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CIA秘録 CIA秘録
dimple/秘密工作に明け暮れ、そして、そのほとんどが失敗したCIAの歴史。
『CIA秘録(上下巻)』(ティム・ワイナー、藤田他訳、文藝春秋、2008年)を読了した(原題 “LEGACY of ASHES : The History of the CIA”)。本書の中では、原題は「負の遺産」、「灰の遺産」と訳されている。CIAが如何に欺瞞に満ちた歴史に彩られているかについて、その1945年の成立から、情報機関の統括的地位を失った2005年までを描いている。本書は、機密解除された政府文書やオーラルヒストリー(口述歴史)に基づいて書かれており、巷の陰謀本とは一線を画する。本書全体の3分の1を占める「著者によるソースノート」が何よりの証左である。CIAは、冷戦期の世界各地での…  全文読む 評価する

1Q84 1Q84
dimple/対をなして物語は進む。
BOOK3<10月‐12月>を読了した。正直言って、BOOK2で完結したのかと思い込んでいたが、さにあらず。BOOK1が<4月‐6月>,BOOK2が<7月-9月>であることからすると、この先BOOK4<1月‐3月>があると考えるのが自然かもしれない。BOOK2では、あの嵐の夜に青豆とリーダー、天吾とふかえり(深田絵里子)との間にそれぞれ生じた出来事のうち、ストーリーとして重要なのは明らかに青豆とリーダーの方であった。しかし、BOOK3では、あの嵐の夜のもう一方の対となる出来事、すなわち天吾とふかえりの間に起こったことが重要な要素となってくる。嵐の…  全文読む 評価する

1Q84 1Q84
dimple/はたして僕らの2009年は200Q年となり得るのか?
村上春樹『1Q84』(新潮社、2009年)を読了した。将来確実に日本文学の正典(canon)の一つとなるに違いない村上作品に、同時代人として接することができるのは幸せなことである。例えば、本作品中のJR中央線や首都高3号線・三軒茶屋付近の細かな描写を、僕らはリアルなものとして受け止めることができる。これに対して100年後の読者は、僕らが漱石や鴎外作品の中の蒸気機関車や人力車の描写に接するのと同様の感覚で接するにすぎないはずである。また、僕らは、宗教集団「さきがけ」のリーダーの外見から、殺人罪で逮捕・起訴された、実在の宗教団体教祖を想起することができるが、100年後の読者にそのようなことができる…  全文読む 評価する

春にして君を離れ 春にして君を離れ
dimple/人生、そして中流階級的価値観への皮肉
裕福な中流階級の英国人中年女性が、非日常的な空間で一時的に精神的危機に直面する様を描いた作品である。第2次世界大戦前夜の時代、主人公のジョーンは、弁護士の夫を盛り立て、3人の子供たちを立派に育て上げたことを自負しており、人生に満足していた。そのジョーンは、娘の病気見舞いに嫁ぎ先のバグダッドを訪れた帰途、悪天候のためにイラクの砂漠地帯にある駅の宿泊所で数日間足止めをくらってしまう。砂漠で孤独な時間を過ごす中、ジョーンは自己の半生を振り返ることになったのであるが、やがてその人生への満足は単なる思い過ごしであり、自分は家族の誰からも愛されていないのではないか、という疑念に苛まれてしまう。作品の中では…  全文読む 評価する

歪んだ正義 歪んだ正義
dimple/検察が抱える問題点~裁判員となる前に一読しておいて損はない。
『歪んだ正義 特捜検察の語られざる真相』(宮本雅史、角川学芸出版、2007年)を読了した。産経新聞社・社会部編集委員による著書である。本書は、東京地検特捜部の抱える問題点として、主に、(a)検察が作り上げたストーリーに基づいた供述調書の録取、(b)マスコミ世論との関係、(c)政界との関係を挙げる。そして、これらの問題点が浮かび上がった事件として、造船疑獄事件(1954年)、ロッキード事件(1976年)、東京佐川急便事件(1992年)を取り上げる。本書の全体を通して描かれているのは、マスコミを通して世間の耳目を集める疑惑について、検察が「一罰百戎」の如く特定の犯罪を捜査し、起訴に持ち込む過程での…  全文読む 評価する

