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なずな
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ジーナフウガ/これぞ純文学!素敵に満ちた物語です!!
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上質のスピリッツを飲る時みたいに、ちびり、ちびり。舐めるようにして味わいたい。日常を続ける間に滲み出した灰汁を、丁寧に、丁寧に、掬い取ったかのような、柔らかで、穏やかな文体。純文学とはこのような小説を指す言葉だと思う。極上の小説である。旨みのたっぷり備わった、愛すべき物語でもある。本来であるなら、主人公は語り手である菱山なんだろうが、彼自身も認めているように、赤ん坊のなずなが菱山の所に、よんどころない理由で預けられてからの、菱山の周辺にいる人々との日々が、この小説の中核をなしていると言っても、決して過言ではないだろう。いや、更に言及するのならば、物言わぬ、生後2ヶ月過ぎの赤ん坊なずなこそ、全体…
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神去なあなあ日常
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ジーナフウガ/日本の風土が好きになる傑作青春ストーリー!
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物語の書き出しから、もう、神去(かむさり)の村が、どういった場所かと想像力を掻き立てられるところに作家・三浦しをんさんの筆の冴えを感じる。肩の力を抜いて、安心して小説の流れに身を任せられる、それだけ信頼を置ける作家さんは、そうはいない。よって。僕にとって三浦作品を読むことは、至福の読書時間を過ごせることを意味する。今回も又、抜群の発想で造り上げられた物語世界が存分に楽しめた。高校の担任が、主人公に内緒で、勝手に申し込んだ『緑の雇用』制度。それで成り行きから『林業研修生』として、三重県の、携帯も圏外の僻地、神去村まで、派遣されることになったのだから、設定からして、笑わせてくれる。加えて、主人公が…
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つくもがみ貸します
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ジーナフウガ/あやかしが、ほどく絡まった縁の糸
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お初となる作家、畠中さんの作品。何しろ装丁フェチな僕なので、本の背表紙の放つ、何ともユーモラスな雰囲気にヤられてしまったのだ。これも、つくもがみからのお導きかも知れない。そんなこんなで早速頁を捲る。おっ!いきなり講談か落語を思わせる、語り口じゃあ、ありやせんかい!?良いぞ、良いぞ、と心躍る。つくもがみの語る、小説の舞台となるは、お江戸は深川にある小さな古道具屋兼損料屋の出雲屋という店。品を貸し出すのが商売だ。つくもがみは誘う。口をきく品物、付喪神を借りてみたくないかい?と。私や仲間を手にとってみたくはないかい?と。なら近所の店じゃあなく、出雲屋へ足を運ばにゃあなるまいて。付喪神は他にもいようが…
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西の魔女が死んだ
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ジーナフウガ/大いなる陰遁と、魂の再生、巣立ちを描いた人間讃歌
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【西の魔女が死んだ】読了した。実に、実に、素晴らしい物語だった。同時に、大切な思春期の、中でも、とりわけ難しい心の傷みの問題を、これ程までに丁寧な描写で表現した小説を、僕は他に知らない。主人公まいの成長して行く様子が、例えるなら、重症を負った野生動物がただひたすら静かに傷が癒えるのを待ち、再び大空へと羽ばたくのと似てるなと思った。鋭敏過ぎる感受性を持っている為、群れるクラスの集団に上手く馴染めず、独り輪の外へと飛び出す事を、自ら「選び取った」中1のまいは、ストレスから喘息発作を起こし、ママに不登校をすることを宣言する。弱り果てたママは『西の魔女』こと、おばあちゃんの所で、ひとまず、まいを自由に…
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ビブリア古書堂の事件手帖
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ジーナフウガ/一冊の本が持つ魔力について深く考えさせられる傑作!
