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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.7
- 出版社: 幻冬舎
- サイズ:20cm/207p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-344-01544-9
紙の本
奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録
著者 石川 拓治 (著),NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班 (監修)
農薬も肥料も使わずに、たわわにりんごを実らせる農家。ニュートンよりも、ライト兄弟よりも偉大な奇跡を成し遂げた男の、長く壮絶な闘いの記録。NHKテレビ番組の内容に大幅な取材...
奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録
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商品説明
農薬も肥料も使わずに、たわわにりんごを実らせる農家。ニュートンよりも、ライト兄弟よりも偉大な奇跡を成し遂げた男の、長く壮絶な闘いの記録。NHKテレビ番組の内容に大幅な取材を加えて書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
石川 拓治
- 略歴
- 〈石川拓治〉1961年茨城県生まれ。ノンフィクションライター。著書に「ぼくたちはどこから来たの?」「あきらめたから、生きられた」「国会議員村長」など。
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紙の本
これは単なる農業の話ではなく、起業です。
2009/01/23 19:57
16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブライアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは単なる農業の話ではなく、起業です。それも既存の常識を劇的に転換した、革命的な出来事を青森の片田舎のリンゴ農家がやったという、とんでもない物語なのです。主人公は木村秋則さん、歯がまったくない、でもいつも笑顔なおじいさんです。
本を読む【Before】
・リンゴなんて変わり映えしない果物で何が奇跡なんだろう?
・農業だから、まぁ将来的には関わることはあっても、
今すぐ必要な話ではないか。
本を読んだ【After】
・これは、すべての働く人たちが読むべき、人生譚だ!
・常識を打破するところに、新しいビジネスが生まれる。
起業家として、勇気づけられた。
まず前提の知識として知っておいてもらいたいことは、リンゴの栽培過程において農薬が不可欠となっている“常識”です。リンゴは18世紀はみかん程度の大きさで、酸っぱかったり固かったり、それほど好まれて食べられていたものではありませんでした。それが明治時代に西洋リンゴが入ってきて品種改良が加えられ、現在のような甘い大きな果実になったということです。そんな甘い大きな果実を害虫が放っておくわけがありませんから、農薬を使わざるを得ない果物として「無農薬のリンゴ」は不可能であるというのがこれまでのリンゴ農家の常識でした。
>木村が経験したことは、すでに100年前の先人たちが
>経験していたことでもあった。はっきり言ってしまえば、
>焼酎やワサビを散布したくらいで対処出来るなら、誰も苦労しない。
>明治20年代から約30年間にわたって、全国の何千人という
>リンゴ農家や農業技術者が木村と同じ問題に直面し、
>同じような工夫を重ねてきた。何十年という苦労の末に、
>ようやく辿り着いた解決方法が農薬だったのだ。
この辺りの試行錯誤に関する取り組みは、起業家と共通するものです。あるアイディアを思いつくと、それは世の中を変える画期的なものだと安易に考えてしまうのはオイラ自身も経験のあることですが、世の中には同じようなことを考えている人は絶対に存在します。それがなぜ出来なかったのか、結局現状はどうしてこうなっているのか、そのような形でゼロベース思考まで到達しなければいけないという示唆に富んでいる内容です。
