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キャット・ウォッチング キャット・ウォッチング
菊理媛/猫を深く理解するために
キャット・ウォッチングの第2弾です。 猫の謎を解き明かすとありますが、一作目でだいたい猫の習性などについては語られつくしたように思います。 続編の形で出版された本作は、その一作目を読んだ愛猫家の読者から寄せられたさまざまな質問に答えるという内容になっています。 たとえば、「眼による信号」や「尾による信号」などは、家に猫が居る人か、よほどの猫好きで、巷で猫を見ると思わず凝視してしまう人でもなければ、あまり気にならないような内容ですし、そういう動きをするとさへ知らない人も多いのではないでしょうか。 さらに、「超能力があるか」という疑問になると、なんの前触れも無くそそくさと玄関に猫が向かったと思った…  全文読む 評価する

キャット・ウォッチング キャット・ウォッチング
菊理媛/うちの猫が、仰向けに転がるのなんて、当たり前だと思ってた。。。
 今は昔。「うちで猫かってるの」と家人がおっしゃる家の猫は、ほとんどが外出自由の身であったり、逆に外に棲みかを持っていて、食事と安息の場として人の家(あるいは地域に)出入りして暮らすことが多かったように記憶しています。 やがて、ドックフードなみにキャットフードも一般化し、主には純血種などを外出禁止の家猫として飼う家庭が増え、「猫にはご飯に鰹節のせて、味噌汁かけたものをやればいい!」などとおっしゃるお婆ちゃんの怒声を振り切って、ドライフードだ猫缶だと専用のフードを買い込み、「臭いの気にならない」とか「しっかり固まる」とかいうトイレ用の砂を備蓄して、猫に生活をさせる飼い方が定着しつつあるようです。…  全文読む 評価する

光をはこぶ娘 光をはこぶ娘
菊理媛/等身大で異世界を駆け抜けるファンタジー
 この作品は、これまでのメリングのケルトの妖精シリーズの中でも多少毛色の違う作風であるように感じます。それは、主人公の生い立ちゆえかもしれませんし、これ以前の作品のように、人間の世界から何らかの方法で妖精の世界に入ってゆき、現実世界へ帰ってくるのではなく、ふたつの世界は表裏一体で存在しており、今回の旅は、たとえるならストライプをぬうように二つの世界を駆け抜けてゆく主人公の体験を描くことで、「別世界」ではなく、見えないけれど、すぐ側にある妖精国の存在を感じられるせいなのかもしれません。体はつねに「ここ」にありながら、「ここ」の周囲が変わるというか、同じものの別の面が表立ってくることで、別景色が見…  全文読む 評価する

歌う石 歌う石
菊理媛/自己のルーツを求め、古代アイルランドの物語を旅する少女の物語
 メリングの妖精ファンタジーは、どれも個性的な別世界へ読者を誘ってくれます。 中でも本書は、夢想的な感覚を覚えるというか、吟遊詩人が奏で語る歌を聞くというのは、きっとこんな感じなんじゃないかしらと思うような、不思議な気分を体験させてくれます。 たとえば、物語の進行を水晶玉に映し出された映像として見ている風とでも言えばいいのでしょうか。わりと主役と同化することなく、物語の推移を夢見るように楽しめる作品だと思います。  アメリカに住む孤児、ケイは見知らぬ女性が自分を呼ぶ夢をよく見ます。日に日にリアリティを増すその夢の意味がわからず悩んでいました。 ケイは幼い頃、施設にいた自分の記憶はあるのですが、…  全文読む 評価する

獣の奏者 獣の奏者
菊理媛/人と獣の絆が災いとなるのか? 人間の欲望が絆を禁忌へ向かわせる
獣の奏者 完結編 読み終わって、なんとも「心痛む作品」という印象が残ります。 たぶん、読み終わってからもう少し時間をおくと、徐々に穏やかな気持ちになれるのではないかと希望的観測をしてしまうのですが。 争いを止めることのない「人間」という生き物への憤りと、自分もその人間であることへの悲哀。より豊かな生活を求めて利権を争うことの意味と必然性に憤然としながらも、現実に照らせば理解できてしまう自分が許せないような気持ちになります。 しかしながら、私が一番心痛いのは、人と信頼関係を結んだために人でない生き物が犠牲になってしまう部分でした。 エリンがリランと心結ぶことがなければ、リランは幼獣のまま死んでい…  全文読む 評価する

