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軍神
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佐々木 昇/そうか、「軍神」は国民が生み出したものだったのか。
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『軍神』という本書の表題を見て、そういえばかつて、そう呼ばれた軍人たちがいた事を思い出した。近いところでは、ハワイ真珠湾攻撃のときに戦死した九軍神が思い出されるが、酒巻少尉が捕虜になっていること、九名は戦死したことを現場の上層部は早くに知っていたことを空母飛龍の乗員だった親戚の人から聞いたことがある。開戦早々、捕虜が出たなど発表できるわけもなく、悩んだ末に九軍神が発表されたものとのことだった。 続々と報じられる陸海軍の大戦果に国民受けする記事を書くことに新聞社は多忙、国民は一人二人の戦死者の差など疑う余地もないほど新しい戦果に夢中だったのだろう。人気番組の視聴率を気にするあまり、放送内容を捏造…
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松本清張の世界
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佐々木 昇/美しい文章よりも真実の文字を書きたい。
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松本清張に関わった作家、編集者などの評論や思い出が並べてあって、それぞれが思い入れや松本清張と関わりあったというプライドが出ていた本であった。まるごと一冊、どかんと読み応えがあって、初期の作品がいいアクセントになって飽きなかった。これだけのボリュームがあって、それも1,000円を切って、文庫というのも松本清張らしいと思った。 このなかで、おもしろかったのは松本清張を芥川賞に選んだ選評委員の方々の言葉がそれぞれに思惑があるようで面白かった。 いずれ自分達を追い抜いていくであろうという才能を認めながら、絶賛する人、けなす人、それぞれの評価は各個人の個性が出ていて大変興味を抱いた。 また、松本清張…
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沖縄やぎ地獄
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佐々木 昇/沖縄県民斯く食せり。
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久々の休みに気分転換のつもりで読んでいたが、観光ガイドブックのようにさらりとしていながら著者の好奇心旺盛な食欲に圧倒されてしまった。 「百聞は一見にしかず」、まさに沖縄は新発見と感動とが山盛りであるが、それも沖縄リゾートでの出来事ではなく、沖縄庶民の食生活を中心にしているのがいい。 更に、著者の奥さんに小さな娘さんまでがその沖縄食体験にどっぷりと浸かっていて、飾りのない意見が出ていて良かった。 格式というかプライドの高い飲食店は子供の入店を拒否するが、あれは躾の悪い子供が他の方々の邪魔をするという理由でそのようにしている。(確かに躾のなっていない親子もいるが) しかし、本当のところ子供の舌は…
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心
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佐々木 昇/師の晩年の考えを聞いてみたかった。
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今、奈良の薬師寺といえば高田好胤師のおかげと評価されるようになったが、修学旅行生に話をしたり、薬師寺の復興資金を納経という形で集めたりした当時は随分と批判が集中したと思う。いまでこそ日本全国のお寺で写経がブームになっているが、それを思いついた師の発想に感心するばかりである。 昔、家族で夕食を摂っているとき、テレビニュースでは東大紛争で学内に立てこもった学生の母親達がキャラメルの差し入れをしたという事でちょっとした話題になっていた。警官隊との騒動は学生の立場を悪くしていくばかりであり、そんな学生を支援した母親達を夫々が批判したが、「母親の気持ちはそんなもんじゃない」と母だけがきっぱりと断言し、…
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痛快!寂聴仏教塾
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佐々木 昇/おまけのCDを聴くと爆睡できます。
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瀬戸内寂聴師が説く仏教解説書ではあるが、師が仏門に入るまでの葛藤が興味深かった。 師が女流作家から仏門に入られた時のことを覚えているが、芸能ネタ程度にしか捉えておらず、いつ師が還俗するかに興味を抱いたくらいだった。 瀬戸内流に般若心経を分かりやすく解説してあるが、般若心経というのは解説するそれぞれの人に差異があるのはどうしてだろうか。大きな誤差はないものの、細部に至ると般若心経を解読した人の経験が顔を出すのだろうか。 仏教というものを説明する解説書でありながら、結局のところ瀬戸内寂聴師の発心から現在までの生き方をノンフィクションとして読んでいるようだった。読む人それぞれが独自の世界で理解する…
