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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.8 265件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2008.12
  • 出版社: 双葉社
  • サイズ:20cm/365p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-575-23649-1

紙の本

森に眠る魚

著者 角田 光代 (著)

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。—あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終...

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森に眠る魚

税込 1,650 15pt

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商品説明

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。—あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追いつめられてゆく。【「BOOK」データベースの商品解説】

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していき…。母親たちの深い孤独と痛みを凄みある筆致であぶりだした母子小説。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

角田 光代

略歴
〈角田光代〉1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。「対岸の彼女」で直木賞、「八日目の蟬」で中央公論文芸賞受賞。ほかの著書に「福袋」など。

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みんなのレビュー265件

みんなの評価3.8

評価内訳

紙の本

虚ろにたゆたう深海魚の孤独

2009/03/16 09:24

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タール - この投稿者のレビュー一覧を見る

 母親にとって、子育てという道のりの中で最も長く果てしなく感じられるのは、子供が乳幼児期にいる頃だろう。初めての出産と育児に戸惑いながらも懸命にわが子を正しい道にいざなおうと、「善きもの」を与えられる[善き母親]であろうとする女たち。答えのない子育てに答えを求めようとして悩み迷う不安な日々が、同じような悩みや迷いがあるように見える母親同士を、複雑に入り組んだ迷路の中でやっと見つけた人影を追うように追わせ、心細い魂同士を寄り添わせるようにして近づける。

 この本の母親たちもまた、積極的に、あるいはおどおどしながら、それでも子供のため、善き母親であろうとする自分のために声をかけ合い、付き合い始める。だが、急速に親密さを増しながら育っていく関係は、「ママ友」という一見健康的に見えるその裏側で、少しずつ姿形を変えていく。

 たとえどんな生い立ちだろうが、どんなキャリアを持っていようが、子供を産んだ女が自分に求められると感じるものは、「母親としての評価」でしかない。ここに登場する母親たちもまた、「母親同士」という要素の中でのみ付き合う関係の中では「本来の自分」というプライドがふと目覚めてもその発露する先が得られなかった。そこに受験という大きなストレスが起爆剤として関与した時、迷路の中で寄り添っただけの心細い魂同士の関係は持ちこたえられずに軋轢を生んだのだ。

 きっと誰のせいでもなく、もしかすると何かが起きたわけでもない。そうと知りながら奈落へ向かって落ちこんでいく自分を止められない女たちの焦燥と苦悩が、それぞれの負う環境や性格から否応なく生じるものとして、日常生活のリズムでリアルに迫ってくる。

「つねに正しいものを選んできたはずだった」し、「頑丈なまでのくり返しに疑問を持ちさえしなければ、日々がこちらをふり落とすこともしないと」と「知っている」はずなのに、いったい「何がどうなってしまったのか」「まるでわからない」まま、「こうするべきだと頭で考えることと、体が動いてしまうことの、あまりにも大きな溝」に引き裂かれていく女たち。

 恐ろしいのは、その究極の孤独感だ。理由のわからない焦燥に塞がれる心の内は、親にも旧知の友にも打ち明けようがないばかりか、良き伴侶である夫がたとえどんなに妻の様子に心を砕こうとしてもなお、「わかってはもらえない」という絶望感が先に立つ。

 母子の関係というものは、この時期、とてつもなく閉鎖的だ。自分の体から生まれてきた小さな命をすなわち自分の分身として感じる母親は、母親としての任務を遂行しなければと焦りながら、気付かぬうちに本能のままそこにいる幼い子供に自分自身を映し見、そして依存してしまうのではないか。時に抱きしめ、時に残酷なまでに突き放すのは、自己愛と自己嫌悪の果てに顕れる、母という名の女のどうしようもないエゴなのではないだろうか。
 この本の中で、母親たちは自分の子供に依存しながら私物化もし、操作しようともする。自分とは別の生き物であることを、この頃の母親たちに考え及ぶ余裕は少ない。そして、それは、母親間に生じた軋轢からくる弊害が、直ちに子供の身に及ぶということなのだ。