獣の奏者 獣の奏者
菊理媛/愛する家族のために、古の禁断を解き明かし希望の光をつかめるのか
 偶然街角で旧友に遭遇したような感があるとでも言いましょうか。彼女は確実によわいを重ねた風でありながら、いっきに懐かしい時間に引き戻してくれるだけの「記憶のまま」の姿で目の前に現れました。 さて、子供向けのお話の多くが「悲しい部分や残酷な部分」を削られて広められていると薄々でなくハッキリと認識したのは『人魚姫』が『リトル・マーメイド』として発表されたときでした。 人魚は恋破れて泡となって消えてゆく。そんな悲恋物語であったはずなのに、王子様と結ばれて終わる『リトル・マーメード』となり、きっと今の子達はそちらを主流に覚えているのでしょう。 『シンデレラ』然り、『桃太郎』然り、『かぐや姫』然り。みん…  全文読む 評価する

ころころろ ころころろ
菊理媛/「置き去りにされた」と思う心が、鬼の闇
 おなじみのシリーズも8巻めなりました(末広がりで、お目出たい♪) さて、あまりにお目出たくてか、新刊『ころころろ』では、若旦那の“お目”玉が、つまみ“出”され、もってかれてしまうようです(洒落ですか?) しかし、毎度おなじみ病弱で外出もままならない若旦那が失明したとて、どうせ普段から寝てばかりいるんだから大差ないようにも思えてしまうのですが、家はおろか離れから出もしないのに、転んだりぶつけたりと、まことに器用に危ない目にあってしまうとあって、大事な若旦那には、超甘々の両親と、超々甘々のふたりの兄やをはじめとする甘々面々は、人も妖もこの椿事に大弱りの大騒ぎとなります。 大事な若旦那の災難だけで…  全文読む 評価する

夏の王 夏の王
菊理媛/妖精国を救うのは、いにしえから人の役割である物語
 夏至祭の役割。二つの世界をつなぐ絆。時空を超え、転生する魂、妖精の取替え子、人とは善悪の尺度が異なる妖精の世界。光と影が入り乱れ、敵と味方も交錯し、ファンタジーの醍醐味が盛りだくさんのケルトの妖精物語です。 一年前の夏、祖父母の家があるアイルランドで過ごした双子姉妹のローレルとオナー。 闊達で積極的な姉のローレル。物静かで思考派の妹のオナー。そんな個性の異なるふたりは、お互いにとって大切な存在でした。 「わたしは考える人、あなたは行動する人ね」とオナーが言ったように、「ふたり合わせて完全」と互いに思っていた姉妹でしたが、オナーが思いもかけない事故で亡くなり、「片割れ」となってしまったローレル…  全文読む 評価する

バカを使いこなす聞き方・話し方 バカを使いこなす聞き方・話し方
菊理媛/バカな部下に悩まされてる人は多いのでしょうが、バカな上司の扱い方も教えて欲しい
 私自身は、この本が書かれた趣旨とは明らかに外れる内容を期待して手に取った。 著者は、この本の活用法について「あとがき」で以下のように書いている。「・・(略)・・今まで自分が著してきた作品は「話す相手が『頭のいい人』であることを前提に書かれている。・・(略)・・ところが、実際の場では・・(略)・・それほど頭がいいとは言えない人・・(略)・・が、私たちの周囲にはたくさんいるのではないか。そうした現状を踏まえて、本書は、バカを相手にした話し方や行動に焦点を当てて書いた。」 なんとも慢心した動機ではないか。とはいえ、当たっているような気もする。いつの世も「いまどきの若い者は」という、年長者の愚痴は耐…  全文読む 評価する

本日のスープ 本日のスープ
菊理媛/どんぐり眼の黒猫です
 我が家にも長い間猫がいるので、世の人に猫好きと思われているふしがあります。 もちろん、猫が好きだからともに暮らしているのですが、最初にチャレンジしたのは犬でした。 ブリーダさんの家から借りてきて、強引に「お母さん、この子飼いたい」と強行突破をもくろみましたが、あえなく却下。 当時、商売をしていた我が家ではペットはご法度。一泊させた後、泣く泣くブリーダさんに返しに行きました。 「連れてって見せちゃえば、絶対大丈夫だから♪」と明るく実行を勧めてくれたブリーダさんが、返しにゆくと手のひらを返したように冷たい態度。 「いったん別の家の臭いのついた子犬は、うちの犬たちに苛められるかもしれない」とか散々…  全文読む 評価する

