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失恋ショコラティエ 失恋ショコラティエ
もりこ/クリエイティブな失恋
子供の頃から周りの女子たちがなぜ恋愛マンガばかり好きなのか分からなかった。ドラマも映画も、多種多様な人間の感情のひとつに過ぎない恋愛感情を、なぜこれほど取り上げることが多いのか不思議だった。それがこの作品を読んで少し見えた気がする。恋愛は人生の花だというが、その理由がここに描かれている。主人公・爽太は恋する「妖精さん」ことサエコに振られて一念発起、フランスへチョコレート修行に出、帰国後「チョコレート王子」となるが、それでもサエコとはなかなか結ばれない。すると今度は人妻になった彼女のために、爽太は悪い男になる修行を始める。確かに彼らが現実に居たら、爽太は面倒くさい男で、サエコは傍迷惑な女だ。けれ…  全文読む 評価する

ミスミソウ ミスミソウ
もりこ/久々に本気で怖かったホラーマンガ
廃校が決まった山村の中学校。最後の卒業生たちにとって部外者である転校生・春花へのいじめが凄惨な事件に発展し、完結となるこの3巻で、悲しくも怖ろしい復讐劇の幕が下りる。表紙からしてすごく上手い絵とは思わなかったが、火も雪も花も、景色のすべてが心象風景につながる構図はすごいし、心情をダイレクトに表す表情は寒気を感じさせる。全体的にはドラマチックでさえあるホラーフィクションだが、事件のひとつずつ、それぞれの心理をとってみれば、現実にあるものしか描かれていない。PTSD、自律神経失調症、強迫性障害、共依存など、誰もが落ちる可能性のある穴の中でもがく登場人物たち。そこに子供ならではの残虐性が加わって、一…  全文読む 評価する

FLESH&BLOOD FLESH&BLOOD
もりこ/イラストが変わりました。
歴史と恋と冒険のタイムスリップBL、めっちゃ待ってた12巻です。前も今も好きなイラストレーターなので嫌とは思いませんでしたが、バンビのようにきゅるんっと愛らしかったカイトが、表紙を見た途端「立派な鹿になっとる!」と思ったら限定小冊子で鹿トークが。こちらの小冊子は表紙のナイジェルがごっつ悩ましげです。そして本体の人物紹介ページ。華やかビューティフルな王子様だったジェフリーが、エロゴージャスな魔王様に見えました。ナイジェルは一気に色っぽくなって、ビセンテは堅さに磨きがかかり、キットは美しいけれど意外にアクがない。総じて衣装以外は前より現代的な感じに見えます。このジャンルにおけるイラストの影響力を再…  全文読む 評価する

黄金の石榴 黄金の石榴
もりこ/金の斧・銀の斧系不滅のテーマ
相変わらず昔の中国がとてもよく似合う絵柄で、人間嫌いの仙人と人間好きの仙人が、人を助けたり懲らしめたりする物語です。この作者のキーワードは「貧乏」であることがしばしばですが、今回1話目の主人公がのっけから行き倒れ寸前でそりゃもう貧乏です。しかも正直な働き者でお人好し。(つまり貧乏性?)黄金の石榴か奴隷働きか、我が身を賭けた仙人との勝負ですが、勝敗の形は人それぞれ。これもよくあるパターンです。でもこの上なく素直で人への愛情にあふれた作者の視点が快くて好きです。作者自身とても幸せなんだろうと思います。明るく、不屈の精神力を持ちながら心はしなやかで穏やかな性格の人々。けれど優しいだけでなく、努力は報…  全文読む 評価する

マダム・ジョーカー マダム・ジョーカー
もりこ/モーツァルト的ピンク色
派手な美貌にわっさりと花を背負って現れるマダム・ジョーカーこと月光寺財閥総帥夫人・蘭子は、華やかな容姿に有り余る財産、互いに夢中の美しい夫、すべてを持ったあり得ない女。今回彼女が解決するのは、完璧な美少女を悩ませる自分自身の食い意地。夢見るダメ男の犯罪。後家蜘蛛夫人の陰湿な罠。でも蘭子は主義主張に基いて事件を解決しようだなんて全然考えてもいない。ひたすら心のままに振舞うだけだ。ひねくれる必要のない環境で培われた素直で豪放な思考に、洒落っ気と機転が加わってすっきり爽快、悩んでるほうが馬鹿馬鹿しくなる。明らかな美女とはっきりした美男。見たまんまブスキャラとその通りの悪役。駒はこれでもかと判りやすく…  全文読む 評価する

