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一般意志2.0 一般意志2.0
T.コージ/<一般意志2.0>はDDイデオロギー?!
●ルソー版一般意志からアップデートした<一般意志2.0> 本書で再び注目を集めているのがフランス革命の契機となったルソーや社会契約論。本書のキッカケも、そこだ。ベンヤミンの<アウラ>やラカンの<対象a>がマルクスの<剰余価値>をヒントにして生まれたように、本書の<一般意志2.0>はルソーの<一般意志>をキッカケにしている。著者がバージョンアップというように<一般意志2.0>と<一般意志>は近く、本書ではルソーのそれは<一般意志1.0)>とされる。 タイトルには「ルソー、フロイト」といったオーソドキシーとITを代表する「グーグル」が並び、本文でも相当量をさいて援用されている。特にルソーとその<一…  全文読む 評価する

デフレの正体 デフレの正体
T.コージ/全数調査データによる圧倒的な事実! いろいろ使えます!
 2011年の元旦、日本のこれからを考える経済番組で希望や可能性を語れる論者として紹介されたのが著者のマスメディア初登場。バブル崩壊後は大部分の論者が政治や社会を批判するばかり、そうでなければ意義不明の御用学者…という情況の中での新鮮な登場でした。日本全国ほとんどの自治体を歩いて回った著者の説得力ある主張にメディアが注目したのでしょう。現場からの見解であり、参照するデータも全数調査でもれがない全国規模のデータばかり。何らかの理論や先入観による言説ではなく全国の現場を直接見て、全国規模で長期スパンのデータとつき合せて考えられたのが本書の内容です。 本書のベースになっているデータの特徴は以下。 ・…  全文読む 評価する

ナショナリズムは悪なのか ナショナリズムは悪なのか
T.コージ/左翼やポスモダ論者はこの著者と闘論できるだろうか?
 ポスモダから左翼まで日本の人文科学や論者においてメジャーな“国家やナショナリズム=悪”という認識を著者はラジカルに批判し、同時にそれが原理としては見事な資本主義論にもなっている。DG(ドゥルーズ=ガタリ)による認識を追認しつつ展開され、国家と資本主義を相互に外在的なもの(対立するもの)とする立場と国家と資本主義は内在的な関係でトータルな構造(社会構造)として歴史的に発展してきたとする著者の立場に二分される。 アイデンティティのシェーマに没入していく(しかない)ウヨクと市場が国家を超えると考えるグローバリストというまったく異なる両者が同じ観点から裁断されている。 ベネディクト・アンダーソンの『…  全文読む 評価する

吉本隆明と柄谷行人 吉本隆明と柄谷行人
T.コージ/吉本隆明からの遁走。吉本読者旧世代の最期を飾る一冊かも?
柄谷行人の読者には興味深い一冊。文学や哲学をいままでどおりに語りたい人にはいいかもしれないが…。●「個体化」という幻想の理由は?論点を先取りして言っておくと、吉本の書いたものには「個体として~」「個体に~」といった表現が多々に見られるが、「個体化」(individuation)という言い方は見られない。しかもそれは、単に語が不在であるだけでなく、吉本の議論が結局「個体」の存在を前提とした議論であって、「個体化」の過程を示していないことの現れではないだろうか。そのことが、「個-類」「個人-家族-社会」の連関の把握にも作用せざるをえなかったのではないだろうか。ちなみに、「個体化」「個体化原理」は古…  全文読む 評価する

理性の限界 理性の限界
T.コージ/数理解析に裏打ちされた厳密な理論が示すのは限界だった…
この本を読むとモテるという都市伝説まで生まれつつある必読の一冊!●民主主義は成立しない! 完全な民主主義が成立しないことを数学的に証明した「アロウの不可能性定理」を紹介するところから本書ははじまる。そして、ライプニッツが、想定できるあらゆる可能性を紙に書き出しながら理性的に計算した帰結として当然のことながら結婚を取りやめた、というエピソードなどを絡め、シリアスな問題を時に爆笑とともに紹介してくれる。間違いなく本書は知的エンターテイメントの最高峰だろう。事実ギークな読書家小飼弾氏が大絶賛し、流行のtwitterでは「現代の『構造と力』だ!」というコメントが流れ、本書の読書会ができるなど発売後2年…  全文読む 評価する

