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ミステリ十二か月
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チョビ/愛とミステリと北村薫
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本のガイドブック的なものが好きだ。もしかしたら実際に作品を読む以上に好きかもしれない、と思うほど。だから年末のこの時期、「文春」や「このミス」など各雑誌のベストテンの類いを心待ちに過ごしている。いろんな人の投票などによる選出というのももちろん興味深いが、ひとりの人によってじっくり選ばれたリストというのも捨てがたい味わいがある。ましてその選者が北村薫となれば。膨大な読書量と知識に圧倒されるが、それ以上に胸を打たれるのが北村さんのミステリへの愛情の深さだ。それが最も顕著に現れているのが有栖川有栖氏との対談。もうおふたりとも別のステージへ行っちゃってるように思えるほど、ミステリへの思い入れが熱く語ら…
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火怨
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チョビ/現実における戦争
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身分を隠した阿弖流為たちが、支援者である天鈴とともに京に上るところから下巻は始まる。宿敵(であり、不思議な信頼関係を保ってもいる朝廷側の貴族)田村麻呂との出会いが深く印象に残る。それぞれ違った星のもとに生まれていたら必ずや固い友情で結ばれていたであろう2人は、否応なく敵味方に分かれ戦いを続ける。そして常勝の阿弖流為が最後に仕掛けた戦とは…。上巻の書評で、エンターテインメントとしてのこの小説の素晴らしさについて書かせていただいた。もしも実話に基づくものでなかったなら、どんなによかっただろうと思う。阿弖流為たちも田村麻呂も戦いを避けたいと思いながら、しかし避けることはできなかった。フィクションであ…
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火怨
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チョビ/小説における戦い
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8世紀、陸奥の民蝦夷と朝廷の戦い。もしかしたら日本史の授業で習ったのかもしれないが、今日まで私の意識には残っていなかった。微妙な均衡を保っていた両者の関係に亀裂が入ったのは、陸奥から大量の黄金が発見されたことが発端である。蝦夷の願いはただ、同じ人間としての扱いを受けることだったのに…。戦という混沌の中から生まれた英雄、その名は阿弖流為(アテルイ)。軍師母礼(モレ)、腹心の部下飛良手(ヒラテ)たちを得て、阿弖流為は若きリーダーとなっていく。高橋克彦という名前を知ったのは、もう20年近くも前のことだ。いくつか短編を読んだことがある。古い洋館が舞台だったりする、ぞくっとするようなホラーがかったショー…
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真夜中の五分前
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チョビ/私は「ゆかり」。
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Side-Aから2年後の物語である。普通の上下巻ともまたちょっと趣が違って、A、Bとも独立して読めないことはない気もするのだが、どちらかしか読まないのでは読んだ意味はほとんどないと言っていいだろう。相思相愛という幸福な結末を迎えたかに思われた「僕」とかすみだったが、最初の数ページでかすみはもうこの世にいないことがわかる。双子の妹であるゆかりと行った旅行先のスペインで、列車事故に遭ったのだ。しかし「僕」は、ゆかりの夫である尾崎から「生き残った女はほんとうに自分の妻なのか?」という疑問を払拭できないのだと打ち明けられる。Side-Bは、「僕」と水穂の父親の再会といった2、3の心温まる場面を除いて、…
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真夜中の五分前
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チョビ/私は「かすみ」。
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本多孝好という作家の小説を読んだのは、これが初めてである。もともとは村上春樹的な世界観もしくは小説作法に影響を受けているのではないかと思うのだが、本多さんや伊坂幸太郎さんといった若手作家が「ナイーヴ系」と称されたりしているようだ。まさにこの作品もナイーヴの王道を行く小説。作者名を知らずに読んだら、村上さんの作品と言われても信じてしまいそうだ。もちろん本多さんならではと思われる特長は随所にみられると思う。いちばん感心させられたのは、主人公「僕」の会社員としての苦悩や周囲の人間との軋轢といったものが丁寧に書かれていることだ。上司や同僚たちとのやりとりはたいへん興味深く読ませてもらった。「僕」のよう…
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ありがと。
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チョビ/Treasures
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この本は、三浦しをんさんの作品が目当てで読み始めたのだが、他にもいくつか心動かされる短編があった。特に感心したのは、狗飼恭子さんと中山可穂さんの作品。どちらも主人公の女性の哀しみがきめ細やかに描かれているが、最後にやってくる救いが清々しい。ああ、こういう宝ものが存在するから私たちは生きていこうと思えるのだな、としみじみとした余韻の残る短編だ。実はおふたりの作品を読むのは初めてだったのだが、他の作品も読んでみようという気になった。他に気になったのは、中上紀さんの作品。さすが中上健次の娘!と思わされた一編(こういう言われ方をご本人は好まないかもしれないが、むろんいい意味で)。そして、三浦しをんさん…
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すべてがFになる
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チョビ/すべてがくせになる
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ひゃー、これはすごい。もともとこわいものがそんなに得意でないうえに、いわゆる本格(新本格?定義がよくわかっていません、すみません)ものを読むのが久しぶりだったので、死体登場シーンの禍々しさには脈拍上がりっぱなし。「ZOKU」を読んだときにも森博嗣という作家の力量に驚かされたものだが、まだまだ自分が甘かったということを痛感させられた(しかし、最初に読んだ本が「ZOKU」っていうのもコアな森博嗣ファンには怒られそうなチョイスだった、すみません)。14歳のときに両親を殺害した容疑をかけられその後外界との接触を断った天才工学博士、真賀田四季。そして彼女は、手足を切断されたウェディングドレス姿の死体とな…
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ZOO
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チョビ/「週刊少年ジャンプ」連載中の「DEATHNOTE」の原作者小畑つぐみさんの正体が乙一だって噂はほんとうですか?
