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ジュリエット物語又は悪徳の栄え ジュリエット物語又は悪徳の栄え
suguzr/生きることは不自然なことなのか
 この宇宙では死がデフォルトだ。生き物の量と岩の量、どちらが多いだろうか? 私達は本来、あるべきではない存在なのだ。 この宇宙では形あるものは皆崩れ、いつかは全てが塵芥となる。その中で、生物だけが形を創ることができる。但し、一つの形を創るためにそれ以上の材料、燃料、他の命を消費する。それは、宇宙全体から見れば不自然な行為だ。 生きることは不自然なことだ。 しかし人はその事実を認めない。認めてしまえば、生きている意味など無くなってしまう。人は、自らの存在の根底を揺るがすその事実を扉の向こうに封印した。 それが、「悪」と呼ばれるものだ。 善悪など相対的なものでしかないという意見もある。しかし、人は…  全文読む 評価する

ヨコハマ買い出し紀行 ヨコハマ買い出し紀行
suguzr/とうとう完結してしまいました。雑誌連載で完結回を読んだので、最終巻ではない巻に投稿しています。
 センター試験の前日だった。書店で見つけた、コバルトブルーの空が鮮やかな一巻の裏表紙。6巻までしかなかったその6冊は、速やかにレジを通り、こなさなくてはならないはずの問題集を押しのけて、勉強机を占領した。わたしの意識は夕凪の時代にエスケープし、体は、まだ見ぬ、いや、どこか見たことのある風景に、文字通り実際に打ち震えた。明日はセンター試験だって言うのに。 無数の線を並べて重ねて描かれた、住宅の跡地を覆いつくすススキと、電柱を包み隠す葛。まだ見ぬ、いや既に見た風景。激しい既視感が、忘れていたあの世界を呼び覚ました。 東京へ電車で一時間少し、もう一駅いくと田畑のみという、ぎりぎりの地点は、バブル期に…  全文読む 評価する

マジック・キングダムで落ちぶれて マジック・キングダムで落ちぶれて
suguzr/思い出のディズニーランド
 黄ばんだ傷だらけのカセットを、薄汚れたシール跡だらけのファミコンにブッ挿してスイッチを入れれば、いつどんなときも、23年前も、現在も、多分23年後も、おんなじチープな画面とBGM、そしてそれらに熱狂し繰り返し遊び倒したあのころの思い出がわたしを迎えてくれることだろう。 たとえその思い出の主であるわたしが土に還ったとしても、カセットはファミコンはおんなじ画面を音楽をおんなじように表示し続けるのだろう。・永遠のキングダム、無限のステイシス 本書の世界では、不老不死の技術が完成し、無限のエネルギーと生産力が糧を得るための労働を消失させている。 永遠の生命を手にし、生活のために労働をする必要がなくな…  全文読む 評価する

クビシメロマンチスト クビシメロマンチスト
suguzr/人でなしたちの織り成すストーリー
・むしろ  タイトルにある<零崎人識>は呼吸をするように人を殺したり殺さなかったりする殺人鬼ですが、人間失格なのはむしろ主人公です。 しかしこの社会では人間失格たちは自らを不要どころか有害であると理解しつつそれでも生きていかなければならないのです。 すべてのものはより、あり続けるために複雑に進化していきます。進化には方向性はありません。例えどんなに無駄に見えるものでもそれが積極的に滅ぶ理由にならなければ、多少の不便、害があろうとも生き残っていきます。相が突然変化した場合、今まで無駄に思えたものが有用になる可能性があるため、むしろ無駄は多様性の維持とかいう名の下に肯定されます。 ……そして自分が…  全文読む 評価する

ノストラダムスの大予言 ノストラダムスの大予言
suguzr/驚くべきは書ではなく
気がつけば2005年だ。それでもぼくらは生きている。 ・意味の無い意味 明治時代の建物みたいとか、大正の衣装みたいとか、昭和みたいなデザインとかいう表現がある。でも、明治の終わりと大正の始まりは全く同じ時刻で連続している。現代の年号の変わり目は、(陰謀でない限り)生物的偶然であり、そこに必然性、意味は無い。年号が変わったからといって急に何が変わるわけでもない。時代の変化に年号が合わせているわけでは決してない(かつてはそうだったが)。しかし、人々は年号によって時代を区別する。 人は全てのものをカテゴリごとに分割して理解し、記憶する。脳みその構造がそうなっているから仕方がない。別に年号でなくても…  全文読む 評価する

