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商品説明
けっこう熱血な営業チーフ、古臭い二枚目顔の施工監理部、掟やぶりのヒラメキ型デザイナー。彼ら“魔のトライアングル”と同僚たちが織りなす内装会社の愉快でアツい日々のお仕事。【「BOOK」データベースの商品解説】
けっこう熱血な営業チーフ、古臭い二枚目顔の施工監理部、掟やぶりのヒラメキ型デザイナー。彼ら“魔のトライアングル”と同僚たちが織りなす、内装会社の愉快でアツい日々を描いた短篇集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
女神の呼び名 | 5−39 | |
---|---|---|
魔のトライアングル | 41−75 | |
夢破れて | 77−112 |
著者紹介
山本 幸久
- 略歴
- 〈山本幸久〉1966年東京都生まれ。中央大学文学部卒業。2003年「笑う招き猫」で第16回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。著書に「渋谷に里帰り」「美晴さんランナウェイ」など。
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紙の本
カイシャっておもしろくて楽しい!
2008/08/02 17:25
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
『凸凹デイズ』『渋谷に里帰り』など
山本幸久のお仕事小説はしんどい仕事を
ユーモアのあるドタバタと力技でやっつけ
暖かい読後感を残します。
本書もその流れをくんでいます。
内装会社が舞台となり、そこに勤める人々の
お仕事ぶりを描く8つの連作短編。
内装会社勤務の経歴をもつ著者なので
リアルな出来事なんでしょうね。
強面でぶっきらぼうな営業の高柳。
自分勝手な天才デザイナーの隅元。
会社に住んでいるとしか思えない施行の篠崎。
この三人が中心となりながら
高柳の人気の妬む同期の江沢に、
へなちょこな部下橋本と石渡。
マドンナ的存在の小田弘子に
会社の主となっている大屋時枝。
社長の巨瀬(こせ)など多彩。
店舗の内装を請け負う中小企業ながら
そこそこ実績があり、失敗しながら
顧客の意向を無視しながらも
なんとなく会社が続いていくのがおもしろい。
物語が進むにつれ、会社創立のドタバタも
明らかになってくるのですが
高柳たちの無茶苦茶ぶりとともに
仕事ってまじめにやるところと遊ぶところとが
まじりあっているもんだね、だからおもしろいんだね
と納得させられます。
それと同時に、会社務めだからできる無茶ともいえます。
付け加えて、大家の存在が気に入りました。
一見、お局様のようでいて、懐が大きい。
経理もなにもない会社を独学で学んだ会計知識と
法務知識で守ってきた彼女が縁の下の力持ち。
こういう人をきちんとキャラ立ちさせるのがうまいですね。
紙の本
会社だって楽しい、そう思える人生はもっと楽しい
2008/09/30 23:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜか連作短編集が大好きです。
ひとつひとつの話のまとまりや、1冊を通しての風通しが良いものに出会うと嬉しくて、
読み返すのに便利なよう、文庫化と同時に再び購入することも多い。
この本も、そうなりそうです。
内装を請け負う会社で働く面々。
ひとまず社長を含む8人の物語です。
強烈な個性を持つ者あり、強面ながらなぜだか皆に慕われる者あり、それを妬む者あり…。
独りよがりだったり、いいかげんだったり、それがまた滑稽だったり。
テンポの良い文章と、登場人物たちのあけっぴろげな態度に、クスクス笑いっぱなしでした。
なにかしら問題のある若手が成長していく姿や、
よき時代を引きずって前に進めないでいる上司の苦味が、意外なほど丁寧に描かれてもいて、
おそらくどの世代が読んでも、どこかに共感できるのだと思います。
ひとつの会社に長く勤めることが、以前より少なくなった今、
「なぜその会社でその仕事を」という疑問や選択は、
とても身近で切実なものになっているのではないでしょうか。
小説のように笑い飛ばしてしまうには、あまりにも理不尽なこともあるし、
やる気があっても、職場を去らなければないない場合もある。
それでも「なんだかんだ言っても良いこともあるし、また明日も頑張ってみるか」と思える、
そういう明るさがたまりません。
苦味も知ったうえで笑い飛ばせるのは、やはり強さです。
この著者の作品で、まだ読んでいないものがいくつもあります。
もったいない、すぐに手に入れねば。
小説も、そんなささやかな喜びに溢れています。
紙の本
奥田さんや荻原さんに対する挑戦状的作品?
2009/02/19 19:08
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
別冊文芸春秋に連載されたものを改稿し単行本化。
物語の舞台は内装会社ココ・ファーム。
そこで働く人々(社長も含め)の日々の出来事を綴った8編からなる連作短編集。
奥田英朗さんの『ガール』や『マドンナ』系の小説と思いきやちょっと違う。
ちょっと辛辣に書けるのは奥田さんに軍配を上げざるをえないが、山本さんはひとりひとり登場人物のキャラを立てて読者に親近感を持たせるのに成功している。
一方荻原さんが描くとキャラがおとぼけすぎてしまう。
山本さんの描く人物はちょうどいい匙加減。
その分、ちょっと主題がぼやけてどうなんだろう、『カイシャデイズ』という名のような仕事としての厳しさに欠けている嫌いはあるのであろうが。
そこはコメディとして割り切って読んでくれと作者に押し切られそうだ(笑)
いきなり飲み屋を梯子するシーンからはじまります。おい大丈夫か?
その後いろんな登場人物が入れ替わり登場。
まあ一応主人公は高柳さんかな、でも私の大好きな『凸凹デイズ』のように感動的な作品じゃないのでちょっと評価は下げざるをえなかった。
でもそれなりに楽しめます。それは読者の身近にいる人に似た人を探し出せるからですね。
そう、山本さんの登場人物は誰もが憎めない人ばかりなのです。
一例として高柳チーフが小田さんにのめり込まないところ。
そして頻繁に出てくるミスタードーナッツ。
あんまり空腹時に読めませんわ。
なにっ、ミスドを食べながら読んだら最高?
おっしゃるとおりです。相武さん!(ちょっと脱線!相武紗希ミスドのCMに出演中)
実はこの作品は男性向けだと思っている。
なぜなら、登場人物すべてが前向きに楽しそうに仕事をしているからだ。
現実はそうじゃない大半の読者はハッとさせられるであろう。
本作はハードな仕事をしている男性の“息抜き小説”なのである。
だから主婦の方が読まれた場合、帰ってきたご主人をいたわってあげて欲しいなと思うのである。
山本作品を読むと人生が少しづつ楽しく感じる。
作者の人柄が作品にどっぷりと根ざしている証拠だと言えよう。
小田さんと橋本君、幸せになってくれと願って本を閉じましたよ。
そう、小田さんは高柳チーフだけの女神じゃなくって、男性読者全員の女神なのである。