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人のセックスを笑うな 人のセックスを笑うな
桔梗/止った時間のなかで
ふいに 一緒にいて心地よい相手を見つけてしまい かけがえのない時間を過ごした ただ それだけただふたり一緒に過ごすわずかな時間長い一生の時間の中で そうやって切り取られた 止った時間や名前のない空間があるのも悪くない 本気だとか遊びだとか 不倫だとか浮気だとか無理に何かの型にあてはめたり 分類をして名前をつけたりする必要はないオレがこの先 残った想いを大事に抱えて生きていくのと同じように ユリもきっとこの時間を忘れない 淡々と単純に“好き”って想いだけがそこにあったそれでいいのではないだろうか  全文読む 評価する

花宵道中 花宵道中
桔梗/想い想われ…それでもあふれる切なさ
江戸末期の吉原遊郭 そこで生きる女たちの儚い恋物語 恋物語とは言っても遊女の話  本気で男に惚れてしまったら仕事に気が入らなくなるから恋はご法度という吉原の中で 描かれるのは当然“忍ぶ恋” 市井の女性達のように好きな男と所帯を持つことはおろか 一緒に街中を歩くことすらままならない 決して結ばれることなんかない恋は 楽しいことよりも辛いことの方が多いくらいだろう それでも 彼女達は恋をする 描かれるいくつもの恋は 読み進むうちに繋がり そこに至るまでの長く遠い道のりも明らかになっていく 3章の「青花牡丹」まで読むと 1章の「花宵道中」の背景が鮮やかに浮かび上がり さらに切なさが込み上げる 母や姉…  全文読む 評価する

神様のカルテ 神様のカルテ
桔梗/ただひとりの人間として
医療はサービス業である それは間違いじゃない けどそれをいいことに サービスを受ける権利を振りかざし 無茶な要求をする人も少なくない 関わっているのが人の命ともなれば 理不尽に映っても当人達には切羽詰った要求のこともある でも 医師だって人間だ  応えられないこともある  できないことをできないと言うことも許されず ギリギリのところでみんながんばってる なのに報われないことのなんと多いことか 世間の理不尽な常識や過酷な労働環境に打ちのめされそうになり それでも理想や夢を捨てず  患者のために奔走する医師・一止や彼を取り巻く人達の姿に心打たれる 信州の豊かな情景描写も 物語によく調和している雪に…  全文読む 評価する

超訳ニーチェの言葉 超訳ニーチェの言葉
桔梗/自分にぴたりと合う言葉のかけらを見つけよう
楽にかまえて楽しく生きよう そう思ってるのだけど 頭ではわかっていても気持ちがついてこないってこともある 割りきれることにだって 人間 限界ってのがある 自分で選んで今ここにいるはずなのに でも実は厄介だったりするのかなとか 本当にここにいていいんだろうかとか 私は一体どうしたいんだろうとか 考えてしまったり いったい何にこんなに腹がたつのか 何がこんなに悲しいのか 溢れる感情のコントロールさえきかなくなり でもいくら考えたって答えなんか結局出せなくて  それでも誰にも聞けず ひとりで泣く場所さえなかったりして そんなときに本を開いてみると それもひとつの答えかもしれないと思えることがあったり…  全文読む 評価する

天地明察 天地明察
桔梗/生きるということは人と関わりあうこと
はじめから自分の道が見える人というのは稀だろう 人は 人と出会っていろいろなことを考えて 悩みながら何かを探して そして見つけていくものなんだと それでいいんだと この小説を読むとあらためてそう思う 江戸中期の泰平の世  名門の碁打ちの家に生まれた渋川春海の仕事は 碁を打つこと  安泰たる勤めではある だが それを一生の仕事と定め 情熱を傾けることがどうしてもできない春海 繰り返される同じような日々の中で ふつふつと湧きあがる 己の人生への飽きと餓え 唯一の救いが 大好きな算術そして天体観測と暦学 ふと神社で耳にした『からん、ころん。』という算額絵馬の音  その転がるような音に導かれるように …  全文読む 評価する