死化粧師 死化粧師
もりこ/恋するエンバーマー心十郎に強敵出現
ゴスロリ系のダークな絵柄と繊細な感性で描かれるシリーズの5巻です。今回の依頼は同じ遺体を2度エンバーミングすること。1度目は社会への敬意を込めて。2度目は家族への愛情を込めて。故人の思いを代弁すること、遺族の心を慰めること。双方に深く関わる死化粧師の仕事は、フィクションでなくても尊く切なく、時にやりきれないものではないかと思いました。死に化粧といっても病院でしてくれるエンゼルケアとは全く違うエンバーミングの手順や、日本の法規の遅れなど色々知らないことを教えてくれて勉強にもなります。主人公・心十郎はそんな堅い仕事とは思えない外見で、女にだらしがないくせに本命のアズキには告白もできないまま、日々遺…  全文読む 評価する

銀のヴァルキュリアス 銀のヴァルキュリアス
もりこ/男女逆転異世界ファンタジー
異世界に飛ばされた女子高生・琉花は、前女王アリステアの生まれ変わりとして現女王に追われながら、最初に出会った双子の少年たちと助け合い、帰り道を探す。やがて琉花がめぐり会うのは、アリステアが命がけで守ろうとした恋人エリュシオンの魂を宿す青年・ライナス。身分のしがらみ、部族の恨み、歪んだ憧れ、ねじれた恋。様々な思惑に翻弄される琉花とライナスは…。きりよく10巻の完結だ。男はみんな女の奴隷。奴隷は若くて美しく、賢くて丈夫なほどに価値がある。子供が女なら跡継ぎで、男だったら下働き。世界中でしばしば見られる男尊女卑を風刺したとも受け取れる舞台設定は、往々にして軽く見られがちな女の立場からは痛快だが、女な…  全文読む 評価する

チェーザレ チェーザレ
もりこ/チェーザレ様と呼ばせてください!
高校の頃、塩野七生さんの「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」を読んで、うっかりチェーザレに惚れました。なのに授業は眠たくなるようなひと撫でで終わってしまってとても残念でした。あの頃にこんなアートで華麗な教科書があったらよかったのになあと思いながら読んでいます。シンプルな表紙に色鮮やかな帯のきりっとした美しさが、いつも最初の楽しみです。5巻ではそろそろ少年の凛々しさに青年の猛々しさが加わってきたチェーザレ様。暗殺の危機を積極的に回避しつつ、下町見聞や大学での模擬戦などを通じて、着々と支配者としての基礎を固めてゆかれます。その背景にある性格や状況が、かわいいアンジェロ、シブめのミゲルなど、…  全文読む 評価する

悪魔の花嫁 悪魔の花嫁
もりこ/「出る」と聞いた日から前作を再読しつつ待っていました。もうずっと。
連載終了時には間違いなく物議をかもしたであろうあの幕切れ。続きを待たなくてよいという大人買いの利点を小気味よいほどに蹴散らしたあの幕切れ。あれから月日は流れて早幾年。まさか今頃になってあの続きが読めるなんて。しかもいきなりの最終章。ということはついに決着が…!?絵柄はかなり変わりました。前作では、どこかに泥臭さを残し強い光と濃い闇が混在していたあの時代の、本作では、垢抜けて明るさの中に無機質を宿し傷口にふたをして前進する現代の、それぞれの雰囲気が良く出ていると思います。けれど、学生にしては学外活動が手広い美奈子、実は一番底意地が悪いヴィーナス、美奈子と無関係な場合でも割と働く優柔不断なデイモス…  全文読む 評価する