草食系男子の恋愛学 草食系男子の恋愛学
dimple/草食系男子ではなく、恋愛を渇望する男子のために書かれた「概論」
森岡正博『草食系男子の恋愛学』(メディアファクトリー、2008年)を読了した。森岡は「草食系男子」について、「新時代の優しい男性のこと。異性をがつがつと求める肉食系ではない」と定義する。しかし、本書で語られる内容は、心の底から恋愛を望んでいるにもかかわらず、その恋愛への第一歩を踏み出せない男子へのアドバイスといってよい。そもそも上記で定義される「草食系男子」とは、外見からも男性性を感じさせず、また実際にも恋愛やセックスに対する意識が低い男子を指すのではなかったか?とすれば、そもそもこのような草食系男子に対して恋愛指南をする必要はないともいえる。むしろ本書は、哲学者である著者がかねてより提唱する…  全文読む 評価する

富の王国ロスチャイルド 富の王国ロスチャイルド
dimple/知識が繋がる仕掛けが随所に。
ドイツ文学者・エッセイストである池内紀が、平易な文章でロスチャイルド家の歴史を綴っている。類書と内容が重なる部分が多いものの、読書や雑学が好きな人を満足させる記述も随所にちりばめてある。一例を挙げると、第二次大戦後のロンドン・ロスチャイルド家の行方を述べたくだりである。『・・・これまで息子たちはハロウ校からケンブリッジ大学がお定まりだったのに・・・』(192頁)とある。確かに、Harrow School は、Eton Collegeと並ぶ名門パブリックスクールである。しかし、それでもなお、一族がイングランドにおけるエリートの牙城であるオールド・イートニアンでないところに、雑学好きな人は深い感慨…  全文読む 評価する

ロスチャイルド家の上流マナーブック ロスチャイルド家の上流マナーブック
dimple/マナーの出発点は、自分を敬うこと。
本書は、ナディーヌ・ロスチャイルド男爵夫人が著したマナーブックである。フランス労働者階級の家庭に生まれ、中学卒業後、工員・モデル・ダンサー・舞台女優など様々な職業を得て、フランス大富豪の一人であるロスチャイルド男爵の夫人となった人である。彼女は舞台女優をしていた頃、楽屋の奥で埃まみれになったルイーズ・ダルク侯爵夫人によるマナーブックをたまたま見つけて、たちまちその虜になる。 そして、このマナーブックと運命的な出会いをしたことによって、その後の様々な人生のテストをクリアしていったのである。その彼女は次のように断言する。「『あらゆる国境と人びとの心を開く唯一のパスポート』は『マナー』である。」本書…  全文読む 評価する

イラク戦争のアメリカ イラク戦争のアメリカ
dimple/リベラル左翼から転向したネオコン知識層が引き起こした、夢想的な戦争。
書は、章ごとにイラク戦争に関係する一人の人間に焦点をあててイラク戦争の断片を描いている。例えばそれは、イラク亡命知識人であるカナン・マキアであったり、戦争全体を主導したネオコン一派のポール・ウォルフォウィッツである。焦点をあてているのは、もちろん著名人だけではない。連合軍暫定施政当局(CPA)職員の若き歴史学者、CPAで秘書業務に携わるイラク人女性、バクダッドの死体保管所で検死をしているイラク人医師、戦死した23歳の陸軍兵士の父親であるアメリカ人男性など様々である。本書は、各章で個人を描写する一方で、全体を通してアメリカがイラク戦争で直面する問題を浮かび上がらせることに成功している。それはすな…  全文読む 評価する