いのちなりけり いのちなりけり
桔梗/あひ見むことは
これほどまでに一途に想い続けてもらえるのが とても羨ましい 水戸光圀と将軍家の謀略渦巻く中 一度は夫婦となりながらも引き裂かれるふたり 咲弥と蔵人 実直で不器用な蔵人に 和歌が好きな咲弥はひとつの問いを投げかける 答えが見つからないまま離れ離れになって もう一生会うことはないかもしれないのに それでも蔵人は 日々懸命に生きていく中で 咲弥に想いを伝えるため ぴたりと心に沿う和歌を探し続ける 何年も 何十年も… 長い間会わなければ忘れられてしまうものだと思っていた 会える見込みがないならなおさら 声や顔やその人の感触が薄らいでいくにつれて 想いも消えてしまうんじゃないかと そう思ってたけど 会わ…  全文読む 評価する

1Q84 1Q84
桔梗/希望のちから
会いたいとか 会えたらいいなとかいつ叶うとも知れない そんな日付のない希望や期待を持ち続けるというのは 楽なことじゃない時間の経過と共に ふわりと浮き立った気持ちはしだいに沈み込み 寂しさに変わったそれらは 初めからなかったものとして心の奥にしまい込まれる そんな絵空事を本気にしてたのは自分だけだとか 人の気持ちや状況は変わるんだとか 普通は それなりに理由を付けて諦めていくものなんだろうそれなのに彼女は 強く信じてる 何十年も ただ会いたいという想いを重ね 会えるとずっと信じてて彼と会うことが 自分が今ここにいる存在理由だと確信している希望は 試練に負けずに持ち続けていれば 生きる力にもなり…  全文読む 評価する

恋文の技術 恋文の技術
桔梗/繋がっていたいという想いを込めて
いつもどおり軽妙でリズム感あふれる 妄想満載の森見ワールド 真面目でやさしい 多分頭も良い でもどこかずれてて可笑しい守田一郎 京都の大学から辺境の実験所に飛ばされた守田は 友達や先輩や妹や元教え子  そして作家の森見先生にまで次から次へと手紙を書きまくる 言うなれば 文通の武者修行 それもこれも 愛しい女性を恋文でめろめろにしようと 己の恋文の技術を磨くためである この手紙の数々が くだらなかったりたまにまじめだったり  そして文章を書くということや手紙を書くことの本質をついていたり 笑わせながらも時々どきっとするような一言が書いてあったりする 私たちはいろいろな形で たくさんの言葉にのせて…  全文読む 評価する

陽のあたる坂道 陽のあたる坂道
桔梗/とても大切な時間だったと思えること
鎌倉を舞台に 周囲の人とのかかわりを通して成長していく四姉妹 それぞれの姿や想いをゆるやかに描いた物語この第3巻は 末妹すずの可愛らしい初恋と長女の幸の恋の話が中心幸の付き合っている彼には 心を病んでしまった別居中の妻がいる 妻の心が壊れたのは彼の激務のせいで そのために彼も妻を見捨てられずにいるそんな彼と過ごす時間は 楽しいのだけど きっと後ろめたさもあり小さな幸せと一緒に痛みや不安をたくさん抱え 折れそうな自分をぐっとひとりで支えながらの日々だっただろう 人の想いのベクトルというのは 常に一定の強さで同じ向きではなくちょっとしたはずみでズレてしまうというのはよくあることタイミングが違えばま…  全文読む 評価する

1Q84 1Q84
桔梗/人が本当に救われるのは誰かを愛せたときなんだろう
10年以上も前の ほんのわずかなひとときの繋がり 何かを言葉で伝えたわけではない 一分にも満たない ただ見つめ合ってぎゅっと手を繋いだ時間  互いにその温もりをずっと大事にして その情景をずっと心の支えにして違う道をそれぞれ苦しみながら生きてきた「青豆」と「天吾」 ずっと重なることのなかったふたりの人生が 1Q84年 何かに引き寄せられるかのように近づいていく 現実の1984年と異なり ずれて存在するかのようなもうひとつの世界1Q84年 その不思議な世界では 空にふたつの月が浮かんでいる 多分その世界の底 ずっとずっと深い底には 青豆の想いが沈んでる 長い時間をかけて澱のように溜まった青豆の強…  全文読む 評価する

