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震える岩 震える岩
purple28/人はきっと乗り越えられるから。
 大昔に「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=01357087&volno=0000" target="_blank">かまいたち」を読んだときに、一度だけ面識(?)はあるんです、お初っちゃん。 普通の人にはない不思議な力を持つお初は、南町奉行所の根岸備前守に気に入られ、よくそこへ通っていた。ある日、“死人憑き”の噂を聞いたお奉行は、お初にその調査を任せる。理由も分からないままお奉行に押し付けられた古沢右京之介とともにお初は調査に出かけるが…。 ちょうどこれを読んでいたころ、「<a href="/cgi-bin/srch/src…  全文読む 評価する

団長の事件簿 団長の事件簿
purple28/“団長の弟子(文化人)”は全国各地に、そしていろんな世界に散らばっているのです。
 “ハムの人”みたいに、“うどんの人”と呼ばれる田尾さん。帯には、「笑いネタ満載で展開する、超うどんスペクタクル」と。…もう、何がなんだか分かりませんが。うどんとお笑い、どこがリンクするのか。不思議でしょう? でも、田尾さんという人を知っている香川県民ならば、誰も不思議には思わないことなのです。その辺を順序だてて解説してくれているのが、本書(たぶん)。 今のこの讃岐うどんブームを語るにあたって、まず押さえておくべきところは、このブームの火付け役となった、田尾さんの人となりでしょう。どういう人が、どういう風に、いち地方の名物でしかないものを全国的に広がるブームにまでもっていったのか。気になります…  全文読む 評価する

ジャカルタ炎上 ジャカルタ炎上
purple28/刻々と変わる情勢によって、人々はどう変わるのか。そして変わらないものは…。
 1998年のクーデター。いくらテレビで報道されようとも、私たちにとっては、“どこか遠い国のこと”以外のなにものでもない。初めてリアルタイムでみた湾岸戦争の映像が、ゲームや映画に比べて迫力に欠けていた、とそう思ったときからきっと、“何か”を失ってしまったんじゃないだろうか、と思ったりもしたのだけれど、でも本書を読んで、本当はそんなモノ、私たち日本人は最初っから持ってなかったんだな、と実感したのでした。 物語の主人公・法子は経営コンサルタントとして経営の芳しくないジャカルタの大きなホテルへと赴きます。彼女の胸にあるのはただひとつ、優柔不断な男のこと。そして、その男の呪縛から逃れられない自分のこと…  全文読む 評価する

陀吉尼の紡ぐ糸 陀吉尼の紡ぐ糸
purple28/キャラクターの勝ち。
 前から、気になっていたシリーズ。ええ、もちろん探偵・朱雀十五が、です。だって、盲目だけどもんのすごくキレイだっていうじゃないですか。しかも、性格だってそんなによろしくないというし(キレイな人は、多少ひねくれていた方が魅力的です)。ということで、読んでみました。 面白かったです。 でもアレですね、感想を見ていると“京極もどき”というフレーズがたくさん目につきます。京極は私、全部読んでますけど、でも全然そんな感想は抱きませんでした。確かに、舞台設定とか登場人物とか扱う題材とかは同じですね。でも、やっぱりモノは異質だと思いますよ。ともかく、根底にあるテーマが違う。…と思うのですがどうでしょう。 藤…  全文読む 評価する

玩具修理者 玩具修理者
purple28/まさしく現代の“怪談”ではないかと。
 “グロい”という噂を聞きつけ(どこから?)手に取ってみましたが、思ったよりグロくなかったです。多分、綾辻の方がもっとグロい(表紙の目玉が綾辻を思い起こさせました)。 少し読んだだけで、結末も簡単に分かってしまうし。でも、面白くないわけではない。いや、面白いのです。なぜかというと、語りが上手いのですね。 “ホラー”というと、もうでき上がった小説ですから、物語の善し悪し、内容はもちろん構成や展開のさせ方ですね、それが問題になるのですが、“怪談”といったら、やはり基本は語り口なんだと思います。ホラーではあるけれど、やっぱりこれは怪談ですよ。その辺りがきっと第2回日本ホラー小説大賞短篇小受賞なのかな…  全文読む 評価する