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この小説には一冊の本への惜しみない愛情と、読書という行為の持つ素晴らしさを広めて行こうとする熱意が、全四篇の連作短編からなる全体の隅々から感じられる。その点が、何よりもこの物語の魅力的な筋書きが放つ吸引力を増幅する事に成功している様に思う。加えて、登場人物の造詣が、主役は勿論の事、脇役に至るまでしっかりしているから物語の中へと入り込み易いのではないだろうか?それにしても。主役級2人の対称的な描かれ方は凄い発想力の賜物だと謂わずばなるまい!恐らく幼少期に激しいトラウマを背負った為に、本を読む行為、いや、活字を追う行為ですら、身体に異変がもたらされる『体質』の持ち主五浦大輔。普段は極端に人見知りな…
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いとみち
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ジーナフウガ/胸に響くは、いとのみち
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メイド服と津軽三味線を抱えた女の子と聴いてあなたはどんな物語が始まると想像するであろうか?僕は全く想像がつかず、とにかく読み進めることにしたのです。この作品の主役は相馬いとちゃん。地元の町人にすら『は?』と聞き返されるほどの濃厚すぎる津軽弁(ズーズー弁)を話す人見知りで口数少ないタイプの少女だ。勿論その事をコンプレックスに感じている。そんな彼女が自分は変わりたいとメイド喫茶で働く事になったのだ。とは言え。恐らく本州最北端にある、メイド喫茶には超個性的な先輩メイド2人だけ(化粧1つで年齢が10才若返る、メイド服に原チャリで遅刻ギリギリやってくる)なのだった。こんな個性的な先輩に挟まれ、いとは何と…
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第2図書係補佐
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ジーナフウガ/一風変わった味な本
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飛び切り面白かった!芸人きっての読書家で、今までに読んだ本は約4000冊というピース又吉直樹さんが記した書評でも、感想文でもない、読書体験文的な感覚で読める本。序文からして又吉さん有り得ない程謙虚です。あまりに素敵な姿勢表明なので、少し長いけど、抜き書きしますね。『僕の役割は本の解説や批評ではありません。僕にそんな能力はありません。心血注いで書かれた作家様や、その作品に対して命を懸け心中覚悟で批評する書評家の皆様にも失礼だと思います。だから、僕は自分の生活の傍らに常に本という存在があることを書こうと思いました。本を読んだから思い出せたこと。本を読んだから思い付いたこと。本を読んだから救われたこ…
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山彦ハヤテ
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ジーナフウガ/小気味良いテンポで読ませる時代小説
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久々に読んだ時代小説は、溢れる人情味が全体に小気味良いテンポをもたらすのに成功している、短編四つからなる連作短編集だった。父である藩主が急死を遂げた為家督を継ぎ、新しい殿様として国許へと戻って来た三代川正春が主人公。帰国早々にして彼は、領地である折笠藩五万石を二つに割った権力闘争に巻き込まれ命を狙われる事に。命からがら逃げた山中、遂に意識を失って、倒れていた所を助けてくれたのが、この山に一人隠れて暮らすハヤテと名乗る謎の少年。山育ちの童と、身分を隠しマサと言う呼び名に生まれ変わった殿様、加えて尾の千切れた狼『尾なし』二人と一匹の奇妙なチームが出来上がる様子を描いたのが冒頭の作品【雪虫】。実に味…
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人質の朗読会
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ジーナフウガ/絶え間ない生と死の狭間を僕らは生きているのではないだろうか?
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絶え間ない生と死の狭間を僕らは生きているのではないだろうか?この本を読みながら何度も感じた事です。小説としての構成、内容共にまごうことなき傑作だと思います。反政府ゲリラの人質として捕らわれた、八人の日本人が、人質解放の為に行われた強行突入の際、ゲリラの仕掛けていたダイナマイトの爆発により全員が爆死したと、冒頭に明かされます。けれども、衝撃的事件から二年の歳月が流れた後、人質事件は思わぬ形に姿を変え再び人々の元へ戻ってくることとなって行きます。彼らが捕らわれていた、小屋の中での日々の暮らしを盗聴したテープが発見されたのです。テープには八人が自ら書いた話を朗読する声が残っていました。この朗読の意図…
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階段途中のビッグ・ノイズ
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ジーナフウガ/ロックンロールが好きになり、バンドをしたくなる本
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清く正しい青春小説。読み応え満点、爽快で面白い!『青春デンデケデケデケ』や『ウォーターボーイズ』が好きなら、貴方はきっとこの小説にハマるはずだ。話はいきなりマイナスからスタートする。新学期早々主人公神山啓人の所属する軽音部の先輩2人が大麻の不法所持で現行犯逮捕され、退学となり、連帯責任で部まで取り潰されてしまう。途方にくれていた啓人の前に現れたのは先輩をクズと呼び、練習をしない部活から、早々ドロップアウトしてた、ベーシスト九十九伸太郎だった。猪突猛進型の彼はイキナリ校長室に直談判しに行くのだが。飄々としながらも生徒の自主性に責任を負ってみせる覚悟の校長は、軽音部を潰した事が短絡的に過ぎたと反省…
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ワーキング・ホリデー
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ジーナフウガ/笑って泣ける一冊!