 子育てという道のりの中で、かくも深い孤独に落ち込んだ女たちは、いつしか深い森を一人さまよっていることに気付く。その時、声は遠いところからしか聞こえず、景色は暗すぎて見えない。鬱蒼とした森の中、無表情にたゆたうばかりの深海魚となった女たちを襲う得体のしれない圧力が、もがけばもがくほどその身を沈めようとする蟻地獄となって襲いくる時、「彼女」は底なしの恐怖からはいあがりたい一心で自分以外のものに原因を探し、標的を見据える。
「終わらせなきゃ。終わらせなきゃいけなかったんだ」
 見開いた目は、真っ暗なままの景色をうつすのか、それとも光はさすのだろうか――。

 5人の母親たちを含め、登場する女たちはみな、身近にいるようにも、あるいは自分自身でもあると感じられるほどの息遣いを持って描かれており、そのことが余計に、誰の心にも森のように深い闇があり得るのだと知らしめる。

 この本を、99年に文京区で起きた女児殺害事件を想起しながら手に取ったわたしは、むさぼるように読む、という体験を初めてしたように思った。子育ての最中の閉塞感と、それに拘わる母親間の複雑なしがらみを体験していたわたしは、事件の概要を知った時、罪を犯した女性の心理について思いつめた経験があるからだ。
 いつか決着をつけたいと望んでいた、自分の中に見つけた闇の空洞に押し込めるようにしながらむさぼるどころか丸のみするようにして読み、そして、泣いた。決着などつくはずもなく、闇は闇のままであっても、自分の中の深いところにとどまるしかなかったものが姿形を伴ってやっと表出した、その安堵感のようなものに泣けた。

 そもそもこれは小説だから、事件と直接結びつけて考えるべきではないのだろうが、閉鎖的になりがちな母子関係がもたらすひずみから多くの事件が起きているのは確かだ。孤独な心で森をさまよっているのは、身近な人かもしれず、もしかすると自分自身なのかもしれず、まずはそれに気付くことから始めなければならないと、この本は教えてくれているのだと思う。

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紙の本

ざわざわと泡立つような心地悪さ

2009/05/04 13:01

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読後に何とも言えないざらつきを覚えたのは自分の姿を見たからかも知れない。
 同じ私立幼稚園に通わせることで親しくなった母親たち。今流行りのママ友と呼ばれる付き合いは最初のうちは楽しかった。誰もが本当の友人を見つけたと思っていた。友情は続くと思っていた。しかし小学校受験をきっかけに歯車が少しずつ狂いだしていく・・・
 学歴なんて関係ない。子供はのびのび育てればいい。小さいうちから習い事ばかりさせるなんて可哀想。登場する母親たちもみんな最初はそう思っている。しかし受験という現実的な問題に直面したとき同じ考えだと思っていたママ友は突然他人だと気が付く。そして子供たちが試されているのではなく自分が試されていることを。
 母親の深い孤独感。それは決して癒されない。夫とも分かち合えないこの感情を誰かに吐き出すことができたならと強く願うが誰にも打ち明けることはできない。その絶望感と敗北感。作者はこれでもかというほど鋭くえぐりだしていく。幼いわが子のためという錦の御旗が次第に自分の人生を肯定するためにすり替わっていく。それに気付かずにひたすら突き進んでいく。そうまさに暗闇の森に突き進むように。しかしふと築いたときには周りには何も見えない。手を繋いでいたはずのわが子の姿もなく一人ぼっちでどうやってここに来たかも何処にいけばいいのかもわからず立ち尽くしている。そんな姿が痛いほどに描き出されている。
 これほどまでに心揺さぶられるのは自分の通った道だからだろうか?誰しもわが子の幸せを願う。それは社会的に成功するかどうかは決して問題にはしていない。しかしよその子と比べてしまうことは必ずある。自分の中でいくら打ち消してもそういう感情はなくならない。そしてささやかな満足感や敗北感を抱きそういう自分に嫌悪する。他人と比べることがなくなればどんなに穏やかに過ごせるだろう。しかしその気持ちは決して消えないのかもしれない。森の奥深く眠る魚のようにひっそりと。