こいしり こいしり
菊理媛/いい男だねぇ。。。と思いますよ、私。
 「まんまこと」を読み終えたとき、続編を期待しました。とはいえ実際は「指折り数えて待っていた」という風でもなく、世には晩餐会のごとき大作もあり、その後すっかり忘れたころ。本屋でふと見た本棚に並んだ「こいしり」の文字と見覚えのある挿絵。「おや、この装丁には見覚えがありますよぉ~」と思って手に取ると、なんと「まんまこと」の続編でありました。 「まんまこと」は、“ハートブレイク”を梅干に、“お気楽・洒脱”のホッカホカの白飯に、ちょっぴり涙の塩味を利かせ、程よく握ったおむすびを、“江戸の風情”という粋な海苔でくるんだようなお話でした。食欲が無いときでも食べられそうだと思えるような、素のおいしさ。庶民の…  全文読む 評価する

ブリジンガー ブリジンガー
菊理媛/選ばれし者、成長と苦悩を超えてクライマックスへ向かう
 ドラゴンライダー・エラゴンと、誇り高き青のドラゴン・サフィラの絆を中心に、帝国アラゲイジアを統べる邪悪な王ガルバトリクスの圧政に戦いを挑むヴァーデン軍。 人・エルフ・ドワーフの連合軍に帝国側から寝返ったアーガルを加え、帝都への距離を縮めてゆくなかで、エラゴンとは従兄弟のローランの、ある意味エラゴンよりも目を見張る変貌ぶりや、マータグとの恋物語に発展するのかと思われたアジハドの娘・ナスアダの成長振りも見事で、読み応えがある。 エラゴンの出生、ファーザン・ドゥアーの戦いの最中にさらわれた友マータグとの因縁など、物語を盛り上げる秘密が徐々に明かされつつ、物語はようやくここまで来たというところか。 …  全文読む 評価する

ウォーリアーズ ウォーリアーズ
菊理媛/森の猫族、第二世代の冒険がはじまる!
 猫のファンタジー『ウォーリアーズ』の続編である。 前シリーズの主役、ファイアスターのその後と並行して、次の世代の猫たちの活躍が描かれる。 前シリーズで展開された“世界”より範囲を広げ、若い猫たちは未知の世界へ旅立つ。スケールはさらに大きくなり、展開もドラマチックだ。 前作も含蓄のあるストーリーだったが、多くの犠牲と戦士の勇気で勝ち取った彼らの世界が、根底から崩れ去るような出来事が起こる。しかも、それを打破すべく予言を受け取ったのは、見習いを含む4部族の若い猫4匹だった。彼ら4匹プラス2匹は、それぞれの族長にも報告できないまま、森の猫族を救う道を求めて旅に出る。 さて、新シリーズのプロローグに…  全文読む 評価する

知っておきたい日本の神様 知っておきたい日本の神様
菊理媛/日本人なんだから、知っとかなくちゃ!
 昨今、パワースポットとして、山や大木のある“自然”と並んで神社の名を聞くことがよくある。ほんとーにビギナーで申し訳ないくらいの知識しかないので、日本人として申し訳ないくらいなのだが、自然万物に神を見る神道というものには好感を持つ。 よく言われるように、「学問の神様に縁結びを願うなどもってのほか」という意味は理解できるのだが、この神様がなぜ「縁結び」の神様と言われるのかまったく分からないし、その縁起などについては知る由も無い。 身近にある尾山神社などは、前多利家を祀っている。「前多利家って人間じゃん!」と思って考えてみるに、日光東照宮も徳川家康を祀っているのだから、前多利家を祀って悪いわけもな…  全文読む 評価する

ウォーリアーズ ウォーリアーズ
菊理媛/猫が主役のファンタジー
 『ファイヤポー戦士になる』から始まったこのシリーズも、この巻をもってひと段落となる。 家猫だった子猫のラスティが、森の野生猫四部族のひとつ“サンダー族”の族長ブルースターのスカウトで、ファイヤポーの見習い名を与えられて一族に加わるところから始まり、長じて戦士ファイヤハートとして活躍する物語だ。 生粋の野生猫ではなく、一族の生まれでもないことから阻害されて辛い思いもするが、持ち前の忠誠心と勇気で一族の窮地をたびたび救い、仲間の裏切りに傷ついたブルースターの信頼を得て副長を任されるまでになる。心を病んでいた族長が、一族を守るために命を賭ける戦士たちの行動に目覚め、一族を救うため命を落とした後を継…  全文読む 評価する