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笑いあり、涙ありで大いに読み応えがある一冊でした。素晴らしいので心から、オススメしたいと思います。イケメンなのに、元ヤンなせいか、短気で口が悪い人柄が祟ってパッとしないホストのヤマト。そんな彼の目の前に突如現れたのが、進と名乗る小学五年生。『初めましてお父さん。』心当たりがある様な、ない様なヤマトは進を質問攻めに。で突き止めた進の母親は、ヤマトの過去の唯一の弱点とも呼べる人。これで進が我が子に間違いないと確信していると、更に息子は『夏休みの間にお父さんが善い人か、悪い人かを、自分なりに調べる!』等と飛んでもない宣言をするのです。が、二人暮らしを始めた翌日ヤマトがホストをクビになる大失態をしでか…
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罪と罰
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ジーナフウガ/憎みきれないロクデナシ
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憎みきれないロクデナシ。主人公ラスコーリニコフに対する感慨である。と同時に、『この時代のロシアに現代の精神科医療があったなら(こんな事件も起きずラスコーリニコフの熱病も無事解決、全ては円満に肩が着いたのでは?)とまで考えてしまう。』絶望的な貧困を前に、学費を滞納し、遂には、法律科の学生という輝かしい立場から転落してしまったラスコーリニコフ。以来、友人ラズミーヒンからの家庭教師の仕事の斡旋も断り続け、日がな1日アパートの屋根裏部屋にある薄暗い自室に籠って寝てばかりいる。加えて、自暴自棄になっているもんだから、考えから正気は失われがちで、絶えず荒んだ精神の中に身を置き、玉に意識が明瞭な状態に戻った…
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るきさん
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ジーナフウガ/これぞ、エッセイ漫画の最高峰!
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高野文子さんの描く漫画には、きちんと暮らす日々、生活が織り込まれている様に思う。この『るきさん』からも日々を溌剌と暮らす姿が感じ取られて好印象を持った。冒頭の一コマ目、バリバリ仕事をこなす為、長い髪を後ろで結んで凛として作業に臨むるきさん。二コマ目は、彼女のお仕事(仕事にお、が付いてるのが何とも好印象)お医者の保険の請求を加算機で打ち込みするのに、お薬の名前を呟きながらタイピングする微笑ましいるきさんの姿が。この二つのコマで既にるきさんの事を好きになった。彼女は一ヶ月分の仕事を一週間でこなし、プライベートでは髪の毛を解き、図書館に出掛けたり、郵便局へと切手を求めに行ったりと充実している。夕飯を…
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夜の光
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ジーナフウガ/真のコミュニケーションとは?
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ひきこもり探偵シリーズを読んで、たちまち虜となった作家・坂木司。現代社会の抱えている諸問題に堂々と正面から向かい合っては、真の意味で人間と人間の新たな繋がりを、提示してみせようとする真っ正直さに心底震え、『この作家を追おう!』と決意させた。それで次に手にしたのが、タイトルに惹かれたこの本だ。ジャンル分けするなら青春もの、なんだろうけど決して一筋縄では行かない、そんな風にヒリヒリした物語の立ち上がり方に正直かなり面喰らった…。更に率直に言わせてもらえるのなら、『本書は読者に挑戦を仕掛けて来ているな』とまで思えた。坂木司の書く物語にポジティブな面だけではなく、これほどまでの刺と毒が潜んでいたとは、…
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闇の公子
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ジーナフウガ/アズュラーン、悪の華
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浅羽さんの訳は、麗々しく、格調高い文体こそ、本書の内容と調和していてとても相応しいと感じる。妖魔の貴公子アズュラーンの、ただ耽美のみを求めて生きる様は、気紛れで少しの醜さも決して見逃さない。その為、アズュラーンに直接的にであれ、間接的にであれ魅入られた人間は、些かでも油断したが最後だ。まず、憎しみや悲しみの感情の芽を膨らませられ、怒りや妬みのどん底にまで突き落とされてしまうから。地底の都でアズュラーンの寵愛を受けて成長するに従い、闇よりも太陽の光を求めるようになり、公子の怒りを買ってあっさり捨てられてしまうシヴェシュ。滅亡させられた王国の唯一の生き残りの王女は醜女であった為に、惨い前半生を過ご…
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金曜のバカ
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ジーナフウガ/爆発的な面白さ!