ノルウェイの森 ノルウェイの森
dimple/現代社会における人間関係の希薄さや不安感の暗喩
『カフカ』のときもそうだったのであるが、親しい人の失踪と不慮の死、そしてユートピア的共同体の存在が村上作品の特徴をなしているように思えた。ユートピア的共同体については、本作品の場合、精神を病んだ直子が入所した療養施設『阿美寮』がそれに該当する。もっとも、『阿美寮』の場合は、「ユートピア」(=理想郷)というよりはむしろ、「アジール」(=世俗の世界から遮断された不可侵の聖なる場所、平和領域、避難所)であるように思えた。では、村上作品にしばしば表れる「ユートピア」ないし「アジール」とは何か?それにはある種の(そして、おそらく村上自身の)現代社会に対する考え方が反映されているのではないかと思う。現代社…  全文読む 評価する

ロスチャイルド家と最高のワイン ロスチャイルド家と最高のワイン
dimple/ワインが美味しくなる一冊。
本書は2部構成となっている。第1部では、ロスチャイルド家の歴史が綴られる。ロスチャイルド家の歴史は、初代マイヤー・アムシェルが18世紀にドイツ諸邦の1つであるヘッセン公国の御用商人として頭角を現したところから始まる。御用商人から成り上がるところは、わが国の三井財閥や住友財閥などを髣髴とさせる。そして、マイヤーの5人の息子たちがヨーロッパ中に散らばり、それぞれビジネスで成功することで、ロスチャイルド家は巨大な財閥ネットワークを築き上げた。ロンドンとパリの金融事業、パリとウィーンの鉄道事業の成功はつとに有名だ。第2部では、ボルドー・ワインの5大シャトーのうち、ラフィットとムートンをロスチャイルド家…  全文読む 評価する

外交 外交
dimple/アメリカ外交の特異性とその本質
本書「外交」 は、ヘンリー・A・キッシンジャーによるヨーロッパ外交の理論書である。キッシンジャーは、国際政治学者にして合衆国・国務長官を務めた人物として表記される場合が多い。しかし、本書を読んでみて、彼は「国際政治学者」というよりはむしろ、「戦略理論家」と呼ぶ方がふさわしいように思えた。ちょうどニコロ・マキャヴェッリがフィレンツェ共和国第二書記として対フランス外交を取り仕切ったように、である。上巻は、17世紀の30年戦争から20世紀の第2次世界大戦終結までを600頁にわたって詳述する。キッシンジャーはヨーロッパ外交政策の2大潮流として、(1)バランス・オブ・パワーを重視する伝統的なパワー・ポリ…  全文読む 評価する

ケネディ ケネディ
dimple/彼の政治観を形成したものとは何か?
本書は、ケネディ研究者による入門的な評伝である。ジャック(=JFKの愛称)は生来病弱で、彼の前半生は病気との闘いであった。加えて、彼の育った家庭は、絶対君主のような父・ジョセフの愛情が長男ジョーに注がれ、母・ローズは家庭をあまり顧みないという特異な環境であった。ジャックの(特に、大統領になってからの)政策は、外交上は対ソ融和、内政上は人種統合である。一体、この対決路線の忌避と社会的弱者への感受性はどこから来たのか?これを突き詰めると、彼の育った家庭環境と健康問題に行き着くような気がしてならない。愛情への飢餓感と病弱、そして少数派のアイルランド系カトリックという出自がジャックの政治観を形成したの…  全文読む 評価する

ロックフェラー回顧録 ロックフェラー回顧録
dimple/アメリカの貴族
本書は、スタンダードオイル社を設立して巨万の富を得たジョン・D・ロックフェラーから数えて三代目の当主による回顧録である。著者のデイビッド氏は、二代目の末っ子として生まれたために、比較的自由な雰囲気の中で育ったようだ。だから、兄たちのように、はじめからファミリーオフィス(慈善事業や一族の財産管理)に専念することなく、大学卒業後も勉学を続けて経済学博士号を取得した後陸軍に入隊し、得意なフランス語を駆使して北アフリカで諜報活動に従事した。第二次世界大戦後は、一族とゆかりの深いチェース銀行《現・モルガン・チェース銀行》に就職し、経営の中枢を歩んで最高経営責任者(CEO)を務めるに至った。著者は若い頃か…  全文読む 評価する