吉本隆明のDNA 吉本隆明のDNA
T.コージ/6名の思想の根本が書いてあるキチョーな吉本本? 6名それぞれのファンにもオススメ!
 6名へのインタビューは各人の思想の根源まで到達するもので、吉本だけではなくそれぞれのファンや読者にとっても貴重な内容になっている。現在の若い世代に続く内容と説得力がある。取材の最後まで不機嫌だったという上野の言葉も印象的だ。 「ほかの人たちはみんな吉本体験を、そんなぺらぺらしゃべるの?」 上野をはじめ全員が吉本をネタ?に自らの思想の原点までもしゃべらされてしまっている。著者の執拗?な取材の成果でもあるだろうが、いままで黙ってきたが本当はしゃべりたかったんだ…とばかりに各人が語り出す姿は不思議?でもあり微笑ましくもある。各人の言葉には、照れながら昔の恋人のことを想い語りしているような雰囲気があ…  全文読む 評価する

戦後思想は日本を読みそこねてきた 戦後思想は日本を読みそこねてきた
T.コージ/豊富なソースと鋭い解析で近代日本のコンフリクトを俯瞰できる一冊かも、必読!
●マジメな文芸からの問いかけ? 本書の問題提起は根源的で絶対的な次の2点だ。 日本の思想は、近代文明の弊害をどのように克服しようとしてきたのか。 戦後民主主義は、第二次世界大戦の一翼を担ったことの反省をなしえたのか。 一言でいえば文学や思想、哲学の分野で大きな未決の問題である「近代の超克」が問われている。日本の近代化、西欧化の評価をめぐる講座派と労農派の日本資本主義論争をはじめ江戸の文化から分子生物学、そして最近リアルに語られるようになった「東アジア共同体」まで概観しつつ同時に微にわたり分析し批評している。 戦後から現在に至るまでケリがついていないこれらの問題に関して、戦後最大の思想家と宣伝コ…  全文読む 評価する

日本の難点 日本の難点
T.コージ/丸山(眞男)や宮台が指摘する日本の難点とは?
宮台の根本にある問題意識は、コレだったのか……それは、実をいうと<関係妄想>のことなのだ。 数行で一つの知見が込められ次のセンテンスとの関連は行間が飛んでるように感じる。柄谷行人のような観念的な行間の飛び方ではなく内容のシフトがあり展開が速すぎるために分かりにくくなっている。宮台の私塾用のテキストがベースのようなので仕方無いかもしれないが、もっと読み安くしてほしかったとはいえる。講義ならば豊富な話題と知見、スピーディーな展開で毎回面白く聞いてられるハズだ。 内容的には宮台理論の全容が抽象から政策まで、哲学からポリティカルな面まで知ることができるので宮台の研究家?や論破したい人は読破してみるとい…  全文読む 評価する

吉本隆明1968 吉本隆明1968
T.コージ/ビッグブラザー(『1984年』)とリトルピープル(『1Q84』)を通底する認識が身につくかも…
●〈最終兵器、吉本隆明!〉的な人たち 糸井重里氏の「吉本隆明リナックス化計画」や渋谷陽一氏の「SIGHT」の連載、小飼弾氏の「私の Love to hate の対象」として吉本隆明を評価する新しい?スタンスなど現在進行形の吉本ingによる新たな吉本読者も少なくないはずで、その広がりと展開にプラスになるものが、もっと出てきていいのではないか…と個人的な期待と願望は大きい。小飼弾リスペクトの吉本リナックスというのは出来過ぎた話でもないし、むしろ吉本らしい展開のハズだ。もちろん思想的理論的にヤワな論者を突き放した『ハイ・イメージ論』『アフリカ的段階について』やレア?な『ひきこもれ』といった旧来の読者…  全文読む 評価する

消費社会から格差社会へ 消費社会から格差社会へ
T.コージ/<ソース、キボンヌ?>というより<思考能力は?>の方が大事!
●バブルの当事者であり立役者の証言 「誰が言った? どこにあった?」と口を尖らせてソースを問う子供みたいに、ネットでは自らの思考能力の無さに応じてソースへのオーダーが強度を増すのかもしれない。問題はソースのデータベースの小ささであり、さらには思考能力の無さがソースへの問いで帳消しになるかのような矮小なネットの倫理かもしれないのに、だ!?  『下流社会』以来ネットの書評では反発されることが多い著者だが、現実のレスポンスではそういった否定的な反応は思ったよりずっと少なかったらしい。  「サーチエンジンで引っ掛かることだけが情報ではない」(『「ひきこもり国家」日本』高城剛)という真っ当で今こそ必要な…  全文読む 評価する