妖精王の月 妖精王の月
菊理媛/フェアリーランドへようこそ
 ファンタジーを楽しむには、良くも悪くも童心が必要である。どちらかといえば、日本人にとって‘妖精’という生き物は身近ではない。私など、この‘妖精’という言葉から真っ先に連想される姿といえば、ディズニーのティンカーベルである。 本書に描かれるのは、系譜でいえば王道のひとつフェアリーランドの物語である。先に、妖精と言えばティンカーベルを連想すると書いたが、フェアリーランドとくると、ドワーフやレプラコーンのように、あまり美しいとは言えない種族もじわじわ頭の中にわいてくる。 宮崎駿の「千と千尋…」が海外で賞をとったとき、「あの世界観が外国人にわかるのか?」という人たちもいたようだが、あの奇妙な日本の神…  全文読む 評価する

天と地の守り人 天と地の守り人
菊理媛/行く末遥かな「結びの章」
 大河ドラマが完結した。終わってしまって安堵したような、寂しいような、待ちかねていたファンとしては複雑な心境になる。 「なるようになったな」という結末だった。御幣があるのを覚悟で言えば、各人が「そうあるであろう」と思われるところに落ち着いた結末だった。 何事もなかったように・・・と言えば、貶し言葉ととられそうだが、そうではない。物語が始まってからこの結末まで、天地がひっくり返るほどの変化を経て、登場人物の主要メンバーそれぞれが、死んでもおかしくない経緯をくぐりぬけて、あるものは命からがら、あるものは寸でのところで踏みとどまり、あるものは否応もなく大切なものを失いつつも、「あるべき場所」へ至り、…  全文読む 評価する

茨文字の魔法 茨文字の魔法
菊理媛/不思議な文字が語るファンタジー
 読み終えると、ファンタジー映画を見終わったような満足感を得られる一冊です。 ありがち?…と思って読み進めてゆくと、その思惑を次々と裏切って、強烈にとは感じないままズルズルと引き込まれてゆきます。読み進めるほどに、続きが楽しみになるのは、マキリップの真骨頂というところでしょうか。 王宮の地下図書館で養われた書記で翻訳者のネペンテス。 レイン十二邦を父王から受け継いだばかりの若き女王テッサラ。 そして伝説の皇帝アクシスに使えた仮面の魔術師ケイン。 この三人の女性(ケインが女性だったとは、登場人物とともども、知ったときには驚きました)の物語が、時と時空を超えて入り組み、交わり、日常と伝説に、伝説が…  全文読む 評価する

猫は手がかりを読む 猫は手がかりを読む
菊理媛/猫の表紙に誘われて
推理小説は守備範囲外だったけど 本屋さんの書棚に「猫は○○○」と書かれた背表紙がずらりと並んでいたので、いくつか手に取ってみた。表紙にはマンハッタナーズのような猫の絵が書いてあり、思わずそれだけで「ためしに1冊読んでみるかな」と思ったけれど、「ではどれを買う」となると迷ってしまったので、その場は一時退却して調べてみることにした。 (表紙買いなぞやってたひにゃ、積読書を貯めるばかりであることに気が付き、最近は「ちょっと待った!」ができるようになった。人間、日々成長!) さて調べてみたところ、訳刊行された時期では「殺しをかぎつける」に遅れをとるものの、「手がかりを読む」が、シリーズの一作目だとわか…  全文読む 評価する

危機のドラゴン 危機のドラゴン
菊理媛/三叉の黄金竜といえば。。。
危機のドラゴン 三叉の黄金竜というと、思い浮かぶのは宇宙怪獣キングギドラ(最近なら「ハムナプトラ3」の悪皇帝か?)。ある範囲の年齢層ならお馴染みの、ゴジラの宿敵である。その設定のせいなのかどうか、勝った姿を見た記憶が無い(映画でもやっつけられちゃったし)。「宇宙最強」とかいう触れ込みのわりに、強かった印象が薄い大怪獣なのである。 もとい、この物語の黄金竜は宇宙怪獣などではない。この星古来の生き残りであり、もしかしたら最後の個体。インテリ系で、どちらかといえば怠け者のような描かれ方だが、正義感は強いし、絶妙なバランス感覚をもつ、いわば高等生物である。しかも意外にも菜食主義。博識で、話好き。自由と…  全文読む 評価する