インド夫婦茶碗 インド夫婦茶碗
もりこ/愛と笑いの国際結婚エッセイコミック
祝、流水さん家のアルナちゃん小学校入学! その頃兄のアシタくんには学級崩壊の危機が…! もはや何だか長年のご近所さんのように思えてきた11巻。それだけ作品に臨場感があるということでしょうか。作者が1年の4分の1をインドで過ごしていたという「インドな日々」と本作を1巻から読み返してみると、結婚、出産、育児と、家族が出来上がっていく様子が刻々と描かれていて、作者本人とご家族にとってこそ最も良い記念ではないかと思います。あくまでコミックなので誇張や簡略化、多少の脚色はあるにしても、これだけ欠点も弱点もあけすけに出せるのは作者のおおらかさのなせる技、飾らず取り繕わずいつも自然体なのが快いです。絵柄も分…  全文読む 評価する

ふるふる ふるふる
もりこ/語り口の美しさにうっとりです
星降る 時経る 都古る 袖振る 魂震る うたは 奮る ふる…まじめで純朴な異能の修行僧・日古と一癖あるけど憎めない遊芸人・活流、日古に憑いた記憶喪失の霊・おぼろ式部。三人旅の行く手には一期一会の出会いがあふれる。文庫版「夢の碑」で作者を知って以来ファンです。大和言葉の美しさ、うたの味わいや楽しみ方を最初に教えてくれたのがこの作者でした。本作もそうですが、ものすごく感動するとか手に汗握る急展開とかがあるわけではないのに、なぜか忘れられません。子供の頃に読んだ世界の童話や民話、日本昔話のように心に根付く力があると思います。メリハリのきいた画面をぬって音楽のように台詞が流れ、老いも若きも輝くほどに生…  全文読む 評価する

すべてはこの夜に すべてはこの夜に
もりこ/「夏の花」が素敵でした
返済できない借金の代わりに人を殺せと脅された智充。知らずに銃を向けた相手は因縁の元恋人・彰彦で…。不器用な愛情と、表裏一体の憎しみが木の葉のようにひるがえり、すれ違い心を揺らす手さぐりの恋。後の短編では、死線を越えて結びなおされた絆の深さが穏やかな日常を通して語られます。が、より印象に残ったのは表題作よりも二本目の中編でした。もちろん本編あっての挿話ではあるのですが。本編での脇役と、その恋人との切ない物語です。心だけで愛し合い、はかなく逝った妻・麻子。そのきずを抱える亮一を訪れたのは、凄惨な過去を越え、麻子の墓前で静かに手を合わせる亡き妻の弟・靖之。君がいてくれてよかった。ありがとう。人を愛し…  全文読む 評価する

漂流教室(BIG COMICS SPECIAL) 漂流教室(BIG COMICS SPECIAL)
もりこ/こんなにドラマティックなホラーがあったなんて
すごいです。このジャンルでこの絵柄で、なぜこんなにもロマンにあふれていられるのか不思議です。あの赤白ストライプのお家からは想像もできない堂々たる怪奇ロマンでした。不毛の未来に校舎ごとジャンプしてしまった子供たち。大人たちは次第に狂いはじめ、子供たちは変化し進化してゆく。その過程に次々と現れる、怪虫、おばけキノコ、未来人類、巨大オニヒトデなど、並外れた想像力の産物たち。二度と戻れないタイムスリップのなか、息つく間もないハイテンションで展開される怖ろしくも叙情的な人間ドラマでした。この傑作が30年以上前に描かれたなんて本当に驚きですし、その時代に発表するにはある種の勇気が必要だったのではないかとも…  全文読む 評価する

大奥 大奥
もりこ/鮮烈な覚悟を底に押し込めて、静かに綴る没日録
若い男子のみが感染する致死率の高い疫病によって人口の男女比率が崩れ、女将軍に美男たちが仕えることになった大奥を舞台とするパラレル時代劇です。男女逆転によって起こる出来事を描くのではなく、起こる出来事によって逆転せざるをえなかったという描き方が秀逸です。3巻では2巻から引き続き、国家存亡の危機に当たって女将軍が誕生した経緯と、彼女を取り巻く男や女、時代の様子が語られています。発想、着眼点、切り口、流し方、信念と色気を併せ持つ登場人物たち。どれをとっても見事です。「この国はまだ滅びぬような気がするのです」。様々な事由に動かされながら繰り返す日々の暮らしが時代であり、その積み重ねが歴史だと教わりまし…  全文読む 評価する

