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舟を編む 舟を編む
さあちゃん/辞書には驚きと感動が詰まっていることを教えられました。
 このタイトルからこれが辞書作りに携わる人々を描いた内容だとは想像もつかないと思います。勿論三浦しをんさんの新作なので通り一辺倒なものではないだろうとは思っていました。しかしまさかこんなにまで感動的で涙するようなものだったとは!まさに嬉しい驚きでした。 これは15年もの間優れた辞書を世に出そうと奮闘する人々を描いた作品です。中心になるのは辞書編集部主任の馬締光也。名前の通り真面目で少し変わっている。ぱっと見ははっきり言ってあまり関わりたくないタイプ。しかし本が好きで言葉に対する感性と情熱は飛びぬけている。そんなちょっと変わった彼を支える同僚や部下それぞれの視点から描かれています。 辞書。考えて…  全文読む 評価する

ドルチェ ドルチェ
さあちゃん/新しいヒロインの登場です
 警視庁練馬警察署魚住久江巡査部長。42歳。独身。3日で二箱あけてしまう結構なヘビースモーカー。禁煙はしたいと思っているのだがいまだ止められない。10年前には本部捜査一課にいた。巡査部長に昇任してから所轄の強行犯係をわたり歩いている。今でも時々捜査一課に戻らないかと誘われる。この10年結婚したいと思ったことも子供が欲しいと思ったこともある。しかし戻りたいと思ったことは一度もない。それは一課が殺人捜査専門だからだ。いつしか人が殺されてから関わることに虚しさを感じるようになった。誰かが死ぬ前に事件と関わりたい。誰かが死んだ謎を解き明かすよりも誰かが生きていることに喜びを感じるようになったのだ。 こ…  全文読む 評価する

人質の朗読会 人質の朗読会
さあちゃん/語る人
 語る人と聞く人。世の中はこの二つに分けられるのではないだろうか。そして作者は静かに語りかける。しかしその圧倒的な物語の前に私たちはただ耳を傾けるばかりだ。 ここで語られているのはどれもありふれた日常の物語。静謐だけれども奇妙な物語だ。しかしそれらの物語はどれも私たちの心の奥深くに入り込んで握りしめる。それは今は亡き者たちの声だがらか。それとも私たちの過去に観た風景だからなのか。いずれにしてもその世界に足を踏み入れたなら戻ることは許されない。ただ作者の語る声に身をゆだねるしかない。 とにかく作者の世界にただただ脱帽しそして恐れおののく。もはや語るべき言葉はない。ただ聞こう。語るべき言葉もない私…  全文読む 評価する

シティ・マラソンズ シティ・マラソンズ
さあちゃん/なんだか私も走ってみようかなと思ってしまいます
 三浦しをん・あさのあつこ・近藤史恵という当代人気の作家がマラソンをテーマに描く3つのものがたり。 「純白のライン」三浦しをん いきなりの社長命令でニューヨークシティーマラソンに参加することになった安部。確かに学生時代には長距離選手だったけど就職して以来10年。確実に体重は増え今ではランニングさえおぼつかない。そんな彼がニューヨークで観たものは・・・ 「フィニッシュ・ゲートから」あさのあつこ 学生時代将来を嘱望された長距離ランナーだった悠斗。しかし才能に限界を感じ競技から離れ今はランナーの為のシューズを作っている。「来年の東京マラソンを走る」ずっと音信不通だった湊からかかって1本の電話。学生時…  全文読む 評価する

往復書簡 往復書簡
さあちゃん/そういえばもう何年手紙を書いてないだろう
 3つの短編がおさめられている。同級生・先生と生徒・恋人達。それぞれが交わす手紙だけで物語は構成されている。そこではそれぞれ10年・20年・15年前の事件が語られている。真相は何処にあるのか・・・そして書き手たちの秘められた想いが語られていく・・・ 今や一人に一台は持っているといっても過言ではない携帯電話によって私たちは今という時間を共有することが可能になっている。しかし手紙ではそうはいかない。手紙を書いてから相手から返事がくるまでの時間。この時間を意識して書くのが手紙というものではないだろうか。その時間があることによって相手の事自分の事をより深く考えるようになる。つまり相手を意識して書くとい…  全文読む 評価する

