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サヴァイヴ
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カフェイン中毒/同じシリーズの書評は、二度は書かないつもりが、つい……
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わざわざ「泣ける本」として売ってるものが、どうも苦手です。というか、泣いたためしがない。涙腺はわりとゆるめなほうだと思うのですが、「ね、泣くでしょ? 泣いて当然でしょ?」という小説は、読みながら、先にしらけてしまうので、ほとんど手を出さなくなっています。でも泣きたくないわけでも、泣く小説が嫌いなわけでもないんですよね。理想を言うなら、涙が止まらないものより、胸が詰まったり、鼻につーんとくるようなものが好み。で、本作『サヴァイヴ』です。自転車ロードレースの世界を描いた『サクリファイス』『エデン』の続きで、今回は短編集。いわゆるスピンオフなのだけれど、どれもこれも、とても良くできていて、読み応え充…
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回天の群像
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カフェイン中毒/悲しき魚雷での特攻
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人間魚雷というものの存在はともかく、それが「回天」という名であり、どういう場所で訓練していたかというのは、じつはそれほど知れ渡っていないのかもしれません。関係者や興味を持った人たちのあいだだけで、語り継がれていくには限界があり、けれど、けっして忘れてはならない、戦争の爪あとのひとつなのです。この夏、長年気になり続けていた、大津島に渡りました。山口県周南市にあるこの島には、遺留品などが収められた回天記念館だけでなく、島のあちこちに、訓練の跡が見られます。行く前に、もう一度この本を読みました。そのせいかどうかはわかりませんが(他にも回天についての本は読んでいたので)、碑に刻まれた名前が、ただの昔の…
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罪と罰
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カフェイン中毒/死刑制度、少年法、そして光市の事件
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日々、凶悪で残忍な犯罪と、その裁判の経過がニュースで流れますが、うっかりすると「これ、どの事件だっけ?」と、当事者には申し訳なくなるほどの数に愕然とします。けれど「光市母子殺害事件」については、あまりにも多くの人の記憶にとどまっているのではないでしょうか。おそらくそれは、事件の残虐性ととともに、遺族として表舞台に立った本村洋さんの姿と重なるからだと思います。20歳をわずかに過ぎた青年が、理不尽極まりない理由で、妻と幼い子どもを殺害されました。あまりに幸せそうな家族であったこと、遺された本村さんが、毅然とした態度で裁判に立ち向かっていたことで、テレビの前の大勢が、彼と彼の家族に同情し、犯人に怒り…
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偉大なる、しゅららぼん
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カフェイン中毒/うーん、毎度のことながら微妙
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『プリンセス・トヨトミ』の映画化で、やけに盛り上がっているようですが、あの作品と『鹿男あをによし』を足して薄めたような(もちろん違うエッセンスも少々入っている)感じでしょうか。琵琶湖周辺に散らばる、「力」を持つ日出(ひので)家の人たち。買い取った正真正銘の城に住んでいる本家の人たちは、浮世離れした人生を送っています。その日出家と敵対する、これまた別の「力」を持つ棗(なつめ)家。日出家の跡取り息子、日出本家で修行中の主人公、棗家の跡取り息子の3人が、高校で同じクラスになったことから、事態が動き始めます。城で暮らす、常人は持たない力がある……という時点で、物語は盛り上がりを見せるのですが、あいかわ…
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欲ばりワードローブ
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カフェイン中毒/マニュアル嫌いでも、ちょっとは欲しいアドバイス
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「ファッションに興味津々か?」と問われたら、「いや、まったく」と答えると思います。といって、着たきりすずめでいたいわけでもなく、できれば自分に似合うものを身につけ、できることなら「お、ちょっと光ってるな」と思わせる部分も持たせ、うまく着まわせることができれば嬉しい。あれ? 興味津々ではないわりに、贅沢なことを言ってますね。けれど、女性の大半は、こういう都合の良いことを考えていると思うのです。「シンプルなものが好き」なんて言いながら、実際はそのシンプルさに負けてしまうのが、モデルではない一般人の悲しさで、一歩間違えると、ただの地味なヒトになってしまうことを、経験から知っている。イラストレーターで…