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乙一。『切なさの魔術師』の異名をとる男。本名安達寛高(以上、2004年版角川文庫夏の100冊フェア小冊子より)。私は「失はれる物語」と絵本「くつしたをさがせ!」しか読んだことのない乙一ビギナーである。が、この「ZOO」という短編集は多彩な乙一テイストを味わうのに最適な一冊と言ってもよいのではないかと予想する。恐怖あり、悲惨さあり、グロあり。でもすべての短編にある種の希望が存在する。そこが凡百のホラーなどと一線を画す乙一の魅力なのだろう。私がこの本で最も好きな短編は「陽だまりの詩」だった。これはストレートに美しく哀しいロボットもの。しかし、真の乙一通の好みはまた違うような気がする。果たして一番人…
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オドオドの頃を過ぎても
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チョビ/麗しのアガワさま
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阿川佐和子という人を知ったのは、いつの頃だっただろう。もしかしたら現在は佐和子さんとお父上の知名度は逆転しているのかもしれないが、祖母が愛読者であり、自分自身も「きかんしゃやえもん」を何度も読んでいたことから、「ああ、阿川弘之の娘なんだ」と思った覚えがある。この本を読んで驚いたのは、佐和子さんがご自身について読書家ではなかったとたびたび書かれていることだ。あんなにおもしろい文章を書かれるというのに(しかもあれほどの美貌にも恵まれているのに。不公平だ)! 結局文章の上手下手は才能によるものなのか? いやいや、きっと謙譲の美徳を発揮しておられるのに違いない。本について書かれたエッセイ群は、選んでお…
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父の縁側、私の書斎
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チョビ/憧れのダンフミさま
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檀ふみさんといえば、「連想ゲーム」。私と同じかそれより上の世代の方々は、この懐かしのTV番組を(それこそ)連想されることと思う。そして檀一雄さんといえば、「火宅の人」。映画化されたのはいつのことだったか。“火宅”という言葉の意味がわからず、母に尋ねたが教えてもらえなかった記憶がある。写真で拝見する限り真面目そのものの檀一雄さんが、清純派そのものだった檀ふみさんのお父上が…と信じられない思いで映画の紹介文を読んだのを思い出す。この本は、家にまつわる思い出を綴られたエッセイ集である。家の思い出がそのままお父上の思い出につながっている。ここまで率直な愛情表現は世間的にはファザコンと形容されるのかもし…
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文学的商品学
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チョビ/神は細部に宿る
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「神は細部に宿るといいますが、小説のおもしろさも細部に宿っています。それを見つけるコツは、まず『ゆっくり読む』ことです」…この本の序文に書かれているアドバイスだ。反省。私はかなり早く本を読むからだ。決して読み飛ばしているつもりはないのだが、確かに深く味わうという感じではないかも。というわけで、尊敬する美奈子さんからの教えに従ってゆっくり読んでみた。うーん、なるほど。いつの間にかストーリーを追うことにばかり血道を上げていたようだ。前述のアドバイスはこう続けられている。「そして、できれば『何回も読む』ことです」…ここ数年で再読した本なんて何冊あるだろう。昔は気に入った本や感銘を受けた本は繰り返し繰…
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永遠の出口
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チョビ/過去があって、現在がある。
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人は何故「戻れるとしたら何歳に戻りたい?」という質問が好きなのだろうか。「子どもの頃に戻りたい」とか「青春時代に」とか希望は人それぞれなようだが、私の答えは「戻らなくていい」だ。94歳になる祖母の「戦争でつらい思いをしたから若かった頃に戻ってみたい」という答えには納得するとしても、昔に戻りたいと考える人の方が圧倒的に多いのが私にとっては不思議だ。みんなそんなに楽しい日々を過ごしたのか? それとも、つらさのあまりもう一度人生をやり直したいと切望するためだろうか?私の場合、夫と3人の息子たちのいる現在がしあわせだ、という理由はもちろんある。しかし、それよりも大きな理由は、何度人生をやり直したとして…
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機関車先生
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チョビ/いつまでも心に残る優しさと美しさ