つみきのいえ つみきのいえ
桔梗/失くしたものと 積み重ねたものと
おじいさんがひとりぼっちで暮らしてるちいさな家実はこの家は 普通とちょっと違います この町では 海の水位がだんだん上がっているのです なので 住んでいた家が海に沈んでしまうとその上にまた家を作って つみきのように どんどんどんどん 積み重なっていきます おじいさんは ある日 海の中に落してしまった大工道具を探しに行きます ずっとずーっと下の 一番下の海の底のおうちまで… 潜りながら いろいろなものを見つけます 他の人はこの町を捨てて新しい住みやすい所へ移って行くのに この家に住み続けるおじいさん 大切な思い出や人の想いは 物じゃなくて 自分の記憶の中にあるもの家はただの家だし 物はただの物でし…  全文読む 評価する

遠くの声に耳を澄ませて 遠くの声に耳を澄ませて
桔梗/ごく普通の女の子達のフツーの人生…でもそれが眩しい
すこし不器用な女の子達が 迷い傷つきながらも 自分の足で立とうともがいて そして前に一歩を踏み出す そんな彼女達のごく当たり前の平凡な日常を切り取った12の短編集 12コの話はすこしずつ繋がっていて  いろいろな女の子達を見つめるやさしい視線がどの章にも流れ読み終わると 短編集というよりはひとつの長編作のようだとも思う 自分は何をどうしたいのかもわからないまま でもこのままじゃいけない なんとかしなきゃと思い 一歩踏み出すこだわってたことを流して 歩き出すのに必要なのは“自信”大事なのは自分を信じること簡単なようで難しいことなんだけど ちゃんと自分を信じてあげたら 何があってもきっとまた前に進…  全文読む 評価する

神様のカルテ 神様のカルテ
桔梗/大切なものはどこにあるのか
信州のある一都市の小さな病院で働く内科医・栗原一止 常に医師不足なこの病院では 内科医も即席の救急医として日夜押し寄せる患者さんに対応している 夏目漱石を愛読し 普段も古めかしい文語調で話す栗原  周囲には変わり者と言われるが 忙しくてもいつも患者と精一杯向き合っている心優しい医師 そんな栗原に 大学の医局に戻らないかという話が舞い込む 最先端の医療かそれとも… 迷う栗原を訪ねてくるのは 大学病院に見放された末期癌の患者 栗原は漱石のある短編を思い出し 自分の仕事と重ね合わせる寺の山門で仏師が仁王を彫る仏師の見事な手並みに驚嘆する見物客に別の若者が言う 『あれは木に仁王を彫りこむんじゃない。最…  全文読む 評価する

ゆめつげ ゆめつげ
桔梗/後からくる者たちへ
時は江戸時代末期 小さな神社で神官を務めるのんびり屋の兄・弓月としっかり者の弟 いつも弟に叱られているのんびり屋の弓月だが 実は「夢告(ゆめつげ)」という特技 いわば予知能力がある その力を ひときわ高い社格の神社の権宮司に見込まれて ある大店の行方不明の息子を探して欲しいと頼まれる ところがこのゆめつげ 当たるのやら当たらないのやら  たまに見当違いのものが見えたり やるたびに違う結果が見えたりで 現れた息子候補者のうち誰が本物なのか 見極められず迷っているうちに やっかいな騒動に巻き込まれていく 畠中さんらしい ほのぼのとした時代物ミステリーこの兄弟のやりとりを読んでいるだけで 思わず笑み…  全文読む 評価する

竜馬がゆく 竜馬がゆく
桔梗/男たちのそれぞれの志(こころざし)
幕末という激変する時代 それぞれに己を貫き 駆け抜けた男たちの姿は実に魅力的特に竜馬の生き生きとした姿 そして“志”に共感おのおのがその志のままに生きよというのが竜馬の基本的な考えフィールドやアプローチの仕方はそれぞれでも それを理解し認めて生かしてくれる そんな心寛やかな竜馬だから人が集まったのだろうそうして持ち寄られた人々の知恵と力によってなされた偉業 薩長連合とそれにつづく大政奉還それが竜馬の念願であったのかと思いきや その後の新政府の計画には自分の名を連ねず『世界の海援隊をやりたい』と言う皆が幕府を倒し新しい政府を 新しい日本の国づくりをという時に 彼が見ていたのは 海の向こうなんとい…  全文読む 評価する