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砂の王国
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カフェイン中毒/宗教詐欺を扱うむずかしさ
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貧乏のどん底からの再起をかけて、新興宗教を創り、詐欺をはたらく」この設定、篠田節子の『仮想儀礼』に似ているなと思ってしまい、思ったからには、無意識に比較してしまうのは仕方がありません。どちらの作品も、分厚い上下巻。けれど、ページを繰る手が止まらず、読後感も大満足だった『仮想儀礼』に対して、こちらは少々軽めな印象でした。それぞれの作家の色が、とてもはっきりと出ている印象です。主人公の山崎遼一は、妻に出て行かれ、仕事も失い、酒びたりになったところで力尽き、逡巡の末にホームレス生活を始めることになります。その日暮らしを抜け出したいと願うのですが、一度手放したものは簡単には彼の手に戻りません。知り合っ…
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嫌な女
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カフェイン中毒/自らの人生との折り合いのつけかた
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男に夢を見させ、媚を売り、ツメの甘い結婚詐欺を繰り返す夏子。夏子の遠い親戚であり、勉強だけの無味乾燥な学生時代を過ごし弁護士になった徹子。ツメの甘さのため、抱え込むトラブルを処理しきれない夏子は、いつしか徹子の長い弁護士人生についてまわる依頼人のひとりになっていました。手を替え品を替え、男を利用してい夏子の姿は、よく考えるとそれほど可愛いものでもありません。あまり利口でもなく、自分勝手で、したたか。それでも、トラブルのたびに夏子の応援をしてしまうのは、しだいに感情移入してしまう語りべ・徹子の依頼人だという理由だけなのでしょうか。夏子の「金銭と引き換えに見せる夢や、救いのひととき」に、私も魅了さ…
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サラの鍵
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カフェイン中毒/封印されかけていた、フランス警察によるユダヤ人迫害
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ナチス占領下のパリで、ユダヤ人の少女サラは、両親とともにフランス警察に連れ去られます。すぐに帰ってこられることを疑わず、小さな弟を秘密の場所(納戸)に避難させ鍵をかけた少女には、その後アウシュビッツに送られるという運命が待ちかまえていました。辛くも生き残った少女のことを知ってしまった、現代のパリ在住ジャーナリスト、ジュリア。フランス人と結婚し、アメリカとフランスのどちらにも馴染みきれない女性が、戦時の少女の悲劇を調べる一方で、夫の実家の抱える秘密に近づいてしまいます。ホロコーストを中心に、過去と現代、少女と中年女性の人生が描かれているのですが、息苦しくなる描写の続くなか、見事なストーリーに否応…
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往復書簡
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カフェイン中毒/書く技術の拙さが露呈してしまった感じ
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書簡のみで成り立つ小説は、過去にもさまざまな作家が挑戦していますが、名作傑作も多いし、思わず唸らされる工夫が随所になされていて、読み手としては、とても楽しみな分野でもあります。文章で成り立つ手紙を使って小説を創るというのは、“創るだけ”なら、さほど困難なことではないと思うのです。ところが、不自然さを残さないものとなると、いきなりハードルも上がるのではないでしょうか。そこをクリアしたうえで、なおかつ物語も味あわせてほしい……と期待してしまうのは当然だと思うのですが。往復書簡による、3篇が収められています。長ければいいというものではないけれど、これが限界だったのかなとも感じました。これ以上長いもの…
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スカウト・デイズ
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カフェイン中毒/ドラフト会議を一応のゴールとするならば
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ドラフトの季節を迎えるたびに、ドキドキした思い出があります。プロ野球観戦を楽しみのひとつにしていたその頃、贔屓のチームが誰を指名するのか、注目された有望選手はどこに何位で指名されるのかは、個人的にも、かなり盛り上がるイベントでした。指名される選手の、もしくは指名されることなく終わる選手の行く末や心境を想い、複雑な気持ちになることもありました。プロ選手になれるか、望む球団に指名されるか、選手としてやっていけるのか、多くの人の人生が、この会議の日を境に振り分けられてしまうあっけなさを、他人事とはいえ、単純におもしろがることができないでいたこともあります。これは、当時の私が想像もしなかった“スカウト…
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凍花