満州事変から日中戦争へ 満州事変から日中戦争へ
dimple/外交力の欠如
加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書、2007年)を読了した。日露戦争後獲得した中国東北部の権益を維持・発展させるにあたって、外交的努力が思うような成果を上げられなかった結果、陸軍の省部幕僚や関東軍を中心とした軍部が武力によって植民地政策を遂行していく過程がよく描かれている。わが国は歴史的に見て、外交能力が諸外国に比べて見劣りすることがよくわかる。例えば、リットン調査団の報告書や国際連盟の外交交渉においても、英国は日本の権益を認めうるシグナルを送ってきていたのだが、わが国政府はこれらをすべて見落としている。軍部はというと、中国東北部に対するロシア(ソビエト)の脅威に備えることが最大の政…  全文読む 評価する

信じない人のための〈宗教〉講義 信じない人のための〈宗教〉講義
dimple/私的でデジタルな宗教は可能か?
中村圭志『信じない人のための<宗教>講義』(みすず書房、2007年)を読了した。本書は、世界三大宗教(キリスト教、イスラム教、仏教)を中心に、世界の宗教について教科書的に概観した後で、「宗教」について考察する。中村は、宗教を日常と離れた「あっち側」のものとする、二分法的な捉え方に疑問を投げかける。すなわち、宗教のあり方は、日常における功利性のあり方、論理のあり方、生活のあり方によって支えられている、とするのである。そこで、宗教について考えるとき、「日常圏における地理的・歴史的相違のほうをひとまず重視して捉えるべきでなないか」という考え方を提示する。中村は現代日本人の宗教観について考察はしていな…  全文読む 評価する

ミッション・スクール ミッション・スクール
dimple/さまざまな理論を用いた、ごった煮的な分析
 佐藤八寿子『ミッション・スクール あこがれの園』(中央公論新社、2006年)を読了した。 本書は、キリスト教系の女子高について、教育社会史を基底にしつつ、ジェンダー論(=社会的・文化的な性のあり方)やユング心理学的な切り口を用いて、論を進めている。 ミッションスクール(=以下、MS)の女子学生を「ファム・ファタル」(=宿命の女。男性を誘惑し破滅させる女)と定義し、中心的な話題に据えるあたりは、カミール・パーリアの『性のペルソナ』を想起させる。パーリアの場合は、フロイト心理学を用いて英文学を分析して見せた。 佐藤は、近代日本における「立身出世主義者と良妻賢母が相補いつつ社会的役割を果たす陽画(…  全文読む 評価する

この私、クラウディウス この私、クラウディウス
dimple/歴史を学ぶことは大事。
ロバート・グレーブズ『この私、クラウディウス』(みすず書房、2001年)をやっと読了した。本書が出た2001年に入手していたが、今までずっと「積読」状態だった。本書は、初代ローマ皇帝アウグストゥスを大叔父に持つ一族に生まれながら、生来の病弱と吃音症のために、周囲から疎んじられていたクラウディウスが、図らずも帝位に就くまでを自伝体で綴る歴史小説である。クラウディウスは古代ローマ史やエトルリア史を研究する歴史学者であり、元老院を頂点とする共和政体を理想の政治体制と確信する人間である。それにもかかわらず、一族から疎んじられていたゆえに、淫蕩と凄惨を極める政治的陰謀の中を生き延び、結局、第4代ローマ皇…  全文読む 評価する

海辺のカフカ 海辺のカフカ
dimple/冒険することの必要性。
『海辺のカフカ 上・下』(村上春樹、新潮社、2002年)を読了。新潮社エッセイを除けば、村上作品を初めて読んだことになる。今までは正直に言って、村上作品を読む気持ちになれなかった。というのも、商品名を多用した文体が安っぽい商業コピーを思わせたし、何より時代錯誤的なアメリカ文化への崇拝が感じられたからである。今回の作品に関しても、そのような傾向がないわけではない。15歳の主人公が60年代のアメリカ音楽に精通しているのは多少強引に感じる。また、商品名にいたってはこんな感じである。「父が大事にしているロレックスのオイスターを持っていこうかとも思ったけれど、迷った末にやめた。その時計の機械としての美し…  全文読む 評価する

