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トロムソコラージュ トロムソコラージュ
石曽根康一/この文章を書くまで1~3
1.詩集を買うまで お金がある程度あります。どの程度か?と問われれば2000円弱と答えましょう。ハードカバーの文芸書を一冊買えるくらい。厚い文庫本の分冊を揃えられるくらい(もちろん揃えられない場合もありますが)。 買い物に行きます。近所のスーパーに。スーパーといってもスーパー銭湯ではありません。もちろん2000円弱でお風呂に入って、ビールでも飲んですっきりしてもいいのですが、今日はそうするつもりはありません。またの機会にとっておきましょう。何を買うのか?と問われればA4のファイルだと答えましょう。インターネットには情報があふれています。新聞社のサイトを見ていると、印刷したいときが出てくる。うま…  全文読む 評価する

われらの時代 われらの時代
石曽根康一/読了できず……!
僕は以前、「村上春樹と大江健三郎は教科書を読むように読んでいる」と書いた。『われらの時代』は本屋に行ったとき、気になった本で、結局は隣の『同時代ゲーム』を買ったのだが、家に帰ってきてから、読みたくなったので、図書館で予約した。その前にbk1で購入した『私という小説家の作り方』(新潮文庫)を読んだのだが、その中で大江健三郎は次のように書いている。「私はこの文章を書く準備に、これまでの作家生活で書いたすべての小説を展望した。私は自分が生きてきた時代と社会をよく描いてきたろうか? いまも新潮文庫版で生きている長篇のうち『われらの時代』『遅れてきた青年』『日常生活の冒険』をその他の版では再刊しないこと…  全文読む 評価する

われらの狂気を生き延びる道を教えよ われらの狂気を生き延びる道を教えよ
石曽根康一/あまりにも充実した作品集
僕は大学を卒業してから小説を書いてきた。書いては公募の賞に出してきた。ただ、一度も「プロの作家になりたい!」と思ったことはない。作家というのはいわば「公人」である。その発言に重みがある反面、その責任を負わなきゃならない。前にも書いたように、僕は昔から文学少年だったわけじゃない。むしろ「文学青年」という言葉があるように、今26の僕は〈ここ最近で〉文学の世界に足を踏み入れたにすぎない。そういう方向性で3年生きてきて、ほとんどは外国の作家の作品を読んできた。それは自分でもなぜだかは分からない。ただ、次第に大江健三郎と村上春樹の作品はすこしずつ読むようになってきた。あるサイトで「○○という作家の作品は…  全文読む 評価する

一握の砂 一握の砂
石曽根康一/短歌、この短い形式。
この文庫の帯には「本邦初!初版本の体裁〈二首一頁、四首見開き〉が文庫で読める!」と書いてある。どうやら文庫でこの体裁で読めるのは日本で初めてらしい。僕は高校生のときに新潮文庫で啄木の歌集を読んだ。おぼろげな記憶しかないが、高校の教科書で次の歌を読んだからだ。「不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸われし 十五の心」この歌は深く僕の共感を呼んだ。テレビのヴァラエティー番組の「あるあるネタ」なんて軽薄なものではなくて、もっと深い共感。僕は中高一貫校に入学したのだが、中学卒業・高校入学が一つの分かれ目だったと思う。僕の中学時代は比較的中学生らしいものだった。僕は卓球部に所属していて、部活の仲間の家に遊…  全文読む 評価する

ウンベルト・サバ詩集 ウンベルト・サバ詩集
石曽根康一/図書館で本を借りるということ(『ウンベルト・サバ詩集』を読んで)
ここ最近、低調な日々が続いている。春だ。桜も咲き始めている。風もだんだんと暖かくなってきた。そして僕の心は沈んでいる。行くべきところがない。会うべき人がいない。仕方なく、僕はほとんど毎日、図書館に足を運ぶ。図書館は、家から歩いて十分くらいのところにある。これは、僕にとっては幸運なのだ。図書館ができたのは、僕が予備校のころか、大学一、二年のころだったと思う。それまでは、僕にとって図書館といえば、学校の図書室であり、大学の図書館だった。たしかにそのころは、一週間のほとんどを学校あるいは大学に通っていたのだから、家の近所に図書館がなくても、困らなかったのだ。それに予備校のときは、ほとんど勉強以外の本…  全文読む 評価する

