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いつもひとりで いつもひとりで
本の虫/気軽に読めるエッセイ集
54の短いエッセイ集。ほぼ全て軽いタッチのエッセイで、最後の自虐的締めで毎回笑いを誘っている。エッセイを任され、偶々テレビやインタビューの仕事をいただき云々とあるが、やはりそうやって様々な話が舞い込んでくるのは、阿川さんの美貌故であろう。気になったのは、阿川さんが、アメリカに1年行ってから東京という町の感想が変わった点である。高度成長期を経て、便利で進歩的で、豊かな暮らしやすい日本を目指したが、それと引き換えに、日本のなくしたものがあると指摘している。この部分、笑いと自虐で締めくくるのではなくもっと掘り下げた阿川さんの本当の考えを聞いてみたいと思った。  全文読む 評価する

1Q84 1Q84
本の虫/意識と魂の世界
人間は人の意識というものについて、長いこと考えてきた。1Q84には仏教の輪廻説もでてくるが、古くから目に見える胴体を離れ、意識は別にあること、そしてそれはとてつもなく尊いものであることが言われている。しかし、本当のところ、その真相や真実は未だに科学的にはわからないのが事実ではないだろうか。村上氏は、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」でも同じように意識の世界について描いている。1Q84の意識の世界は1Q84年であり、そして2つの月の見えるせかいであり、またそれは猫の町でもある。つまり、どのようにでも作り上げられる世界。それらは、フカエリの作り上げた(もしくは、意識の中の)世界でもある…  全文読む 評価する

八日目の蟬 八日目の蟬
本の虫/世の中の善悪の基準を考えさせられる
不倫相手に裏切られ、相手の子供を誘拐た希和子の逃亡生活。この1文が、この話の内容を的確に説明しているのだが、もしもこの1文が週刊誌で目についたら、希和子とはどんなに根性の悪い悪女だとおもうのが常である。しかし、読んでいくうちに、希和子はむしろ純粋で傷ついた被害者であることがわかる。欲望のままに希和子を騙し続けた丈博と、不倫の仕返しのために中絶した希和子に執拗に電話をかけ暴言をはき、自分の赤ん坊自慢をする妻のほうがむしろ、悪いのだということがわかってくる。誘拐という異常な行動を除いては人間として、まともなのはむしろ希和子である。また、逃亡生活を見ても、ある時は立ち退くべき家に居候し、またある時は…  全文読む 評価する

約束の冬 約束の冬
本の虫/温かい気持ちになる本。
宮本輝の作品。2006年の作品なので、ずいぶん最近のものである。今まで読んだことのある宮本輝の作品とは一風感じが違うきがした。それは、話が現代風であらかもしれない。宮本輝の文章が巧みだというのはよく分かってはいたけれど、今回はストーリー展開が違う気がしたのだ。主人公は、32才の留美子と、その向いに住む54才で社長である桂二郎。そして、この二人を取り巻く人間が描かれている。読んでいて本当におもしろく、飽きなかった。もしも、この話が上下巻で終わらなくて、3冊4冊とつづいても、私はきっとむさぼり呼んでいると思う。それほど、読んでいて心地いいのである。とにかく読んでいて、心が暖かくなるのである。留美子…  全文読む 評価する

ひとり日和 ひとり日和
本の虫/透明な空気のような作品
ひとり日和は、第136回芥川賞受賞作品で、石原慎太郎氏が当時すごい文章を書く作家が現れたと話していたのを覚えています。それを聞いて、是非どんな本なのか読んでみたいとずっと思っていました。今回は、その思いが大分時間がたってから、実現して読む機会がありました。話の内容は、20才の知寿と71才の吟子さんが暮らした一時の話です。なんでもない話で賞をとるぐらいだから文学的な描写の多い難しい文なのかと気合をいれていると、ページの紙面には隙間が多く、現代風の口語文章で、結構出鼻をくじかれた気分でした。読んでいると、吉本バナナさんを思わせるような水水しい透明な文章が突然でてきて、普通はこういう言い方をしないだ…  全文読む 評価する