螢坂 螢坂
桔梗/謎解きの後の余韻
ビアバー「香菜里屋」に集う客にまつわる謎を マスター工藤が解き明かしていくシリーズの第3弾 蛍坂 猫に恩返し 雪待人 双貌 孤拳 タイトルだけでも心惹かれる5つの短編が収められている 恋をしてる人間ってのはなんて不器用なんだろうと思う 本当はそばにいて欲しいのに夢を叶えてと手を離してしまったり 待っていても仕方のないものを待ってしまったり 信じて疑って 泣いて笑って 失くしてから自分の愚かさに気がついても 後の祭り やるせない思いと切なさと どこにも向けられない怒りと 自分でも持て余すような混乱した想い  誰にもわかってもらえやしないと心の奥にしまった想い そんなものをすくい上げてくれる 香菜…  全文読む 評価する

赤い蠟燭と人魚 赤い蠟燭と人魚
桔梗/儚い願いを
酒井駒子さんの美しい絵と 小川未明の儚くて悲しい物語が見事に溶け合ってる絵本 人魚の母親は 人間のやさしさを信じて娘を託すのに その想いを踏みにじって お金に目がくらみ娘を売り飛ばしてしまう老夫婦 愛しい娘の幸せを願っていた母親の 人間に対する怒りは当然のことだろう 『人間は、この世界の中で一番やさしいものだと聞いている』 人魚の母親の言葉が 虚しく響くいちど手を付けたなら どうか捨て置いたりしないでいちど心をつかんだなら どうか離したりしないでそう願ってしまうけどもう 人間は そんなやさしさを忘れてしまったんだろうか  全文読む 評価する

鬼の跫音 鬼の跫音
桔梗/それもまた幸せのひとつの形だろう
ふと何かに執着して 踏み外し やがて落ちていってしまう そんな人間の姿を描いた6つの短編 どれもじわじわと怖いのだけど 心に残ったのは 一番短くてシンプルな「冬の鬼」 ある女性が好きな男性との暮らしを綴った たった8日間の日記 8日目から1日目へと時間を逆にたどり 過去に遡ると見えてくる ふたりの間にあった出来事 ずっとそばにいるよと手を差し伸べられるでも 握りしめた途端に 心は変わるんじゃないか 振りほどかれてしまうんじゃないかとそんな不安がいっぱいで 手を取ることもあきらめることもできずにいるとしたら…壊れているとは思えない 狂気でもない そばにいてほしいというその想いを形にしただけのこと…  全文読む 評価する

劒岳 劒岳
桔梗/小さなことの積み重ね
剣岳 “弘法大師が草鞋三千足を使っても登れなかった”と “登れない山 登るべき山ではない”と言われ 地獄の針山に喩えられていた険しい山 明治時代 まだろくな地図がない頃 前人未踏の剣岳への登頂を挑む 測量隊の熱い男達のドラマ 地図を作る その測量のための三角点を山頂に設置する その目的のために剣岳に挑む測量官の柴崎とその部下たち 初登頂を目指す山岳会との先着争い 立山信仰を妄信する人たちや県職員からの嫌がらせなどの苦難が立ちはだかる中 なにより厳しいのは 剣岳そのもの 山と向き合い 人と向き合い自分と向き合う登ること進むことに必要なのは 最新の装備や何か大きなものではなく 小さな工夫と努力の積…  全文読む 評価する

国境の南、太陽の西 国境の南、太陽の西
桔梗/欠落は欠落のまま
愛すべき妻やそれなりの収入と安定した優雅な暮らし全てを持っているように見える幸せな状況にある主人公 そんな中で主人公が抱える喪失感や後悔は 甘えととられて当然だと思いう 強烈な自己偏愛に嫌悪感も覚えはするのだけどそれでも 人間って まれに感情と理性の隙間にすとーんと落ちてしまうようなことってある そこの隙間 欠けてる部分をきちんと自覚してないと 人は踏み外す そしてその隙間は残念なことに 手持ちのものじゃ埋まらない代わりのものじゃ全然ダメ何とかして埋めようともがく人もいれば 代用品で埋めて誤魔化す人もいるし 欠けてることに気がつかない人さえいる いろんな人がいるのだろう欠落部分は欠けたまま 痛…  全文読む 評価する