心理学ってどんなもの 心理学ってどんなもの
石曽根康一/『心理学ってどんなもの』を読んで
評論家の宮崎哲弥が、毎月出版された新書をすべて読み、ベスト5とワーストを紹介するという仕事をしていた。その中でたまに岩波ジュニア新書が出てきた。ワーストの方ではなく、ベスト5の方で。僕は高校生だったときに、3年間で本を5冊くらいしか読んでいない。当然、岩波ジュニア新書とも無縁だった。しかし、岩波ジュニア新書の中には各学問の初歩を紹介したものがあり、その中には良書もある。本書は心理学についての入門書である。具体的には進路として心理学を選ぼうかと検討している高校生やすでに大学で心理学を学んでいる学部の1,2年生を対象としている。僕のこの本への基本的な向き合い方は、「精神分析は現代の心理学でどのよう…  全文読む 評価する

短編小説のアメリカ52講 短編小説のアメリカ52講
石曽根康一/『短編小説のアメリカ52講義』を読んで
この本は、2008年9月20日に読み終わった。多少の感想なども日記に残っていてそれを元にbk1に「書評」として紹介文を送ってみる。この本はアメリカの短編小説の世界をコンパクトにまとめた本であると同時に、出版やそれに携わる人たちの雰囲気も伝わってきておもしろかった。また、小説を書いている人間にとっては、いろいろと考えさせられることも書いてあった。(そもそも短編とは何か?……短編と長編の違いとは?……創作科ってどんなところ?……創作科に意味はあるのか?)これらの問いに青山氏が直接答えるわけではないけれども、作家や評論家の各々の考え方が、ふんだんに引用されていて楽しめる。僕がこの本を読んだ当時、一番…  全文読む 評価する

滝への新しい小径 滝への新しい小径
石曽根康一/むき出しの生/むき出しの言葉
この詩集について何を書けばいいのだろう。テス・ギャラガーによる「イントロダクション」、村上春樹による「解題」に、ほとんど全ての事柄は言い尽くされているような気もする。しかし、僕の中には、この詩集について何らかの自分の中のものを言葉にしてしまいたいという気持ちがある。この詩集はカーヴァーの遺作だ。彼は人生の残された日々を、短編小説の執筆、ではなく、詩作のために使った。最後の方の詩には、まさに人生に別れを告げるということが色濃く表れている。しかし、僕はこうも思うのだ。レイモンド・カーヴァーの詩や短編小説には、彼が癌にかかる前から、しばしば死というものの影が落ちてはいなかったか? と。そして、その喪…  全文読む 評価する

幻影の書 幻影の書
石曽根康一/自己中心的な、余りにも自己中心的な
ある日、世界は崩壊しました。それは主観的観点からでしょうか?おそらく、ポール・オースターは、世界の崩壊は主観的なものと考えるでしょう。『幻影の書』は世界が崩壊した状態から始まり、再生しかけ、クライマックスがあり、別のあり方で再生するという物語です。具体的に世界が崩壊した状態というのは、主人公にとっては、妻と子供を飛行機事故で亡くしたことであり、彼は酒におぼれるわけです。その一個人を物語は固定カメラで映しているかのようにずっと見つめていく。それは「ていねい」だとか、「密度が濃い」という言い方もできるでしょうが、僕にはひどく個人的で、自己中心的だと思われます。世界とは何でしょうか?〈私の目〉から見…  全文読む 評価する