秘密 秘密
本の虫/優しさにあふれた本
東野圭吾さんの作品。これは、推理作家協会賞受賞の作品でもあり、広末涼子が主人公になり映画かもされた作品である。東野圭吾さんのほかの作品同様読みやすい文章ですが、気を抜いていると騙されます。秘密にも色々な秘密があるのだなと。昔むかし、ある人に、人を騙すことはいけないけど、人を傷つけないが為に嘘をつくのは、優しさだと聞いたことがあります。当時は子供心に、それは詭弁だと思いましたが、この話を読んで初めてその意味を理解できた気がします。作家には色々とあって、名文を書く人、不思議な雰囲気を内容全体で醸し出す人、ストーリーやトリックが上手な人、など様々です。東野圭吾さんは、まさにこの最後のストーリーとトリ…  全文読む 評価する

果てしなき旅 果てしなき旅
本の虫/作者の投影
「眺めのいい部屋」「インドへの道」「モーリス」などで知られるEM フォスターの作品。主人公リッキーは、まじめに哲学を学び学生生活をおくっているが、あるとき知り合いのアグネスに恋をする。アグネスの婚約者が亡くなった事で、そのまま結婚するわけだが、結婚後、アグネスが別にリッキーに恋をしているわけではなく、むしろ金銭的生活のことを考えた結婚だったこと。また、信じていた自分の母親の秘密、を知ることになる。父親を早くなくし、父親のことをよく思わなかったリッキーだが、友人アンセルの説き伏せもあって、結婚と同時に女性に対するイメージが幻想に過ぎなかったことに気づく。モーリスなどにも描かれているが、作者が同性…  全文読む 評価する

大地の子 大地の子
本の虫/涙なくして読めない大河小説
山崎豊子さんの作品。不毛地帯、二つの祖国に並び、戦争の中で生きる人々を描いた小説。山崎豊子さんの作品は本人が新聞記者であったこともあり、常に膨大な量の取材を通して描かれており、それらは限りなくノンフィクションに近い物語である。第二次世界大戦に満州に開拓民としてやってきた松本家族は、時代の波に翻弄され、父親だけが終戦とともに日本に戻ってくることができた。しかし、家族は全員置き去りになったまま戻らぬことがわかり、生存の有無もわからぬままであった。そんな中、子供が生存していることがわかる。しかし、幼い年で日本人として中国という地に残された子供たちの歩んだ人生は、どんなに100%中国人として生活してい…  全文読む 評価する

ゴサインタン ゴサインタン
本の虫/こんな形で始まる恋愛もありなのかもしれない
典型的な田舎の資産家の息子。農家でしかも、お世辞にももてるとは言えない輝和には嫁が来ず、仕方なくネパールからのお嫁さんをもらうことに。しかし、この女性はただ者ではなかったのだ。深く考えもせずにまるで自分が買った人形を扱うがごとく、人格を無視した扱いをする輝和がどんどんのめりこんでいく。終いには、彼女を探しにネパールまで探しに行く。乾ききった現代人の心が、何をもとめているか。金でもない、名家としての誇りや名誉でもない、すべてを捨ててまで求めるものはなにか。それは、多くの社会に共通する人間の根本なのかもしれない。結局は心の平穏、人とのつながり、誰もがそんなものを求めているのかもしれない。山本周五郎…  全文読む 評価する

蟬しぐれ 蟬しぐれ
本の虫/本当におもしろくて、読んだあとしみじみ良かったと思える1冊。
武士、文四郎に突然降りかかる苦境と苦悩。文四郎を取り巻く悪友逸平と学問の道を目指す与之助との友情。そして、幼馴染、お福との淡い恋を描いている。時代小説とは思えない程その文章は水々しく描かれており、ストーリーそのものも現代に通じるものがある。また、文四郎が武道の稽古試合や、乱闘で刀を振るうシーンは、日本人として誰もが興奮する場面であり、また血が騒ぐ痛快なシーンである。いつの時代にも登場する敵対人物や、主人公の周りに現れる怪しい影の姿が、読者の心を引きずり込み、知らず知らずのうちに、読者は文四郎の応援団となっている。また、当時あからさまに伝えられなかった胸の内や恋心が、単なる勧善懲悪の話ではなく、…  全文読む 評価する