間取りの手帖 間取りの手帖
purple28/純然たる不思議ワールドが実在するなんて。
 “ヘンな間取りあります”という張り紙のある不動産屋。そんな雰囲気の本です。 そもそも間取りというと、何時間眺めていても飽きないもの(もしかしたら個人差があるかもしれませんが)。そんな間取りの中から、ヘンなもの、不思議なものだけを集めた1冊。こんなの反則だってば。 しかも、それら1つひとつにつけられたコメントが秀逸。語り口は淡々としてるのですが、ツボにはまって、思わず吹き出してしまうこと請け合い。きっと、こんなヘンテコな間取りばかりを集める人だから、感性も他人とはちょっと違うのです。 所々にちりばめられたコラムは、いまいち。これだけはちょっと余計だったかな、と。紫微の乱読部屋  全文読む 評価する

Star egg Star egg
purple28/真っ先に、2歳の姪と一緒に読みたいと思いました。
 森博嗣の描く絵本、ということで手にしてみました。帯には“親子で、恋人と4倍楽しめる”なんて言葉も踊ってますが、4倍どころじゃないと思います。自分の成長に合わせて何度でも、繰り返し楽しめ、その度ごとに違ったことを感じることができるでしょう。 実は私、森博嗣は人間愛を語れない、なんてことを思っていたのです(笑)。しかーし、その考えはすぐに壊されましたね。秒殺でした。なんてハートフルなのでしょう。なんて深い愛なんでしょう。そして、やっぱりユーモアにも溢れていました。 森博嗣は理系の香りがして苦手、という方には、「スカイ・クロラ」よりも、まずこっちを紹介すべきかも。絵本なのですぐ読み終わるし、ちょっ…  全文読む 評価する

星虫 星虫
purple28/この台詞にヤられるためだけに読んでもいい。
 SFには苦手意識を持っているので、最後まで読めるか不安でしたが、蓋を開けてみると、なんだか“懐かしい”のは時代のせいか(^^;)。なんせ主人公が、猫をかぶった女子高生、というあたりがなんとも(笑)。そんなクサイ設定にもかかわらず、これが不思議とのめり込んでしまうのです。 宇宙に憧れ、将来はスペースシャトルの操縦士になる、という夢を幼いころから持ち続けている女子高生・氷室友美。けれど、いつの頃からかその夢を口に出して言うことはなかった。学校では優等生を演じる友美は、家に帰ると宇宙飛行士を目指すための訓練を行っている。そんな友美が夏休み最後の夜に見たものは、空から無数の星が降ってくる風景。しかし…  全文読む 評価する

ミステリ十二か月 ミステリ十二か月
purple28/ミステリファンはもちろん、北村信者も増えるに違いない。
 やっぱり北村さんはステキですねえ。今回、新聞掲載のコラムを集約し、さらにインタビューも加えて、とても読みごたえのある1冊になっています。掲載当時と同じカラーで、挿し絵というか版画も掲載されていて、それがまた味があっていいんだわ。それだけでも、じっくり見て楽しんで欲しいです(笑)。 これだけ長い間ミステリー読みをやってきて、いかに自分が何も読んでいないのか、ってのが分かりますねえ。北村さんの紹介だから、それが絶対的にいい、とかいう話ではなく、私が読んでいない、数ある作品の中から、気持ちを揺さぶられる作品が50も並んでいるわけです。既読の作品すら、“北村さんがこう言うんだから、もう1回読んでみよ…  全文読む 評価する

骨音 骨音
purple28/池袋が好きだからこそ、その終焉を見てみたい。
シリーズ3作目にして、ようやくパターンが固まってきた感じ。電車の中で、ときたま笑いをこらえるのに必死になるほど。言葉ひとつ、ちょっとした描写の一つひとつが面白くなってきました。「骨音」「西一番街テイクアウト」「キミドリの神様」「西口ミッドサマー狂乱」の4作収録。2作目にはなかったですが、本作ではマコトの恋愛話も少し。池袋という街、そしてそこに“生きている”人たちのそのまっすぐさがいいんでしょうね。さて、2作目の最終話から繋がる「骨音」ですが、…そういう意味だったんですかと、冷や汗をかきつつ。トラブルシューター(探偵)という肩書きを持ちつつ、池袋の街を疾走するマコト。もとからそうだったんですが、…  全文読む 評価する