カソウスキの行方 カソウスキの行方
石曽根康一/「カソウスキの行方」を読んで
なまける、ということについて。なまける、というのは、本当は100できるのに、50あるいは、70しかやらないことをいう。本来的に100できない人に対して、「なまけている」というのは、言葉の使い方として間違っている。津村記久子の「カソウスキの行方」は、主人公の兄が働かないことに対する、ベタなイメージが描かれていて安易だと思うのだが、ここに作者である津村氏の限界が表れていると思う。自分というものがあって、「兄」という他者がいる。そのときに、どう「兄」を扱うかによって、作者自身の人間観が表れてくる。「カソウスキの行方」は職場を舞台にした小説で、どこか、「新自由主義的価値観」が底流に流れているように感じ…  全文読む 評価する

犬の人生 犬の人生
石曽根康一/詩人は殺人者の夢を見るか?
こんにちは。おひさしぶりです。-->中央公論新社から出ている「村上春樹翻訳ライブラリー」。残すは、『バビロンに帰る ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック2』と『滝への新しい小径』だけになりました。このシリーズのおかげで、廉価にレイモンド・カヴァーに触れることができて、よかったです。今回の『犬の人生』。全体的にはよかったです。ただ、最後に収録されている「殺人詩人」について書きたいと思ってこの書評を書いています。この話は、「私」が親交のあった「スタンリー・R」という詩人について語ることで話が進みます。「スタンリー」は「理由もなく両親を殺害し、一片の悔恨の情をも示さなかった」(189ページ)。「…  全文読む 評価する

芝生の復讐 芝生の復讐
石曽根康一/「こういう書き方もあったのか!」
bk1に書評を書くのはひさしぶりである。この間、僕には色々と変化があった。ブログをやめたり、また、再開したり。慶應の通信に入学したり、一年でやめたり。そんなこんながあって、bk1に書評を書くということをすっかり忘れていた。さて、『芝生の復讐』という本。著者のリチャード・ブローティガンについては、前々から耳にはしていた。『アメリカの鱒釣り』という作品とセットで。僕の家の近所の本屋さんに『アメリカの鱒釣り』があって、もう一年以上はあるのだが、ずっと売れ残っている。しかし、僕はずっと『アメリカの鱒釣り』および、リチャード・ブローティガンについて頭の片隅で考えていた。「どんな本なんだろう?」「どういう…  全文読む 評価する

ウルトラマリン ウルトラマリン
石曽根康一/カヴァーの詩
今回もレイモンド・カーヴァーの詩を堪能できた。たしか、『ファイアズ(炎)』について、「あまり幸福ではないアメリカ人の生活」というようなことを書いた気がするのだが、この本を読んでいて、幸福とか不幸とかそう簡単に割り切れるものではないなと思った。前言を撤回したい。村上春樹が彼の詩を日本に紹介したことの意義は大きいと思う。  全文読む 評価する

空飛ぶ木 空飛ぶ木
石曽根康一/豊潤な物語たち
いろいろな短編が収められている。『夜と朝のあいだの旅』の著者による短編集である。昔話風の物語だったり、幻想的な物語だったり、色々な物語がつまっている。著者の語り口がなめらかで、違和感を感じさせない。個人的には、最後の「吸血鬼とニンニクの真実」が好きだ。人生のペーソスのようなものを感じられる。短編があるべきかたちとして、生きている。言葉がいきいきしている。  全文読む 評価する

ファイアズ〈炎〉 ファイアズ〈炎〉
石曽根康一/エッセイ・詩・そして小説
レイモンド・カーヴァーのエッセイ・詩・小説が収められている。レイモンド・カーヴァーの文章はどこか不思議な感じがする。エッセイはエッセイらしく、詩は詩らしく、小説は小説らしいのに、どこか共通の「匂い」のようなものがある。それは決して幸福とはいえないようなアメリカ人たちの生活臭なのかもしれない。彼のエッセイを読むと、自分と父親の関係を考えたくなるし、文章を書くということについても考えたくなる。彼は、何度も作品に手を入れたりすることを好んだようだ。この点、短編小説への姿勢という点で、彼は、村上春樹(訳者)と共通点があるように思える。  全文読む 評価する