星々の舟 星々の舟
本の虫/交わることなく漂う舟
村上由佳の直木賞受賞作品。軽やかな「天使の卵」を書いた同じ作者とは思えぬ、重みのある作品。過去に母親の違う妹の沙恵を愛してしまい家を出た暁、常に明るく強く影の愛人を演じる美希、腹違いの兄の暁を思い続ける沙恵、家に居場所を見つけられず畑に没頭する貢、いじめに合い心と裏腹に友情を裏切ってしまう聡美、そして、愛人の子を生ませ家族の問題を生み出した張本人である父親の重之。それぞれが、同じ家族のなかで生活しながらも、違うストーリを持っている。それらは、ひとつの家族でありながらも、それぞれが交わることなく漂い続ける思いを秘めている。決して通じ合うことも無く。世の中、必ずしも解決して分かり合える人間関係ばか…  全文読む 評価する

白河夜船 白河夜船
本の虫/死ではなく、生を語って欲しい
本の構成は「白河夜船」、「夜と夜の旅人」、そして「ある体験」の3つのショートストーリーからなる。吉本バナナさんの小説は学生の頃からファンで、みずみずしく、透明感のある文章はストレートに心にしみ込み、いつも少しの切なさと不思議な居心地の良い倦怠感を与えてくれた。しかし、ある時期から、なぜ彼女の小説では、ほぼ必ずといっていいほど人が死ぬのだろうと疑問に思い始めた。また、霊感のある人物が登場することが多いのも事実だ。それは、彼女の描きたいものが死者への思いというものであるからかもしれない。生きている人間は、たとえ誰かが亡くなっても、日常の現実生活を続けなければならない。しかし、残された者の心の中は亡…  全文読む 評価する

オキーフの恋人オズワルドの追憶 オキーフの恋人オズワルドの追憶
本の虫/オキーフの恋人、オズワルドの追憶
この物語は、小林という出版社の編集をしている自分とその周りで起こる出来事と、小林が編集を担当している作家高坂譲るの書く小説の2つの物語が同時並行して進行していく。キーワードは、虐待、多重人格、カウンセリング、マインドコントロール、悪魔崇拝(カルト)、殺人。はじめは、高坂譲の書くミステリアスなストーリーの面白さそのものにひかれていくが、後半にいくに従い、物語の核心、おそらくこの本で言いたかった重要な議題に迫っていく。神がもしいるなら、なぜ人殺しや絶望がうずまく社会や弱者を助けずにほうっておくのか。人生や未来に希望をなくした人たち、いわゆる弱者たちは、世の中にそんな疑問を投げる。大多数の人が説く正…  全文読む 評価する

やさしい季節 やさしい季節
本の虫/軽快なミステリー
高校時代よく読んでいた赤川次郎を読んでみようと思った。たしかに、当時よく売れている作家さんではあったが、知らぬ間に、数え切れないぐらいの本が出ていた。「やさしい季節」は最初は主人公と2人の女性の会話が鼻についたが、だんだんとのめりこんで、最終的には一気に読み終えてしまった。やはり、エンターテイメントとして読むには面白い。きっと赤川次郎さんのような作家だと、料理を作るみたいに、さささっと小説をひとつ書き終えてしまうんだろうと思った。あまり深くないミステリーは学生でも読みやすい。ただ、なにか重みに欠けるような部分があるきがした。それは、私が大人になったせいかもしれない。  全文読む 評価する

黒い雨 黒い雨
本の虫/地獄の惨状
井伏鱒二の野間文芸賞を取った作品。広島で投下された原爆の時の模様を記した日記を読み返していく形で、その惨状を記す。日記は淡々としていて、平凡な日々の中に描かれているからこそ、逆にその悲惨さが手に取るようにわかり、原爆のひどさを刻銘に伝える。そのひどさに読んでいて苦しくなり、なんども途中中断しそうになった。姪を嫁がせようとする伯父の必死の試みに反して、その甲斐なく姪は原爆病を発症し始め、日々衰弱していく。この原爆の本は、日本人のみならず世界の人々が読むべきひとつの重要な人類に対する過ちを記したものとして、次の世代にも読み継がれていってほしいと感じる1冊である。  全文読む 評価する

