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紙の本

贖罪 (ミステリ・フロンティア)

著者 湊 かなえ (著)

取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い...

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贖罪 (ミステリ・フロンティア)

税込 1,540 14pt

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商品説明

取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない四人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる—これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?衝撃のベストセラー『告白』の著者が、悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の意味を問う、迫真の連作ミステリ。本屋大賞受賞後第一作。【「BOOK」データベースの商品解説】

穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない4人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることに…。連作ミステリ。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

フランス人形 5−50
PTA臨時総会 51−94
くまの兄妹 95−142

著者紹介

湊 かなえ

略歴
〈湊かなえ〉1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で小説推理新人賞、09年「告白」で本屋大賞を受賞。他の著書に「少女」など。

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著者/著名人のレビュー

 ある田舎町で一人の...

ジュンク堂

 ある田舎町で一人の幼い美少女が殺された。犯人が捕まらないまま、当時一緒に遊んでいた四人の少女たちの心に深い傷を残した。
 「わたしじゃなくてよかった」とどこかで安堵しつつ罪の意識に苛まれる少女たち。
 十五年後、成長した彼女たちの独白によって明らかになっていく事件の顛末。いったい彼女たちにどんな結末が待っているのか。犯人は一体誰なのか。
 ベストセラー『告白』と同じ手法ではあるが、またしてもうならされた衝撃のミステリー。

みんなのレビュー598件

みんなの評価3.6

評価内訳

紙の本

読後感の悪い傑作、というものが存在するんです。謎が解き明かされても、その理不尽さが許せない。親族を殺された人が、犯人に死刑判決が下されても、心のもやもやが晴れない、そういうお話です。傑作でも、再読したくありません。

2009/12/04 20:28

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

『贖罪』ってくると、どうしても私はイアン・マキューアンの作品を思うんです。それと無理をすればサイモン・トロイの『贖罪の終止符』。ま、トロイの作品は無理苦理こじ付け気味ですが、違う意味で面白かったわけです。でも、今回の作品との比較でいえば、素直にマキューアンの『贖罪』と比べることになります。

タイトルだけを取り出しての比較に意味があるかどうかはともかく、一応チャレンジしてみましょう。ともにお話の中心にいるのは少女です。湊の小説では10歳、マキューアンでは13歳。で、事件が起きます。被害者はともに女性です。そして主人公は同様に嘘の証言をします。

湊の小説の少女たちは恐怖から、マキューアンの少女はふとした出来心から。その結果、前者の犯人は逃れ、後者の真犯人も捕まりません。ただし、前者では被害者の母親が犯人を探せと目撃者の少女に迫り、後者では違う人間が逮捕されてしまいます。湊の小説では真犯人探しと、悲劇の連鎖の責任がどこにあるのかが問われ、マキューアンの小説では、自分のついた嘘で二人の人間の人生を狂わせてしまった少女の心の葛藤が描かれます。

そして時間が飛びます。前者では15年、後者では5年の歳月が流れます。事件が未解決の前者では、多くの人間が心の問題を抱えたままですし、事件が表向き解決した後者では、主人公の少女と少女の姉、誤って逮捕された青年と家族だけが心に傷を負ったまま、苦しんでいます。

前者が、嘘をついてしまった少女たちより周囲の人間に目が向いていくのに対し、後者はあくまで嘘をついた人間の心に深く入り込んでいきます。ともに、読後感のよくない、救われない話なのですが、前者ではその責任を他者に負わせることができるのに、後者ではただただ嘘をついた人間だけが全ての責めを負うことになります。

肝心の内容に触れない比較なので、どうも隔靴掻痒の感が拭えません。思わぬ寄り道をしてしてしまいました。湊の本に戻りましょう。イチゴの赤と、このシリーズの基調となっている水色の対比がかなり目を惹くカバー画で、描いているのは佐伯佳美、装幀は岩郷重力+WONDER WORKZ。です。ちなみに、何故イチゴか、というあたりを佐伯に聞いてみたいものです。

カバー折り返しの言葉は
             *
取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」
のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。
犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない四人の少女たちに投げ
つけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる
――これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?
衝撃のベストセラー『告白』の著者が、悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の
意味を問う、迫真の連作ミステリ。本屋大賞受賞後第一作。
             *
です。中身は五つの章から出来ていますが、章に番号はついていません。各々の章は、事件の第一発見者となった四人の女性、真紀、由佳、晶子、紗映と被害者エミリの母親が主役を交替で勤めていくことになります。早速、章の内容に入りましょう。