生き延びるためのラカン 生き延びるためのラカン
T.コージ/『ヨシモトで読むラカン』という本が一冊書けそうな…
 ラカンに転移してしまった著者が「日本一わかりやすいラカン入門」を目指して6年の月日をかけ、中学生にも読めるように書いたのが本書。  サブカル論議や精神分析、心理学フェチなら当然知っているレベルの用語だけで見事にラカンが解説されている。難解な専門用語が排除されているわけで、そこに<父の排除>を察する読者からは反発もあるけど、それこそこの本が成功してる証だとすればOK。  吉本に転移している自分からすると、本書はフロイトへの深い理解のためかより一層吉本理論との近似が気になる。吉本や著者への自分の転移は当然として、他者からはどう読めるのだろうか?という新たな知への欲望がさらに喚起され、もちろん必読…  全文読む 評価する

なぜ世界は不況に陥ったのか なぜ世界は不況に陥ったのか
T.コージ/100年に1度の危機とその解決の困難がよく解る!
●シンプルに示される鋭く深い知見! 個別科学では得られないような視点からスルドク考察する池田氏。さまざまな問題をディテールまで具体的に追究する池尾氏。両者のやり取りをとおして現在間違いなく全世界が当事者である100年に一度といわれる問題が分析、考察され、解き明かされていく。  直近のテーマはもちろん現在の世界的な経済危機なのだが、二人による探究の鋭利さゆえか、それとも危機が全般にわたっているせいか、結果として経済をめぐる問題のほとんどに関して言及され知見が示されている。レアな問題としても経済(学)あるいは社会科学の基本としてもフォローされる領域はひろく深いといえる。  現在の経済危機の原因とそ…  全文読む 評価する

世界経済危機日本の罪と罰 世界経済危機日本の罪と罰
T.コージ/あり余るお金を使わない日本こそ、世界危機の原因だ!
 膨大な資料を駆使して状況を読み取り、その原因を探り、瞬く間にレポートと分析を仕上げる…。 データはどんどん入手するだけで整理しない。あふれるデータを整理している暇などないし、そんな事をしてる間に状況も変わってしまう。気になったことをどんどん検索にかけて抽出を繰り返す。縮減されていくデータのクラスターに事象の因果や輪郭が浮かび上がってくる…。何度もチェックするデータはスタックしていつも目の前にせり出ている…。 データの全文検索とスタック情報のフロート化、そしてアプリとデータベースは持たずに身軽に動き回る。このパワーサーチとデータのフロート化、これが93年に『「超」整理法』として紹介された著者の…  全文読む 評価する

不謹慎な経済学 不謹慎な経済学
T.コージ/テロ、官僚、利子といった3悪?への理解がスゴイ!
●リフレ2%の真実とは リフレ派が主張する2%のインフレターゲットの根拠はホントのところ何なのかと思っていたら、それは日銀が金融政策の根拠にするCPI(消費者物価指数)にもともと誤差?があるということだった。 単なる経済規模(量質ともに)の現状維持ならば自然的なロスを勘案して成長率ではGDPで2~4%の拡大再生産が必要か?などと考えていたのだが。金融政策を根幹として算出される数値としては2%程度のインフレ率が適正となるようだ。 CPIには上方バイアスがあり「実態よりもインフレ気味に出る」という指摘はあまりにも貴重。この認識がなければ、日本の現況に関してラジカルな分析はできないようだ。  中央銀…  全文読む 評価する

心的現象論本論 心的現象論本論
T.コージ/すべては心からという問題提起…32年以上も継続した心的現象へのアプローチ。
●人間は心=観念のある生き物… 政治も経済も科学も宗教も、人間の心が無ければ機能しないし、そもそもそういうシステムや装置はこの世界に生じない。ただの紙切れや金属片に<通貨>としての価値を認め、それを使って生活を営み、それのために働くのも<心>があるからで、時には<国家>のために戦争という名目で人を殺し、あるいは革命やテロというカタチで国家や体制に戦いを挑む。あるいは恋愛や家族のために国家を捨てることもあるし、命をかけて争うこともある。 すべての原因は<心>にある。そして、すべてに<心>が(反映されて)ある。本書はこのシンプルな事実を突きつめ続けた32年以上にわたる未完の記録だ。  「共同幻想」…  全文読む 評価する

