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商品説明
やっぱり罠にはまった。そんな気がする。ふとした光景から人生の可笑しさを巧妙にとらえる森絵都マジック。たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…人生の機微をユーモラスに描きだすとっておきの11篇。【「BOOK」データベースの商品解説】
たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…。日常の光景からふっと湧き上がってくる想い。人生の機微をユーモラスに描き出す11篇を収録した短篇集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
架空の球を追う | 5−12 | |
---|---|---|
銀座か、あるいは新宿か | 13−41 | |
チェリーブロッサム | 43−51 |
著者紹介
森 絵都
- 略歴
- 〈森絵都〉1968年東京生まれ。早稲田大学卒業。「リズム」で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。「DIVE!!」で小学館児童出版文化賞、「風に舞いあがるビニールシート」で直木賞を受賞。
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紙の本
ショートトリップ・オン・ザ・プラネット
2009/02/03 18:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
西日が注ぐグラウンドから、アフリカのどこかのキャンプ、スペインの空港まで、日本と世界の様々な場所での出来事を描いた話が、全部で十一。6頁の掌編から、長くても30頁に満たない短編まで。国籍も様々な十一の女の視点で語られていくそれらの話には、どれもカメラのファインダーが捉えたワンショットとでもいった風情がありましたね。気の向くまま風の吹くまま、ふわりと自由に世界のあちこちを旅したみたいな、そんなに気持ちに誘われました。
ジム・ジャームッシュ監督の映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』のように、十一の話が連続して起こり、繋がっていくというシチュエーションだったら、さらに洒落た、面白い読み物になったかもしれない、なんてね。これはまあ、一読者のつぶやき、無いものねだりってことで、ご容赦いただきたく。
『オール讀物』誌の2007年2月号~12月号にわたって掲載された十一の話たち。
H・E・ベイツの短編小説に似た味がした「ハチの巣退治」、コミカルなファンタジーとでもいったテイストの「パパイヤと五家宝(ごかぼう)」、作品の底に静かに、しかし深く流れている何か、かけがえのないものにと胸を衝かれた「彼らが失ったものと失わなかったもの」、この三つの話がよかったな。格別、バルセロナ空港のリカーショップを舞台にしたおしまいの掌編が味わい深く、印象に強く残りました。
紙の本
短編の物足りなさが...
2012/03/21 20:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編なんて書いているのを知りませんでした、森絵都さんの作品です。日常の、ごく普通の日常の一部を切り取って、それが小説になっている...といった作りで、「短編」という形式と相まって、どうも消化不良は否めず。
女性目線なので(当たり前だけど)、余計にそう感じるのかもしれません。あー、どこにでもいるよなあ、あるよなあ、という点は「共感」できるんだけれども、同性による「共感」とは違い、盛り上がりのない、というイメージに捉えてしまいがちに...もちろん、森絵都さんのエッセンスは、その文章や言葉の選び方にも表れていて、品がよく、心地よい読み応えなんですけれど、後に残らない、というか...これが長編ならばまた違った感想になったんだろうと思います。
友人、家族、夫婦、同僚。イギリス、ドバイ、銀座。出てくる人物、その置かれた環境、設定された場面は各編によって異なるけれども、「日常」を描いて、その「特に変わったことのない日々」の中から小説のテーマに昇華させる手法は見事です。誰でも持っているちょっとした好奇心、気ごころ知れた人たちの中にいながらも、ちょっと引きぎみに見る目線。特別な「変わり者」が登場するわけではない分「どこにでもある物語」ですが、文字にするとこうなるんだあ、という驚きも。