二つの祖国 二つの祖国
本の虫/不平等な戦争
第二次世界大戦中強制収容所に入れられ、常に2つの国、日本とアメリカのの間でどちらに忠誠を誓うか数々の場面で迫られる。それでも、日本で生まれアメリカに移住したものは遠い祖国日本だけを思い割り切ることができる。しかし、アメリカで生まれ育った2世の心はそう簡単ではない。日系日本人はアメリカに行ったらジャップと侮辱され、日本に戻ればアメリカかぶれした裏切り者の扱いを受けるのだ。日系人であるが故、家畜以下の屈辱をうけ強制収容所に入れられながらも、米国への忠誠を問われ続ける。国際法の見地からはいかなる戦争も違法ではないにもかかわらず、戦争をすでにやめようとしていた日本市民への大量殺戮である原爆を落とした後…  全文読む 評価する

星々の悲しみ 星々の悲しみ
本の虫/美しい文学的文章
「星々の悲しみ」「西瓜トラック」「北病棟」「火」「小旗」「蝶」「不良馬場」の短編集。宮本輝のつむぎだす物語は庶民のなんでもない日常生活の断片を描いているに過ぎない。それらは、我々の周りにどこにでも転がっていそうな話である。しかし、主人公の冷静な視点と淡々とした語り方により、それらのどこにでもありそうな話しが、美しい哀愁のある人間模様を描いた文学へと変わってしまうのである。それは、宮本輝の天才的な文章のマジックなのだろう。宮本輝の文学でいつも思うことだ。宮本輝の文章は読者になんどでも繰り返し読みたいと思わせる文章なのだ。宮本輝の話を読んでいると、私はなぜか向田邦子の文章を思い出してしまう。  全文読む 評価する

博士の愛した数式 博士の愛した数式
本の虫/記憶の大切さ
この話には、笑い、1つのことに打ち込むことの美、そしてたとえどのような距離であっても、人との交流をもつことの美しさが描かれていると思う。そこには年齢を越えた友情があり、また恋愛らしきものも存在する。たった数時間前に共有した楽しみや出来事も記憶として存在しない博士の悲しみが描かれている。しかし、そこにはユーモアがある。また、記憶という機能を失った人間であっても、その人間としての本質そのものは失っていないことがわかる。表面ではなく人間の本質を見抜く家政婦により、博士は80分だけの記憶をメモでつなぎながら、人との交流を深めようとする。人間だれしも、異質との交流に対して恐れを持つ。しかし、その恐れのた…  全文読む 評価する

羊をめぐる冒険 羊をめぐる冒険
本の虫/自分探しの旅
自分探しの旅と言うところでしょうか。主人公は離婚、離職、そして、恋人を失い、そして、最後には親友であった友人を失ったことをも知ります。皆が探す羊が何を意味するのか、私には分かりませんが、権力や地位の象徴といったものなのでしょうか。いわゆる、社会では人がうらやむようなものなのかもしれませんが、それらを追い求める人間がいる一方、ねずみはそれらを拒否します。権力や地位というすばらしい代償よりも、自分らしい弱さのままでいることを選びます。「俺は俺の弱さがすきなんだよ。苦しさやつらさも好きだ。夏の光や、風の匂いや、。。。。。。君と飲むビールや。。。」主人公もある意味ねずみと同じ側にいる人間なのだと思いま…  全文読む 評価する

野火 野火
本の虫/奇行、されども人間の本質なのか
フィリピンの島に残された日本兵が敗戦後、自らの生き残りをかけてどのような人間関係が存在していたか描かれている。生きること、そのためには食べ物を獲得することがすべてであり、人間は追い詰められると、自分以外の者には、悲惨なまでに残酷になれるものだと言うことがよくわかる。そこには、文明を持った人間と言うもの以前に、動物として戦う弱肉強食の世界で飢えながら生きる人間がいる。そして、これが人間の根底にある本質なのだと思い知らされる。最後には人肉をも口にすることは、主人公にはある意味ショックでもあるが、しかし、その事実を受け入れている本人がいるところが皮肉である。戦争においては、どのような時代でも常に悲惨…  全文読む 評価する