この国の経済常識はウソばかり この国の経済常識はウソばかり
T.コージ/老人は弱者だという先入観をブチ破らないとアラフォー世代以降の人間は救われない!
●<経済>というものの見方は? 日本の現状が「時間」を手がかりに説明され、経済を時間の再配分という面から考えるマクロ経済(学)なのだが、すべてが具体的でわかりやすく面白い。内容は衝撃的だが、1日に2、3%変動する為替レート以下の数値を妄信するような数値信仰書でもなければ「昔は鬼畜米英、今はグローバリズム」のような被害妄想を煽る書でもない。日本の将来を担う若い世代が年長富裕層の犠牲になっているコトを誰にでもわかるように検証しているのだ。  まえがきの1ページ目から2000年代以降の景気が「人件費の圧縮」で支えられてきた事実がクローズアップされている。もちろん人件費を圧縮されたのは若い世代であり、…  全文読む 評価する

オタクはすでに死んでいる オタクはすでに死んでいる
T.コージ/『ぼくたちの洗脳社会』以来の総括本…誤解?があっても読む価値はある! ズレてるがマジな元デブの説教?
●意外にありがたい元デブの説教!  で、トビラの宣言がキてます。完全にキてる。いきなり1行目から…    この本は「オタクと昭和の死」についての本です。  …確かにそのとーり…なので、オタクについてとゆーよりは平成以降に生まれたり思春期青春期を過ごした世代に対する大いなる説教本みたいな感じです。オタク論のカタチをとっているのは著者が所属するトライブ(オタクという)の視点から語っているからで、問題はそのトライブの中での世代論のカタチをとっているというところ。 「日本人論」だと大きすぎるので身近な「オタク論」にした。でもホントは日本の今を憂いているのだ…ということらしいですが。  でも、オレはオタ…  全文読む 評価する

超訳『資本論』 超訳『資本論』
T.コージ/現在を「知る」ためという一点で書かれた本。「知った」後は…どーするか、が問題?
 最近の書店の隠れヒットがマルクス本。本書はニューアカブームの仕掛人(『構造と力』のプロデューサー)でもあった今村仁司の『マルクス入門』とともに評判の入門書だ。いかなる解釈も解釈者の能力やTPOに規定される(党派的な限界でしかない)が、本書は分かりやすく現在の状況をも反映したものになっている。現実の具体例を多く反映させた資本論の後半(の記述の仕方に)にウエイトを置いているからだ。  ワーキングプアはずっとワーキングプアでしかないことが示されているが、絶対窮乏化論がこんなにカンタンに示せるコトを評価すべきだろう。専門用語の羅列は識者の自己満足でしかないし、タームの理解を独占しているかのように見せ…  全文読む 評価する

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? 2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?
T.コージ/この思考能力はドラマ「ヒーローズ」並だよ!
●小飼との対談だけでもイイ!  「相手の話を聞くほうが好き」なひろゆきと「普通が何か理解できなかった」小飼の対談がイイ! カンタンな言葉で大切なコトやモノゴトの原理が語られちゃう! ベラベラ過剰なパフォーマンスとわかったフリ充満のいまどき、シンプルな言葉で真理を突く本書は、必読! 最終章?のひろゆきと小飼弾の対談だけでも読む価値がある一冊。とゆーより、読んどけ!ってな感じだ。  ホリエモン事件?当時、田原総一郎が司会するTV番組でインターネットの説明を求められて「一言でいうと自己責任の世界」と答え、なぜかそれを怒鳴りつける田原総一郎や大谷昭宏らのヒステリックな態度とは対照的に、ハアっ?てな態度…  全文読む 評価する

「ひきこもり国家」日本 「ひきこもり国家」日本
T.コージ/グローバルなランキングから「下流」を説明する!
日本の相対的貧困率は主要先進国中2位で、さらに2007年の国際競争力のランキングは10年で20位も転落して24位というザマ。この国家や政府が立派なワケがないが、そういう不都合な事実を連ねているのが本書の特徴。著者は以前から日本のオカシサ、政策の誤り、政府の無能、社会の異常を指摘し続けてきている。イデオロギーやましてや脆弱な自己の感覚だけでものをいうウヨ的な主張ではなく、1年に200日以上を海外で過ごしている著者の、仕事や外国の現場からの情報と観察は説得力がある。 バブル崩壊以降赤字国債の乱発で国民の財産を勝手に担保にしている政府の動きをみて、少数の真っ当な論者だけが預金発動(政府による貯金の差…  全文読む 評価する