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カフェイン中毒/姉の気持ち、妹の気持ち
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長女が次女を殺してしまいました。衝撃をうけた三女が、黙秘を続ける長女の心の内を探るべく、姉のものらしきブログを通じて情報を求めます。おそらくはミステリーということなのでしょうけれど、意外にも物語そのものはシンプルで、実際に強く訴えかけてきたのは、家族の目から見た長女と、他人の目に映る長女、そして本人の葛藤のギャップでした。大学生である三女は、優しく美しい長女を自慢に思っています。それは次女とも共通の認識であり、長女にも伝わっていると思い込んでいたのです。自分たちは最強の三姉妹だと信じていた彼女に、知りたくなかった現実がつきつけられます。この物語は、どの登場人物に感情移入、もしくは共感するかで、…
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砂漠の悪魔
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カフェイン中毒/これ以上ひどい人生があるのか(というのは、平和ボケした日本人の感想かも)
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主人公の大学生・広太は、ささやかな(でもけっこう悪質な)企みから、親友を自殺に追い込んでしまいます。冒頭のそれだけで、この先彼が背負うものの重さや苦しさを想像して、こちらまで追い詰められてしまう気分なのに、じつはそこから物語は予期せぬ方向へ。親友の父に自殺の原因がばれ、暴力団に脅され、逃げて、他者を巻き込み、巻き込まれ、なぜか日本人留学生の青年と、中国を西へ西へと進むことに……。物語の展開の速さに違和感もなく、主人公と一緒に転がって行く感覚で、それは読み手にざわりとした感触を残します。息をひそめて逃亡する主人公に寄り添ったまま、一気に読んでしまいました。他者の命を奪い、自分の命を狙われ、生きる…
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バイバイ、ブラックバード
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カフェイン中毒/どうしてこうも魅力的な脇役が多いのでしょう!
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好きな作家の書くものは、新しいものが出ると一応目を通すし、手元にも置くわけですが、それでも「あのタイプは、読み返す回数が多いかな」という贔屓は出てくるわけで、これもその1冊になりそうな予感があります。ごく普通の男である星野一彦は、ある事情により、得体のしれないバスに乗らなければならなくなりました。そのバスの行き先も正体も明かされないのですが、なんとも恐ろしいことに、乗ったが最後、人として戻ってくることすら不可能に近いことは確かだそうです。星野一彦をバスに乗せる役は、繭美という規格外の巨漢(という表現もヘンですが)が担っています。この繭美という女がすごい。相手を精神的に追い詰めるのが好きで、手段…
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シモネッタの男と女
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カフェイン中毒/米原万里という愛すべき女
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イタリア語の会議通訳の世界から、文筆業へ足を踏み入れた著者が、イタリアで出会った幾人かの印象的な人物を描いています。魅惑的な人から、イタリアっぽくない人、さまざまな男女の話は、文句なくおもしろい。彼ら彼女らとの蜜月期間や人生の転落期を、少し毒を含みながら語っているせいか、それとも著者の経歴のせいか、脳裏に米原万里の姿が浮かびました。その米原万里との友情、そして別れが、最後の章で丁寧に綴られています。ここで私の涙腺は、脆くも決壊。米原万里の姿が、親友の目を通して、とても魅力的に再現されていました。そして彼女との早すぎる別れ。残された著者。長い年月、作品を読んで、なんとなく知っているつもりになって…
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ノーバディノウズ
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カフェイン中毒/秘密を抱えていくということ
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メジャーリーグで活躍中の韓国系アメリカ人、通称ジャスティン・キング。寡黙で愛想のない、けれど結果は残す優秀な選手です。しかし誰も、彼のことをよく知らない。交渉のすべてを任されている代理人ですら、彼の背景を知りません。とてつもない金額での複数年契約さえ拒否し、野球などいつでもやめていいという姿勢のキングですが、じつはそこには大きな秘密が隠されています。キングは、逃亡中の日本人ではないか。そんな謎に、鼻のきく幾人かが飛びついて行きます。秘密を掴み、一攫千金を夢見る男。その男の安否を気遣う、恋人や母親。日本の新聞社に所属する記者と、その連れである元メジャーリーガー。人を寄せつけないキングが、世間に知…
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悪の教典