ピアニシモ ピアニシモ
本の虫/青春文学なのか。大人への階段。
辻仁成の処女作。すばる文学賞受賞作。転校を機に主人公はクラス全員からいじめられはじめる。その陰湿ないじめに、耐えながらも、主人公は自分にしか見えない友人、光と話しかける。どんなにいじめられても、光がいるから、一人ではない。それは、とても静かな世界。しかし、光の声とともに、主人公の心は壊れ始める。偽善者と裏切り者の渦巻く社会で、あるときを機に主人公は殻に閉じこもることをやめる。恐れや逃げから、怒りと行動に変わるときがくる。自ら殻を壊し、孤独な自分が作った友人光を抹殺し、そして主人公は大人へと成長していく。  全文読む 評価する

海峡の光 海峡の光
本の虫/人間の表面とその裏に隠された心の闇。
芥川賞受賞作品函館少年刑務所に勤務する主人公と、受刑者として入所した昔の同級生花井の確執。小学校時代に主人公は花井にいじめられていた。しかし、18年の歳月が立場を逆転させ、現在は主人公がかつてのいじめの主犯格花井を監視する立場にある。函館の海を舞台に、人間の心の裏表、そして、輝く海とその底に広がる暗黒を見事に対比しながら描いている。結局偽善者として見破られてしまった花井は、主人公と最後まで対決しようとしていたのではないか。わざわざ主人公に会うために壁の中にやってきたように思えて仕方がない。われわれはいつでも、眼には見えない相手の心の闇を感じ、そして匂いをかぎながら相手を見て生きているように思え…  全文読む 評価する

海辺のカフカ 海辺のカフカ
本の虫/究極の謎解き。
家出少年の旅を語る長編小説。話になぞが多いので、謎解きをしたくなるのだが、本当に意味不明なのである。ただ、読者は常に”これはどういうことなのだろう?”と思いながら読み進めてしまう。最後まで読んでもやっぱり分からないのだ。しかしながら、小説の端々には、抜粋しておきたくなるような文章がたくさん出てくる。思うに、このストーリーでは登場人物やストーリーそのものは、すべて意味のないものに思えた。その極めつけ的存在は、ジョニーウォッカーとカーネルサンダースである。つまり、語る内容が大事であって、その殻となる主体は誰でもいいのである。自分なりに解釈したのは、田村カフカと中田さん、そして佐伯さんの昔の恋人は同…  全文読む 評価する

からだたんけん からだたんけん
本の虫/探検スクールバス
シリーズ本の1冊。学校のスクールバスが子どもたちを連れて体の中の神秘を見せに行くと言う話し。他には、ミツバチのなぞ、海のそこへ、台風にのる、水のたび、恐竜探し、地球の真ん中などがある。まさに、百聞は一軒にしかずというのをよくわからせてくれる。学校の退屈な教科書と違い、体の中を旅しながらマジかに自分の目で見ているように子どもには飽きることがなく、楽しみながら科学の勉強になるのだ。バスが小さくなって人の体の中に入っていくと言うこと自体、子どもにはとても面白い展開で、更に胃の中や消化器官がどうなっているか、脳の構造まで分かりやすく説明してくれる。子どもに読みながら、こちらがふむふむと、その図説の分か…  全文読む 評価する

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
本の虫/心の中の永遠
「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」が交互に進む形で話の核心に迫っていく。結局それらは、同一人物の無意識に作られた世界と現実の世界であることがわかっていく。これを読みながら、映画「マトリックス」を思い出した。マトリックスでは、現実と思われていた世界が実は虚構の世界で、意識の中の機械に支配された世界が、本当の世界である。しかもそれらの2つの意識を乗り越える人物もいて、話はもっと複雑だ。ただただ、物語が読みやすく、面白くて先に進んだのだが、その後で、果たしてこの話は何を言いたかったのか考えてみた。なぜか村上春樹の読み物はその話の裏に隠されているであろうメッセージを読み取りたくなるのだ…  全文読む 評価する