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瀬戸内海が舞台の先生と生徒たちの物語といったら、まず思い出すのは壷井栄「二十四の瞳」だ。もともと伊集院静という作家を敬遠していて(もてる男は苦手なのだ)、それゆえ「パクリなのでは」と意地の悪い気持ちで読み始めたのだが、自分の浅薄さを反省させられた一冊だった。瀬戸内海を訪れたのは一度きりだが、そのとき目に焼き付いた風景の美しさを鮮やかによみがえらせるような描写力には感じ入った。そしてそれ以上に終始温かい視線で描かれる教師と子どもたちの人間模様が胸を打つ。無防備なまでの優しさにあふれた作品だったと思う。物語の運びは淡々としていて、結末などもかなりあっけない。いくらでも“お涙ちょうだい”的な展開にも…
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半眼訥訥
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チョビ/高村薫という生き方
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正直に言って、私は高村作品の正しい読者ではないと思う。延々と続く工場や機械の描写などは活字を目で追ってはいても頭に入ってこないし、そもそもごつごつした硬質な感じの文章を(決して嫌いなわけではないのだが)なかなかリズムに乗って読み進められないのだ。にもかかわらず、私は彼女の小説を求める。それは何故かと考えてみるに、高村薫という個人の存在に強力に引きつけられるからだと気づいた。私にとって、聡明な人物といえばそれは高村薫のことであり、ミステリアスな女性といえば(ローレン・バコールや黒木瞳ではなく)高村薫であり、美しい人といえば(エリザベス・テイラーや松嶋菜々子ではなく)それもまた高村薫なのだ。この本…
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点子ちゃんとアントン
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チョビ/私の初恋の人
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「点子ちゃんとアントン」は、私が物心ついたときすでに傍らにあった本だった。当時手元にあったのは(この「ケストナー少年文学全集」ではなく)少年少女向けに簡単な文章に書き直されたものだったとはいえ、幼稚園児が読むには難しめの内容(質量とも)だったと思う。それでも飽きることなく読んだ記憶がある。それほどに私の心はこの物語を求めてやまなかったということだろう。裕福な家の娘点子ちゃん(本名ルイーゼ。3歳くらいまでおちびさんだったから、という理由でついたあだ名だ)と、貧しい母子家庭の子アントン。境遇は違えど、ほんとうの意味で美しい心を持つ2人は固い友情で結ばれている。点子ちゃんが自宅の居間で物乞いの真似を…
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ウェルカム・ホーム!
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チョビ/さよなら、サギサワさん。
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鷺沢萠が我々の前に現れたときの衝撃は忘れられない。10代でのデビュー、清新な作風、しかも美貌の持ち主とあっては騒がれない方が不思議だ。私も、サギサワさんと1歳違いと年齢が近かったこともあり、もちろん気鋭の新星の登場に注目していた。著作を読んでその才能に驚き、写真を見て「わー、こりゃきれいな子が出てきたねえ」と見とれ、“天は二物を与えず”ってのは嘘だとため息をついたものだ。でもその後、私の心はサギサワさんの文章から離れていった。確かに器用な作家だった。小説にしてもエッセイにしても、そつのない感じでするする読める。しかし当時の私が求めていたのは、うまくなくても、話の運びがぎこちなくてもいいから、も…
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今、何してる?
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チョビ/角田光代は一味違う。
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角田光代は意外性の作家である。一見平凡な主婦の日常を描きながら、そこにLSDなどという小道具を持ち込んだりする。このエッセイ集でもそうだ。冒頭の序文でも「私はずっと長いこと、自分の考えていることはだいたい標準である、と思っていた」とか「個性というものが私はそもそも好きじゃない」とか「私はふつうであるとか平均であるとかみんな同じであるとかいうことが、だーい好き」とか書かれているが、ちょっと待ってよと言いたくなる。ある意味角田光代ほど個性的な同年代の作家を、私は知らないような気がするのに!角田さんの書く小説の主人公たちは、ふわふわと浮遊しているようでありながら、同時に驚くほど冷静に自分を見据える感…
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ハゴロモ
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チョビ/“ハゴロモ”とは何だろう?