暗黒街の女 暗黒街の女
さあちゃん/まるで映画を観ているみたい
 場末の怪しげなクラブで経理の仕事をしている貧しいわたし。ビジネススクールに通いながら平凡な毎日を過ごしていた私の前にグロリアという女性が現れる。「あんな脚が欲しい」わたしにそう思わせた彼女はギャングの幹部で暗黒街でも一目置かれる存在だった。わたしの何が気に入ったのか彼女はわたしに仕事を手伝わせる。賭博の運び屋などの仕事をこなしそれなりの報酬を受け次第に彼女の信頼を勝ち取っていく。貧しい娘だったわたしをグロリアは拾い上げ鍛え暗黒街で顔を知られる女に変えていった。そんなわたしが出会ったのはろくでなしのギャンブラー。関わりあうべきではないと解っていたのにどうしようもなく溺れていってしまう。そして運…  全文読む 評価する

獣の奏者 獣の奏者
さあちゃん/刹那の意味が心にしみます
 本編では描かれなかったエリンとイサルとエサルの物語。それぞれの視点で語られた物語はどれも心に染み入るようだ。 「人生の半ばを過ぎた人へ」あとがきで作者はこう述べている。人生というものがどれほど早くあっけなく過ぎ去ってしまうのかということを実感し始めた方たちに読んで欲しいと。これはエリンやイサルやエサルの物語であるだけでなく読者の物語でもある。彼らが感じている刹那の喜びや悲しみや人を愛したり想いやったりするその感情の揺らめきが読者の中に入り込みそして浮かびあがってくる。その刹那の積み重ねが生きることの喜びであり悲しみでもある。良きことも悪しきことも後悔もすべてが人生に織り込まれていく。選ばなか…  全文読む 評価する

蜜姫村 蜜姫村
さあちゃん/もっと凄い乾ルカを読みたい
 陸の孤島。東北の山深い瀧埜上村の中でもまだ奥深い仮巣地区はまさにそう呼ばれるのかふさわしい場所だった。一年前変種のアリを負って遭難した昆虫学者の山上一郎は一年間のフィールドワークの為新婚の妻和子を伴って再びこの地を訪れた。医師でもある和子にとって医師のいないこの村での暮らしはやりがいのあることだと感じていた。二人は一郎を助けてくれた恩人であり地区の中心的人物でもある白滝家の離れにやっかいになる。何くれと世話をやきいつもにこにこと接してくれる村人たち。だが幾日か過ぎていくうちに微妙な違和感を感じるようになる。それは老人達がみんな元気で過ごしていること。それに様子を診ようとする和子のことをみな避…  全文読む 評価する

下流の宴 下流の宴
さあちゃん/とても身につまされました
 福原由美子48歳。地方の国立大学を卒業し大手家電メーカーに努める夫とは職場結婚。東京に一軒家を構え長女の可奈は有名女子大へ通っている。早くに小児科医であった父親を亡くし母親が女で一つで苦労して育ててくれた。「あなたはお医者様の子なんだから」という母親の口癖を聞きながら努力して中流家庭を築いてきた由美子のたった一つの誤算は長男の翔だった。中高一貫高を中退しフリーターをしている翔が結婚相手に選んだ宮城珠緒は高校卒業後フリーターをしている沖縄の離島出身の不器量で下品な女。両親は離婚し母親は飲み屋をしており異母兄弟が何人もいるという。育ちが悪いから断固反対と言い放つ由美子に対して珠緒は医大に入って翔…  全文読む 評価する

先生、カエルが脱皮してその皮を食べています! 先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!
さあちゃん/僕らはみんな生きている
 本作は鳥取環境大学で教鞭をとる作者が大学の内外で出会う様々な出来事が描かれている。 カエルがシャツを脱ぐように脱皮することとか大学で飼っているヤギが柵を飛び越えて脱走することとか作者の勤める大学では日々興味深い出来事が起こるらしい。それを本書は何故そういうことが起こるのかを説明しながら同じことを人間にもあてはめて説明してくれる。そこがとても面白い。カエルやイモリなどがとる行動も私たちがとる行動もつきつめれば種を残すという同じ本能からきているということは愉快ではないか。よく狸親爺などと人は動物に例えられることがあるがあれは単に外見が似ているということだけではなくその行動を例えるものかもしれない…  全文読む 評価する