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紙の本

なんていうか、人間て孤独なんだなあ、救われないなあ。主婦って、こんなふうに孤立していたかなあ、私はそうじゃなかった気がするけど、でも、もしかして・・・

2009/05/26 23:06

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

院展をご存知でしょうか。日本画の団体展の一つで、人気作家を抱える、という点で評価するならば現在もっとも勢いのある団体です。無論、裾野の広さでは日展というマンモス団体がありますし、型にとらわれないというところで見れば創画会があるんですが、関係者以外の入場者数でいけば、一番かな、なんて私は思うんです(あくまで会場の印象です)。

で、実際に会場で作品をご覧の方であれば、角田のこの本のカバーを見て「これは小田野尚之の日本画ではないか」と錯覚するのではないでしょうか。道と樹木の置き方、木々の緑の色、全体のバランス、やっぱり小田野さんだ、って思ったらカバー写真 佐々木知子、とあります。れれれ? ブックデザイン 鈴木成一デザイン室は、分かるんだけど・・・

でです、角田光代の新作、っていうのは分かるんですが「双葉社」っていうのが?です。おまけに、「本書は「小説推理」2007年11月号~2008年10月号に連載された作品に加筆訂正したものです。」ってある。角田光代と「小説推理」が結びつかない。

タイトルも『森に眠る魚』って、何となく森の中、例えばカバー写真の小暗い道の向こうに、殆ど波風も立たないようなヌメっとした、魚がいるかどうかも分からない不透明で油を思わせる水を湛えた沼があって、そこには きゃ~! とまあ浮き足立つわけですよ、私は。

閑話休題。舞台となる町の具体名は出てきませんが、地下鉄の駅に近く、新宿にも渋谷にも池袋にも30分もかからずに行ける、とあるので中央線沿い、荻窪・西荻あたりだとおもうのですが、どうでしょう。ま、坂がある、っていうのがそっち方面ではなくて、山手線の中、って思いもするんです。

でも、あんまり収入のなさそうな夫妻がマンションを買っている点からすれば、違うかな、って。ただ、東京近郊に住んでいて、交通手段として外を見ることが出来ない地下鉄を利用しない私には、移動手段=JRなんですが、地下鉄を考慮に入れれば角田が行っていた大学の近く、たとえば文京区あたりも、上野や浅草あたりも条件を満たすかな、なんて思います。

で、お話ですが、小学校受験を扱っています。たまたま幼稚園が同じことになった五つの家族。家族構成、職業、学歴、考え方、収入も違う、でも、子どもが同じ幼稚園に通う、近所に暮らしている、それで親しくなります。裕福な家庭を見ては単純に憧れ、そういう人と親しくなれたことを素直に喜ぶ。人と付き合うことが苦手だった主婦は、苦しみから解放されます。

そして家の行き来が始るのですが、そのまま公立小学校に進むのか、私立を受験するのか、といったあたりから不協和音が聞こえ始めます。具体的には、五人の主婦に対してフリーライターの「お受験」についての取材が入ったことがきっかけです。五人はその時まで、特に確たる考えをもっているわけではなかった。

ライターの言葉に反発したり、仲間の意見を聞いているうちに思ってもいなかったことが口から飛び出す。本人だけではなく、周囲もそれに驚き、過剰に反応し疑心暗鬼にとらわれていく。そういうお話です。犯罪こそ起きませんが、行く先の見えなさはまさに「小説推理」に連載されてもおかしくないものです。

そういえば、私も公団暮らしが長くて、娘を産んでから下の娘が高校に入る直前まで賃貸生活をしていたのですが、幼稚園、小学校と付き合っていた仲間たちとも、中学進学を境にして行き来がなくなりました。流石、東京暮らしではないので、小学校に入るというお受験は、周囲に殆どいませんでしたが、中学では結局誰一人として同じ学校には行きませんでした。