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再発見、からいもの魅力
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佐々木 昇/琉球芋、薩摩芋、唐芋、トイモ、甘藷と呼び方は様々でも庶民の強い味方。
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「もはや戦後ではない」といわれても、庶民の生活には色濃く敗戦の陰がつきまとっていた頃、満足におやつにありつけない子供達はサツマイモで甘味を楽しみ、腹を満たした。近所にはサツマイモから作った飴を売る店があったが、本土防衛の兵隊として鹿児島に駆りだされた際に地元の農家が作る芋飴の製法を覚えて、復員後に始めたそうである。 農家の子供は腹が減ると納屋に忍び込み、籾殻を掻き分けてムロの中のサツマイモを探り出し、焼き芋にしたり薄く切って油で焼いたりしておやつ代わりにしていた。いつでも勝手に芋を食べられる農家の子供が羨ましかった覚えがある。 いまではほんの一本の焼き芋も行商人から買うと驚くほどの金額に唖然…
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縁起のいい客
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佐々木 昇/大作家といえども投書の結果が気になるものらしい。
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新聞や雑誌に掲載されたエッセイをまとめたものであるが、このなかで最も印象に残ったのは「図書券」という作品だった。 三菱重工業長崎造船所が世界最高級の豪華客船「クリスタル・ハーモニー号」を建造していると世間に知らしめたのは、皮肉なことに火災事故のニュースであった。 この火災事故から長崎の町は活気がなく、沈んだようであると聞いた吉村 昭氏は「戦艦武蔵」などの取材でお世話になったなった長崎の人々のためにと考え、地元の長崎新聞に激励の投書をするのである。 まさか、名前の売れた作家が投書をしてくるなどとは思いもしない新聞社は半信半疑であり、吉村氏は吉村氏でもしかしてこの投稿原稿が没になったのではないか…
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東京・地理の謎
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佐々木 昇/そのうち川崎市は東京都になるのだろうか。
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高層ビルが立ち並び、観光スポットのようなビルに再開発されていく東京であるが、そこで生活し働く人にとってあまりにも日々忙しすぎて東京の成り立ちになど顧みることなどしないのではないだろうか。 その原因の一つが、日本全国から人々が一過性で東京に集まってきているので、東京という場所への愛着が希薄なためなのではと思った。 しかし、本書を読んでいるとおよそ400年前の江戸開府のときから地方の人間が寄り集まったり、佃煮で有名な佃島などは徳川家康が関西から呼び寄せた人々の町とは知らず、都市の成り立ちについて再考する必要があると思った。 昨今、区画整理などで廃止した旧町名を甦らせる運動が起きはじめたが、東京の…
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歴史の影絵
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佐々木 昇/時速2キロのゼロ戦
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日本が世界に誇る「ゼロ戦」であるが、工場から飛行場まで牛車に引かせていたとは、驚きであった。それも、主翼や胴体はばらばらの状態でしか運べず、大量生産には程遠いものである。 工業化の進んだアメリカであれば、戦闘機は工場で完成品として出荷され、隣の滑走路から飛び立つという合理的なものであった。近代の戦争も消耗戦であるが、原料も無く、生産性も低く、ただ兵隊だけは消耗品というのであれば自ずと勝敗はついてしまう。 華々しい「ゼロ戦」の陰に牛や馬が存在していたとは、第一線の搭乗員も知らなかったのではと思う。 また、幕末に日本にやってきたシーボルトの娘である「イネ」についての作品も氏が手がけられたが、作品…
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博多学
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佐々木 昇/誉め言葉のオンパレードにご当地本かと思いました。
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「福岡はパスポートなしで行ける外国」という目次に笑ってしまうやら、うまい表現をするものだと感心してしまった。 確かに同じ日本ではあっても博多弁という言語が存在し、気質は関東や関西などの他地域の範疇に収まらない民族であると思う。良い意味でおおらか、反面、適当でいいかげん。悪気はないものの、リップサービス旺盛で「口だけ」という地元民の習性には他の地域からきた人々には理解し難いものと思う。 他人から聞いたことや週刊誌ネタでもまるで自分が見てきたかの如くに「語る」様子に、博多の人間はまるで詐欺師かペテン師のように見えてしまうだろう。 なだいなだ氏も「夢野久作」のあとがきに「博多の町の元気と怪物」とい…