〈ポストモダン〉とは何だったのか 〈ポストモダン〉とは何だったのか
T.コージ/〝わかりやすさ〟を叱る、〝わかっていない〟かもしれない人
 はじめからいきなり顔面にストレートをぶち込んでくれるのが本書。ニューアカ以後の軽薄短小ブームが幸か不幸かデフォルトになり、外国語が身近かになる一方で邦語本の売れ行きはタバコの自販機以下という状況下、「わかりやすさ」を唯一の基準にしたようなトレンドに思想書から専門書までが流される中、その「わかりやすさ」こそ「罠」であり「大衆操作」だと断じるところから本書ははじまる。 本書は90年代に書かれた数々の〝わかりやすい〟処方を批判する一方で、「ニーチェ、フロイト、マルクス」を読むと決定的に世界が違って見えてくるという思想哲学の王道をいくキザな台詞を用意している。この3大思想家への期待はニューアカの聖典…  全文読む 評価する

「B級自由民」宣言! 「B級自由民」宣言!
T.コージ/甘ったれで自己チューな団塊世代の本音と実態か?
 年収500万円を目標だか前提だかにした本らしい。零細中小企業の平均年収が250万円を下回るともいわれる現代、著者のお気軽さ、オメデタさに呆れる人は少なくないだろう。 500円万もの年収がありながら「B級」を自称し、しかも「自由民」の呼称までつけるカッコつけが典型的な団塊世代だともいえる。  戦後、社会主義陣営への対抗勢力として急速な復興と成長を求められた日本は世界銀行や米国からの莫大な復興資金とそれを集中的に投資する傾斜生産方式などによって量質ともに異例の経済成長を遂げた。きわめて構造的な、共産主義をしのぐ計画的な統制経済の成果でもある。膨大な資金と有能な官僚と従順な労働力の成せるワザだ。こ…  全文読む 評価する

家族の痕跡 家族の痕跡
T.コージ/<家族>をめぐる対幻想論との緊張が読める、かも
 06年に刊行された著者の本の中でいちばんいいかもしれない。まず読みやすい。そしてラカン派の臨床医である著者の基本的なスタンスがわかりやすく示されている。クールな著者が自らについて語っているのも見逃せないだろう。 ところで、本書は、明らかにその基本的な部分で吉本理論が意識されているようだ。 「家族制度を支えている幻想とは、「対幻想」ではなく、「エディプス三角」なのではないか」(P105)。酒井順子の『負け犬の遠吠え』を援用しつつ唐突に主張されるこの一言は、それだけに印象に残る。 実をいうと「対幻想」を否定するために「エディプス三角」が主張されたこの構図は『構造と力』の再現でもあり(浅田らは団塊…  全文読む 評価する

ツアー1989 ツアー1989
T.コージ/忘れてはいけないものを教えてくれる、そして男の子がわかる、かも
●あなたは迷子かも?  「迷子を見かけたら、帰り方を教えてあげること」  いるんだかいないんだかわからない影の薄いボンヤリボーヤが、ラストにはなつ救済の言葉。シーシュポスだけが知っているような、あるいは全知全能の神に見つめられていることに気がついたような気持ちにさせ(てくれ)る言葉。  みんなが忘れたものは何だったか? ビンボーでも浮かれることが出来たバブルの時代。 みんなは、そこに何かを忘れてきたんじゃないか? いやいや、今のシアワセなあなた。 残念ながらちょっと失敗しちゃって、後始末に忙しいアナタも。  思い出してみてよ、忘れたものを。 でなけりゃ、忘れそうなものを。  当時は忘れられがち…  全文読む 評価する

下流社会 下流社会
T.コージ/下流社会?二次効果が注目だったりして
●下流?だからどうする? 本書は読者のチェックからはじまる。「あなたの「下流度」チェックを」というテストが最初のページにあり、12問中半分以上該当すれば下流だそうだ。自分は10問該当したので十二分に下流なのだが、ちょっと気になる点があった。設問の半数以上が個人主義的な要件を示すもので、自分らしく生きる、一人が好き、ファッションは自分流....などが問われている。これらはあきらかに個人主義の属性だ。すると個人主義的な、つまりは欧米的な価値観を持っている人間は日本では下流になるぞ、ということなのか? ところが本書はその先を推論してしまう。しかもそれが当たっている可能性が高い。 つまり個人主義が下流…  全文読む 評価する