同じ公立でも、学区を替えて悪い噂のある学校を避けた人、大学受験の苦しさから子どもを解放させようと大学までのエスカレーター校を選んだ人、うちのようにその中間である中高一貫の受験校に子どもを入れた人、スポーツの才能を伸ばそうと水泳で有名な学校に子どもを進学させた人、彼女たちはそれを機会に、長年暮らした公団を出て、家を建てマンションを買い、親元に戻り、引っ越しをしていきました。

もしかして、その背景にこの小説のようなことがあった・・・。それは分かりません、ただ私が気付かないだけだったのかも知れない。でも、これだけは言えます。私はもと住んでいた公団から500m移動しただけで、今もそこに暮らす人々とかかわりをもたなくなり、引っ越した人たちとは賀状のやりとりしかしなくなっている・・・

だからこの話を読みながら、辛くて仕方がなかった。子供たちを中心に、毎日のように砂場で遊び、話し合い、行き来していたあの時代は二度と戻らない、っていうことを見つめるのが怖かった。だからかもしれません、私は過去を振り返らない。まだまだ前を見て生きていく・・・

最後はその五つの家族の紹介です。年齢は五人が出会った1996年のもの。あだ名は、繁田繭子がつけたもので、全員がもっているわけではありません。それから、ご主人たちは自分の奥さんと会話するということで登場はしますが、彼らが奥さんたちの付き合いの場に参加することはありません。

繁田繭子・祐輔:繭子は27歳。娘怜奈を97年に生みます。階層でいえば、下の上でしょうか。相続する予定のお金で、築5年のマンションを購入したものの、あてにしたお金が入らず、生活は苦しい。夫は朝早く家を出て、夜の帰りは九時頃とあるが、詳細は不明。技術を持っているようでもないので、中小企業の営業といったところか。ただし、繭子にはパートに出る、という気はない。切り詰めた生活で、イメージ的にはヤンキー。繭子は、かおりをマダムだと思う。

久野容子・真一:あだ名は「よーたん」。息子の一俊は三歳で、聖栄幼稚園に入ることになる。階層でいえば、中の下。ある意味、もっとも平均的な人妻だが、友だち作りが下手。坂の途中にあるマンションにクラス。夫の真一は調理器具メーカーの営業。

高原千花・賢:あだ名は「千花りん」。息子の雄太は二歳で、聖栄幼稚園に入ることになる。階層でいえば、中の上。娘・桃子がいる。大通りに面した真新しいマンションの12階に住む。社交的で華やかな人柄。スポーツクラブに行ったり、ある意味、私にとっての理想。賢は二歳年上で、造園・エクステリア専門の設計事務所の経営者。

小林瞳・栄吉:あだ名は「コバちゃん」、33歳。息子の光太郎は三歳で聖栄幼稚園に入る。一歳になる茜という妹がいる。階層でいえば、中。千花のマンションと同じ通りに面した少し古めのマンションに住む。宗教団体の幹部である夫の反対で仕事はしていないが、ひまわりプロジェクトというボランティア活動に参加。容子同様、人付き合いが苦手。

江田かおり・護:あだ名は「マダム」。娘は衿香で、もうじき小学生(1997)になる。階層でいえば、中の上。繭子が住むことになったマンションの6階に住む美女で、五人の中では最も裕福。護の職業は不明だが、休みがなかなか取れない、でも二三日なら何とかなる、というあたりは普通のサラリーマンだろう。気分的には一部上場の会社だろうか。