ハルキ・ムラカミと言葉の音楽 ハルキ・ムラカミと言葉の音楽
石曽根康一/本格的村上春樹論
『ノルウェイの森』や『ねじまき鳥クロニクル』の英訳者の村上春樹論である。全体的に、ていねいに作られている感じがする。著者は、大学の教授としてのキャリアもあってか、この本には、注釈もついていて、かゆいところに手が届くような感じになっている。本の内容としては、村上春樹のデビュー作から、『アフターダーク』まで、まんべんなく触れられている(と思う)。村上春樹からの私信や彼のアメリカでの講演なども織り交ぜてあるので、彼の肉声を聞いている感じがして、彼の作品の魅力にひきつけられた読者としては、興味深いと思う。ところどころで、作品に対して、疑問のようなものを提示している点についても(たとえば、『海辺のカフカ…  全文読む 評価する

「話して考える」と「書いて考える」 「話して考える」と「書いて考える」
石曽根康一/大江健三郎講演集
大江さんの講演集を文章にしたもの。もともと大江さんが講演の前にそのための原稿を書くので、骨子がしっかりしている感じがする。実際には、この本は、その原稿を元に、実際に話したものを録音したものと合わせて、「エラボレーション」したものである。「エラボレーション」は、「入念につくる」というような意味である。この講演の端々から、彼の政治的な態度や、文学的な態度が見受けられて興味深かった。また、文学への熱い情熱のようなものも感じられた。僕は恥ずかしながら、大江さんの小説を一冊も読んだことがない。ただ、これからは、どんどん読んでいきたいと思った。この本を読んで、彼から、文学のこと、そして、言葉のことなど、色…  全文読む 評価する

やわらか脳 やわらか脳
石曽根康一/熱い脳科学者の日常
茂木健一郎さんが書いているブログ「茂木健一郎 クオリア日記」をまとめたもの。章立てになっていて、文章が並んでいる。それぞれの文章に日付は入っていない。そのため、時系列はよく分からないが、それはあまり重要なことではないように思える。とにかく、読み物として、面白いし、疾走感がある。彼が書くことには興味深い点が多いのだが、判断を保留したくなることもある。たとえば彼は、「いまは、「公正な」戦争などない」という。それが正しいのかどうかは僕にはよく分からない。彼は言ってみれば天才か秀才である。その彼と僕の間に知識の非対称性があるのはしかたがない。だから、彼の日記を読んで、ちょっとびっくりすることもあるのだ…  全文読む 評価する

村上春樹 村上春樹
石曽根康一/豊潤な物語(あるいは小説)たち
この本には、「シドニーのグリーン・ストリート」「カンガルー日和」「鏡」「とんがり焼きの盛衰」「かいつぶり」「踊る小人」「鉛筆削り(あるいは幸運としての渡辺昇1)」「タイム・マシーン(あるいは幸運としての渡辺昇2)」「ドーナツ化」「ことわざ」「牛乳」「インド屋さん」「もしょもしょ」「真っ赤な芥子」「緑色の獣」「沈黙」「かえるくん、東京を救う」が収められている。ごく短い「超短編」と言う感じのものから、まあまあ長い、「ふつうの短編」と言った感じのものまである。読んでいる途中で、笑ってしまったり、ぞっとしたり、なんともいえない気分になったり、読書をしてこんなに色々な心の動きを経験したのは久しぶりで、そ…  全文読む 評価する

うさぎおいしーフランス人 うさぎおいしーフランス人
石曽根康一/頭のリフレッシュに
「かるた」を本に纏めたような本。下ネタっぽいものから、ちょっとグロテスクなものまで、種種雑多な「かるた」がそろっている。村上春樹さんの翻訳作品とちょっと絡んでいるところもあって面白い。読んで、「あー感動した」とか思うような本ではありませんが、頭のリフレッシュにはいいかもしれません。僕は読んでいる途中、3回吹き出しました。  全文読む 評価する