「フランス人形」 :彼女の家にあったフランス人形は町で二番目の出来、と評される家の娘が紗英です。東京からエミリが引っ越してきて、紗英の価値観は崩れることになります。そのエミリが、学校のプールの更衣室で乱暴され殺された事件の発見者の一人で、現場に残り、番をしました。エミリを連れていった犯人の顔を覚えていながら、知らないと言い続けたます。10歳の時に出会った事件のショックで25歳になっても生理が来ていません。

「PTA臨時総会」  :その事件のとき、三人の少女に的確な指示を出したのが、同じ10歳の真紀です。彼女は、自分は先生を呼びに行くといいながら、怖くなってしまい家に帰ってしまい、そのことで自分の存在価値を失ってしまいます。後に若葉第三小学校に勤務しますが、彼女と田辺教諭が水泳の授業を行っている時に暴漢が乱入する事件が起きます。彼女がそのとき取った行動は、賞賛されるべきものでしたが、様々な経緯からPTAで吊るしあげを食うことになります。

「くまの兄妹」  :真紀の指示で事件をエミリの母親に知らせに行かされることになったのが10歳の晶子です。報せを聞いて動転したエミリの母親から乱暴な扱いを受け、それがもとで事件以降、身の丈以上のものを求めると不幸になると信じて、ひっそりと暮らしながら、カウンセリングを受けています。彼女が語る町役場の福祉課に勤める兄の結婚の話が中心になります。

「とつきとおか」 :真紀に言われて事件を交番に知らせに行かされることになった10歳の少女が由佳です。少女は、そこで出会った交番の若い巡査に憧れるようになり、理由を見つけては交番に足を運ぶようになります。姉が病弱で、母が姉ばかり大切にして自分のことを相手にしないことに傷ついています。間もなく子供を産もうとしている25歳の由佳がうちあける実家での自分の位置づけと、子供の父親のことが語られます。

「償い」     :娘だけが殺されたことに腹を立て10歳の少女たちを憎み、わざわざ呼び出し、犯人を探さなければ殺してやると脅した母親の話です。

「終章」     :様々な事件を経た少女たちは今・・・

口にしてはいけないものを飲み込んでしまったような苦さがあります。この小説を読み終わった長女も次女も怒りまくっていました。それほどに、この小説で少女たちの親がとった行動は、身勝手で無責任なものでした。子供を守るよりは責める、叱る、真実から目を背ける。それは15年後の彼女たちの周りにいる人間たちも変わることはありません。

それが何とも苦い思いになるのは、それが絵空事ではないことを読者が知っているからです。それはなにも、自分が被害者である、ということではありません。自分が加害者でもありうる、いや現に加害者であることを薄々気づいているからかもしれません。殺人、という事件に巻き込まれることは滅多にないでしょうが、もっと小さな事件で自分がどのようなことをしているかは、分かります。

それが脳裏を過ぎるから苦しいのです。そういう意味で極めてリアルです。悪いのは、少女たちではない、お前たちの親であり、マスコミであり、それに踊らされる人間たちだ、と。そして、それに怒り不快を覚えているうちに、知るのです。他人に向けた筈の刃の切っ先が、知らぬ間に自分の方を向いていることに。そして、深く自分の中に目を向けざるを得なくなります。マキューアンの球がストレートなら、湊の投げたそれは大きく軌道を変えながら、最後に捕手のミットのど真ん中に収まる変化球かもしれません。

ともに、再読したいタイプの話ではありませんが、重いテーマを真っ向から扱った小説であることは間違いありません。

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紙の本

ベストセラー『告白』に劣らぬ傑作です

2017/06/30 08:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、『告白』でベストセラーとなった湊かなえ氏の作品です。本作品も、登場人物の一人語りで物語が信仰していくという湊氏の手法がよく表れたものとなっていまうす。内容は、何もない田舎のお盆のさなか、小学校で一人の少女が殺されます。一緒にいた4人の児童は、しかし、その状況をはっきりと思い出せません。殺された少女の母親の4人に対する憎しみ、そして、その憎しみを抱えて償おうとして生きていく4人の心情が、切々と描かれています。

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紙の本

あれれ?

2009/07/23 00:17

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

この人、巧いと思っていました。
でももしかしたら、とっても微妙なのかもしれない。
読み終わって、まず感じたのがそれでした。

話題になった『告白』はとてもおもしろかった。
自分のことしか考えない人間のオンパレードで、少々薄気味悪いとはいえ、
どこか突き抜けた人間の狂気が、物語を壊さないように慎重に練り込まれていて、
夢中になってしまいました。

ところが次の作品『少女』に、それほどの吸引力を感じられず、
細かな部分はおもしろいのに、全体的にはぼやけた印象だなあと思っていたところ、
今作『贖罪』の登場です。

小さな町で、小学生の女の子が殺されてしまいます。
直前まで一緒にいた4人の少女たちは、その後の人生を、あるひと言に縛られてしまい、
しだいにそれは、彼女たちの人生を狂わせていくことになります。

いわゆる負の連鎖を描いているのですが、ひとりひとりの告白は魅力的ではあるのに、
なぜか全体の構成に、かなりの強引さを感じてしまいました。
もしかして、この人、短いお話のほうが得意?