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ポチ・たまと読む恋愛・結婚で最高の自分を引き出す方法
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佐々木 昇/ハイブロー武蔵さんには不向きなテーマと思います。
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ポチ・たまシリーズの恋愛・結婚の本であるが、いままでのハイブロー武蔵氏の本と比べて言葉のキレが悪く、消化不良のまま出版された感がする。 どこか違和感を感じるのは余りにも恋愛・結婚=セックスという図式が気になったからだろうか。まさにポチ・たまという畜生のための恋愛・結婚本のようだった。こんな感想を抱くのも古い人間の部類に入るからかなと自問自答していた。 夫婦が相互に啓発しあったり、出産や育児といった共同作業の分担についても出ていたら良かったかなと思った。当人同士の問題といいながらも両家の問題がからんできたり、共稼ぎ夫婦、小さな子供を預けて働く夫婦がいたりと複雑に夫婦の形態はあると思うが、結婚と…
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大東亜戦争、こうすれば勝てた
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佐々木 昇/タラ、レバは酒の肴
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「イフ」という仮定での両名の対話は様々な本で指摘されている失敗例を詳細にまとめたものであったが、海軍に志願兵で入り参戦した父が「真珠湾も二度目の攻撃をしておれば」「東條が総理大臣にならなかったら」など、酒の肴で語っていた内容を思い出させるものだった。 復員のため両手一杯の配給品を下げて駅に向かっていた折り、学徒動員と分かる海軍士官が佐世保軍港の岸壁で呆然としている姿が父の目にとまり、話を聞いてみると「僕達、どうやって東京まで帰っていいかわからない」と嘆いたそうである。 「これだけあればお前達三人でも東京まで帰れるだろう」といって持っていたトランクいっぱいの米を与えたそうであるが、「あんな学生…
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ノモンハンの夏
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佐々木 昇/無益な戦いに駆りだされた兵隊達が可哀想。
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膨大な資料を集めるだけ集めて、ついに司馬遼太郎はノモンハンについて書けなかった。 その作家の苦悩をまじかに見ていた半藤 一利氏でしか、これは書けなかったのではないか。 「勝って兜の緒を締めよ」、陸軍のエリート達は陸軍創建以来の連戦連勝に古の教えも覚える暇がないほど勉強に、昇進に忙しかったのだろうか。このエリート達に引きずられた国民ほど哀れなものはない。 本来ならば軍法会議で銃殺刑であった辻 政信、東條 英機などが処分もされずに生き残ったのが大きな間違いである。国家の行く末よりも自己の出世欲を優先させ、暗記だけが得意な小才が舵取りすると子々孫々までもたたる例である。 姑息にも辻 政信などは敗戦…
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生きる者の記録佐藤健
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佐々木 昇/それでも健さんは生きている。
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書店で本書を手にして初めて、佐藤 健さんが亡くなられたのを知った。 「イチロー物語」を手にしたとき、佐藤 健さんはいい仕事を続けているなと思い、その後も順調に仕事をされているものと思っていた。健さんが所属する新聞社の新聞を購読していないので知らなかったが、闘病記が新聞に連載されていたとは。もう、まるっきりのフリーのジャーナリストとばかり思っていたのに、律義に記者を続けていたとは健さんらしい。 学生の頃、入院僅か一ヶ月で母が亡くなり、突然に訪れた不幸に呆然とし、悶々とする日々を送っていた。出口の見えないトンネルに突入し、もがきつづけ、坊さんの説教も釈迦の教えもへったくれもあるものかと荒れてい…
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ある小さな禅寺の心満ちる料理のはなし
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佐々木 昇/食べることは生きること。
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NHK朝の連続テレビドラマ「ほんまもん」の庵主様が実在していたとは知らなかった。 本の扉を開けると目に飛び込んでくる「ごまどうふ」が実においしそうで、写真でなかったら早速に箸で捌いて口にしてしまうだろう。ごまの香ばしさ、山葵のつんとくる香りさえ漂ってきそうである。 水上 勉さんが禅寺での修行時代を本に書いておられたが、そのときの料理の基本と同じことが出ているので感心した。素材そのものの素性を知り、損なわないように、生かしきるというのがまるで作法となって生きていた。 絶賛されていたファーストフードからスローフードが礼賛されるようになったが、この本を読んでいくとスローフードといっても現在がほんの…