少年計数機 少年計数機
purple28/甘いマコトにヤられてください。
1作目から少し時間が空きましたが、3作目が文庫になったので、まとめて読んでみました。面白かったです。マコトに会うのが懐かしく、そして嬉しく感じてしまったり。どうしてこんなに感情移入できるんでしょうね。たぶんそれは、甘いから。でもその甘さが、私には合ってるんだと思います。読むほどに、気持ちも若返って、乗せられて読み進める作品って(しかもミステリーで)、あまりないかも。なんだろうなあ。私の中には、まだ青臭い部分があって、そこがたまに少女小説のようなものを 求めるんですよね。自分でもつくづく成長してないなあ、とか思ってるんですけど、でも、やっぱりこの手のものは、何度読んでもはまる。そういう風にできて…  全文読む 評価する

堕天使殺人事件 堕天使殺人事件
purple28/「芦辺さん、お疲れさまでした」と言いたい。
 実は初めて手にとります、新世紀「謎」倶楽部。しんせいき「みすてりー」くらぶ、と読むんですね。  二階堂黎人、柴田よしき、北森鴻、篠田真由美、村瀬継弥、歌野晶午、西澤保彦、小森健太朗、谺健二、愛川晶、芦辺拓。人気のミステリー作家11人が勢ぞろいしました。前の人が何を書いたかは、手元にもらうまでまったく分からないのだそうです。前半の人はネタふりし放題だし、後半の人も、伏線を一つくらい拾っておけば、まだ謎を組み込むことだって可能だし、いちばん大変なのは、最後を受け持つ人なんでしょうね。なんてことを考えながら読んでました。それがまた面白いこと。でも、巻末に、それぞれの方の“予測”が添えられているんで…  全文読む 評価する

φは壊れたね φは壊れたね
purple28/海月くんの“Q”かな。
 森ミステリィ、ここに極まれり。みたいな(笑)。森博嗣の新作は“Qシリーズ”というようですね。どんな由来があるのかは分かりませんが。ま、Vシリーズだって紅子(venico)さんのVだし、どこかに何か、ちゃんとした理由があるのでしょう(想像できませんが)。 なんといいましょうか。S&Mシリーズを読破し、Vシリーズはまだ途中なのですが(文庫派なのでね)、四季4部作も読み終えた私としましては、このQシリーズで単純に“森ワールド”を楽しむ術を心得ました。という感じです。Vシリーズあたりから薄々感じてはいたんですけどね、何より、Vシリーズからついてこられなくなった読者もたくさんいたし、それが何よりの証拠…  全文読む 評価する

乱れからくり 乱れからくり
purple28/乱舞するからくり、ぜひ目の当たりにしたいものです。
 日本推理作家協会賞長編賞受賞作、ということで、とても期待をして読みました。泡坂さんは今までハズレがないんです(^-^)。 隕石に当たって命を落した玩具会社の部長・馬割朋浩。それを機に、馬割家の人たちが次々と不可解な死を遂げていく。男まさりの女探偵とその助手が捜査を始めるが…。 事件が次々と起こっていくごとに、“何か”仕掛けがあるのは分かるのに、それが何だかハッキリしなくて、もどかしい思いをします(笑)。ただ、犯人は早い段階で分かってしまいました(笑)。犯人が分かったところで仕掛けは分からないんだなあ。その辺が泡坂さんの魅力なんだよねえ。しかも、“からくり”が壮大すぎ(^^;)。まるでルパンを…  全文読む 評価する

秘密 秘密
purple28/そんな「秘密」だったんですか。
 「片想い」を読むにあたり、先にこちらを読んでおいた方がいいとアドバイスをいただきました。 東野さん、そんな「秘密」だったんですか。 それが読み終ってすぐの感想です(笑)。この物語の中には、結構たくさん「秘密」が出てきます。その中でも極め付けの「秘密」ですよ。やだなあ、こういうの苦手なんだけどなあ(苦笑)。お互いの気持ちがすれ違う、というストーリーが苦手です。それがラブストーリーの醍醐味なんでしょうが、お決まりな設定なだけに、展開も決まっていて、絶対どっちも辛い思いをするじゃないですか。それが分かっているからそこから進めなくなるんです。本作には、そんな“どきどきはらはら”も満載。ごめんなさい。…  全文読む 評価する