それともうひとつ。
やけに嫌悪感が残るという不思議。
『告白』の登場人物たちの、むき出しのエゴや悪意、狂気を、あれほど楽しめたのに?

稚拙ながら、考察してみました。
自分勝手な動機とはいえ、『告白』の登場人物たちは、
切実な想いや憎しみ、思い込み、弱さに突き動かされていたように思うのです。

それに比べると……。
人が死ぬ場面に遭遇したいだけで、他者の痛みを感じようともしない女子中学生や、
好き勝手をしてきた過去の因果に、他人の子を巻き込む母親、
巻き込まれることに疑問を持たず、ただただ自分の境遇を嘆き、影響を受け、
トラウマに結びつけてしまう女性たち。

彼女たちの行動や感情は、物語の細部としてはとても興味深いですし(実際おもしろい)、
そういう人物が息づくのは、いっこうにかまわないのですが、
それだけで話が転がって行くのは、あまりにも安易な気がするのです。
愚鈍で無神経なお人形が、たくさん集まったような気持ちの悪さとでも言うのでしょうか。

細部を練り上げることには成功しているのに、
それをひとつの物語にまとめあげて納得させる力が、
『告白』のときほど感じられないというのも、気になりました。

極めつけが、これ必要なかったのではと思わされた「終章」。
ここを読むと、正直、この人の得意とするのは、
告白体の文章だけなのかもしれないと心配になるほどです。

しかも、後日談をここで説明してしまっているがために
(しかも会話文で説明という、ちょっとどうかと思う展開)、
なんだか本当にもったいないことになっていて、
これからも作品を心待ちにするであろう私としては、変なドキドキ感を残されてしまいました。

それでも一気読みをしてしまったのです。
次、期待してます!

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紙の本

運命のでどころ

2009/06/19 22:02

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:arayotto - この投稿者のレビュー一覧を見る

二字熟語のタイトルが続く、なんだか初期の真保祐一のような、湊かなえ。
デビュー作の「告白」が抜群に面白かったため、「少女」「贖罪」と一応目を通している。

「少女」は、最後まで読み通すのがちょっとつらかった。いまではもうすっかり内容さえ忘れている。


で、三作目「贖罪」。

一気読みの面白さはあったが、なんか釈然としないのだ。

手記や手紙文という「告白」パターンにどうも馴染めないし、4人ともうひとり(被害者の母)の誰の感情に歩み寄ればいいのか分からなかった。

被害者の母の、4人に対する思いは、強引で身勝手だろう、と思えるし、
4人のその後の原因・要因を「あのひと言」に委ねるには、これまた無理あるし、
ラスト近くの章で語られる被害者の母の過去は、あまりにも鈍感すぎて同情さえできない。



そして、最後の最後には驚いた。

これって……ぇ

すべては「あのとき」ないがしろにされたエミリ…ちゃんが……引き…起こし…た……うゎゎゎゎ、こわっ。
さあ、最近行ってない人は、**へ参ろう。

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紙の本

いろんな視点で物語りが進んでいく。5人の女性の独白は少々不自然さを感じないわけではないけれど、面白い。

2011/12/02 23:16

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る

どんなところですか?と尋ねられて、「空気がきれいなところです」としか答えようがないような田舎町で生まれ育った4人の少女たち。紗英、真紀、晶子、由佳。彼女らが小学校4年生のころ、東京から転校してきた仲間が加わった。エミリちゃんというお人形さんのような美少女だ。そして夏休みのある日、5人で遊んでいたところへやってきた見知らぬおじさんに、エミリちゃんは暴行され、絞め殺される…。最初に遺体を発見したのは直前まで一緒に遊んでいた4人の少女。

エミリちゃんとの出会い、暴行殺人事件、そしてそのあとの15年間について、4人の(元)少女が語り継いでいく物語。10歳の少女たちが経験したものは、それぞれに違う形で大きな影響を与えていた。それに追い打ちをかけたのは周りの大人たちだ。

まだ大人になりきれないけれど子供でもない。そんな微妙な時期に大きな事件が起こる。構成は「告白」や「少女」と同じだ。「告白」を最初に読んでおり、そのパワーが大きすぎて、やはりあとの2作は少し物足りなさを感じてしまうのは残念。だからといって、その2作がつまらないわけではない。