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カフェイン中毒/人の感情を理解できない怪物が、教職についたら
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かなりの厚みで上下巻。けれど、一気に読み切ってしまいました。後半、加速度的におもしろくなるのは当然として(不謹慎ですが、スピード感という意味で)、不穏な空気を孕みながらの、静かな前半部分も読ませます。とある私立高校で、2年生のクラスを受け持つ蓮実。ハスミンの愛称で親しまれ、女子生徒を中心に絶大な人気を誇る中堅教師です。かなり熱心で、生徒たちに慕われるのも理解できるなというエピソードが散りばめられています。慕われて当然なのです。彼は、そうやって担任のクラスを、自分の王国に仕立て上げようとしているのですから。彼の頭にあるのは、性欲と自己保身と生徒の掌握であり、中身を知れば知るほど、不気味さは増して…
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ヤングアダルトパパ
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カフェイン中毒/ショッキングな題材が、生かし切れていないのかも
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14歳の男の子が、5か月の赤ん坊を育てるという筋書きに、勝手に著者の軽妙なイメージを当てはめ、好奇心で読み始めたせいか、かなり気持ちの悪い印象が残ってしまいました。中学2年生の主人公。いろいろそつなくこなしてはいるのだけど、やっぱり幼いのです。へんに大人じみた脚色がなくて良いのかもしれませんが、彼に手を出した赤ん坊の母親を思うと、なんともやり切れない気分になってしまいます。というのも、この女性、親が不在の主人公の家に転がり込み、ダメな男に傷つけられ、おそらくそれを癒すために、身近な男である中学2年生とセックスし、家族の愛情に飢えていた14歳の子が疑問に思わないのを良いことに、出産。育児を彼に押…
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リアル・シンデレラ
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カフェイン中毒/シアワセの基準など、自分で決めればいい
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あるライターが、『シンデレラ』について調べ始めたとき、世界中に広がるこの物語のヒロインは、いったい幸せだったのかという疑問を抱く。多くの女性の憧れであり、まさに勝者の人生とされているからこそ、シンデレラ・ストーリーという言葉が存在するのだが……。ヒロインである倉島泉(せん)は、母親に疎んじられ、美しく優秀な妹とは、あからさまな待遇の差で育った。多くの人の目に彼女は、可憐な妹とは違って、愛想のかけらもない女の子に映っている。しかし、彼女は万人にわかやすい可愛さを持っていないだけであって、大人にも同世代にも、そして年下にも異性にも、彼女の魅力に気づく人はきちんと存在するのだ。彼らにとって泉は、他に…
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小さいおうち
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カフェイン中毒/ある女中の、青春の輝きと後悔
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この作品が、今回の直木賞候補のひとつだと知りました。直木賞そのものを胡散臭く思っているので、中島京子がそれを受賞しようとしまいと、正直なところ、どっちでもいいように思っていました。けれど、直木賞を受賞するというのは、作家に経済的な革命が起こることらしいので、今後もたくさんの人に読んでもらいたい人が選ばれるほうが、まだ気持ちの収まりもつくというものです。受賞しないかなと、読み終わった今は期待してしまいます。主人公のタキは、10をいくつか過ぎた頃から女中奉公をしていました。そのタキが、戦前、戦中の東京で奉公した先の、ある家族の物語です。旦那さま、奥さま、奥さまの連れ子である少年、そして女中のタキ。…
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夜行観覧車
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カフェイン中毒/細部のねちっこさに救われて、拙さを相殺(厳しすぎるか)?
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著者のデビュー作『告白』が、映画化、文庫化のためか、再び話題になっているようです。そのタイミングでの5作目。前作で、そろそろ離れようかとは思ったのですが(本当は2作目で思ったけれど、少し様子見)、結局気になって、今作も手に取ることにしました。理想的に見えるひとつの家庭で、殺人事件が起こります。母親が父親を殺すという災難に、否応なく巻き込まれていく3人の子供たち。しかも、事件当日、両親と家にいた末っ子は、行方不明。母親が息子の犯罪を隠して逃がしたのでは……との憶測を呼びます。押し寄せるマスコミ。親戚の家や学校で、味方がいないことを痛感してしまう長女。このあたりは避けて通れないエピソードなのに、既…
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趣味は何ですか?
