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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.7
- 出版社: 集英社
- サイズ:20cm/307p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-08-781390-6
紙の本
夏から夏へ
著者 佐藤 多佳子 (著)
北京オリンピックの栄光に向けて、それは大阪世界陸上から始まった−。「一瞬の風になれ」の著者が、アスリート達の熱きバトンのドラマを、400mリレーを実際に取材し書き下ろした...
夏から夏へ
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商品説明
北京オリンピックの栄光に向けて、それは大阪世界陸上から始まった−。「一瞬の風になれ」の著者が、アスリート達の熱きバトンのドラマを、400mリレーを実際に取材し書き下ろしたドキュメンタリー。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
佐藤 多佳子
- 略歴
- 〈佐藤多佳子〉1962年東京都生まれ。「サマータイム」で月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。「一瞬の風になれ」で吉川英治文学新人賞、本屋大賞受賞。ほかの著書に「しゃべれどもしゃべれども」等。
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紙の本
息するのも忘れるスポーツルポ
2008/08/12 13:09
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉川英治文学新人賞、本屋大賞を受賞した
『一瞬の風になれ』で高校生の短距離走者を描いた佐藤多佳子。
その彼女が2007年世界陸上大阪大会の
4×100mリレーのルポをします。
日本で真夏に陸上競技なんてしなくてもいいんじゃないか
(しかも大阪!)と思って、あまり注目していませんでした。
それは北京五輪も同じなんですが。
なんでこんな暑い所で開催するんでしょうね。
もっと涼しい地域ならタイムもいいのでは?
しかし会場となった長居競技場はトラックを一周する
追い風があるという競技場。
この4×100mリレーの時も神風が吹き、記録が更新されました。
(もちろん2m以上の風ですと、記録になりません)
記憶に新しい日本新記録とアジア新記録を塗り替えたレースです。
しかも決勝ではアジア記録を更に更新。
そのレースを描く第1部は読んでいても緊張の連続。
わかっていてもあまりにもしんどい選手たちの精神状態と
レースの迫力が伝わってきます。
第2部ではこのレースを制した塚原直貴、末續慎吾、
高平慎士、朝原宣治と、リザーブの小島茂之の
日常生活と練習をレポートします。
前半の緊張がほぐれて、ちょっとホッ。
タイトルの「夏から夏へ」はもちろん「大阪から北京へ」。
この4人のレースはぜひ見たい。
(小島さんが代表に選ばれていないのは悲しいですね)
オリンピックに間に合ってよかった。
この本を読まなければ、見逃すところでした。
男子4×100mリレーは8月21・22日です。
今度こそ、メダル! と期待せずにはいられない。
紙の本
「一瞬の風になれ」より面白い
2008/09/26 21:10
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
佐藤多佳子さんは陸上青春小説「一瞬の風になれ」で吉川英治文学新人賞や、本屋大賞を受賞した。全3巻を読んだ時、走るシーンの臨場感溢れる描写に魅せられ、特にリレーについては「なんだ、この自分が走っている感覚は?」と舌をまいたのだが、こういうことか、と納得した。
長期にわたる綿密な取材の成果というだけでなく、彼女の適性は小説よりむしろ、ノンフィクションにあるように思う。とりわけ人物の描き方にそれが顕著だ。「一瞬の風になれ」だけでなく「しゃべれどもしゃべれども」「サマータイム」どの作品を見ても、佐藤さんの描く人物は格好良すぎる。優柔不断で地味という仮面をかぶらせても、やはり格好良い。理想なのだろうなと思う。