女性必読のお話です。

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紙の本

森から抜け出せない。

2010/10/09 11:28

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

森に眠る魚 角田光代 双葉社

 幼稚園とか小学校受験を巡る主婦たちの葛藤です。電車通勤をしていると、まだ体の小さい男の子や女の子たちが、黒や赤のランドセルをしょって、午前7時過ぎぐらいに通勤・通学電車に乗り込んできます。彼らは私立の学校に行くものとして生まれたこどもたちであろうと考えます。頭脳明晰で行動はすばやい。将来のエリートなのでしょう。だからといって、自分のこどもを私立小学校・中学校に行かせようと思ったことはありません。それぞれ別の生き方をしていく人間なのです。
 この本では、当然私立幼稚園・私立小学校・私立中学に行くとして生まれてきたわけではない5人のこどもたちの母親たちが、表面上はママ友、裏ではライバル視というゆがんだ心理状態のなかで、混乱の渦潮へと巻き込まれて沈んでいきます。狭くて苦しい世界です。不倫相手の姿はあっても夫の姿はありません。家庭やこどもが、経済的・学力的に合否のボーダーラインのすぐ上や下にいるときは無理しないほうがいい。3歳から5歳ぐらいのこどもは元気であればいいのです。
 だれがだれを殺すのか、あるいはだれがだれのこどもを殺すのか。ラスト付近は不気味です。森に眠る魚とは、魚は水の中にいるべきなのです。それが森にあがってきたらそこにあるのは「死」です。この物語では、死ぬ一歩手前で、魚は眠っているのです。
 こどもがちいさいうちは仲良しでも、だんだんそれぞれに格差が生じてきます。母親たちは不安を解消するために仲良しごっこを始めます。依存心が強く自立できていない女性もいます。同じマンションだから、近所に住んでいるから、同じ幼稚園だからといって親友になれるわけではありません。読み手は、それぞれの個性を読み取りながら、こういうおかあさんって実在すると考えます。人が集まればそのうちのだれかがいじめや仲間はずれの対象になります。仕事でもないのに毎日顔を合わせていると、だれかや、なにかを批判する話題しか出てこなくなります。そして、彼女たちの考えには、自分自身がこどもを預けて働くという選択肢はありません。それぞれがそれぞれに「負担」をかけることばかりです。欲望には限界がありません。出口のない問答が続いて、頭がおかしくなって、孤独が襲ってきます。どこへ逃げたって一緒という声が聞こえてきます。作者によるたたみかける仔細(しさい)な考えの押し出し文章は強烈で、天性の文才を感じます。作者が真剣に文章を書いていることが伝わってきます。

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ママともだちの闇

2010/03/01 17:15

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:北村 佳澄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 怖い。中途半端なホラーなんかより、よっぽど怖い。
おばけより、幽霊より、怖いのは人間だと聞くけれど、人の心というのはどうしようもない闇を抱えているものだ。
 育ちも経済状態もさまざまに違う母親同士が、子どもが同じ年頃である、という共通項一つでさも親しいかのような友人関係を築いていく。馴れ合っている間の空気は、春のうららかなひざしのように心地よい。だからこそ、それがどす黒く変色していく様は恐ろしい。
 きっかけは、ほんのわずかなすれ違い。一つの歯車がずれただけ。
小さなひずみが少しずつ、少しずつ、闇をおびき寄せる。
 これは現実ではなくフィクションなのだから、と祈るように思いながら、怖さを払拭することができないのは、きっと真実が秘められているから。ママともだちの心地よさと気疲れを知っている者なら、この闇の深さが身体の芯で実感できてしまうのではないでしょうか。
 息苦しくて、狂っていく自分を救えるものは誰もいない。
 堕ちるところまで堕ちたとき、真に守るべきものが何であるか、自分自身と向き合って見出していく以外には、救いなんて訪れないのだろう。

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紙の本

5者5様の母模様

2023/04/01 19:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

子育てを通じて友好的だった5人の女性の関係が、あっという間に亀裂が入っていく様子がリアルです。お受験からマウントの取り合いまで、様々な世相が反映されていました。

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2008/12/22 22:46

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2008/12/23 15:28

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2008/12/29 12:20

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2009/01/08 23:30

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2009/01/10 23:08

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2009/01/19 21:11

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2009/01/22 17:50

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2009/02/04 01:55

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2009/02/13 12:42

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