桜宵 桜宵
桔梗/ぎゅっと詰められたさまざまな想い
香菜里屋というビアバーのマスター工藤が 客が持ち込む謎を解いていく香菜里屋シリーズの2作目 5つの話からなる連作短編ミステリー それぞれの話に 誰かから誰かに向けられた強い想いがぎゅっと詰まっているさまざまな想いの中には あたたかなものだけでなく嫉妬や執着 依存や悪意 数多くの歪んだ思いもある次第に増幅する思いの歪みと重みに耐え切れず ときにバランスを崩して 転がり落ちる人たちそんな人たちを目の当たりにしながらも『人の悪意をそこまで認めたくはない』 と言い切る工藤そんなのはきれいごとだと言われるかもしれない信じかけてた人に去られたり裏切られたり 悪意に気付いてしまうことなんて 生きてればよくあ…  全文読む 評価する

水の迷宮 水の迷宮
桔梗/夢を夢で終わらせない
水族館が舞台のミステリー 3年前に水族館で不慮の死を遂げた職員 その命日に水族館の館長宛に脅迫メールが届く真相をつかもうと奔走する職員達をあざ笑うかのように 魚達の水槽に次々トラブルが発生する その中で起きるひとつの殺人事件 ふつうなら見逃してしまいそうな矛盾や真実のかけらを集め 繋げて謎を解いていく都合よくいき過ぎる 登場人物が善い人ばかり過ぎるそんな印象も否めないが… みんなが事件をきっかけに一歩踏み出していき 夢のバトンを繋いでいく夢を夢で終わらせない そんなラストがとても清々しく 読後感さわやか完成した「水の迷宮」を訪れてみたくなる  全文読む 評価する

花の下にて春死なむ 花の下にて春死なむ
桔梗/謎解きよりも人の温かさが魅力のミステリー
静かで品のある全6編の連作短編ミステリー 美味しい料理とアルコール度数の異なる4種のビール  いつも柔らかい笑顔を浮かべ穏やかな話し方で人を魅了するマスターの工藤 香菜里屋という名のその小さなビアバーに通う客達が 自身や周りで起こる謎を持ち込む 話の断片を聞くだけで 安楽椅子探偵のように謎をさらりと解く工藤 すべてを見通してしまうその目と明晰な頭脳にただ感嘆するけど 工藤の素敵なところは 理知的に謎を解くだけではなく その答えを ときに 謎の提供者にあえて渡さないところ 謎解きそのものよりも 料理の温かさと人情の温かさが余韻として残る小説生きてるかぎり繰り返される質問と答え 質問をしておきなが…  全文読む 評価する

光の帝国 光の帝国
桔梗/ひとが生きていくために必要な軸を心に
ひとが生きていくためには 心の中に“軸”となるものが必要だと思うこれは その軸を見つけることができる本常野という地区からきた特殊な能力をもつ人たち なみはずれた記憶力や遠くの出来事を見る力などさまざまな力 普通の人々の生活に溶け込み その力を生かしながら穏やかに暮らす常野一族彼らをめぐる連作短編集いつの時代も 彼らはみな自分の能力を受け入れ 人のために使い生きてゆくその能力ゆえに辛いこともあり 痛ましく残酷な目にもあうそれでも彼らの想いは途絶えることなく 再び射してくる明るい光に 安堵が胸いっぱいに拡がる「常野」とは“権力を持たず群れず常に在野であれ”という意味だそう与えられた力を 自分のため…  全文読む 評価する

夜の光 夜の光
桔梗/夜空に光る星のような存在
ひょんなことから天文部に集まった4人の高校生の物語 彼らは平穏に学校生活を送っているように見えて 実は密かに戦っている  家族や周囲の人たちの押し付ける価値観や恵まれない環境 それぞれがいろいろなものと日々向き合っている つらいことや心が折れちゃいそうになることも ほんの少し共感しあえる仲間がいると よしまたがんばろうと思える この4人の距離感がとてもいい いつでもどこでも一緒みたいな仲良しごっこグループを形成しがちな年頃 でも かれらは 無駄につるまない 普段一緒にいなくても 全部を打ち明けなくても お互いを認め合ってて でも困ってるときはひょいと手を貸してくれるそれぞれが夜空に光る星のよう…  全文読む 評価する