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“ハゴロモ”とは何だろう?と思いながら、この本を手に取った。答えはもちろん本の中にあった。実際にお読みになって確かめていただきたい。それは、よしもとさんらしい表現で語られた、心を温めるようなものだったということだけ付け加えておくことにする。正直言ってよしもとさんの小説については、「今回はものすごく波長が合う!」と思うときと、「今回はいまいちのれない…」と思うときとある。「ハゴロモ」は前者。愛人との別れの痛手から故郷の町に戻った主人公ほたる。冷たく澄んだ冬の空気の中で、ほたるは自分の家族や、父の昔の恋人の娘るみや、そしてこれから新たに恋心を育んでいくに違いないみつると出会い、生き生きとした心を取…
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リトル・バイ・リトル
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チョビ/自分に正直であること
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島本理生さんの文章を読むといつも、端正な文章だなあと感心させられる。島本さんは私より16歳もお若いが(自分が16歳で結婚してすぐ出産していたら、同じ年齢の子どもがいるわけだ…)、男女の機微に関してはよほどわかっておられる気がする。同じ著者の「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=02089486&volno=0000" target="_blank">シルエット」は、男女関係の生々しさがどうにも刺激が強すぎるように感じられたし、「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=…
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簡単に断れない。
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チョビ/土屋賢二は裏切らない。
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ツチケン先生のエッセイを読むのは久しぶりだったが、相変わらずの土屋ワールドが展開されていた。悪い意味ではない。この移ろいゆく世に、変わらないものがそうそうあるだろうか。紀貫之も「人の心は元通りであるかわからないけれども、昔なじみのこの地の花は昔のように美しく咲き香っていることだよ」と歌っているではないか。そう、土屋先生の文章は我々の心にいつも咲いている花なのだ(話が大げさになってきた)。「この人なら間違いない」というひいきの作家がいることは、我々の読書生活に計り知れない幸福をもたらす。スティーブン・キングに恐怖させられ、舞城王太郎に翻弄されるのも素敵かと思うが、土屋賢二は裏切らない。土屋先生が…
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キッパリ!
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チョビ/リセットではなく微調整
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“ほんとうの自分に出会う”とか“自分を変えて人生をリセット”とか、現在の自分以上の存在になり得るということは、昨今大前提となっているようだ。まあ、心ひかれる発想ではある。しかし橋本治著「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=00491390&volno=0000" target="_blank">青空人生相談所」(ちくま文庫。全日本人必読の書!)を読むと、そのような甘いドリームから一気に現実へと引き戻されることだろう。「ヤル気のない男子高校生さんへのお答」をどうか読んでみてほしい。「自分はもっとやる気があるはず、自分はもっと他人と…
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オーデュボンの祈り
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チョビ/残酷さと優しさの共存
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伊坂幸太郎という作家は、いろんな意味で不思議な存在だ。伊坂作品を読んだ人とであれば1時間でも2時間でも語り合える気がするのに、未読の相手に対しては「こうだからいいんだ」と説得するための言葉を思いつかない。「とにかく読んで」と熱意によって相手の心を動かすしかないのだ。この小説のあらすじを伝えるにしても、ものすごく長い説明になるか、さもなければ「カカシが死ぬ話だ」と一言で済ませるかのどちらかしかないような気がするし。「オーデュボンの祈り」はデビュー作。作家はデビュー作を超える作品を書けないとはよく言われることだが、伊坂さんは一作ごとに前作をしのぐものを書かれている稀な作家の一人ではないだろうか。そ…
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乙女なげやり
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チョビ/乙女、なげやられました!
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最新刊「私が語りはじめた彼は」も絶賛発売中の三浦しをんさんだ。いよいよ大ブレイクの予感。「間違いない」で最近人気の芸人長井秀和氏をデビュー当時から見守ってきたファンの方とか、同様の思いを噛みしめていることと思う。さてこの「乙女なげやり」は、ウェブマガジンで連載中のエッセイ「しをんのしおり」を収録したものである。週一の更新を待ちわびる日曜深夜(から月曜にかけて)だ。このエッセイ集のおもしろさをどうやって伝えたらよいのか。こんな駄文を書き連ねてまでこの本をお薦めしようと思う私でさえ、「万人受けする内容ではないかもな…」と若干の躊躇を払拭できない。しかしながら、もしあなたがまだ三浦さんの本を読まれた…
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