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商品説明
凶弾に斃れた「憲政の神様」は、何を話したかったのか。首相として近隣諸国との友好を図り、軍部の抵抗を排して議会制民主主義を死守した気骨ある明治人、犬養毅の生涯を活写する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小林 惟司
- 略歴
- 〈小林惟司〉1930年横浜市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。千葉商科大学教授などを経て、日本文藝家協会会員、商学博士。著書に「保険思想と経営理念」「日本人を叱る」「寺田寅彦と連句」など。
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紙の本
一口で「評伝」とはいっても、いろいろあるということ
2010/01/05 19:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る
同時期に本書「犬養毅」と同じ「ミネルヴァ日本評伝選」シリーズの「北畠親房」を読んでいたせいなのだが、同じ評伝といっても、かなり異なる印象を受けたというか、著者が目指そうとしているものが随分と違うものだと感じたところだ。
好みの問題として片づけてしまえば、その程度のことなのかも知れないが、本書「犬養毅」は、歴史家の著述というよりも、小説家の著作のようだ(ちなみに、現時点の私は、「評伝」として、このような著作に拍子抜けしている)。
本書は、犬養毅の人となりに重点をおいてその著述を進めていく形になっている。そのため、必ずしも犬養を軸とする政治の動きが鮮明に浮かび上がってくるとは、正直言いがたい。
評者としてには、先に「北畠親房」にような著述を想像して、本書を繙いてしまったので、犬養の私的な面での人格の有り様というよりも、彼が政党「政治」の成立から崩壊にいたる経過において、どのような役割を果たしたのかを知りたいと思う。犬養は、首相になる直前まで、大派閥を率いてきた訳ではないにもかかわらず、その存在感を朝野に保持しており、組閣の大命を受けることになった。しかし、軍部の「跳ね返り」を抑えることができず、結局5・15事件で暗殺されることになる。
「話せば分かる」という犬養の最後の言葉が伝説として流布しているが、つまるところ、この伝説へと繋がる「お話」として、 本書は企図されたものなであろう。
しかし、そういった伝説的「虚像」ではなくて、政治権力の獲得を目指して活動(暗躍)する犬養の政治的実像、あるいは、犬養の果たした政治史上の「機能」について評者が知りたいと求めるのは、「評伝」というものに対する期待として間違いなのであろうか?