きみを想う夜空に きみを想う夜空に
桔梗/その答えの残酷さと正しさとの間にあるもの
とてもシンプルな恋愛小説アメリカの海沿いの町 陸軍兵士のジョンは ボランティア活動中の女子大生サヴァナと出逢ってすぐ恋に落ちるお互いこれ以上の人はいないと思うようなかけがえのない存在になり ジョンが遠くの任地に行って離れてしまっても ふたりの絆はより一層深まっていくけれどもちょっとしたことでふたりの間に生じたほころびがある事件がきっかけで大きくなっていくお互いに相手を想う気持ちは変わらないけど…「本当の愛とは何か―」を問われるわが身の幸せより愛する人の幸せを大事にするってのは 簡単ではない抱きしめることも 忘れ去ることも そのどちらも叶わないのならその大切な人の幸せを見守るしかないってのも ひ…  全文読む 評価する

くまとやまねこ くまとやまねこ
桔梗/大切なものをなくしても それでもだいじょうぶ 明日もきっと笑える
大切に想ってる人がいて でもいつまでそばにいてくれるかわからないひょっとしたらこれが最後かもしれないもしいなくなったらどうしよう心弾むとても楽しい時間を過ごしながらもどうしようもない不安に押しつぶされそうになることもある大事な友達だったことりを亡くしてしまった くまかなしくてさみしくて その痛みをどうしたらいいのかわからないでも やまねこと出逢い 歩き始める くまくまの心の中は ことりが残していったものでいっぱいだことりがくれた たくさんの目に見えない無数の宝物その宝物を大事に両手で抱えながら 歩いていけるんだろうもし目の前からいなくなっても 声が聞けなくなってもだいじょうぶきっと だいじょう…  全文読む 評価する

鼓笛隊の襲来 鼓笛隊の襲来
桔梗/不思議で静かであたたかいお話
9つの短編集どれもこれも現実にはありえない設定で鼓笛隊が台風のように日本に上陸して襲ってくるとか自分をリセットしたい人たちが覆面をかぶって生活するとかある一部の人間には押すとどうなるかわからないスイッチがついてたりとか…ずらりと並ぶ ふしぎな雰囲気の話温かかったり 切なかったり ちょっと背筋が寒くなるような終わり方だったり いろいろな感覚が味わえる忽然と目の前から消えてしまった恋人への想いと期待を断ち切れずにいる主人公が知恵の輪が解けるのと同時に 自分の気持ちにも決着をつける 「同じ夜空を見上げて」は ふんわりと温かい気持ちになれる待って待って待って…でも どうしても待つことがかなわないのなら…  全文読む 評価する

1ポンドの悲しみ 1ポンドの悲しみ
桔梗/いろいろなかたちの恋
ごく普通の女性が ごく普通の暮らしの中で出逢いそうな いくつもの恋のお話あっこれわかるとか うん そう思うことあるよなとか思わずうなずきながらページをめくる恋にはいろいろなかたちがあっていいと思う“つぼみ”のまま大事にとっておきたい恋だってある「付き合おう」と宣言しなくても「好きだ」という意思の確認をしなくても共有できるわずかな時間をとても大事にしていてお互いが存在するだけで 心に灯がともるようで相手の笑顔に その灯を見てとれるから想いを打ち明けないままに 届く想いを胸にしまったままでも それぞれ歩いていける言葉にしなくても伝わる想いというのはある手に入れるだけが愛じゃない そう思う  全文読む 評価する

月の砂漠をさばさばと 月の砂漠をさばさばと
桔梗/日常にころがる幸せのひとつぶひとつぶを集めた本
小学3年生のさきちゃんと お話を作るのが仕事のお母さんとの ほのぼのとした暮らし ふたりの日常生活の一コマ一コマを切り取って描く12このお話 くすっと笑ってしまう話やじんわりする話 涙がこぼれそうになる話もある まるで ピンクや水色や黄色…いろんな色のこんぺいとうが詰まった小さなお菓子の袋を開けた時のようにふわりと心が温かくなるまっすぐなさきちゃんと その真っ直ぐさときちんと向き合ってあげるお母さん 私も子どもの言葉や気持ちのひとつひとつを こんな風に同じ高さで受け止められる母でありたいと思う いつまでもいつまでも 日常に転がるこんな至福を 子ども達が覚えてくれていますように そう祈りたくなる  全文読む 評価する

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