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タイトルの破壊力。で、『どんな作家さんで、内容はどんなんだろ?』とか思いながら読み始めたら!?グイッグイッと来ましたよ速球が!いいなぁ、この文体。『とくにこのあたり、県道から外れて国道に突き当たるまでの間なんて、途中土の道だもん。車輪の音がシャーからドコドコに変わるの。』って細かいローカルな描写なんて、つい嬉しくてウンウン頷いちゃいましたもん。それにしても破天荒なストーリーだな全く。本を読んでると結構頻繁に『よくもまぁ、こんな展開を思い付いてくれました!』と作家さんに拍手を贈りたくなるんだけど、これはもう拍手喝采を盛大に上げたいです。こんな出来事が実際に起きたら僕は嬉しい。前向きな気分になり読…
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ナマズの幸運。
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ジーナフウガ/川上弘美さんのチャーミングさ全開!
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『うふふ』と笑いが込み上げて来る至福のエッセイ。川上さんってば、とにかくチャーミングさが良い塩梅なのだ。日記には虚実織り交ぜてあるそうだけれど、文章のテンポといい、間の取り方といい、品があって川上さん自体の人間力的な物に、読み手であるこちらはグイグイ吸い込まれる。新しいことに対して怖がりなことを、しらが染めに行った美容院で美容師さんから告げられた川上さん。『しばらくの間、びくびくは体から離れなかった。』とか。大発見。『ごきぶりは、モーツァルトをかけると、出てくる。マーヴィン・ゲイをかけると、ひっこむ。』とか。更には極めつけで。『大阪は有名人がたくさん歩いているだろうから、ぜひ駆け寄ってサイン帳…
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製鉄天使
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ジーナフウガ/爆裂!女の花道
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大傑作【赤朽葉家の伝説】第二部【巨と虚の時代】に登場した赤朽葉毛毬が在籍し、中国地方を制圧した製鉄天使(アイアンエンジェル)。彼女達の戦いは【赤朽葉家の伝説】本編ページ数の辻褄が合わなくなるからと、泣く泣く百ページに渡って割愛されたそうだが、ここにスピンオフ作品として新たな誕生を果たしたのが本作【製鉄天使】である。スピンオフだけあって、設定や人名など変わっているだろう、とは思っていたが。のっけからバリバリのヤンキー口調で語られ始めて、かなりびっくりした!主役を命懸けで張るのは、赤緑豆小豆。赤朽葉毛毬が心血を注いで描いた少女漫画が爆発的な人気を誇ったのも頷ける、全身全霊でえいえんの国を目指し暴走…
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偶然の祝福
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ジーナフウガ/これぞ、まさしく純文学!!
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連れ合いからの熱烈な推薦と、敬愛する川上弘美さんによる書評によって興味を持ち、初めて体験した小川洋子さんの作品世界は、とても独特な世界観を持っていた。作品の語り手である小説家が、作家になる前、なった後関係なく『物を書くということに対する思い、それにまつわるエピソード』を記していく時系列はバラバラの連作短編集だ。だが個々の作品が持っている言葉の力、読み手の内側に食い込んで残るパワーを目の当たりにするに付け、純文学の持つ人間考察の深さや凄味を感じた。例えば【失踪者たちの王国】で綴られた文章『さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、失踪者たちが住むという王…
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四畳半王国見聞録
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ジーナフウガ/森見登美彦の真骨頂!!!