三島由紀夫全集 三島由紀夫全集
dimple/自己確信への執着
『決定版三島由紀夫全集14巻』を読了。『豊饒の海』の第三巻(『暁の寺』)と第四巻(『天人五衰』)が収められている。『暁の寺』では、本多は五井物産の招きでバンコックへと旅立つ。そこで、タイ王室王女ジン・ジャン(月光姫)と出会う。ジン・ジャンこそ、飯沼勲の生まれ変わりなのであった。本多は、かつて松枝清顕の邸で月修寺門跡の法話を聞いて以来、仏教哲学・印度哲学に親しんでいたのであるが、今回インドの聖地を訪れることで輪廻転生を確信するに至る。帰国後ある事件を扱うことで莫大な富を手にした本多は、やがて自分の中に変身願望を抱くようになる。本多の変身願望は輪廻転生を確信したことから生じたものである。しかし他方…  全文読む 評価する

日本の近代 日本の近代
dimple/矛盾を抱えた巨大組織
『日本の近代9 逆説の軍隊』(戸部良一、中央公論社、1998年)を読了。本書は、明治初期に当時最も近代的な組織として創設された日本陸軍が、如何に非合理的な行動を生み出す組織に変容したかを詳述する。もちろん、日本陸軍という組織の変容を述べるにあたっては、当時の経済情勢(世界経済の動向や国内経済格差の進行)、政治情勢(政党政治の混迷、欧米列強の動向)、社会情勢(農村の疲弊、大正デモクラシー)といった背景も無視できないだろう。本書はそういった背景を考慮しつつ、組織論に焦点を合わせて議論を進める。とりわけ、組織上の「逆説」という視点は興味深い。たとえば、藩閥や政党から軍への不当な干渉を防ぐ目的で創設さ…  全文読む 評価する

Nana Nana
dimple/われても末に逢はむとぞ思ふ
NANA14巻を読了。レイラの回想を一つの軸にして、ヤスが実はモテモテであることが綴られる。レイラ、美雨、そしてナナも・・・。特に、レイラは駆け出しの頃から想いを寄せていた・・・。「春の雪」のモチーフとなっている古今和歌集の一首が思い出される。瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院顕仁(以上、「とはずがたり」ブログから転載)  全文読む 評価する

奔馬 奔馬
dimple/情念と理性の相克
三島由紀夫『奔馬(豊饒の海・第二巻)』を読了。『春の雪』が優雅で一途な愛の美しさを描いているのに対して、『奔馬』は純粋な思想に基づく行為の美しさを描いている。松枝清顕が死んでから19年後の昭和初期が舞台である。清顕の学習院時代の親友・本多は38歳となり控訴院(=現在の高裁に相当)判事を務めている。清顕は当時彼の世話役をしていた書生・飯沼の子息である勲に生まれ変わっている。飯沼は右翼政治結社の頭目であり、勲は剣道三段の腕前を持つ国学院の学生である。本多は、あるきっかけで訪れた大神神社で、滝に打たれる勲の左腋に3つのほくろを発見し、勲が清顕の転生した姿であることをためらいながらも悟る。清顕が死ぬ直…  全文読む 評価する

三島由紀夫全集 三島由紀夫全集
dimple/優雅さをめぐる葛藤
三島由紀夫全集13巻に収められている『春の雪(豊饒の海・第一巻)』を読了し、そして同名小説を映画化した作品を鑑賞した。羽林家の家格を有する公家の綾倉伯爵家令嬢・聡子と、維新の功により祖父の代に侯爵に叙せられた松枝家子息・清顕との悲恋を描いている。映画作品の方は、限られた時間のなかで劇的効果を高めるべく、多少内容を変更しているが、ポイントはしっかりと押さえている。尚武の気風に溢れる松枝家の人間でありながら、幼少期から綾倉家に預けられたことにより、「優雅さ」の何たるかを知ってしまった清顕は、素直に感情を表現できない、そして耽美的な性向を持ってしまっていた。清顕は、聡子が自分に恋心を抱いていることに…  全文読む 評価する