絹の変容 絹の変容
本の虫/実際にありそうな恐怖
商業チャンスを狙い、片田舎にある特殊な蚕を増殖するべく、バイオテクノロジーを駆使して、蚕を品種改良していく。しかし、そこには、人間に与えられぬ権利に踏み込んでしまった者の、落とし穴があり、とんでもないことに。私たちが普段見知らぬところで、食肉としてあるクローンの肉や、DNAを変えた大豆もしかり、食べ物や商品にこういった品種改良が行われている現代、本当にありそうな話で怖かったです。しかも、芋虫となると、それがつぶれることや、はさみで頭を切るなど、想像しただけで、身の毛もよだつ恐怖でした。美しいものにはとげがあるというのは、こういうことなのかと実感。エンターテイメントとしての、ホラー本として、一押…  全文読む 評価する

夜のピクニック 夜のピクニック
本の虫/さらっと読める青春もの
吉川英治文学新人賞、および本屋大賞の作品。某サイトでもお勧め本のひとつとして挙がっていたので、恩田陸は初めてだったこともあり、期待して読みました。が、個人的には期待外れであったように思います。しかしながら、物語は歩行祭というただひたすら歩くというだけのことなのに、良くぞここまで物語を書けたなと、ただただ感心してしまいます。人物描写、心情描写がうまいと言うことでしょうか。高校生たちが歩行祭を通して、コミュニケーションを深め、しいては普段うまく話せない心の内を明かし、また互いを探っていくという話です。そこには、恋愛あり、友情あり、そして悩み相談あり。ここまでお互いにうまく会話できたら、高校生活、青…  全文読む 評価する

つぐみ つぐみ
本の虫/海辺の夏の美しい物語
誰もが本当の自分を隠したり、時にはうそをついて生きている。自分より立場が上の人には嫌でも作り笑いをして、怒りたくても怒れなかったり、頼まれごとをしても断れなかったり。しかし、つぐみは違う。自分に偽ることなくまっすぐに生きている。つぐみの言葉は粗野で乱暴だけれど、人を傷つけるための荒々しさではない。それらは、今にも消えてしまいそうな自らの存在と傷つきやすい心を隠すためのカモフラージュである。そこには、乱暴でも温かみがあり、心があり、そして悲しみがあるのだ。好きなものに好きだといえる潔さ、そして間違ったものに心から憤れる素直さ、それらはいつも傷つかないようにうまく生きることに慣れてしまった私たちが…  全文読む 評価する

風の歌を聴け 風の歌を聴け
本の虫/ポップな会話
村上春樹、青春3部作の中の1冊。主人公20台後半の夏の1ページをつづったもの。軽快に進む主人公と鼠との会話。村上春樹のデビュー作のこの作品をバターくさいと言った評論家がいたようだが、わからないでもない。いわゆる、古きよきアメリカを模したようなポップな流れなのだ。村上春樹の小説をいくつか読んで思うのだが、私は登場人物の会話の中で交わされるちぐはぐさ、思ってもいないような答えが返ってくるのがとても好きだ。でも、一方で、読んでいるうちに、表面上だけ面白い回答をしようとしている人間にも思えてくる。口先だけの適当な会話を楽しむ主人公たち。しかし、だからこそ、確信をついた文言が時々でてくるのだが、かっこい…  全文読む 評価する

アフターダーク アフターダーク
本の虫/その時、その場所でであった二人。
夜中のデニーズでたまたま時間をつぶす2人が出会う物語。別に出会おうと思って出会ったわけでもないのだが、互いに心を開き始める2人。そして、その夜中に出会ったタカハシ君を通じて、たまたま中国語がわかるマリはとんでもない事件に巻き込まれていく。夜中の数時間を通じて、マリとタカハシ君とのあいだに、なにか見えないつながりのようなものが見えてくる。そのつながりは、マリにとっては、これまで誰にも言ったことがない、どうしようもない家族の問題を打ち明けることのできる唯一の人間であることがわかってくる。人と人はどうやって引き寄せあうのか。その部分をクローズアップして、うまく表している小説であるように思う。何万とい…  全文読む 評価する

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