一つの事件をきっかけにして4人の少女の人生は狂ったのかもしれない。けれど、一人の少女を除いては事件がなくても問題がある環境だったように思える。世間体を気にしすぎて子供にプレッシャーをかけてしまったり、何も取り柄のないのだと思いこませるような言動をとったり、病弱だった姉を大切にするあまり妹に冷たく接したり。
女の子にとって「母親」が及ぼす影響の大きさを改めて感じる。
そう。「母親」といえば、4人の少女が背負う荷物を更に重くしてしまったのも「母親」だ。

何が罪で、誰が罪人なのか。
事件はどこから始まってなぜ起こったのか。
誰が”贖罪”すべきなのか。
その受け取り方はこの事件を語る”5”人とも見事に異なる。時に交わりながら、時に背を向けながら、5つの物語はそれぞれの手で紡がれていく。その不思議な力に惹き付けられる。

ただ。最後の「終章」だけはなんだかいただけない。
あっけないというかなんというか…。
この部分に”救い”を見出す方もいらっしゃるのだろうけれど。
私は最後まで”毒”を貫いて欲しかった。

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紙の本

『告白』と比べなければいいのかもしれないけれど、それなりに面白く読める分、もう少しなんとかならなかったかともったいない気がしてしまう。

2011/04/13 09:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タール - この投稿者のレビュー一覧を見る

空気がきれいなことだけが取り柄で、夕方6時には「グリーンスリーブス」が流れる、のどかだけど閉鎖的な田舎町で、ある夏の日、ひとりの少女の惨殺死体が発見される。被害者となった少女が犯人と目される男に連れられていくのをただ見送ることになってしまった4人の少女たちは、それぞれが心の深い部分に傷を負い、その後の人生を大きく狂わせてゆく。

彼女たちに罪の連鎖を起こさせた原因は何だったのか。悪者は誰で、贖罪とは誰に対するものなのか。そこにとらわれながら読んでいるといつの間にか足元を掬われて、善悪とは、個人が自分に都合のいいように気持ちを仕分けるためだけに作られた考えでしかないのだと思っていることに気づく。

そもそも、個人の考え方生き方をつぶさに検証していけば、どんな行ないにもそれなりに理由なり言い訳なりは成立するだろう。この作家による複数人の独白形式は、個人の言い訳をクローズアップしていくことで、善悪の区別を失わせる。けれど、ではそこから何を汲みとればいいのだろうか。この作品のテーマが不明瞭なのは、善も悪もないとして、では何を感じればいいのか、というところがひどく曖昧だからという気がする。

話題作『告白』同様、複数人の独白形式によるこの物語で、個人の脳内は傍からは計り知れないものだと思い知らされるばかりだ。想像を膨らませるのが作家の仕事なのだとしても、この作家は特に身近な人に対する妄想を発展させることで書くタイプなのかなと考えながら読まざるを得ず、女性の独白に偏って男性の視点がほとんどないのもいかにも女性ならではの妄想癖っぽくてあまり気分のいいものではなかった。

語り手が替わり、時系列も前後するのにわかりにくいということがないのはさすが。にしても、基本的な文章力の部分で多少混乱を生ずるところに気づいてしまったり。

形式が同じなためにどうしても『告白』と比べてしまい(『少女』は未読です)違和感がぬぐえないけれど、全然別物の軽いエンタメ系としてみるならスピード感があり一気に読めて面白いと思う。思うがしかし、物足らない。終章の構成も唐突で、そのままラストというところも物足らなさを増幅しているし、その不足感を作家の狙いと感じられないところがまた痛い。

――だって仕方がないじゃない、私はそういう人なんだもの――というコメディみたいな麻子のキャラクターが個人的には嫌いではないけども、結局そんなお気楽タイプに周囲が振り回されただけのように読めてしまった。事件が事件なだけに、しかも被害者は……。そのあたりを鑑みればつい、おいおいそんなことでいいのか、と突っ込みをいれてしまいそうになる。

密な関係の地域社会に構われて育つ子供はしっかりと地に足がついて大人もどきであるのに対して、見て見ぬふりの都会育ちの大人はいつまでたっても子供のまま。地域の後ろ盾がついている子供たちを、大人子供のまま母親になってしまった麻子は怖かったんだろうと思うし、孤独だったんだろうけど、田舎の密度の濃さもまた独特の孤独を生む。孝博の孤独なら共有できたのに、田舎町で育つ少女たちの孤独には思い至れなかった。それが麻子の失敗といえば失敗なんだろうけれど、そもそも歩み寄る気がなかったのだから仕方がない。

結局、読後感もそれに似て、どっちつかずに放置されてしまうところがテーマの不明瞭を生んでいるのではなかろうか。せめて犯人の独白があれば『告白』に迫れたような気もするし、ベリーづくしの表紙絵が表すのが女性たち限定の物語ということならばそう読まなければならない気もするし、だけどそうする必要があるとも思えない。とにかくいろいろ残念でした。

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2009/06/12 00:50

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