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もう、登美彦氏ってば阿呆なんだから!でも男汁だくだく、ぐだぐだの愛すべき阿呆たちの生態を書かせたら登美彦氏の右に出る者は居りますまい!!今回の作品も思う存分楽しませて頂いた次第である。森見作品と言えば、世にも阿呆な団体や名称が次から次へと登場してくるのが常なのだけども、四畳半王国の王者を自称する者、阿呆神の存在を侃々諤々、ひたすらに議論する者たち、四畳半統括委員会、詭弁論部に、図書館警察、大日本凡人會等々、こうなるとこちらも半分ばかり阿呆になり、半開きの口から涎をたらし呆けて状況に流されるより他には手段を持たなくなるのだ。更に登美彦氏の作風の魔力、もとい、魅力として人物造形の巧みさが挙げられる…
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赤朽葉家の伝説
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ジーナフウガ/圧巻の大作、全身に震えが走りました…
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頁を繰る、とそこには『赤朽葉万葉(まんよう)が空を飛ぶ男を見たのは、十歳になったある夏のことだった』冒頭の一文が、ピタリ決まっている。そういった作品に駄作なし!と信じている僕にとっては、これはただ事ならぬ傑作であるに違いないぞとの予感が全身を駆け巡りました。女三代の孫娘である赤朽葉瞳子(とうこ)の語りによって、山陰地方の小さな山村、紅緑(べにみどり)村にて、戦後日本を必死に生き、死んで行った祖母万葉、母毛毬(けまり)の人生と伝説が鮮やかに描き出されて行きます。【第一部・最後の神話の時代・一九五三年~一九七五年】万葉が山陰地方の、更に辺境に住み暮らすと伝えられている【山の人】達から紅緑村に置き去…
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妻の超然
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ジーナフウガ/絲山秋子の底力
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超然という響きに惹かれて手に取った一冊。これまでにも、何処かしら世間から遊離し【超然】と生きている様な人々を中心に書いてきた絲山さんが、とうとうタイトルに【超然】と着けている。この事実がたまらなくシックリ来た。収録されているのは三作品。【妻の超然】【下戸の超然】【作家の超然】だ。収録順に粗筋と感想を述べようと思う。まずは【妻の超然】小田原に住む四十八歳、子無しの主婦理津子は、五歳年下の亭主・文麿との結婚生活も十年を過ぎ、今では家庭内別居をしていて、夫の浮気なぞ【超然】と構えてられると思っていたのだが…。理津子が根本的にお人好しなのが憎めない所だ。印象的だったのが、彼女は小田原のマスコット的な象…
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大河の一滴
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ジーナフウガ/今と言う時代の正体を知るために必要なメッセージ
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こんなにも素晴らしい本を読む機会に恵まれた事に感謝致します。実際、読んでいる最中は五木さんの肉声が刻まれた活字に、素直に自分の心を向き合わせました。言うなれば作者である五木さんの魂と、読み手としてのこちらの魂を対話させて読むのが、この本に似合う読み方だと思います。これ程実直で愚直なまでに正直な内容が綴られた本を僕は知りません。例えば人々はよく『こんな時代だから』と口にしますが、果たしてそれはどんな時代なんでしょうか?五木さんはそこの部分を決して見過ごしたりなおざりにしたりしません。『私たちは〈心の内戦〉というもののまっただなかにいるのではないか、ということを平和のなかでふっと一度ぐらいは考えて…
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夜は短し歩けよ乙女
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ジーナフウガ/森見登美彦様、大層面白うございました!
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いやはや大変面白く、かつ愛すべき世界を持った小説です!曲者揃いの登場人物と言い、奇想天外な筋書きと言い、愛くるしいのです、無性に。そして、あなたも『あぁ、京都に行きたいな』と思わずにいられなくなることでしょう。物語は春の宵の宴席に、偶然にも巡り会わせた『黒髪の乙女』と『先輩』の夜の京都市中冒険譚に幕を開けます。乙女は大好きなお酒を求めて、先輩は乙女の姿を追い求めて、互いにさ迷う内に次々と風変わりな人物や、出来事に巻き込まれて行きます。錦鯉センターを経営していた物の、突然の竜巻で錦鯉たちが次々と空へと召喚され、壊滅的打撃を受けたと呟きながら、乙女にセクハラを繰り返す、助平親父・東堂氏、危機一髪の…
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村田エフェンディ滞土録
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ジーナフウガ/人間や歴史について深く考えさせられる傑作!