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カフェイン中毒/無趣味……じゃダメですか?
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「趣味は何ですか?」そう尋ねられて、あなたはすぐに答えられるでしょうか。昔から、やりたいことが次から次へと湧いて出て、目移りはするものの、暇を持て余すようなことのない生活でした。自慢にもならないけれど、「きわめる」ようなところまではとても続かず、こういうのを、まさに趣味っていうのだろうなと、思い込んでいたのです。ところが、実際に「趣味は?」と尋ねられると(もしくは記入事項にあると)、今では過去にやり捨ててきたものが浮かぶだけで、絶句してしまい、「読書……ですかね」なんて、歯切れの悪い返答しかできません。そういえば誰かが、「読書と映画鑑賞は、もはや趣味とは言えないんだよ」なんて言っていたなあと思…
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ファミリー・シークレット
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カフェイン中毒/虐待の連鎖から、過去を見つめる作業へ
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じつは、著者の書くものが苦手でした。妊娠し、未婚の母になるのと同時に、長年連れ添った男性を看取る経過を描いた『命』四部作は、内容に引きずり込まれつつも、そこかしこに彼女の我の強さらしきものが垣間見られ、読んでいてぐったりしたのを覚えています。小説はともかく、ノンフィクションになると、とにかく業の深さに疲れ、我の強さに辟易した記憶ばかりが残っているのです。にもかかわらず、この作品を手に取ったのは、やはり『命』シリーズの中で出産した男の子と彼女が、どういう親子関係を築いているのか、気になったからなのですが。人間関係に不器用そうな彼女が、息子を虐待しているとの噂がありました。私はリアルタイムで知った…
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絶叫委員会
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カフェイン中毒/街にあふれる言葉たち
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歌人というせいもあるのでしょうけれど、言葉に鋭敏な人だなあと、いつも感心させられます。言葉ひとつにとらわれ、それを突き詰めて考え、おもしろがり、他者にうまく説明する力があってこそ、こういう類の本を書けるのだと思うのです。街に溢れた(ときには身近な人が発した)言葉の数々。何かに書かれたものであったり、偶然耳にしたものであったり。言い間違いもあれば、本人が確信をもって発言しているにもかかわらず、ツッコミどころ満載のセリフ。そういうものを集めているのですが、ただ集めただけでなく、著者特有の魅力的な説明が添えられています。読み終えるのがもったいないと思える本に、ときおり巡り会います。小説の場合、筋書き…
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乱心タウン
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カフェイン中毒/富裕層の狂乱がコミカルに
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著者の代表作『嫌われ松子の一生』は、私にとって不思議な印象の小説でした。松子という女性の生涯を追いながら、謎であった死因を解くという、いたってシンプルな筋立てで、一瞬、上下巻という長さを持て余すのではないかと思うのですが、これまたどちらかというと、ステレオタイプの不幸が続く彼女の人生につきあううちに、不器用な生き方しかできなかった松子が愛おしくてたまらなくなるのです。松子、とくに魅力的な女性でもないんですよね、客観的に考えると。なのに、その人生をなぞるだけで、物語の長さなんて感じもしませんでした。著者のそれ以外の作品は、一応おもしろくは読めるものの、私にとって「松子」ほどの吸引力はなく、本書の…
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オー!ファーザー
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カフェイン中毒/父親が4人、楽しいんだかうっとうしいんだか
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愉快、痛快な、著者いわく“伊坂幸太郎第一期の最後の作品”。単行本にして18冊目の刊行になるのですが、順番に載せられた一覧を見ながら、彼の言うように「伊坂幸太郎は第二期に入ったんだ」と思わずにいられません。小説家が、売れるという現状に甘んじることなく、「今までと別のタイプの物語を書かなくてはならない」と意識し、チャレンジするのは大歓迎です。けれど、第二期スタートの『ゴールデンスランバー』から先の彼の作品は、以前よりは明るさが影をひそめ、メッセージ性がより強くなり、なんというか、初期のお気楽性が薄れつつあるように思います。もちろん『ゴールデンスランバー』の成功が物語るのは、そのシフトチェンジが、け…
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エデン
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カフェイン中毒/彼はこのまま楽園にいられるのか(著者のイメージがガラリと変わった作品)
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大藪春彦賞を受賞、本屋大賞の2位にも選ばれた『サクリファイス』の続編にあたります。日本ではマイナーな、自転車ロードレースの世界に身を置く人たちの物語。ツール・ド・フランスくらいしか知らない私が、文句なしに楽しめたので、前作に続き、自転車に詳しくなくても支障はなさそうです。私にとっての近藤史恵の作品は、軽いものを読みたいときに手に取る本で、失礼ながら、カタルシスなんてものには無縁でした。読書の楽しみとしては、もちろんそれで充分だったのですが、それだけに、いつもの調子で読み始めた『サクリファイス』で、著者に対する見方もガラッと変わったことを覚えています。この人、こんな引き出しもあったんだ……と。そ…
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鉄道手帳
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カフェイン中毒/鉄道の旅計画(妄想旅行にもうってつけ!)