プロムナード プロムナード
さあちゃん/好きな人のことはやっぱり知りたいよね
 今最も気になる作家の一人道尾秀介の初エッセイ集。 実は作品は何点か読んだことがあるのだが作者についてはほとんど知らなかった。だからすべてのことが新鮮だった。へえこんなこと考えてるんだなんて共感したり驚いたり発見したり・・・ それは他人の部屋に入り込んだ感じかな。本棚や机の上やおいてあるものを見ている感じ。残念ながら引き出しの中まではのぞけなかったけどでもなんだか部屋の雰囲気はつかめたかな。そんな距離感が心地いい。 巻末のプロフィールだけではわからない作者の素顔がにじみ出ている一冊だと思う。   全文読む 評価する

小暮写眞館 小暮写眞館
さあちゃん/宮部みゆきは期待を裏切らない
 ちょっと変わり者の両親が購入したマイホームは古い写真館だった・・・ 物語はこの古い写真館から始まる。高校生の花ちゃんこと花菱英一が彼のもとに持ち込まれたさまざまな写真の謎を紐解いていく。そこに込められていたのは様々な人の想いだった・・・ なんと700ページにも及ぶ大作。厚さは枕に匹敵する。これ何日かかるだろうという心配は全くない。本を開けばたちまちのうちにこの作品の虜になり早く読みたくて仕方なくなるだろうから。 これは少年の成長物語だ。主人公の花菱英一はごく普通の高校生だ。しかし人と出会い話を聞き考えていくうちに人には様々な顔があり色々なものを抱えていることに気がつく。そして考える。この想い…  全文読む 評価する

きみ去りしのち きみ去りしのち
さあちゃん/題名がもうやばいです
 この本を手にした時ああ泣いてしまうんだろうなというある種の覚悟と潔さをもって読んだ。しかし思ったほど泣くということはなくむしろ救いのようなものを感じたのだ。それは愛するものを失うということは確かに辛いことだけど乗り越える必要はないのだということだ。月日がたち思い出も忘れてしまうという恐怖。悲しみは確かにいつまでもある。しかしそれは薄れていったとしても必ず心のどこかにある。それは形をかえて存在しふとした瞬間に蘇るのだ。 主人公のセキネさんは幼い息子を突然奪われてしまう。それはほんの一瞬の出来事でありそれ故何故救えなかったろうかと自分を責めずにはいられない。そんな日々から逃れるように小さな旅にで…  全文読む 評価する

すれ違う背中を すれ違う背中を
さあちゃん/お久しぶり。元気だった?
 思わずそんな声をかけたくなる芭子と綾香の2人組。谷中での暮らしも大分慣れてはきたものの自分たちの過去に怯えながら過ごす日々。それでも近頃ではおずおずながらも廻りを見回す余裕もできた。今までパン屋になるという夢に向かって頑張っている綾香に比べて自分の目標を定められなかった芭子にもようやく自信をもって打ち込める事がみつかった。そんな二人の姿をえがいた4つの話が描かれている。 殺人と窃盗という大きな罪を犯した二人だがきちんと罪を償い家族を失うという大きな代償も払った。しかしそれで赦されたと思うのはあくまでも建前であって現実には刑務所帰りということで白い目でみられるのは仕方がないことだ。だからこそ必…  全文読む 評価する

さよならドビュッシー さよならドビュッシー
さあちゃん/ドビュッシーが聞きたくなります
 裕福な資産家を祖父に持つ16歳の遥。両親や叔父そして最近インドネシアから帰国した同い年の従妹のルチアと一緒に大きな屋敷で暮らしている。遥かの夢はピアニスト。夢に向かってレッスンに励む日々を送っている。 しかしそんなある日突然の火事により大好きだった祖父と従妹を亡くし自身も大やけどを負ってしまう。何度にもわたる形成手術のおかげで何とか元の姿には戻ることができたがピアノを弾くことはおろか歩行もままならなくなってしまう。 一度は諦めた夢だったが祖父が自分に遺産を残しそしてピアニストになる夢を応援していたことを知り再びピアノにと向き合うことを決意する。そんな遥の指導を引き受けてくれたのは新進気鋭のピ…  全文読む 評価する

