がいて何よりでした。
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楽園上
2023/05/12 09:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
未曽有の連続誘拐事件を追った前畑滋子。彼女は9年間のブランクを経てルポライターとして現場に復帰する。そして知り合いの紹介で交通事故で亡くなった少年に関する依頼に着手する。その依頼とは亡くなった少年には特異な能力があったことを証明することだった・・・・・。
得意な能力を証明することは難しい、そしてある意味答えのない問題かもしれない。読者にどのように解明するのかを期待したい。