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鉄道の旅が好きです。ちなみに飛行機は、いまだに怖くて乗れません(乗ったことはあるけど、もう御免です)。いわゆる鉄子と呼ばれるような人種でもないので(究めてる人が、ちょっと羨ましい)、路線図を見てわくわくし、目的地までの時間や運賃を調べ、ある朝突然出発するという、ただそれだけの鉄道好きなのですが、これがもう、履歴書の趣味の欄に大書きしたくなるほどに楽しい。話題になった『日本鉄道旅行地図帳』をこつこつと集め、路線図を見てはうっとりしてたのですが、さて次はどの地方のものを購入するか……と迷っているときに、同じ著者の『鉄道手帳』を見つけてしまいました。これはかっこいい!西日本編の深い緑、東日本編の濃い…
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奥薗流・いいことずくめの乾物料理
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カフェイン中毒/雨? 家にあるものですませたいよね(料理篇)
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お天気が悪いと、買い物に行かずしてその日の料理を作ることを考えます。そんなとき咄嗟の一品が、自宅にあるものだけで作れるなら、ずいぶん助かります。そこで、乾物登場。もともと和食が好きなので、切干し大根、高野豆腐、大豆、しいたけあたりは、比較的調理するほうだと思っていました。麩くらいですかね、鍋と汁物でしか使わないなあと思っていたのは。それじゃあ、乾物料理のレパートリーもさぞや豊富で……と思いきや、意外にワンパターンなのですね。同じ味だと、そう頻繁に食卓に並べるわけにもいきません。切干し大根、よく考えたら和えものと普通の煮ものしか作ったことないかも。こんなに幅広く使えるんだと、正直驚きました。と同…
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これでよろしくて?
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カフェイン中毒/“お喋り”という、とっておきの薬
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子供のいない、夫婦だけの生活を送っている、葉月。ある日の買い物途中、結婚前につきあっていた恋人のお母さんに、いきなり声をかけられます。たった2度会っただけの、年配の女性。妙な二人組はなりゆきでお茶をするのですが、別れ際にある会合へ誘われます。『これでよろしくて? 同好会』へんてこりんです、ネーミングも存在そのものも。洋食屋で定期的に開かれる会合には、4~5人の女性が集まります。年齢も立場もバラバラ。議題があり、それについて、てんで好きな意見を交わすのです。そもそも葉月という女性は、とりとめのないことを考えてばかりいるのですが、それは一般的な人がそうであるように、自分の頭の中でだけ繰り広げられる…
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結婚小説
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カフェイン中毒/いつもながら、痒いところに手が届く小説
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デビュー作の『漢方小説』から一貫して、妙齢の女性の「気になるあのこと」について書き続けている作家です。「気になるあのこと」とは、体調不良、生理、恋愛の焦り、結婚などなど。30代を経験した女性作家なら、そこそこリアルに書けてあたりまえのことばかりですが、著者の飄々とした語り口、けっして不思議ちゃんに逃げないところ、地味な主人公なのに、話の展開と文章力で、ついつい一気読みしてしまうところはすごいです。女性作家がこのテのことを書くと、どうしてもドロドロしがちなうえ、何か大きな出来事を加え(恋愛なら不倫だとか、結婚なら婚約破棄だとか)、そこを盛り上げてしまうような気がしますが、この人の小説は、なぜか比…
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