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商品説明
ねえ、覚えてる?空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを—本と映画と音楽…それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。青春小説の新たなスタンダードナンバー誕生。【「BOOK」データベースの商品解説】
ねえ、覚えてる? 空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを−。本と映画と音楽、それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間…。恩田陸が描く、青春小説の新たなスタンダードナンバー。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
恩田 陸
- 略歴
- 〈恩田陸〉1964年宮城県生まれ。「六番目の小夜子」でデビュー。「夜のピクニック」で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、「ユージニア」で日本推理作家協会賞を受賞。
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著者/著名人のレビュー
年老いた父と、中年男...
ジュンク堂
年老いた父と、中年男が都会の片隅で営む中華屋に、突然現れた女。ついぞ忘れていた気持ちが甦る男。しばらく中華屋に住み込みで働いた女は、突然消えてしまう。儚い想い出だけを胸に働く男の元に、警察から連絡がくる。女は意外な場所で発見された……。なんでもない人生なのに、みんなそれぞれに小さなドラマを生きている。そんなことを感じる短編集。
紙の本
でも、そこには泥水をかき回したような余韻が残っている。
2009/02/23 23:06
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕は恩田陸の作品の中ではとりわけこういう作品が好きだ。あまり何も起こらない話。『黒と茶の幻想』とか『夜のピクニック』とか・・・。いや、そう言うと「決して何も起こらない訳ではない」と反論されそうだが、まあ、言うなればストーリーの展開で引っ張って行こうとせず、叙述そのもので引っ張って行ける小説。そして、それは恩田陸ほどの筆致がなければ決して書けない小説であり、僕はそういう「あまり何も起こらない小説」を書こうとする発想と勇気と力に脱帽するのである。
この小説も何がどうしてどうなるという話ではない。3部構成になっていて、高校時代の同級生である楡崎彩音、戸崎衛、箱崎一のザキザキ・トリオがひとりずつ語る形になっている。
彩音は小説家になっている。衛は大学時代こそ人気ジャズバンドのベーシストだったが、卒業後はあっさりと鉄鋼メーカーに勤める。一は逆にシネマ研究会の末端の部員から大手証券会社に就職し、不動産系の金融会社に転職したのち映画監督になる。
その辺の経緯がゆっくりゆっくり語られて少しずつ少しずつ明かされて行く。特に彩音の第一部は持って回った話の連続で読んでいてまどろっこしくなるほど。でも、それは必要な回り道なのである。
不必要な読み込みなのだけれど、読んでいるとどうしても恩田陸の自伝的な小説であるような気がしてくる。彩音が小説家になっているということが一番大きな要素なのだけれど、この小説の舞台は固有名詞こそ出てこないがどう見ても早稲田大学と早稲田通りであるし、在学中にジャズをやっていたことや、一旦一般企業に就職したという衛や一の章で語られる設定もまた恩田陸の分身であるように思えてくるのである。
ただ、そういう設定がどれほど恩田陸自身のものであるかには意味はなく、この雰囲気、この心理状態、この心象風景──それらを産み出したものが恩田陸であるというところに意味があるような気がする。それがどんな意味だかはよく解らない。
ただともかく、ここで語られる、あまり意味や位置づけが明確になっていないエピソードの積み重ねがすごいのである。ぼんやりとしたものがいくつ積み重なっても、そこにくっきりとした像が浮かび上がる訳ではない。でも、確実に質量は増すのである。
そして、何が起こるでもなく、それぞれの部が終わって行き、気がつくと小説自体も終わっている。なんだったんだ、このストーリーは? でも、そこには泥水をかき回したような余韻が残っている。
これはある種いつもの恩田陸の手法である。しかし、僕にとっては恩田陸の小説で初めて「どうだ、巧いだろう」感の残らない小説だった。いや、別に恩田陸がいつもいつも「どうだ、巧いだろう」と思いながら小説を書いていると言いたい訳ではない。それは恩田陸の問題ではなく、それを読んでいる僕の感性の問題なのかもしれない。ただ、いずれにしても、僕は珍しくこの小説では「どうだ、巧いだろう」という感じを受けなかったのである。そして、遂に恩田陸はそういう境地にまで達してしまったのか、と、ことさら溜息をついたのであった。
これは他の誰にも書けない小説であると思う。
by yama-a 賢い言葉のWeb
紙の本
書評詩 前夜祭
2009/02/18 08:16
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
青春とは、なんていう問題を
解こうなんて思いもしないし
解けるとも思いもしない
ただ それは そこにあっただけ
そこを過ぎていっただけ
もし 強いていうなら
前夜祭
必ず 終わるの来る
前夜祭
燃えさかる篝火のまわりで
踊っている女も
歌っている男も
やがて その篝火が消えてしまうことを
消えてしまえば みんな去っていくのを
わかっているのに
わかっているから
いつも それは
前夜祭
本があって
音楽があって
映画があって
女がいて
男がいて
男がいて
「繋がっているけど繋がっていない人たちの話」
どこにも謎なんてない
もし 強いていうなら
空から蛇が落ちてきたあの夏の日 と
聖フランチェスコの伝記映画
それが 前夜祭の開始の合図
それが 前夜祭の終わりの予告
青春とは、なんていう問題を
解こうなんて思いもしないし
解けるとも思いもしない
ただ それは そこにあっただけ
そこを過ぎていっただけ
もし 強いていうなら
物語
必ず 終わるの来る
物語
◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。
紙の本
恩田陸テイストの不思議な香りが印象に残る青春小説
2009/01/31 19:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
楡崎綾音(にれざき あやね)、戸崎衛(とざき まもる)、箱崎一(はこざき はじめ)。現在は社会人として活躍している三人の時間を、まるでアルバムをめくるような具合に巻き戻し、三人三様の青春時代を三つのパートに分けて並べて見せる構成の小説。
三人の思い出の心象風景が、話に出てくる三叉路(さんさろ)のように、そこではクロスしてつながっているんだけれど、そこからは別々の道に分かれて伸びているところ。三つの話それぞれに、ある共通の出来事、エピソードが登場し、おぼろにゆらめいている感じで話のピース(断片)としてはめ込まれ、全体の絵柄の一部になっているところ。三人の証言から再現された「青春の一コマ」の映像を見ている気がして、そのミステリアスな味わい、恩田陸テイストの不思議な香りが印象に残りました。
あと、第一部「あいつと私」のなかで楡崎綾音が語る本の出会い、本の思い出に、著者の姿がダブりました。<スティーヴン・キングの『ファイアスターター』が面白くてやめられず>とか、<(バイトしていた飲み屋のお客が)忘れもしない、半村良の『妖星伝』六冊組を貸してくれた>てところ。恩田陸と山田正紀の対談本『読書会』(徳間書店)でそのとおりのことが語られているんですね。だからかな。「綾音って、この登場人物の記憶は著者のそれでもあるなあ」と、そんな重なりも面白かったです。
紙の本
いらない。
2016/02/24 20:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:師走 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「夜のピクニック」な感じかなあと思い購入してみたけれど・・・
つまらなかった。
登場人物は好き。でもストーリーに惹かれない。
図書館で借りて一読すれば良かった。そしたら買わなかったのに。