本書にでてくる人たちは、「日常」をフツーに過ごしている。人生を考える、なんて重いこともなく、過ぎゆく時間をありのまま過ごしている。これって実は大切なこと。立ち止まって躊躇する「日常」ほどつまらないものはないしね。実はこういう「日常」「人生」が、気がついてみれば「幸せ」につながっていくのかもしれないなあ、って深読みしてみた。
おそらく著者と同年代の女性、或いは既に著者の作品を数冊読んでいるファンには、受け入れやすい構成なのだと思う。「これまでの森絵都と一味ちがうねっ」ということで。でも男性であったり、ビギナーであったり(自分のことだ)すると、ちょっと壁が高い。ま、こういう作品も書いているんですねー、くらいで受け流しましょう。次は長編を読みたいけどね。
表題作は一番目に掲載されているけれども、かなり短い。想像通り野球の話だが、自分には「オチ」がわからなかった。「ドバイ@建設中」「二人姉妹」あたりがいいかもなあ。「オチ」がわかりやすいし、温かいので。
【ことば】人生ってさあ...思いもよらないようなことが起こってもいいんだよな。
自分の夢を抱いて、何があってもそれを曲げない人物に出会った人が語る。人生って...真剣に考えるようになるのは、「折り返し地点」を過ぎたころから。もう戻れない時間と、これからの時間が同じくらいになった頃から、本当の意味を考えるようになる。
紙の本
女性の視点で描かれた短編集であるが・・・
2009/02/20 23:11
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
<まがりなりにも三十数年を生きてきた今の私たちは知っている。答えはひとつじゃないことを。結婚に生きても仕事に生きても、子供がいてもいなくても、離婚をしてもしなくても、セックスに愛があろうとなかろうと、そんなことは別段、人間の幸せとは関係がなさそうなことを。>(本文より引用)
オール讀物2007年2月号~12月号にわたって掲載されたものを単行本化。
『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞を受賞して2年半。
表題作がNHKでドラマ化も決定している森さんの短編集ということで期待して読んだのであるが、正直なところ読後ちょっと肩すかしを喰らった感は否めない。
ちょっと私の偏見かもしれないが、どちらかと言えばオール讀物より別冊文芸春秋に掲載された作品の方がクオリティが高いような気がするのである。
単行本化された時に前者(オール讀物)の方が“寄せ集め的”な印象が強い。
本作はあまりにも作品集としてのコンセプトがはっきりしないように感じる。
内容的には“文芸誌”じゃなく“女性雑誌”に掲載すべきだったと思うのは私だけであろうか。
200ページに満たないペース数の中に11の物語が描かれているのであるが、中には当然掌編と呼んだ方がいいものが半分近くある。
まあとらえようによっては女性の本音という部分では書けてるとも言えよう。
ちょっとこきおろしたけど(笑)、味のある印象深い作品もいくつかある。
まず冒頭でセリフを引用した「銀座か、あるいは新宿か」。
女性視点で語られていていわばこの作品集の主題を凝縮させた言葉だと言えそう。
ちょっと男性読者が読めば引いちゃうかも。
あとは女性の虚栄心を見事に描いた「パパイヤと五家宝」。
それとラストの意外性と女性の強さを誇示した「ドバイ@建設中」。
ちょっとブラックテイストの混じったものが多かったのがやはり期待外れだったのであろうと結論付けたい。
『風に舞いあがるビニールシート』はとっても女性にエールを送ってくれ、森絵都末恐ろしと感じたものであるが、はたしてこの作品集は同じような効果があるのだろうか。
全体的に深みのなさを感じざるをえず“物足りない”というのが私の結論なんですね。
ひとつの要因としてやはり枚数が足りないというのも大きいと思う。
そこで胸のすく終わり方よりも、どちらかといえばコミカルで意外性のあるエンディングに終始せざるをえなかったのもわからないことはない。
ただ“ユーモア短編集と割り切れないところ”が、森さんへの大きな期待の表れであるのですよね。
寡作な人だけに余計に期待しちゃう部分もあるのでしょうが・・・
その結果として私的には冒頭の表題作で登場するコーチのように“空回り”してる部分が多分にあるように感じたのである。
並の作家ならいざ知れず、直木賞作家に対する読者のハードルは高いと自覚して欲しいなと思う。
どちらかと言えば、胸のすく明日に繋がる作品を読みたかった。
読者の気持ちを代弁したい。
でも私の代弁って男性一読者ゆえのものかもしれないけど(笑)
みなさん薄い本なんでサラッと読んで意見を是非聞かせてほしいなと思います。
ちなみに私は結構、森さんのファンですよ。