>肥料というものは、それが化学肥料であれ有機肥料であれ、
>リンゴの木に余分な栄養を与え、害虫を集めるひとつの原因
>となるということだ。肥料を与えれば、確かにリンゴの実は
>簡単に大きくなる。けれど、リンゴの木からすれば、
>安易に栄養が得られるために、地中に深く根を
>張り巡らさなくてもいいということになる。
>運動もロクにしないのに、食べ物ばかり豊富に与えられる
>子どものようなものだ。
リンゴの果実はそのまま人間にも当てはまります。我々は豊かな経済社会を手に入れて果たして幸せになったのか?幸せと胸を張って答えられる人がどれだけいるのでしょうか?ここまでの考えに至るまでに、木村さんは40年間の壮絶な試行錯誤を行なっています。『私はリンゴの葉と、自分の歯を引き替えにしたんです』と語る木村さんの姿に、読者は感動を覚えることでしょう。機会があれば、木村さんのお話を聴きに青森まで行ってみたいものです。
紙の本
夢をかなえるために耐える。
2011/01/15 09:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
奇跡のリンゴ NHK 幻冬舎
どうして、四角張った硬い文章構成にしてしまったのだろう。NHK番組「プロジェクトX(エックス)」のナレーション口調で全体が筆記されています。主役である青森県岩木山の麓(ふもと)で無農薬によるりんご栽培に成功した木村秋則さん50代後半とは無関係な記述が多い。景色の描写、リンゴの歴史、キリスト教の宗教観(聖書に関する記事)、時代背景、やがてわたしは、その部分は読み飛ばすようになりました。テレビという聴覚で体感するときには心地よい口調も本という視覚で体感する読書では成功しない。他の書き方があったと思うのです。
もっぱら、木村さんの言葉を拾い読みしました。馬鹿だから生きていける。笑うことで生きていける。りんごの樹(き)に自分で生きていくように仕向けていく。農薬の力に頼らずに山野の樹木のように、育っていく。それは周囲との協調があって成り立つ。虫も鳥も動物も互いが生命を維持していくために存在している。
家族や親族に借金で迷惑をかけて、ようやくたどりついておいしいりんごをつくった。だけど、りんごは売れない。
後半にある大阪駅の駅員さんとのやりとりとか、大阪城公園の自由市場での柿農家との出会いをきっかけにしたファンの広がり部分は感動します。
福岡正信著「自然農法」、有機農法とは農薬の代わりに昔ながらの人糞を使用するものという思い込みがありましたが違っていました。土とか木の根にこだわりがあります。実験、知恵、根気の繰り返しで、たくさんのりんごの木を枯らしながら10年近くかけて笑顔にたどりつきます。親族からの借金話は身にしみます。
木を始めとした植物と会話をする木村さんは素敵です。太古のりんごと農薬でつくられた現在のりんごとはまったく別の果実だそうです。味がおおきく変化しているそうです。当初、木村さんのりんごはピンポン玉ぐらいの大きさだったそうです。でも食べるととてもおいしいのです。果実も人間も見た目ではない。中身が大事です。
紙の本
真の科学者!
2016/02/06 04:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:M マサ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いきなり、失礼かも知れないが、一人の変人の話だ、しかし、現代社会に欠けている何かを、感じる事になる。歴史を見ても、変人と呼ばれる科学者が世の中に貢献する事が多い、世の中の常識が一般人が間違った方向に向かう時に、変人が一人現れて、歴史に残る科学者が生まれているのかもしれない。そして、世の中が動き始める切っ掛けになる。
農薬で奥さんの体調が悪くなる事から、農薬を使わないリンゴに挑む事になる、しかし、想像以上にこの難題のレベルが高い事に気が付いたのは、後にも引けない状況からだ、自身を責める意味で、自殺を考え山に登る、そこで見る、幻のリンゴの木(ドングリの木)。を見て、ひらめく!