天と地の守り人 天と地の守り人
菊理媛/守り人シリーズ、大団円に向けて
天と地の守り人 第一部 「この作者の作品が、一番好きだ!」と、上橋菜穂子作品を読み終えたとき必ず思う。とはいえ、薄情なもので、他の作者の本を読んでいるときは、あっさり忘れて、その時読んでいる本に肩入れしていたりもするのだけれど。 上橋菜穂子の作品は、総じて全身をすっぽりと包み込んでくれるほどの深みがある。読んでいるとき、読者は俯瞰して物語を楽しんでいる身ではなく、どっぷりと作品の世界にはまりこみ、登場人物に憑依して物語の進行に身をゆだねざるを得ないような一体感で、喜びも悲しみも、痛みも癒しも体感するのだ。 主役が女性用心棒であるあたりがすでに珍しいが、その女性が実はお姫様であったり、絶世の美女…  全文読む 評価する

薄紅天女 薄紅天女
菊理媛/内に巫女を秘めた少年は闇の末裔。男装の皇女は輝の末裔。勾玉三部作最終話。
「空色勾玉」「白鳥異聞」に続く「薄紅天女」。この一連の作品で、しみじみ思うのは史実の整理箱に、こうも上手く当てはめて行くか? とあっけにとられる作者のみごとな創作能力の高さである。99%の創作ながら、確実に歴史に当てて進んで行く物語を読んでいると、「もしかしたら口語訳されているだけで、こういう話があるのかも?」と思うほど、すんなりと歴史書にはまっている。もちろん、歴史書自体がいろいろあって、どれが正しいのか、どれも後のこじつけなのかは定かではないが、それにしてもうまくはまっている。さて本作品は、もっとも乙女チックな表題でありながら、先の二作品と一番違う点は、闇の一族側が男性であるところだろう。…  全文読む 評価する

ゆきとくろねこ ゆきとくろねこ
菊理媛/はじめての雪を体験してみませんか
黒い猫と白い雪をつつみこむ桃色の絵本です。初めての雪を迎える黒猫は、大きく描かれているけれどまだ子猫なのでしょうか。未知の予感に、わけもなくどきどきしてた子どものころを思い出しました。昨日の続きの今日、今日の続きの明日。いつもと同じ日常の中に、なんだか不思議な予感がある。そんな気持ちがよく表現されています。「ゆきとくろねこ」という題からは、モノトーンの世界が想像されますが、この本は暖色系を中心に描かれた温かい挿絵がすてきです。部屋の中の暖かさや、心の温かさは、ほんのりとしたピンクで表現されています。窓の外の世界も、明るい色使いで楽しく描かれて、絵そのものも楽しめます。ごはんを食べてみても、ぬく…  全文読む 評価する

中央線で猫とぼく 中央線で猫とぼく
菊理媛/あなたも猫の居る生活をしてみませんか
中央線で猫とぼく 猫嫌いではない男性が、なんとなく通い猫と同居を始め、だんだん猫好きになってゆく過程がほのぼのと描かれております。 なんにでも初心者のころというものはありまして、初期に飼われた猫は、あとから思い返すと可愛そうな扱いであったことが思い出されるという点で、ずいぶんと共感する部分がありました。 猫缶の存在など知る由もないという時期を過ぎ、「猫は死ぬ時、人目の届かぬところへ行ってしまうもの」というマコトシヤカな伝承を信じ、家から出入り自由で飼っていた(つもりの)猫は何匹かいましたが、死に目を見たのは2度だけ。1度目のそれは、まだ私が小学生のころ、家から外へ飛び出したところを自動車にはね…  全文読む 評価する

生き屛風 生き屛風
菊理媛/煙管の煙が目に染みて
 私は根っからホラーやオカルトは嫌いな性質で、子供だまし程度でも「お化け屋敷」などというものには近づきたくも無い人間である。真夏であっても、その類の映像は予告を目にすることさえも避けたし、ましてその手の本を好んで読もうと思った記憶もない。 この『生き屏風』をなぜ手に取ったのかについては、自分のことながらよく分からないくらいで、読み終わった今考えても「なぜ?」と思ってしまう。しかしながら、読み終えた感想としては「粋」とか「洒脱」、あるいは「風流」という言葉さえ似つかわしい作品であり、「恐ろしい」という感覚はまったく感じなかった。 帯に「ホラー小説」と書いてあるのだから、「恐ろしくなかった」などと…  全文読む 評価する