舞姫 舞姫
もりこ/20年後に読み返しても、きっと色あせない不朽の名作
初めに表紙にひかれた。シックな色使いで様々なバレエのポーズを描いた、日本画のように美しい表紙。その美を体現する作中の少女たちは、自身が置かれた境遇の中でそれぞれに心を乱されつつも、頂点を目指してしのぎを削る。熾烈な競争が時には命までかけさせるほどに。第一部完結として物語に一区切りがつく10巻は、家族の悲劇を乗り越えて若い才能が芽吹き始める主人公・六花の姿で締めくくられている。けれどそこにいたる道程はとても痛ましい。いやだ。六花の慟哭がこもる短い言葉が強く焼きつく。バレエに関する技術や身体のこと、音楽や舞台裏なども過不足なく分かりやすく描かれ知識のなさを気にさせない。しかしそんなことはこの作者に…  全文読む 評価する

ジュセリーノ未来予知ノート ジュセリーノ未来予知ノート
もりこ/遅すぎた危機感、タイムリミットは過ぎてしまったようです
予知夢がおそろしく当たってしまうブラジル人ジュセリーノ氏の未来予想は…。例えば、いつもより早く出かける用意ができた。ゆっくり出てもいいけど、でも今日は早めに出社したほうがいい気がする。行ってみたらタイムレコーダーが動かない。調整に時間がかかったけど、早めに着いたおかげで遅刻にならずにすんだ。そんな虫の知らせのような経験は割と誰でもあると思います。この著者の場合はそれが極端に強烈にくるということでしょうか。毎晩おそろしい夢を見て、飛び起きメモをしたためて、当たらないことを祈りつつ8万9千通の手紙を自費で送り続ける。見上げた精神力です。それも占い師がはまりやすい万能感ゆえの傲慢さはかけらもなく、未…  全文読む 評価する

罪と罰 罪と罰
もりこ/悪に浸って限りなく、善を見上げて限りなし
劣等感と自尊心の軋轢に悩むニートの大学生ミロクは、街で出会った援交組織リーダーの女子高生ヒカルの殺害を決意する。血に汚れた手に得られるのは、魂の救済かそれとも死か。私はドストエフスキーの罪と罰を読んだことがなく、あらすじを何かで聞いた程度なので参照も見比べもできないが、この作品はかなり怖い。この世で最も恐ろしいのは生きた人間だと、思わず画面の前から引いてしまう巧みなページ使いと表情で、たたき込むように再認識させられる。生きた悪霊のようなヒカルを社会的害悪として葬ることで、過去を越え自分の魂の前に道を開けようとするミロク。2巻では、ヒカルに隷属させられているリサによって早くも計画が狂い始める。世…  全文読む 評価する

死と彼女とぼくゆかり 死と彼女とぼくゆかり
もりこ/清清と紡ぐ命の讃歌
読み終えて、ふと考えた。自分にとって幸せな死とはどんなものだろう。死者の姿を見る少女ゆかり。死者の声を聞く少年優作。二人が出会う死者たちは、それぞれに悲しく、恐ろしく、優しい。改題前から通算18冊目となる今回は、優作が子供の頃に亡くした母杏子の物語だ。看護師として様々な死と関わる杏子と、彼女を支える夫の健一郎。死という抗えない現実に、嘆き、怒り、もがき、あるいは微笑み、何かを祈る死者たち。その思いを通して彼らは知る。誰かの幸せを願うことが、自身の幸福にもつながるのだと。そして彼らは皆、命を畏れ死を敬う。それゆえ時に厳しく果敢に、時に慈悲深く寛大に、死者たちの心を受け止める。それでも作品自体が重…  全文読む 評価する

万福児 万福児
もりこ/笑った、笑った。こんな子供がほしい!
お寺の息子で4歳で、名前は福志で変わり者。父にも母にもよく似てて、小憎らしいのに可愛くて、笑いのセンスに長けている。奇行が得意?で動物好きで、太った手足に肉びょうぶ。万に一人の福々しさで、隣近所を席巻する。シンプルな絵にご愛嬌、目つきはリアルでちょいコワめ。絵で笑い、台詞で笑って流れで笑い、結局なんだか癒される。一瞬遅れて襲いくる、笑いのシュールレアリスム。ストレス疲れにご利益あり。住職一家の日常は、ほほえましくも個性的。  全文読む 評価する