ドングリの木が、そこに有るのは、その年に降った雨の量、湿度や温度、あるいは周辺の植物との関係、そういう条件が、ドングリに適していた、自然がドングリを受け入れた。
リンゴは、植えたのは人で、必要としているのは人で自然の摂理に従うなら、枯れるしかない、そのリンゴの木を生かすのは、人間の都合だ。
農薬を使うとリンゴの木は、病気や虫と戦う力を衰えさせ、人間も病気や虫に弱くなる、虫を眺めると、自然は不思議なことだらけ、病気も自然の一部なのだ。
無農薬を始めた、800本のリンゴの木は、400本に、8年目の春に、1本のリンゴの木から、7つの花が咲いたそのうち2つが実をつけ、収穫したリンゴはたったの二つだった。
そのリンゴを家族全員で食べ、驚く程の美味しさ、こんなリンゴを食べたのは初めてだった。
そして、その秋に、畑を埋め尽くした、満開の花を見て、この花を咲かせたのは、私ではなく、リンゴの木だと、リンゴの木のお手伝いをしただけだと、それが解るのに長い時間がかかった。
木村は、学者ではないと、学者ならリンゴの木につく一種類の虫の生態を研究するだけで一生を終える事も出来るが、百姓は、それじゃ出来ない、百姓は百の仕事という意味なんだ。
著書は、木村を取材するために、農業の専門家や生態研究者等に話を聞いているが、その取材で得たどんな最新の知識を披露しても、木村にはかなわない、その知識は自分の畑作業から得ていた。
1991年の秋に、青森県を台風が直撃し、リンゴ農家が壊滅的な被害を受ける、県内のリンゴ被害額だけで、742億円にのぼったが、木村の畑の被害は極めて軽かった。この強固なリンゴ畑は、自然とリンゴの木と、木村という人間の合作。
最後に、枯れたリンゴの木を調べて、枯れかけていたリンゴの木に、「枯れないでくれ」と、頼んで回った時期が合った、声をかけていない、リンゴの木が枯れていた、木村はそれを今でも、後悔している。
自然の手伝いをし、その恵みを分けてもらう。それが、農業の本当の姿だと。そして、アメリカ、ソ連の集団農場が今、どうなっているか、大規模農法地帯は、どんどん、砂漠化している。人間は自然から離れて生きていく事が出来ない。
非常に深い内容になっている、現在日本はTPPで、グローバル化が進み始め、木村氏が薦める貴重なローカル産業が、守れるか非常に不安なところはある、しかし、海外にも依頼を受け無農薬農業を広める活動は、地味ながらも応援したい。
私は、この著書を読み、全く違う世界を考えていた、世界で何故、戦争が起きて要るか?IS等がテロを広げるか? 木村が作るリンゴ畑を見てもらいたい、無数の生物が共存している事、そこの社会(畑)には、台風が来ても、守りきれる生命力が共存している。地球を守る為には、核等要らなく、無数生物(人種)が共存する社会(畑)が、必要なのでは無いのか?
非常に、いい著書です。お勧めです。
紙の本
周りの支えもあったのだろうけど、やっぱり木村さんの人柄なんだろうな!
2008/08/19 09:02
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞で見掛けた「りんご農家・木村秋則さん」の屈託のない笑顔。この笑顔の裏側にどれほどの奇跡が隠れているのか、とても興味を抱いた。
農業は全く分からなかったが、本書によれば、りんごというのは他の植物以上に農薬の恩恵が大きい様で、これを無農薬で行うということは常識破りも甚だしいことの様である。
しかし木村さんは、結果的に全資産を投じて立ち向かっていった。通常一軒がこんなことを始めると、近隣の畑から苦情が殺到しそうであるが、決して手を抜いている訳ではない木村さんには苦情も言い辛い状況ではあった様だ(ただ結局、この手入れが木村さんを長く苦悩の道へ追い込んだのだが・・・)。この試みを長年続けると、収入源であるりんごの収穫が出来ず、家計への圧迫も凄まじかった様だ。子供の学費にも影響を及ぼしだした時、木村さんはひとつの決意をした。
その決意の中で見出した「偶然」、これはひたすらりんごの無農薬化を考え抜いた人にしか決して見出せないものであったのだろう。木村さんは思わず土を口に頬張った様だ。
木村さんの頑張り、家族の支え、周囲の理解、色々な要素が噛み合わないとこの様な奇跡は生じないだろう。ただ言えるのは、家族なり周囲の理解を得られたのは、他でもない木村さんの人柄であり、努力なのだと思う。
色々な意味で自分にはないものを感じた。努力が必要なんだよな。何事も!NHKの映像を見てみたいね。