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壬生義士伝
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佐々木 昇/通勤電車では読めない本。
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平成15年2月15日(土)の午後、ホテルオークラで浅田次郎氏の講演があり参加した。当日の朝、NHKの生放送で偶然にも浅田次郎氏がゲストであったが、画面で見た浅田次郎氏が同じスーツを着て登壇され、「本物だ」と不謹慎な言葉を吐いてしまった。すでに「壬生義士伝」が封切りされた後であり、映画を観ようかなと思ったが、氏の講演を聴いて原作を読まなければと思った。 通勤電車の中で読むには困りものだった。 のめり込みすぎて降車駅を通過しそうになること数度、不覚にも人前で涙ぐむこと数しれず。 「平成の泣かせ屋」に泣かされてしまった。 敗戦後、日本人が忘れさせられたモラルを復活したいという氏の願いが存分に作品の…
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壬生義士伝
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佐々木 昇/無条件に人に勧めたい本です。
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「勝てば官軍、負ければ賊軍」とは言いえて妙である。 負けてしまえば、いかな正義も通じないということか。 歴史を正面からだけで判断してはいけない、反面からも側面からも見なければ真実はわからないよと語りかけているような気がした。 かつて、知人が知らずに下関の「ふぐ刺」を持参して会津若松を訪ねたところ、参集した客人は誰一人として箸をつけようともしなかったとのこと。その話を聞いて薩長に対する恨みつらみは早々には溶解しそうにもないなと思ったが、「朝敵」「賊軍」の汚名を着せられれば仕方がないと思える。この、朝廷ではなく薩長に弓引いた人々の苦しみはとうてい教科書では理解できないものであったが、本書で十二分…
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見えない橋
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佐々木 昇/史実の裏側に真実が見える。
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この短編集のなかで最も傑出しているのは「時間」という作品であると思う。 吉村 昭氏の「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=00208415&volno=0000" target="_blank">大本営が震えた日」という作品があるが、時間というよりも年月でしか解決できない裏側をこの短編で見せていただいたと思う。 事実を再現したいという気持ちと、それによって過去の忌まわしい真実に直面させられる遺族の気持ちとの間でのせめぎ合いに吉村氏の人間性がみえてくる。 このような真摯な作家に頭を下げられたら、遺族は渋々でも取材に応じるだろうな…
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北京大学超エリートたちの日本論
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佐々木 昇/日本と中国の間には深くて暗い溝が横たわっている。
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読み進んでいくと、ただただ北京政府に対する憤りで一杯になった。 表面上は日中友好と満面の笑みを浮かべながら、本音の部分では国民に対して反日感情を高める政策をとっていれば相互不信が続くのも致し方ないと思った。共産主義で国家を統一し、更に多民族からなる国を一つにする手段として日本を敵国扱いするのは北京政府の大きな政策ミスであると思える。「支那」は蔑称であると抗議しながら、「日本鬼子」と日本人を蔑称で呼ぶ姿は中華思想のなにものでもない。 反面、多くの日本人が懐古趣味で郷愁を中国に求めるだけで、財界もマスコミもいまだに日清戦争後の感覚で中国と接してしるのではないかと懸念される。正しい歴史認識が相互の…
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父・山口多聞
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佐々木 昇/徹頭徹尾、強い人です。
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海軍軍人として勇猛果敢な戦いを展開した山口多聞少将についての記録は多数あるが、個人としての山口多聞を知りえるものとしては本書をおいて他にはないだろう。 家庭における避けては通れない諸問題を抱えながら、さりとて海軍を辞職することすらできない立場にあった山口多聞という人物の内面の苦悩が偲ばれる内容だった。公私共に苦しい中、それに耐えていた山口多聞の内面に触れ、単なる勇将という言葉では片付けられないものを感じた。ここまで人間は精神的に強くなれるのかと、ただただ恐れ入った。 多忙な中において、妻にあてた膨大な手紙。 それも、現代の我々すら赤面するほどの絶賛の言葉の羅列。労い。 軍歴においては華やかで…
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飛竜天に在り