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 かのこちゃんとマドレーヌ夫人
さあちゃん/小学生の女の子を見るとかのこちゃんかなと思ってしまいます
 京都・奈良・大阪と奇想天外な大きな世界を描いてきた万城目さんの新作は小学校1年生のかのこちゃんとお父さんとおかあさんそしてかのこちゃんが生まれる前からお父さんと暮らしている犬の玄三郎。1年前にふらりと現れた猫のマドレーヌ夫人。そんな小さな世界をかのこちゃんとマドレーヌ夫人の目を通して描いている。 この小さな目はなかなか好奇心にあふれおりかのこちゃんの廻りの世界が生き生きと語られている。一方マドレーヌ夫人の目からは不思議な猫の世界が語られる。どちらも同じ世界の事が無邪気な子供の目と思慮深い大人の目から語られている。そのバランスが心地よい。 かのこちゃんが経験することは多かれ少なかれ誰しも身に覚…  全文読む 評価する

先生、シマリスがヘビの頭をかじっています! 先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!
さあちゃん/題名の勝利!
なんとインパクトのある題名だろう。そんなバカなと思いながら思わず手にとってしまった。 著者は鳥取環境大学で人間動物行動学という難しそうな学問を日々研究・教育している先生なのだ。たが本書は難しい専門書ではなく先生の周辺で起きる様々な事件が描かれている。その主役は研究用に飼っているアカネズミ・ヘビ・イモリ・ヤギであったり大学周辺で出会う野生動物であったりする。そしてその驚きの行動に興味をもち導いてくれるのが本書である。 ちなみに題名になっている行動はヘビの偽臭をつけることによって襲撃をうけにくくする為におこなわれるらしい。それにしても動物と人間の行動に似通っているといわれてもあまりピンとこない。た…  全文読む 評価する

高峰秀子の流儀 高峰秀子の流儀
さあちゃん/尊敬できる生き方にめぐりあえます
 表紙から見つめている品のいい老婦人。この人が子役時代から絶大な人気を誇り50年女優を続け名女優と讃えられながらすばっと引退した高峰秀子本人である。御歳85歳の時の写真だという。その真っ直ぐな眼差しに見つめられると思わず背筋を伸ばしてしまう。 残念ながら私は高峰秀子が活躍していた頃をほとんど知らない。名前は知っているけど作品は観たことがない。だからどれほどの人気を誇っていたかということはわからない。それでも戦地から日本国高峰秀子様で手紙が届いたというのだからそれこそ日本国中知らない人はいないぐらいの人気だったのだろう。それもテレビが無い時代の話である。子役から大成する女優は少ない。彼女はそれを…  全文読む 評価する

球体の蛇 球体の蛇
さあちゃん/さすが直木賞候補作
 それは17歳の秋。そのころ私は土日になると乙太郎さんの白蟻駆除の仕事を手伝っていた。私が床下にもぐり上で乙太郎さんが被害状況を説明する。そうやって何軒も廻っていたが決して景気がいいとはいえなかった。 乙太郎さんはずっと昔から隣に住んでいた人。4年前母が出て行き父が転勤で町を離れる事になった時一緒に暮らそうと言ってくれた人だ。以来乙太郎さんと娘の高校1年生になるナオと私の3人で家族みたいに同じ思い出の中で暮らしている。私にとって乙太郎さん達は生活費を振り込んでくるだけの父親よりもより身近な存在だ。 ある日久々に大きな仕事がみつかった。界隈でもひときわ大きな屋敷には初老の気難しそうな男が住んでい…  全文読む 評価する

ソウル・コレクター ソウル・コレクター
さあちゃん/あとがきまで気が抜けない
 待望のライムシリーズの最新刊。常に新しい超人的犯人像を提示してくるディーヴァだが今回の犯人は膨大な電子データを操り犠牲者の人生を破壊していく。証拠を操り罪を他人になすりつけそれを楽しみながら欲望のまま次々と殺人を犯していく。その巧妙な手口にライム達は苦戦をしいられていく・・・ この作品ではプライバシーというものが描かれている。この現代社会においてプライバシーを保つことは容易ではない。ごく普通の生活をおくっていてもその人に関するデータは膨大なものになる。その誕生から現在までの人生のすべて・・・作中に一例として羅列されているがその量には圧倒される。分析されたデータによって未来までも予測されていく…  全文読む 評価する