沙羅は和子の名を呼ぶ 沙羅は和子の名を呼ぶ
purple28/呼ばれた和子は沙羅の名を噛みしめる。
 加納さんは、どうしても思い入れの強い作家さんになってしまうのですが、そういうイメージを持ったままっていうのは、もしかしたらすごい不幸なことなのかもしれません。というのも、「ななつのこ」「魔法飛行」の衝撃が強すぎて、読むたびに、またあの“魔法”を期待してしまいます。なので、どれも「うん。よかった」程度の感想…。魔法じゃないけど、おまじないみたいな「ささらさや」、「掌の中の小鳥」はエッグ・スタンドで呪文をかけられたし、キレイでイタイ「ガラスの麒麟」も、全部好きなんですけど。ま、でも、どれにも裏切られていない、というのは逆にもしかしたらすごく幸福なことなのかもしれませんね。 さて、本題です。本書は…  全文読む 評価する

アフターマン アフターマン
purple28/いつまでも飽きずに図鑑を眺めていた子供の頃を思い出します。
 前々から気にはなっていたのですよ、ちょっと特異な表紙イラスト。それは、人類滅亡後、5000万年後の世界で闊歩する“進化”した動物。要は空想の図鑑なのですが(笑)。しかしながら、これがまた、ものすごく説得力がある。というのも、想像は想像でも、ちゃんと進化学や生態学の基本原理に則ったモノなので、ちゃんとした理由があるです。 はじめの方には、地球の成り立ちから生物の進化論まで、きっちりと、でも分かりやすく説明されていて、これを踏まえからでないと、この“空想の図鑑”の面白さが半減してしまいます。例えば、同じ種が環境などによって少しずつ違った進化を見せる場合がありますよね。で、隣り合う亜種同士は交配可…  全文読む 評価する

頭がいい人、悪い人の話し方 頭がいい人、悪い人の話し方
purple28/この本を読んでほしい人が身近にいます。
 実は、実用書の類いがあまり好きではありません。興味のあるモノでも、最終的には文句をつけてしまうので(笑)。なんというか、“当たり前”のことしか書かれてなかったりするんですよね。でも。そういうモノが実用書なんだと最近気付きました。“当たり前”のことでもちゃんと本に書いてもらわないと、学べなくなっている、ということもあるんでしょうか(ま、できる・できない、というのは別問題なんですけどね)。 で、これです。著者は長く小論文の添削をしてきた方だそうで、文章と話すことの共通項を見出した、ということだそうです。確かに、話し方というのはとても大切なことだと思います。私の場合、極力気を付けてはいるんですが、…  全文読む 評価する

キッパリ! キッパリ!
purple28/ポーズをとって、自分が変わった気になるだけでもいいのかも。
たった5分で自分が変わるわけがない(笑)。でも、変えようとする気持ちとその努力はとても大切なわけで、そこへたどり着くちょっとした“きっかけ”を与えてくれます。全部で60項目あるわけですが、どれもカンタン。しかーし。それができる人ははなからこういった本は読まないんだなあ(笑)。こうう本を買う人っていうのは、努力しなきゃと思いつつ、いつも思うばっかりで結局何もできない、という私みたいな人ばかり。でも、大切なのは“心がけ”です、きっと。各項目にチェック欄がついていて、巻末にはチェックリストも付いているので、テキスト好きな方にはいいんじゃないでしょうか。紫微の乱読部屋  全文読む 評価する

魔羅節 魔羅節
purple28/そんな志麻子ねーさんが、私はとっても大好きです。
 <a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=01704496&volno=0000" target="_blank">「ぼっけえ、きょうてえ」を読む以前から、岩井志麻子には馴染みがありました。というのも、地元テレビ局の情報番組に出演していたのですよ。底抜けに明るい志麻子ねーさんと、あの“麺通団”団長・田尾さんが、いいコンビで絶妙なトークをかましてました。 そういう志麻子ねーさんを知っていながら、敢えて言いましょう。あなたはどこへ行こうとしているの、と。志麻子節炸裂の1冊。でも、これも“事実”なのです。 岩井志麻子といえば、「ぼっけえ、…  全文読む 評価する