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佐々木 昇/たられば話はしたくないけど、つくづく残念な提督です。
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すでに亡くなられてはいるが、ある親戚が空母「飛龍」の乗組員であり、当時の話をよく聞かせていただいた。 運がよかったのか悪かったのかは分かりませんが、と言いながら艦橋での山口多聞少将の思い出や戦闘機の発艦や着艦の様子を身振り手振りで語ってくれ、止む無き用事で上陸している間に艦は出港し、死にそこなったとの事であった。 そんな思い出を確認しながら読み進んでいったが、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦においての山口少将の読みの深さ、鋭さには驚かされる。何故、この提督に両海戦の指揮を執らせなかったのかと残念でならない。 当時の海軍といえども官僚主義に首脳が侵されていたのだろうか。たらればは禁物だろうが、日露…
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日本及び日本人の復活
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佐々木 昇/五千円札を残して欲しい。
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少なくとも、新渡戸稲造の「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=00333012&volno=0000" target="_blank">武士道」を読んでからでないと本書の内容は理解できないと思う。 公徳心を失い、自由を主張する割には責任を持たず、「恥」を知らない日本人が多いなかで「このままではいけない、なんとかしなくては」という福田 和也氏の叫びが詰まっている。 敗戦後、GHQの術策に嵌ってその精神までをも骨抜きにされた日本。経済力で復活したならば次には世界の尊敬を集める国にならなければならないが、どこに主軸を定めてよいのかが…
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匂いおこせよ梅の花
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佐々木 昇/やがてやってくるわが身の姿。
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すでに日本が抱えている「高齢社会」の問題をエッセイというよりも落語の小話風に仕立て上げた内容である。 俳優でありながら「ハルマヘラ・メモリー」「山脈をわたる風」などの作品を残すエッセイストとしても実績があり、他人様のことだから笑えるが、笑いながらもどこかに「ひやり」とさせるところを残すのは流石と思う。 頑固で律儀、そして「恥」という現代の日本人が忘れてしまったモノを軽妙洒脱に仕上げてある。 ただ、永年連れ添って愛着のある女房が先に逝ってしまっている作品が多いのは男の願望を代表しているのだろうか。 画家の父、同じく画家の伯父、小説家の伯母、芸術家の従兄弟と存分に俳優だけにとどまらないDNAが詰…
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韓国と日本の歴史地図
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佐々木 昇/感情に流されず、冷静に論じて欲しかった。
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全体を読み通してみて、著者が日本人学者訪韓団の一員として韓国を訪問し、その際に韓国の学者や財界人の主張する歴史観を無条件に受け入れてしまっているのではないかとの疑念が湧いた。 特に、日本が植民地支配をしたことが絶対的な悪であり、これによって日本が行なってきたことの全てを否定する言葉が多く目についた。 正直な感想として、いったいこの学者先生は何を勉強してきたんだろう。この程度の知識しか持ち合わせていない先生が近・現代史までに踏み込んで本を書いてはならないと思った。 国際法、軍事、民族、民俗学についての研究にまで及んでいるのならば、とてもこんな内容にはならないと思う。論旨は支離滅裂、矛盾点が多く…
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碇星
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佐々木 昇/うまい話でも、これも人生。
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長編小説を主体にする吉村 昭氏であるが、たまに短編集などを読んでいると、あの時の長い作品から題材を持ってきたな、とか、著者自身の身辺を織り込んでいるのに気が付かされる。 いずれにしても、長編作品のストーリーの流れを邪魔したくないがゆえに意図的に削除した部分を短編として甦らせる手腕に著者の力量を感じてしまう。 そして、作品のなかに現われる氏の人間観察の繊細さにはいつも驚かされる。 「飲み友達」という作品では、なにか小さな事件が起きたなという予感と期待がない交ぜになりながら、読後には「そんなうまい話があるのか」と思ってしまう。 けれども、なんとなく「これも人生」と安心させられてしまう。 ズボンの…
