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商品説明
上ゲ屋、保チ屋、目付…吉原を陰でささえる異能の男たち。妓を遊女に仕立て上げ、年季半ばで磨き直し、合間にあって妓の心を見張り、間夫の芽を絶つ。裏稼業を通して色と欲、恋と情けの吉原を描き切った鮮烈なデビュー作。【「BOOK」データベースの商品解説】
妓(おんな)を遊女に仕立て上げ、年季半ばで磨きなおし、合間にあって妓の心を見張り、間夫の芽を絶つ−。吉原を陰でささえる異能の男たちの裏稼業を通して、色と欲、恋と情けの吉原を鮮烈に描く。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
しづめる花 | 5−53 | |
---|---|---|
うつろひ蔓 | 55−93 | |
手のひら、ひらひら | 95−132 |
著者紹介
志川 節子
- 略歴
- 〈志川節子〉昭和46年島根県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。会社勤めのかたわら小説を執筆し、平成15年「七転び」でオール讀物新人賞を受賞。
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紙の本
手の職が人と生き方を際立たせる鮮やかな短編集
2010/01/28 12:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉原を舞台にした7編の短編小説集。
登場人物がゆるやかにリンクしていますが
独立性が高く、それぞれに読ませます。
時代小説は目新しい職業が登場するたびに
ワクワクするのですが
吉原にはまだまだ知らないことがあります。
まず冒頭の「しづめる花」では
初見世を終えた女郎に男あしらいや床の手練を施す上ゲ屋。
さらに「うつろい蔓」では
慣れからおざなりになった男扱いや虚ろになる自分を
取り戻させる保チ屋(もちや)。
「手のひら、ひらひら」では
手のひらを揉んで妓女に潤いを施し、
背中の凝りで女の悩みを知る按摩。
彼らが施すワザによって妓女としての地位を確立していく女たちは
結局、それが自分の身を助けることになります。
吉原を題材にすると、抜け出せぬ借金地獄や
女の争いの苦界として描かれますが
この小説では、けっこうあっさり年季を終えた女たちが登場し
あっけらかんとした雰囲気も新しい。
年季を終えた女が、男に囲われてはいるものの、
妓女から旦那衆への文の代筆で身を立てている「穴惑い」も
自分の書の技量とは比べ物にならない娘を売る話。
それぞれの人物が際立たせるための職であり、
そこに描かれる細やかな人間の技が物語を彩ります。
また後半には、越中城幡の染物屋の起死回生、
蓑輪の目の不自由な娘が咲かせる吉原の桜並木など
美しさと自立をまといます。
2003年にオール讀物新人賞を受賞してから
これが最初の単行本になる志川節子。
スロースターターの著者の手練手管を今しばらく注目したい。