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非常に感動した!読後暫く、余韻で胸が一杯になった。良質な映画のように穏やかに物語は幕を開ける。冒頭の一文目から、ピタリと決まった文章に、たちまち作品世界の虜、住人になった感じすら覚えた。舞台になっているのは一八九九年(明治三十二年)のトルコ(土耳古)の大都市スタンブール。主人公の名は村田。トルコに良くある名前であるムラートと類似した響きの名前が縁でトルコ王室より招聘されたエフェンディ、日本語で言うところの先生である。彼の下宿先は、英国人のディクソン婦人が営んでおり、同宿の学者に、ドイツ(独逸)人の考古学者オットー。ギリシャ(希臘)人、発掘物調査員ディミトリス。それに忘れちゃならない隠し味的役割…
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下北沢
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ジーナフウガ/下北沢に行ってみたくなる本。
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愛すべき物語!出てくる人たちが、みんな明るく、前向きで、互いに少しずつの切なさを抱えていて。これを読んで、行った事のない『シモキタ』の街を想像し大好きになった!!なんだか街が『生き延びようとする』タフなリアリティーに満ちているのって、素晴らしいと思う。作者の藤谷さんは芯から下北沢の事を愛しているんだろうな。夢みる街が併せ持つみっともなさも隠すことなく正直に告白している所に好感が持てる。主人公・勇の言葉を引用したい。『下北沢では、誰も夕焼けに心を向けない。向ければ憂鬱になってしまうからだ。下北沢では、何も社会に有益なことが起こらない。だから人々は夕焼けに目をやってしまうと、今日も無益なまま終わっ…
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むかしのはなし
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ジーナフウガ/古くて新しい三浦しをん流、昔話の誕生です。
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限りなく壮大な試みに挑戦した作品集である。昔話を現代社会に採り入れて作品を展開させたら、語り手や聴き手は果たしてどの様な存在になるのが相応しいかというテーマに真正面から取り組んでいる。決して安易なパロディーに走らず、今の社会の取り立てて大きくはない日常から非日常性が立ち上がるのを目を凝らして観察した結果が、収録されている七つの中・短編小説として昇華されているのではないかと思う。冒頭に記された言葉も頁を捲るに連れ、加速度的に印象が強くなる。ここに引用したい。『わたしを記憶するひとはだれもいない。わたし自身さえ、わたしのことを忘れてしまった。胸のうちに、語り伝えよという声のみが響く。これはたぶん、…
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東と西
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ジーナフウガ/全く斬新な感覚の小説集
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表紙に書いてあるキャッチ・コピー『日本じゅうを言葉の力で縦横無尽に飛んでいく新しい小説集。』『日本には、まだ小説がある。』と言う何とも言えない、力強さに惹かれ手に取った一冊。東西6名、実力作家の手による書き下ろし中編小説集。いしいしんじ作品【T】とにかく、もの凄い破壊力を持った文体を直球ど真ん中で、ズシンズシン放ってくる。読んでいて、ひたすら圧倒されまくりだ。例えば…。『Tがいなくなった。そんでまた回転してあらわれた。(中略)なんでこんなネバネバすんだろうな。』と来られたら、こちらは平身低頭のまま、言葉を浴びるしかないではないか!?信州松本で育った『池田』という苗字の男の数奇な成長ぶりが語られ…
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闇の守り人
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ジーナフウガ/揺れる闇の正体とは?!
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『守り人シリーズ』第2弾は女用心棒バルサが25年の歳月を経て、生まれ故郷であるカンバル王国に戻ろうとする場面から始まる。バルサは養父ジグロがある理由から、自分を連れ逃げ延びた時に使った、洞窟内の闇の中を手探りで進んでいた。それと言うのも洞窟には火を嫌う『ヒョウル(闇の守り人)』が暮らしていて、松明を持った侵入者は命を狙われると伝えられていたからだ。けれども、単独で洞窟内に入ったジナと、彼女を救う為松明を持ち込んだ兄カッサとの兄妹が、まさにヒョウルに襲われる所を、間一髪助けようとして、バルサは早速ヒョウルと手合わせをする事となる。が、お互い凄い使い手の様で、技がからみあい、ひとつの流れになってし…
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パスタマシーンの幽霊
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ジーナフウガ/この世とあの世とを繋ぐおへそ
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川上さんの作品には随所に面白さのツボがある。読者はそのツボを押す事で心の凝りをほぐされ良い気分になれる。だから、読むのが止められなくなる。それに、世にも不思議な設定にもちゃんと、この世と繋がる『おへそ』の様な、真実味と言うか、確かな質感と、実感とが記されているから、安易な作り話としてではなく、読み応えのある作品として、安心して物語世界に浸れるのである。短編小説がたっぷりと収録された本作品集でも、短い中にもギュッと濃縮された川上節が味わえる。読む快楽だ。印象に残った作品と、一言感想を述べてみたいと思う。いんちき霊感商法の為に河原で石を拾い集めている【染谷さん】が、パンチパーマで、いんちきな癖に時…
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