ダ・ヴィンチ・コード ダ・ヴィンチ・コード
purple28/子供の頃に感じたあの“どきどきわくわく”を、大人になっても感じられるとはっ。
相当なボリューム、意味深な装丁、魅力的な“謎”を思わせる帯…。これだけ全身で誘われて、断れるわけがない(笑)。苦手な翻訳モノだし、持ち運びに不便なハードカバーだし、なかなか進まないことを予測して読み始めたのだけれど、なんのなんの。あっという間に読み終ってしまいました。で、読了直後の感想は「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」(笑)。ひと言でまとめると、これに尽きます。日本人としてはあまり馴染みのないキリスト教の深部に関する“謎”。いくら奥が深くても、「ふ〜ん」で終らないのがこの作品の面白いところです。宗教としてのキリスト教だけではなく、宗教学や歴史学、そして美術・芸術といった学問的な面からもアプ…  全文読む 評価する

妖異金瓶梅 妖異金瓶梅
purple28/一途な男と激しい女。
山田風太郎って、実は読んだことがなく、最初にこの作品を選ぶのってどうよ? とか思いながら、でも、なかなか評価は高かったので、読んでみました。中国の寄書「金瓶梅」を元に、ヤマフウ風の味付けをしたら、とんでもない快作になりました、という感じ。といっても、私は元の「金瓶梅」もヤマフウすらも知らないわけで、それでも、「水滸伝」や「金瓶梅」などを調べていくと、どれほど本作がスバラシイかは理解できようもの。というか、何も知らずに読んだとしても(私がそうなんですが)、終盤の怒濤のようなストーリー展開には楽しませてもらえます。梁山泊が跋扈する時代の中国。精力絶倫の快楽主義者・西門慶は、8人の夫人と2人の美童を…  全文読む 評価する

密室殺人大百科 密室殺人大百科
purple28/「密室ってなあに?」「それは、男のロマンさ」的1冊(上下巻だけど)。
 ミステリー読みがわくわくする設定の一つに、「密室」がある。ほかにも「絶海の孤島」とか、「人間消失」などもあるが、それらもひっくるめて「密室」と呼ぶ。「密室」とは、えらく懐が深いのだ。しかし、「密室モノ」においては、少々“お約束”がうるさい。早々に抜け穴が発見されたりだとか、実は鍵がかかっていなかった、というのでは興ざめである、というのである。 それが男のロマンをかきたてる。 決して密室が男のモノであるといっているわけではない。ただ、完璧な不可能犯罪であるならば、推理小説は成り立たなかったりする。ではどうするのか。 “完璧”はどこにかかるのかということをまず考えたい。不可能犯罪にかかるわけでは…  全文読む 評価する

この島でいちばん高いところ この島でいちばん高いところ
purple28/どうやって“生きる”か=どうやって“死ぬ”か。
祥伝社の“400円以内で買える”文庫シリーズ。それはとてもありがたいことなんですが、いかんせん、この長さは中途半端。ミステリーでないのはこの際おいといて(笑)、せめてもうちょっと枚数を増やして膨らませるなり、この長さにするなら、もうちょっと切れ味を良くしてもらうなり、近藤さんなら、なんかもうちょっとやり様があったかなぁ、と。夏休み。2泊3日で海水浴に出かけた17歳の少女5人。「少し離れた小島に、遠浅のきれいな海岸があるからね」その言葉につられ出かけた無人島で、思いのほか時間を過ごし、帰りの船に間に合わなかった5人は、島で1夜を明かすことに。決して優しくないのはとっても近藤さんらしくっていい。そ…  全文読む 評価する

天使の羽音 天使の羽音
purple28/喜多嶋洋子からの贈り物。
 幼いころ、大地に包まれて生きてきましたか? 自然とともに楽しんできましたか? 季節の移り変わりを喜び、ときには嘆き、風を感じ、生命に触れて生きてきましたか? 田んぼとため池以外、なんにもない田舎で育った私。春は草花と戯れ、夏は水に浮かび、秋は実りに感謝し、冬はこたつでみかんを食べる。周りはそんな超自然児ばかり。それが普通で、世の中の子供というものはみんな、そういうものだと思っていました。 本物の蛍を見たことがない大人、買うのが当たり前のカブトムシ。実際にそれを目の当たりにしたときのショックといったら…。と同時に、いかに自分が恵まれていたのか、幸せな子供時代を過ごしたかを実感しました。それはや…  全文読む 評価する