大統領の最後の恋 大統領の最後の恋
石曽根康一/一人の男の半生を体験できます
読み終わったあとの感想をなかなかどういっていいのか分からない。長い小説だった。三つの時間軸が、交互に語られていくという斬新な構成で、長いながらもなんとか読み通すことができた。一つ一つの要素は短いので、短篇小説をいくつも読んだ気になる。そして、それらは、互いに緩やかに連関しあっている。『ペンギンの憂鬱』も一つ一つの項目は短かったから、この作者の得意な書き方なのかもしれない。惜しむらくは、僕が、ウクライナの政治情勢などをまったく知らないということ。そういうことに詳しければ、この小説はもっと楽しめたのになと思う。  全文読む 評価する

ゲバラちえ子の革命的日常 ゲバラちえ子の革命的日常
石曽根康一/しりあがりさんのマンガはやっぱりおもしろい
しりあがりさんの新作です。「婦人公論」に連載されていたものを纏めたものです。「ゆるくシュールな」マンガです。なぜ、主人公の、「ゲバラちえ子」が、チェ・ゲバラのティーシャツを着ているのか、よく分かりません。彼女が何故、「革命」に没頭しているのかもよく分かりません。そんなことの理由は示されないまま、日常のちょっとしたことが描かれていきます。「ジャカランダ」で描かれたような「破壊」は、このマンガにはありません。雰囲気的には、「地球防衛家のヒトビト」に近いです。「ちえ子」がアルバイトで入った会社の社長と不倫に近いような関係になるのか?というところは、「婦人公論」の読者を対象とすれば、24歳男のぼくが読…  全文読む 評価する

RANGEMAN RANGEMAN
石曽根康一/『レンジマン』はそこらの文学を凌駕している
主人公は、「恋愛衝動過剰な」男子です。彼は、すぐ恋をしては、すぐにふられて…の繰り返し。一方、彼の仲間たちは、国民的アイドル「風香」にぞっこん。彼は、今日も「運命の人に出会えるかも知れない」と思い、過ごすのだが、ある日、ドクター荻窪と会って…。というのが、このマンガのストーリーです。個人的な好みの問題もあるでしょうが、僕は、このマンガは、傑作だと思っています。「恋」というものをこれほど巧妙にストーリーの中に織り込んだマンガや小説を僕はこれまで読んだことありません。また、「アイドル」という存在に対する、「男子」の願望も押さえられていて、「かゆいところに手が届く」といった感じです。ぜひ、一巻から読…  全文読む 評価する

ハヤテのごとく! ハヤテのごとく!
石曽根康一/少年マンガ的執事マンガ
不思議なマンガだ。執事が出てきて、活躍?するマンガのようにも見えるし、女の子が沢山出てくる、少年漫画にありがちのマンガのようにも見える。だけど、アニメやゲームへの「メタ」的な言及など、一筋縄ではいかない構造になっている。僕は、サンデーを購読していた時から、読んでいて、9巻から単行本では読んでいるのだが、この巻から読み始めても、なんとなく、話の筋はわかってくるのではないかと思う。アニメもやっているそうなので、興味のある方は、そちらもどうぞ。  全文読む 評価する

グレート・ギャツビー グレート・ギャツビー
石曽根康一/心に残る作品
読み終わると、何か心に残るものがあった。はかない美しさのようなものを感じられた。ある意味、悲劇的なのだが、それは、読者を飲み込んでいくだけの力量と技術を持っていて、読者を、物語の結末へと進んでいかせた。決して、「読めばハッピー」な本ではないけれど、心に残る本だと思いました。他の訳者のものと読み比べていないので、村上春樹さんの訳がどうなのか、ということについては、なんともいいようがないのですが、(失礼かもしれませんが)うまく訳してあると思います。とにかく、読んでよかったでした。  全文読む 評価する