のだめカンタービレ のだめカンタービレ
dimple/ぎゃぼ
『のだめカンタービレ』13巻を購入&読了。のだめと千秋がパリに行って以来、少しストーリーが低調気味と思われたが、本巻はかなり面白かった。ふたりの間にさざ波を立てる男ないし女が登場すると、俄然面白くなる。のだめの嫉妬心はストレートで共感できるし、他方、クールに振舞うくせに内心穏やかでない千秋の心情も理解できる・・・。これも映画化してほしいな・・・。(以上、とはずがたりhttp://dimple.blog.ocn.ne.jpより転載)  全文読む 評価する

眞鍋かをりのココだけの話 眞鍋かをりのココだけの話
dimple/99.9%事実。
K書店・新宿南店で眞鍋かをり嬢の握手会の整理券を100番台後半でゲット。8月28日に電話予約していたものだ。実は、オンライン書店ですでに『眞鍋かをりのココだけの話』を購入していたので、今回2冊目を購入したことになる・・・orz本書はブログで既出の記事に加えて、眞鍋嬢の追記コメント、初出のフォト、記事で取り上げられたショップの紹介で構成されている。特に、眞鍋嬢の初出の写真が良かった。まるでカレシが撮ったかのような、プライベーツな感じが出ていて超可愛い。千疋屋(のものと思われる)フルーツを口に入れている写真は可愛くて少しエロティックで・・・。付録のポストカードのベーグルを頬張っている写真も可愛かっ…  全文読む 評価する

戦略の本質 戦略の本質
dimple/人と人の関係は動態的である
『戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ』(野中郁次郎ほか、日本経済新聞社、2005年)を読了した。本書は、帝国陸海軍の組織的欠陥と卓越した政軍指導者の不在を論じた『失敗の本質』の姉妹編である。本書は、序章と第1章で戦略論の概説を論じた後、第2章以下でバトル・オブ・ブリテンやスターリングラード攻防戦など6つのケーススタディを扱う。逆転のケースに戦略の本質が現れるとして、扱われるケースはすべて局面を打開し形勢の逆転に至ったものばかりである。そして、終章で戦略の本質として10の命題を引き出す形式となっている。命題1 戦略は「弁証法」である。命題2 戦略は真の「目的」の明確化である。命題5 戦略…  全文読む 評価する

大学のエスノグラフィティ 大学のエスノグラフィティ
dimple/日本版スカル・アンド・ボーンズ?
文化人類学者・船曳建夫が著した『大学のエスノグラフィティ』(有斐閣、2005年)を読了。大学教師の生態とゼミのあり方について、自らを素材にして綴ったエッセイである。ゼミのあり方を論じた章が興味深かった。どうやら現在の学生気質はボクが学部学生を過ごした90年代中頃とは様相を異にしているようだ。ボクが学生の頃は、若者を揶揄する言葉として「無関心さ」が挙げられたものである。しかし、現在の学生はむしろ「一つの価値観」に拘泥しているらしい。これはなぜか?本では論じられていない事柄であるが自分なりに分析してみると、やはり時代背景が異なるから、ということのように思える。90年代中頃は東西冷戦が崩壊したとはい…  全文読む 評価する

真夜中の五分前 真夜中の五分前
dimple/生きていくうえで多少感じる息苦しさ
先日side-Aとside-Bを読了した。本多孝好の著作だ。現代作家の小説は正直あまり読まないボクにしては珍しいことだ。実際、ボクは村上春樹を読んだことはない(正確に言うと、村上のプリンストン留学時代を綴ったエッセイ『やがて悲しき外国語』は読んだことがある)。本多孝好との出会いは奇妙なものだった。実家で夕食をしたときに、母親から氏のインタビュー記事を見せられたのがきっかけだった。『Grazia』という女性誌の12月号に写真付きのインタビュー記事が出ていたのだ。彼女曰く、氏の雰囲気がボクと似ているという。確かに、氏とボクは同世代で(氏が1年上)、勉強していた分野も同じだ。その記事と写真に何だか魅…  全文読む 評価する

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