ニサッタ、ニサッタ ニサッタ、ニサッタ
さあちゃん/生きることは明日をみること
それは突然だった。普通の一日が始まる予定だったある日片貝耕平が出勤するとオフィスはもぬけの空だった。中途入社してから僅か4ヶ月の事だった。 「とにかく生活のため働かなくては」派遣会社に登録してはみたもののどの仕事も長続きしない。不運も重なってとうとうその日の寝場所にも困る毎日。ずるずると借金を繰り返し泥の中を這いずり回るような日々を送っていた耕平は新聞配達店に住み込みの職を得る。周りも訳ありの男たちばかりの辛く厳しい職場でただ借金返済の為働く日々。そんな職場にある日若い女の子が入ってくる。色黒で豆タンクみたいな彼女武田杏奈に野卑た冗談をとばす同僚たちにうんざりしながらもこんな職場を選んだ事を不…  全文読む 評価する

図地反転 図地反転
さあちゃん/記憶は嘘をつく
 静岡県で起きた幼稚園児の連れ去り殺人事件。パチンコ屋の駐車場から連れ去られた彼女を目撃したのは3人だけ。遺留品は持ち去られ物的証拠もほとんどない。膨大な捜査員が投入される中成果はほとんどあがらない。事件から2カ月。警察の無能さに世間の非難は高まり捜査員たちのプレッシャーも頂点に達した時目撃者が犯人を思い出したと言い出した。ついに容疑者が。しかしなぜ今頃になって。いぶかしがる者もいたが調べてみると過去の経歴といいその不敵な言動といい心証は圧倒的にクロ。あの男が犯人に違いない。しかしどんなに調べても物的証拠は何もでない。ならば自白させるしかない。決しの覚悟で任意での取り調べ期間が終わろうとする中…  全文読む 評価する

目線 目線
さあちゃん/懐かしく読みました
閑静な邸宅に集う人々。当主の65回目の誕生祝いが開かれるまさにその時主役である堂島新之助が2階から飛び降りて死亡する。家族のだれもがその死に疑問を抱くのだが状況からみて自殺と判断される。そして初七日の法要の日新たな死体が・・・・ まさに本格推理小説の王道。古めかしい洋館に集う家族。容疑者は限定され誰もがひと癖ありそうな予感。はあっさりと覆され淡々と物語は進む。にも関わらず読ませてくれる。なんといっても設定がなんだか懐かしい。犯人とトリックには目新しさはないけど最後に思わずやられたと思わせてくれる意外性がありそしてこの題名が生きてくる。やられました。  全文読む 評価する

デパートへ行こう! デパートへ行こう!
さあちゃん/今度の休みにはデパートへ行こうよ
 深夜のデパート。そこは昼間とは別世界。あんなに華やかなマネキンも夜は不気味な影でしかない。広々とした売り場も暗闇の中ではまるで迷路のようだ。しんと静まり返って深い海の底みたいだ。 そこに家も家族もお金も友達も少しの正義感と不器用さのために失ってしまった男が最後の行き場を求めてたどり着く。幼い自分と母との幸福な思い出に満ちた場所として。深夜のデパートにいるのは自分だけと思っていたのになぜか次々に出会ってしまう。 やくざに追われている男。ひと時の隠れ場所を求めて。 長年勤めている女性店員。何やら胸にある決意を秘めて。 家出した高校生カップル。一晩の居場所を求めて。それに伝説の警備員やらセクハラ上…  全文読む 評価する

廃墟建築士 廃墟建築士
さあちゃん/この世界は癖になる
 自宅近くに古いローカル線がある。廃線となったその場所には遊歩道ができており人々は散歩したりジョギングしたり思い思いに行き交っている。そぞろ歩きにはぴったりの場所だ。途中に駅舎が当時のまま残されており休憩できるようになっている。夕暮れ時にホームにたたずんでいるとふと周りに電車を待っている人達がいることに気が付く。やがて遠くのほうから幽かな汽笛が・・・静かにホームにはいった電車は人々を乗せて過ぎていく。一人ホームに残された私はいつかあの電車にのって行くことを夢見ている・・ そんな不思議なそして懐かしい気持ちにさせる作品集である。決しあり得ぬ世界なのになぜかありそうな世界。遠いようで近くにある。狭…  全文読む 評価する