デッドショット デッドショット
もりこ/悲しみがこごって闇になり、愛が群がりほむらになる
冤罪で投獄された麻薬捜査官ユウトは、獄中で怜悧な美貌をもつCIAエージェントのディックと出会う。互いに惹かれながらも、かつて爆殺された恋人の報復のために脱獄したディックを追って、ユウトはFBIと契約する。二人が狙う同じ獲物は、軍事キャンプを故郷とし刑務所暮らしを懐かしむ哀れなテロリスト、コルブス。CIAとFBI、復讐する者と阻止する者。生木を裂くような別れを経た二人の人生が再び交わるのは、なにもかもが終わった後…。ハッピーエンドですが、とても切ないお話です。完結編となる3巻ではコルブスの悲惨な過去が語られ、絡まったそれぞれの愛憎が引き絞られて最後の対決に向かっていきます。どこにいても、お前の幸…  全文読む 評価する

Flesh & blood Flesh & blood
もりこ/歴史の縦糸、冒険の横糸に、恋の綾糸をからめて織りなす技ありBL
早く続きを!もっとイラストを! 新刊が出るたびそう思わずにいられないシリーズの10巻です。エリザベス1世統治下の16世紀イングランドにタイムスリップした少年カイト。身の安全のために歴史の授業を生かし、予言を能くする占い師を名乗ってしまう。よくあるタイムスリップの設定を、必然として活用するところに作者の技術を感じました。そのカイトの予言を欲して対立する、イングランド海賊の船長(ブロンド・ブルーアイ・奔放・自信家・当然美形)ジェフリーと、スペイン貴族の間諜(ブルネット・エメラルドアイ・慎重・ストイック・勿論男前)ビセンテ。他にも、氷の瞳に火の心を持つ隻眼の美青年ナイジェルなど、好い男キャラがざっく…  全文読む 評価する

サタニスター サタニスター
もりこ/炸裂、三家本節!
超人的な腕力と怨霊憑きのナックルで、特殊殺人鬼を狩りたおす趣味と使命を持った修道女サタニスターが、世界最強殺人鬼決定戦に参戦!好きです。このセンス、この笑い、このアイデア。無茶苦茶なのに面白い。いや無茶だから面白いのか。この発想は一体どこから湧いてくるのか。血のりと勢いと変人と、ウィットに富んだ明るいホラー。シンプルさがいっそ小気味よく、おまけの「みかもとまいにち日記」も楽しめます。  全文読む 評価する

ヴィリ ヴィリ
もりこ/酸いも甘いもかみ分けた、厳しく温かい作家の眼
40歳を過ぎたバレリーナ礼奈は、IT企業の社長和也をパトロンに発表会に取り組む。しかし和也が求婚したのは礼奈ではなく…。愛と裏切りに自身を見失いかけた時、舞台の妄執がヴィリとなって心の隙間に入り込む。バレエを扱った作品であるが、静かで緊張感に満ちた作品自体は、能舞台に似ているように感じた。緻密な心理描写がヒントを散りばめ伏線を張り、線の細い画面に張り詰めた印象を与える。そして、ここぞという瞬間には気合の入った勝負を、真実味のある恐怖を添えて投げかけてくるという見事な構成。それらが語るのは、人のカルマというものではないか。仏教の輪廻思想からくる前世が云々はさておき、人である以上は逃れようのない愚…  全文読む 評価する

7SEEDS 7SEEDS
もりこ/田村由美流、心と体のサバイバル術
もし地球に巨大隕石が衝突したら…。人類の滅亡を避けるため、ほぼ勝手に選ばれた若者たちが、想像を絶する未来世界に希望の種子としてばら蒔かれる。シリーズ11巻は、滅亡の日々をシェルターで生き、シェルターで死んでいった人々のお話です。ぎりぎりの境地に立ち、心から震えることを楽しいという。作中3巻の台詞ですが、この作者の持ち味はそれに尽きると思います。緩急自在のストーリー構成と、話にぴったりフィットする独特なタッチの濃い画面で、読み手を引っ張り揺さぶってくれます。生き生きとして個性的なキャラクターたちの心の奔流が、読者の気持ちを難なく共鳴できるところまで持っていってくれる。そういう稀有な作家だと思いま…  全文読む 評価する

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