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そば屋翁
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佐々木 昇/グルメ雑誌よりも食欲をそそる本でした。
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「読めば必ずそばが食べたくなる」という帯の文句の通り、一読後、「そばを食べに行こう」と叫んでしまった。 ここまで丁寧に、蕎麦屋の厨房まで覗かせていただいて、そばを食せずにはいられなかった。つんのめるようにして近所の蕎麦屋に向かい、熱燗をあおり、シコシコつるつるのそばをすすった。 「うまかった」 蕎麦屋は頑固一徹、暖簾を大事にする敷居の高いものと思っていたが、そんな不安を一挙に打ち消してくれたのが本書だった。いつまでも、どこまでもおいしいそばを求めていく著者の生き様。奢らず高ぶらず、弟子の育成にも神経を注いでいるのがよくわかる。それもこれも、著者の師匠である一茶庵の片倉康雄の人間性を受け継いで…
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せどり男爵数奇譚
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佐々木 昇/事実は小説より奇なり。
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本好きの方にはたまらなく面白い本である。 あまりの奇想天外な展開にぐいぐいと引き込まれていって、時間が経つのも忘れる位だった。 作家の方々のエッセイなどには時おり「せどり」稼業の人たちが登場する。 「背取り」もしくは「競取り」という商売で、古本屋や古書店を巡り歩いては注文主が求めている本を探してきたり、入札で仕入れてくるものである。往々にして作家達は出入りの古本業者の他にこのような裏方商売の方々にお世話になっているようであるが、その方々の裏側をこのような形で暴いてもいいのかと心配になった。 それにしても、古書に魅せられた人間の欲望の深さにはただただ驚くばかりである。「たかが古書、されど古書」…
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タクシードライバー日誌
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佐々木 昇/タクシー運転手はつらいよ。
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著者自身が10年近くやってきたタクシー運転手の記録小説であるが、まさに事実は小説よりも奇なりというものである。 自身のタクシー運転手経験を丹念に日記につけていたのであろうが、「日誌」という題名が本人をして第三者として語らしめるという内容になっているのが良かった。 日常、何気なくタクシーを利用し、利用する側がどちらかとういうとタクシー運転手に対して高いところからものを言っているのではないだろうか。 著者自身は在日韓国人として差別を受けていたのだろうが、タクシー運転手が国籍に関係なく日常的に差別を受けているのがわかる。差別的な気持ちをタクシーを利用する立場の我々がどこかに抱いていれば、差別を受け…
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昭和16年12月8日
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佐々木 昇/大義名分を求めた日米戦争。
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「リメンバー・パールハーバー」を合言葉にアメリカは日本への報復戦争の火蓋を切ったが、この書を読んでいると日米双方が戦争を回避するというよりも、大義名分を掲げて、いつ、何をきっかけとして戦争を開始するかと満を持していたとしか思えない。 当時の中国大陸では蒋介石を援助するために米が軍事物資の援助をし、軍事顧問を派遣して日本との戦闘状態にあったにも関わらず、宣戦布告が遅れたという理由でだまし討ちをする国とのレッテルを貼り、いまだにそのラベルをはがそうともしない。 諸外国との停戦条約の締結においてもしかり、つくづく日本という国のプロパガンダの弱さを痛感するしかない。 また、その宣戦布告の遅れによる…
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タラワ
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佐々木 昇/今では兵どもが夢の後の島になっているのだろうか。
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R.Fニューカムの「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=01322340&volno=0000" target="_blank">硫黄島」に続いて読んだが、単純に戦闘記録の訳文を読んでいるようであり、どこか物足りなさを感じていた。 その原因は著者自身が海兵隊に所属していたためか、アメリカ側の戦闘記録が中心になっており、日本海軍特別陸戦隊の内容も加えてあれば更に戦闘状況が把握できて良かったのではと思った。 いずれにしても、海兵隊では指揮官先頭であり、指揮官である士官が倒れたなら下士官、その下士官が倒れて誰もいなくなったならば兵が…
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