極北クレイマー 極北クレイマー
さあちゃん/海堂ワールドへようこそ
 北海道極北市。地場産業に乏しく観光誘致には失敗。過疎と高齢化が進むこの街は住民がこのままでは財政破綻するかもと冗談のように囁きあっている。 そんな赤字の五つ星と揶揄されている極北市民病院に大学から一人の医師が赴任してくる。外見からクマのプーさんとあだ名されるこの男の名は今中良夫。外科医になって8年目だがこんな北の果てにとばされてくるぐらいだから勿論医局では本流ではない。むしろ教授の逆鱗にふれたのだ。 財政圧迫の病院において今中の肩書は外科部長。肩書きは立派だが実態は非常勤。給料は事務員よりも安い。そんな病院に集う様々な人達。互いに牽制しあう赤鬼インチ用とコマネズミ事務長。薬局のダンゴ三兄弟。…  全文読む 評価する

虎と月 虎と月
さあちゃん/もっと漢文を真面目にやっとけばよかった
 ぼくの父は虎になった。そんな話は信じられない。でも虎になった父に会った友人から手紙が送られてきた。そこには父の読んだ詩が書き表されていた。どうして前途洋々だった父は虎になったのか。そしてぼくもいつかは虎になってしまうのだろうか。14歳のぼくは父がトラになった理由を知りたくて旅にでる。 虎になった男の話といえば名作「山月記」がすぐ頭に浮かぶ。作者もこの物語が好きで何度も読み返したとある。そのためか原作の雰囲気をいかしつつもとっつき易い物語に仕上がっている。文章も平明で読み易い。そして随所にひねりの効いた言葉遊びがちりばめられている。圧巻は最後に父がトラになった理由が解き明かされた所だろう。しか…  全文読む 評価する

森に眠る魚 森に眠る魚
さあちゃん/ざわざわと泡立つような心地悪さ
 読後に何とも言えないざらつきを覚えたのは自分の姿を見たからかも知れない。 同じ私立幼稚園に通わせることで親しくなった母親たち。今流行りのママ友と呼ばれる付き合いは最初のうちは楽しかった。誰もが本当の友人を見つけたと思っていた。友情は続くと思っていた。しかし小学校受験をきっかけに歯車が少しずつ狂いだしていく・・・ 学歴なんて関係ない。子供はのびのび育てればいい。小さいうちから習い事ばかりさせるなんて可哀想。登場する母親たちもみんな最初はそう思っている。しかし受験という現実的な問題に直面したとき同じ考えだと思っていたママ友は突然他人だと気が付く。そして子供たちが試されているのではなく自分が試され…  全文読む 評価する

恋文の技術 恋文の技術
さあちゃん/誰に手紙書こうかな?
 教授の命により能登に派遣された大学院生である守田一郎が海と研究所以外に何もない不毛の地で孤独を味わいクラゲの研究と実験に明け暮れながら遠く京都にいる友人や妹先輩などにひたすら手紙を書きつづっている作品である。しかもその手紙は常に一方方向。返信内容は読者の想像にゆだねられている。 同じ一つの出来事でも手紙を書く相手によって自分のスタンスをかえているのでそこからこの守田一郎という主人公がホノグラムのように立体的に立ち上がってくるのが面白い。彼の目的は片思いの相手に読むだけで口説き落とせる恋文を書く技術を身につけることなのだが次第に瞑想と妄想の世界に迷いつつひたすら書き続ける。嗜虐的な笑いに走りつ…  全文読む 評価する

あたしの手元は10000ボルト あたしの手元は10000ボルト
さあちゃん/拝啓 ステファニー・プラム様
ご活躍楽しく拝読しました。今回はバウンティハンターのあなたにとってかけがえのないない導師ともいえるスーパーマンであり超超セクシーな男レンジャーに偽者現るということで大混乱でしたね。それにしてもあの神秘のベールに包まれたレンジャーになんと・・・貴女もびっくりされたでしょうが読者の私にも驚きの展開でした。比べて幼馴染のこれまた超カッイイいい貴女の恋人モレリの影が少し薄かったような気がします。またご家族のみなさんやお仲間もみなお元気な様子で安心いたしました。特に貴女が「マドンナの格好をしたトリガラ」と評されたメイザおばあちゃんの姿には大笑いいたしました。いつまでも新しいものに挑戦していくあのパワーと…  全文読む 評価する

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