下町のねこ 下町のねこ
菊理媛/下町は猫にもやさしい人情の町
 「下町の路地で、ひっそりと佇むお地蔵さんの側を通りかかったとき、突然、私の前を1匹の子猫がよぎった。思わず後を追いかけると、そこには猫の家族がいた。予期せぬ出会いにうれしくなり、私は、毎日のように、ここへ通った。」 写真の中に写りこんだ看板や、お品書きに書かれた文字を別にすれば、文章というのはこれだけ。あとはすべて猫たちの写真だけ。なんの説明文もありません。 のんびりした時間が過ぎてゆくのを感じるような猫たちの日常写真。 傘をさして歩いてゆく男の子の後ろを、まるで犬のように付いてゆく猫の姿や、サラリーマンのおじさんに「いってらっしゃい」と言っているのか、はたまた「おかえり」と迎えているのか、…  全文読む 評価する

ウォーリアーズ ウォーリアーズ
菊理媛/猫の一大ファンタジー
 なかなかに珍しい、野生猫の部族争いを舞台としたファンタジーである。 飼い猫ラスティーは、虚勢されて飼いならされ、意気地なくダラダラと過ごす家猫の運命を厭って、野生猫の部族抗争の渦巻く世界に身を投じる。 サンダー族、リヴァー族、シャドウ族、ウィンド族に分かれ、それぞれの縄張りを保持しながら4部族に分かれ、集団で生活を送る野生の猫たち。物語は初っ端からサンダー族とリヴァー族の激しい戦いの場面である。 これがなかなかに勇ましい。リヴァー族の戦士・オークハートと、サンダー族の戦士・タイガークローが猛獣さながらの死闘を繰り広げるが、サンダー族の副長・レッドテイルの判断でサンダー族は一時退却を余儀なくさ…  全文読む 評価する

白鳥異伝 白鳥異伝
菊理媛/倭健命異聞
 ヤマトタケル伝説のオリジナル解釈ファンタジーとでも言えばよいのだろうか。 日本人に愛される「悲劇の英雄」と聞いて、まず名前が浮かぶのは、子どもも知ってる牛若丸としてほとんどの日本人が知っているであろう源義経。「判官びいき」という言葉が普通に使われるほどの絶対的な知名度で、ドラマに歌舞伎にいつの世にも衰えない人気を誇っている。 そして名前だけなら負けずにメジャーなヤマトタケル。こちらは、「お話までは…」と言う人も多いだろうが、少年漫画やスーパー歌舞伎で人気を博しているし、「ヤマトタケル」という音の響きだけで、いにしえ日本の英雄だろうぐらいは、知られているだろう。 では、なぜ「お話までは…」とい…  全文読む 評価する

グーグーと麻子さん グーグーと麻子さん
菊理媛/陽だまりのフォトブック
グーグーと麻子さん私は猫好きです。先代の猫は16歳で永眠、その1年後に養子に来た子は来春4歳になりますので、かれこれ猫とのお付き合いは20年になります。世の中、犬愛好家が8で猫愛好家は2だと聞きますが、昨今はもう少し旗色がいいのではなかろうかと、勝手に思っています。猫は犬のように忠誠心をみせないと言われますが、先代の子は父が私に大声で怒鳴りながら迫って来た時、間に割り込んで来て父を両手でグイと押し返しました。偶然かもしれないそんなことを、今でも、ひとりで思い出しては感動しています。そんな経緯で、猫ものの本などを見かけると、思わず手にとってしまう習性があります。ある日、平置きにされた『グーグーだ…  全文読む 評価する

まんまこと まんまこと
菊理媛/こけ未練とは哀しいね
代表作『しゃばけ』の若だんなとは、ちょっと違ったタイプ、だけどこちらもご大家の若だんなが繰り広げる、洒脱で粋なお話です。全編を通して春風のように漂う桜のイメージを持つ女の影が漂います。成就することが適わなかった恋心の傷を隠すためなのか、ある日突然き真面目で勤勉なところをどこかで落としてきたかのように、突如お気楽男に変身してしまった古名主の若だんなを主人公に、女タラシと堅物の親友がつるんだ男三人、互いの友情に助けられつつ、支配町で起こった雑多な困りごとに裁きをつけてゆくお話です。裁きモノというと、「遠山の金さん」や「大岡越前」のようなお武家様モノが通常なのですが、奉行所に持ち込むほどのことでない…  全文読む 評価する

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