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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.12
- 出版社: 角川書店
- サイズ:20cm/259p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-04-874012-8
紙の本
TRIP TRAP
著者 金原 ひとみ (著)
女が男を蔑む時。金原ひとみ最新短編集。【「BOOK」データベースの商品解説】【織田作之助賞(第27回)】「ねえ、何しに来たの? 海に」 逃避だよ−。女は旅で大人になり、男...
TRIP TRAP
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商品説明
女が男を蔑む時。金原ひとみ最新短編集。【「BOOK」データベースの商品解説】
【織田作之助賞(第27回)】「ねえ、何しに来たの? 海に」 逃避だよ−。女は旅で大人になり、男は旅で子供になる。日常から逸脱した旅の果てにあるものとは。研ぎ澄まされた描写が光る、著者新境地の短編集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
女の過程 | 9−58 | |
---|---|---|
沼津 | 59−106 | |
憂鬱のパリ | 107−156 |
著者紹介
金原 ひとみ
- 略歴
- 〈金原ひとみ〉1983年生まれ。「蛇にピアス」で第130回芥川賞受賞。ほかの著書に「アッシュベイビー」「ハイドラ」など。
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紙の本
旅する純文学、その旅を触媒とした化学変化
2010/11/27 12:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YOMUKO - この投稿者のレビュー一覧を見る
純文学な人が旅をする。これはただごとではない。
海水浴やハワイ、パリ、イタリア、今の日本ではよくある行き先も、ただごとじゃなくなる。
15歳の家出同棲パチンコ屋の寮、ナンパ場としての日本のザ・海水浴場、夫婦で行くベタなハワイや文学的出張のパリ、新生児(4か月)と行くイタリアの田舎町。
旅先のハプニングは、ありがちな出来事と、ありえない特異な出来事、どっちもあり。いずれにせよ、登場人物がまきこまれる事件の衝撃度には関係なく、金原ひとみが毒のある筆で描けばスキャンダラスになる。
旅は触媒となって人に化学変化を起こす。
夫がアロハを着たりボディサーフィンに夢中になったり、言葉の通じない国で食当たりで死ぬ思いをしたり、思うままに生きてきた女が飛行機内でうんこした四か月の赤子を、健気にも、数時間、辛抱強く抱えていたり。
それらの渦中で感じたこと、心境の変化とはどんなものか。
つきはなして観察し、言葉を尽くして描写されるから、生々しい皮膚感覚で伝わってきて、強い印象で残る。
家事育児、超現実的な日常にまみれながらも、こういう毒気のある小説を書き続けられるのが金原ひとみの凄さ。文学を生きている、みたいな。やはりただものではない。
「蛇ピ」で毒気に当てられた読者は、今回の作品はノーマル&ナチュラルすぎるように感じ、これらを先に書いてたらこの人のデビューはあったのだろうかなどと、余計な疑問がわいてくるが、あちこちに毒気は健在で、ある意味ほっとする。
この作家の文章を毛嫌いする人は、作家が仕込んだ文学の毒気にまんまと当てられたってことであり、それが作品が成功してるあかしなのだろう。
これらの旅が完全に消化されたら、どんな虚構が生まれるんだろう。このあとの作品も楽しみ。