神を喰らう狼 神を喰らう狼
purple28/伝説上の狼、その名は“フェンリル”。
 榎田尤利といえば、“魚住くんシリーズ”。ボーイズラブしか読んだことがなかった私にとって初めてのファンタジー。やっぱりタイトルが心を掴む。 神を喰らう狼。 とてもとても大きくて、神をひとのみにしてしまう狼。 しかし表紙に描かれているのは、キレイな少年。 そそられる。 あなたは自分の命に代えても守りたい人がいますか−。 そう尋ねられて、子供がいたならきっと「いる」と答えられる。 でも、多分今は「分からない」としか言えない。 そんな自分が不甲斐ない。 美しい海に囲まれて育ったボーイにとって、フェンがすべてだった。文字通り、フェンはボーイのすべて。けれど、そんな幸せなときはすぐに終わりを告げる。 神…  全文読む 評価する

今夜はパラシュート博物館へ 今夜はパラシュート博物館へ
purple28/“その後”のお楽しみに惹かれないわけがない。
 森博嗣の短編集は、ちょっと苦手だったはずなんですが。そのことをすっかり忘れていて(笑)、とても楽しめました。やっぱりおなじみのシリーズだからでしょうね。 「どちらかが魔女」「双頭の鷲の旗の下に」、この2作がS&Mシリーズ。「ぶるぶる人形にうってつけの夜」がVシリーズ。 S&Mシリーズはすでに完結していて、その後のストーリー、という感じだったのですが、これがもう、笑える。お腹かかえて笑いました。会話がね、面白い。萌絵なのに(笑)。 初っぱな、萌絵と睦子のかけあい(?)があるのですが、その言葉のやりとりを含む描写が秀逸。両シリーズとも、会話だけを抜粋してシャッフルしていろいろつなげてみると、すご…  全文読む 評価する

スクランブル スクランブル
purple28/変幻自在なオンナノコ。
私が高校生だったころ、今の自分はゆで卵だなぁ、なんて思ったものです。しかしまだまだ甘かった。卵には、スクランブルエッグに、オムレツ、ポーチドエッグ、それから温泉卵なんてものありますか。お好み次第でいかようにも変化しますと自分で言ったか、えーいこんなものはこうしてやると変化させられたか、とにかくバリエーションには事欠かない。そこがそもそも女子高生なのではないかと。舞台は1980年代の女子高。まさに青春まっさかり、のはず。しかしながら、一筋縄でいかないところがまた女子高生だったり。現代のいわゆるコギャルどもとはちがって、幼い部分あり、大人びた部分あり、でも何より“自分”を持っていたと思います。それ…  全文読む 評価する

メイン・ディッシュ メイン・ディッシュ
purple28/猫に小判?いいえ、茶碗にご飯。
茶碗は飯物をよそう器である。今でこそ、和食器に中国料理やフランス料理を盛り付けることが受け入れられ、おしゃれにも見えるが、やっぱりお茶碗にはご飯である。茶碗にみそ汁や煮物は似合わない。ねこさんは“何かが欠けた人”である。劇団・紅神楽の創設者の一人であり、看板女優でもあるねこさんには、紅林ユリエという名があるが、この際、それはどうでもいい。劇団の団長であり、座つき作者でもある小杉師匠は、何やらわけのわからないモノを手にあまるほど持っている人である。団員が増え、新旧交代があってもこの2人がずっと変わらない関係を続けていけるのは、劇団の創設者だからというだけでなく、マイナスとプラスだから。何かが欠け…  全文読む 評価する

黒蠅 黒蠅
purple28/ここから新しい物語が始まる。
検死官シリーズは本作で12作目となる。古書店で何気なく手にした「検死官」。そこから新刊を追い、ここまでついて行くとは、自分でも思ってもみなかった。バージニアの検死局長であるスカーペッタは、ばりばりと仕事をこなすキャリアウーマン。女性にとって憧れの的であると同時に、プライベートでは多くの悩みを抱えていて、身近に感じられる存在でもある、というところがこのシリーズの魅力。異国の地、アメリカが舞台で、検死官という、なじみの薄い職業についていながら、読者が彼女に同調できるのは、限りなく実在する人物のように描かれているからではないかと。彼女の日常の習慣、好き嫌い、性格など、非常に細かく、そして生々しく描か…  全文読む 評価する

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