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ
suguzr/絶対に勝てない怪物との戦い
 「普通の」高校生の<陽介>と<絵理>は、夜な夜な現れる不死身の<チェーンソー男>との戦いに、貴重な青春の時間を浪費し続ける。<絵理>は、<チェーンソー男>が現れるのと同時に人間離れした身体能力を手に入れ、投げナイフで<チェーンソー男>と戦うのだが、<陽介>のほうは何の能力も得ることもなく、それを見ていることしかできない。 ”途中でいろいろ諦めておくのが、一番まっとうな、普通のやり方なのだ。” 「普通」に生活していれば、<チェーンソー男>が現れることはない。では「普通」とは何だ? ……などと考え始めるとヤツが闇の向こうから忍び寄ってくる。 考えてはいけない。ヤツには絶対に勝てない。ヤツに負けな…  全文読む 評価する

後宮小説 後宮小説
suguzr/物語でない物語
 物語には基本がある。理由と結果の連鎖、何がどうしたためこうなった。[黒澤明]の映画を観ればそれが良くわかる。 歴史の教科書には、資源をめぐって利害が対立し戦争が起きたとか、理由と結果のセットがずっと続いている。でも、本当に理由なんてあったのだろうか。時には、個人の気まぐれで国が滅びたりとか、そういう理由の無い事件もたくさんあったのではないだろうか。とくに、政府や企業といった集団の力がなく/弱く、個人の技能がものをいった古代には。 <混沌>はその名の通り、混沌としてまったく分けがわからない男だ。ホントに気まぐれで戦ったり、やっぱりやめたりする。相手をしているほうは、何か凄い戦略があるのではない…  全文読む 評価する

涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの憂鬱
suguzr/少年少女の頭の中>現実
 <涼宮ハルヒ(すずみやはるひ)>は、高校一年生の女子高生。常に、宇宙人や未来人や超能力者の出現を願っているが、本当のところはそんなものは存在しないんだと理解してしまっている。 この世界はあまりにも小さすぎる。井の中の蛙のオタク的幻想世界のほうが、現実世界よりも遥かに広くて大きい。 ”本を読んでもね このごろ前みたいにわくわくしないんだ こんなふうにさ、うまくいきっこないって 心の中ですぐ誰かが、誰かが言うんだ 可愛くないよね”というセリフがアニメ{耳をすませば}にあった。子どものころ想像した輝かしい世界。しかし現実では2005年になったのに、銀色ツナギでエアカーに乗って透明パイプロードを超音…  全文読む 評価する

魔法使いハウルと火の悪魔 魔法使いハウルと火の悪魔
suguzr/魔法使いって、今、この世界に、たくさんいるじゃないですか。ダイアナ・ウィン・ジョーンズとか、宮崎駿とか。
■魔法使い=オタク 魔法使いとは、普通の人々とは違うものを愛し、異常な力を行使する者。世間からは疎まれるか、恐れられるか、いずれにせよ受け入れられない存在です。 <ハウル>は、湖で流れ星の悪魔<カルシファー>を見つけ契約を結ぶ。本来、流れ星とは遠くから見つめるだけのものであって、決して手に入れることの出来ないもの。しかし、<ハウル>はそれを手にし、強大な魔力を手に入れる代わりに、ある呪いを受けてしまう。 星(最も美しいもの)を見たゆえに、現実のもののアラが見えると言いますか満足できなくなってしまう。魔法使いでない人々は、理想と現実のギャップになんとか折り合いをつけて生きていくわけですが、…  全文読む 評価する

イリヤの空、UFOの夏 イリヤの空、UFOの夏
suguzr/僕らの夢見た青春
中学生はその有り余る現実離れした想像力を持て余す。想像だけは限りなく膨らむけれど、結局のところ何もできやしないのだ。 大体、部活動にしても一年間で人材の三分の一は入れ替わってしまうわけだし、中学生の一年はあまりにも速い。何も出来ぬまま瞬く間に三年間は過ぎ、さらに年月を経て、想像を現実に変える力(経済力、技術)を手にしたときには、いつの間にかもう馬鹿な事のできない大人になってしまっている。 中学生は計画はできる。ただしそれを実行する力も金も知識もない。しかし<水前寺>はそれらを実行する力を持っている。”十五歳にして175センチの長身で、全国模試の偏差値は81で、100メートルを十一秒で走り、顔だ…  全文読む 評価する

鏡のなかの鏡 鏡のなかの鏡
suguzr/ゼロよりも無いもの
デジタル情報は、0と1、無と有の二つだけで成り立っている。ホントに? 0と1すら無い、「0よりも無い」、定義されていない部分があるはず。その部分は0と1の、情報を持っている部分より遥かに広く、無定義だからこそ無限の可能性を持っている。しかしそこは情報ではない。ゆえに知覚出来ない=存在しない。……矛盾していますね。 その「0よりも無い」、本当は書けないはずの部分(書き表した時点で無くなくなってしまうから)を書いたのがこの{鏡の中の鏡 —迷宮—}です。……既に矛盾してるけど。書評サイト「積書生活」  全文読む 評価する

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