計算し作り込まれた人物よりも、現実の人物のほうが味わい深く説得力がある。小説家としては悩ましい問題かもしれないが、生身の人間にどこまで切り込んでいけるか、その点で佐藤さんの筆が冴えている。
肝心の内容だが、これがとても面白い。
「第一部 世界陸上大阪大会」「第二部 スプリンター」の2部構成になっており、第一部では、38秒03のアジア新記録を出し5位となった世界陸上大阪大会での予選、本選の戦いを、第二部ではそれぞれのスプリンターの生き様を描いている。
第一部では特に、第一走者から第四走者まで、順にスタート前の内面に切り込んだ部分が興味深く、第二部では何といっても4継のリザーブメンバー小島茂之の章が読み応えがあった。
リレーって、面白い。ただ足の速い人を4人集めただけでは勝てないのだ。各人を走力と性格に適したポジションに置き、全員の調子を等しく上げていかねばならない。何より、超高速のバトンパスが3回。この成否がタイムおよび順位に大きな影響を与える。
バトンゾーンのどの位置でバトンを受け渡すのか、その為に次走者はいつスタートするのか。次走者のスタートが早すぎれば前走者が追いつけずバトンが渡らないこともありえる。反対にスタートが遅くバトンが詰まれば大きなタイムロスとなるし、最悪バトンを落とすかもしれない。
ちなみに、代表4継の主とも言える朝原宣治が常に4走をつとめるのは、彼が不器用でバトンパスが下手だからだと、冗談交じりに恩師が言う。「もらって走ることはできるけど、持って渡せない」タイプなのだと。
4継は、“信頼”の競技だ。(p48)
作者の想いが、この言葉に凝縮されている。充実の一冊だが、ものすごく惜しいのは、北京五輪での劇的な銅メダル獲得を織り込むことが出来なかったこと。
出版社もまさかオリンピックでメダルが獲れるとは思わなかったのだろう。大会前に出版してオリンピックブームにのって売り上げ倍増、さらに本書を読んで4×100メートルリレーに興味と期待を抱いて、盛り上がってオリンピック観戦! という思惑があったに違いない。正しい戦略だと思う。いや、だったと言うべきか。
結果を知ってしまった今となっては、後一歩、食い足りないと思ってしまう。読者は贅沢なものだ。
紙の本
長距離走者がわたしたち
2010/04/03 20:36
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏から夏へ 佐藤多佳子 集英社
佐藤多佳子さんの作品でまず思い浮かぶのは、「しゃべれどもしゃべれども」そして、「一瞬の風になれ」です。「一瞬の風」はたいへん素晴らしい作品です。読まれることをお勧めします。そして、「一瞬の風」の下書きになったのが、この本「夏から夏へ」だと思うのです。両者とも短距離に強いスプリンターたちによるリレーのお話です。違うのは、「一瞬の風になれ」に登場する短距離ランナーは架空の選手です。「夏から夏へ」は実在の短距離走者たちです。彼らは朝原宣治さん、末續慎吾さん、塚原直貴さん、高平慎士さん、小島茂之さんなどです。「夏から夏へ」というのは、世界陸上大会が開かれる時期である夏から夏へという意味でしょう。
私はこの本を読んであまりいい評価は出せませんでした。たとえば、この本を登場する選手自身が読んだら違和感があるのではないでしょうか。また、陸上競技をしている人やしていた人はどう感じるのでしょうか。作者自身も陸上競技の経験はないでしょう。いっぽう、天性のスピードをもった彼らの生活ぶりは常人の生活とはかなり異なることがよくわかります。油ものは食べずに低い体脂肪を維持するという体の管理、時間の感覚、「記録」という限界への挑戦、作家である作者も含めて一般のサラリーマンの生活とは違います。
本の内容は、「一瞬の風」の取材メモのようです。筋肉の話が多く、写実的です。選手をとりまく家族、恩師の支えがある反面、ひとり競技の孤独も存在します。
スポーツライターという職業の人たちの文章運びは、「おだてる」「もちあげる」「根性ものに仕上げる」という傾向があるような気がします。それらは、実際とは違うと感じるのです。
一流スポーツマン選手は、人生の前半で運をほとんど使い果たす人たちです。サラリーマンは40年ぐらいの長いマラソンをストレスに耐えながらとぼとぼと歩き続けています。家族のみなさん、どうか定年退職を迎える名も無きおとうさんの忍耐とがんばりを祝福してあげてください。変な感想になってしまいました。