ペンギンの憂鬱 ペンギンの憂鬱
石曽根康一/ペンギンと一緒に
著者は、「ウクライナ在住のロシア語作家」という。この作品は、ロシア文学の範疇に入れていいのかどうかは、よく分からないのだが、いいとすると、人生で初めて読んだ(たぶん)ロシア文学がこれです。ドストエフスキーよりも、トルストイよりも先に読んでしまった。内容は、うまく小説の書けない「一応小説家」と彼の飼っているペンギンを中心として、回っていく物語です。表紙の絵から、「けっこう、ほのぼのした話なのかな?」と思ってましたが、そうでもありません。ここで書かれている社会は、けっこう物騒です。そういう物騒な感じで、読者を引き込ませるところは、サスペンスっぽいところもあります。他にもこの作品の魅力はあるでしょう…  全文読む 評価する

0マン 0マン
石曽根康一/手塚治虫のSF冒険活劇
「0マン」(ゼロマン)が登場するマンガですもちろん、「0マン」は架空の人物です。この物語には、様々な手塚治虫の考えが詰め込まれています。色々な現実にはない機械だったり、人間の欲深さだったり、人間のずるさだったり。そういうものが、ぎゅっと詰め込まれています。マンガを一応書いたことのある人間としてみると、「よくもまあ、こんな大人数を登場させて、話をうまくもっていったな」と物語の進め方に、感嘆するばかりです。やはり、マンガの神様だなと思わずにはいられません。このマンガは、『週刊少年サンデー』に連載されたものだそうで、やはり、少し子ども向きというか、少年漫画っぽい側面を備えています。あと、漫画のテンポ…  全文読む 評価する

日本語は天才である 日本語は天才である
石曽根康一/日本語の豊潤さ
日本語の奥深さを実感できる本です。まず、著者が、「日本語は天才である」と感じるきっかけになった翻訳の実体験が面白い。”You are a full Moon.””You are a full、Moon”という英文を果たして柳瀬さんはどのように翻訳したのか?また、”O note the two round holes in onion.”をどう訳したのか?また、”EVIL-LIVE”をどう訳したのか?目からうろこが落ちる思いです。その後、話は、ルビ、方言、いろは歌など、様々な、日本語の森に進んでいく。ちょっとお説教臭いところもあるけど、それはまあ、良いとして、全体的に、楽しめる本です。  全文読む 評価する

地球防衛家のヒトビト 地球防衛家のヒトビト
石曽根康一/去年を地球防衛家のヒトビトを通して振り返る
待ちに待った新作が発売された。朝日新聞の夕刊に連載中の「地球防衛家のヒトビト」。この本には、2006年1月4日から2006年12月28日までのマンガが載っている。一年前の出来事なのに、けっこう忘れていることもある。BSEに関することとか、WBCとか、トリノ・オリンピックとか、ワールドカップとか。「そうか、去年は、こんな年だったのか」と振り返ることができる。そういう時事問題に、地球防衛家のヒトビトはときに、憤りながら、ときに、笑いながら、過ごしていく。そういう、時事ネタのあいだに挟まれている何気ないことを題材にしたマンガも魅力である。時に、悲惨な事故などに対して、それを時事ネタとして扱うことには…  全文読む 評価する

真説ボボボーボ・ボーボボ 真説ボボボーボ・ボーボボ
石曽根康一/暴力とギャグとオマージュ
「真説」になってから読んでいるのだが、新しい巻が出ると、欲しくなる。つまり、続きを読みたくなる。過剰な暴力表現とギャグと、オマージュ。「ドラゴンボール」などの少年漫画を引き継ぎ、さらに、それを発展させる形で、この漫画は書かれている。暴力表現に胸焼けする感じもないではないのだが、それも一つの「記号」として捉えられているので、何とか読み進められる。随所にある、80年代・90年代の文物へのオマージュも読んでいて楽しい。  全文読む 評価する

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