アフリカ的段階について アフリカ的段階について
T.コージ/フーコー的にヘーゲルをフォローした世界観?(ホントは解剖学!)
 大澤眞幸らに現代の寄書といわれたようだが、本書の根幹はヘーゲルだ。ヘーゲルからインスパイアされてこういうコンセプトを見出した著者のユニーク?さに脱帽する人もいるかもしれない。ネイティヴな世界へ、ヘーゲルに依拠しながらもヘーゲルを超えていく思索が展開される。  解剖学の三木成夫の影響を受けた著者のモチーフでいえば、個体発生は系統発生を繰り返す…というセオリーを逆転させたものが本書のモチーフかもしれない。つまり世界の歴史(系統発生)というものは人間=個体の発生をなぞるものだ…人間の胎児期に相当するものを歴史に探しだそうとする試みが本書であり、それは<アフリカ的段階>として抽出される。  マルクス…  全文読む 評価する

「つながり」という危ない快楽 「つながり」という危ない快楽
T.コージ/オモシロイけど、正読には併読がオススメかな
 本書の内容は05年に大いに話題になった三浦展の『下流社会』に対する批判がメインだといっても差し支えがないかもしれない。だが少なくともその過程でスルドイ現状認識が披露されていて、団塊世代に対する批判、団塊ジュニアに対する認識は明瞭でわかりやすい。ただし『下流社会』に対する批判そのものが正当化どうかは別だ。 最初に「新しい階級を決める5つのコミュニティ」として5つのコミュニティのモデルが示されており、東大社会学あるいは宮台真司の実社会に対する最初の大きな成果だった『戦後若者世代の光芒』(『サブカルチャー神話解体』の正式姉妹書)で示された若者のタイプ別類型化モデルを思い出させるような趣きがある。 …  全文読む 評価する

スターリングラード スターリングラード
T.コージ/指導者のエゴが激突した世界最大の悲惨
 「ロシアを頭で理解することはできない」というロシアの詩人の言葉の引用からはじまる本書は、世界の歴史に残る最も悲惨な戦闘のドキュメントだ。著者はイギリス軍の出身であり、戦争への分析と理解は精緻で狂いが無い。兵站など基本的な戦争遂行能力への評価と、戦略や作戦立案といった参謀レベルの思索への検討、前線の一兵卒の心理などあらゆるファクターが事実として記録され描写されている。事実認定にあたって膨大な命令書や通信文、手紙などから実際の言葉と声が引用されているのだ。 <頭で理解できないロシア>を理解したフリをする言説は多い。実際にスターリン主義という過酷な全体主義もソビエト社会主義連邦共和国の崩壊も、理解…  全文読む 評価する

カーニヴァル化する社会 カーニヴァル化する社会
T.コージ/「カーニヴァル」と「データベース」
 この本の基本的なスタンスや観点を保障する説明として「予期」というタームがいく度か登場する。あの宮台真司の初期の主張の根幹となっている「予期理論」の「予期」でもある。本書は予期理論を前提としながらオリジナルな観点からなされた大いなる成果といえるだろう。 本書の主要テーマである「カーニヴァル」「日常の祝祭化」「祭り」は、かつてニューアカブームで流行ったテーマのひとつだった。当時「ハレ/ケ」「蕩尽」といった言葉が流行り「資本主義って日常の祝祭化だよね」とか「消費は蕩尽だ」とか、テニスラケットを抱えながら論じ合ったりしたものだ。もちろんバブル経済の崩壊とともに資本主義は「終わりなき、ケだるい日常」と…  全文読む 評価する

ヤバいぜっ!デジタル日本 ヤバいぜっ!デジタル日本
T.コージ/「AKIRA」や「攻殻機動隊」と同じように書かれた「革命」の本!
 もっともわかりやすい失敗例は、インターネットとテレビの融合である…通信やデジタルの政府系委員会に参加する著者の指摘はそれだけでも刺激的。本書は10年かけて書かれているが資料や諸説の検討に月日をかけたのではない。過去の集積=データベース的なものは著者には無縁で、「AKIRA」や「攻殻機動隊」のようにある未来から今日を振り返って書かれている。日本でインターネットの商用利用がスタートした当時デジタル・クリエーターの一人だった著者が注目されたのは著書『デジタル日本人』(1997年)のインパクトだった。デジタルやサイバーで形容されるものが技術用語やポスモダ用語ではなく豊富な具体例とオヤジやコギャルにわ…  全文読む 評価する

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