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いさましいちびのトースター いさましいちびのトースター
らせん/健気な忠電ご一行ご主人を探して旅に出る
だんなさまは、いったいどうしたんだろう? 森の小さな夏別荘では、主人に置き去りにされた電気器具たちが不安な日々を送っておりました。ある時ついにちびのトースターが宣言します。「みんなでだんなさまを探しに行こう!」かくしてトースターのもとに電気毛布、掃除機、卓上スタンド、ラジオなどが集結し、波乱に満ちた冒険の旅に出たのですが……けなげでかわいい電気器具たちの活躍を描く、心温まるSFメルヘン。(文庫のあらすじ紹介より)引っ越しの時など家族に置いてけぼりにされた飼い犬が、信じられない距離を越えて飼い主を探し当てるなんて話は『名犬ラッシー』の昔から現実でもたまに耳にしますよね。ひたすらご主人をお慕い申し…  全文読む 評価する

レ・コスミコミケ レ・コスミコミケ
らせん/寓話的でSF的で哲学的で幻想的で、他に類をみない、私が大好きな短編集です
戦後イタリア文学を代表する作家、イタロ・カルヴィーノの傑作と言われているのが、本書『レ・コスミコミケ』です。寓話的でSF的で哲学的で幻想的で、他に類をみない短編集です。宇宙創世の始めから、この世に起きたあらゆる出来事を見届けてきたと自称するQfwfq(クフウフク?)じいさんが、この一連の物語の語り部です。このじいさん、ある時は宇宙を構成するあらゆるものが、ただ一点にひしめきあっていたビッグバン以前の出来事を“ご近所物語”として語り(ただ一点に)、またある時は、回転する銀河の公転周期を測るため、銀河の端っこにしるしをつけてみたり(宇宙にしるしを)、またある時は、一億光年離れた向こうの星雲に「見タ…  全文読む 評価する

とりかへばや物語 とりかへばや物語
らせん/あらすじを知ればきっと続きが知りたくなる、学校では教わらない面白古典の名作です
先日、現代語訳『とりかへばや物語』を読んだところ、たいそう面白かったので、次の日会社の昼休み、後輩にそのあらすじを語るわたくし。私:『とりかへばや物語』ってこんな話なんよ。1.権大納言には腹違いで男と女の子供がいた。2.男の子(男君)は内気でおとなしく、女の子(女君)は男勝りで活発。顔立ちは双子のようにそっくりで、たいそう美しい。父の権大納言は二人の性格が入れ替われば良いと願うが長じてもその気配がなく、男君を“娘”、女君を“息子”として育てることになる。3.権大納言の麗しい子息の評判が伝わり、息子を公達として出仕させるよう帝から催促される。4.最初は出仕を拒んでいた権大納言も帝の要請は断れず、…  全文読む 評価する

悲しみは早馬に乗って 悲しみは早馬に乗って
らせん/愛らしく、つつましやかな登場人物に好感がもてる作品集です
『悲しみは早馬に乗って』と言うタイトルに惹かれて手にした本です。私は未読なのですが、著者のドロシー・ギルマンは軽妙洒脱なミステリー『おばちゃまはスパイ』シリーズが有名で、日本にも多くのファンがいる作家とのことです。この本は表題の『悲しみは早馬に乗って』他、小品8編が所収された短編集で、うち7編の主人公が若い女性です。夫を突然の病で失った未亡人が、残された生命保険で、まだ幼い息子二人を連れて世界旅行に出かける。旅先で盗賊に襲われた絶対絶命の危機に、母親が振り絞ったある言葉が親子を救うことになる。(悲しみは早馬に乗って)田舎町を出て都会で“この世でいちばん美しい暮らし”をすることを夢見る娘に、都会…  全文読む 評価する

あやかし探偵団事件ファイル あやかし探偵団事件ファイル
らせん/少年探偵団モノの新しい定番になることを期待するシリーズの幕開けです
子供時代友達と話していたこと。「後から生まれてくる子の方が、覚えなくちゃならない歴史が多いから大変だよね」。そう、この瞬間も世界では新たな歴史が作られており、後から生まれてくる世代ほど学習する歴史の中身が多いのは確かです。そしてもうひとつ。「後から生まれてくる子の方が、面白い本がたくさん読めていいよね」。そう、この瞬間も世界では面白い本が続々と書かれており、後から生まれてくる世代ほど読める本の数が多いのは……半分本当で半分間違いです。何故ならそこには“流行”という淘汰があるから。オールタイムベストとして読み継がれる本は、この淘汰に残った一部の本に過ぎないのですから。長い前置きですが本書『庚申塔…  全文読む 評価する

野武士のグルメ 野武士のグルメ
らせん/旨い飯が食いたくば野武士を目指せ!
『かっこいいスキヤキ』『孤独のグルメ』の2大グルメマンガの原作者である久住昌之さんのエッセイ集です。テーマは“外食”それもミシュランを意識したような高級グルメではなく、庶民飯である居酒屋、ラーメン屋、定食屋を主な舞台にした孤高のひとりメシを語った痛快エッセイです。このエッセイの面白いところはB級グルメの味うんぬんではなく、久住さんの食に対する過剰な偏愛ぶりと、氏が志向してやまない“野武士”にあります。この本の表題でもある“野武士”とは「腹が減ったその時、店がそこにあれば入る、なければ入らない」ただそれだけの、愚直なまでにシンプルかつ図太い食事態度を指しており、著者の久住さんはいつもこのような気…  全文読む 評価する

最後の波の音 最後の波の音
らせん/波が引けても、波音は今もこの胸に響いています
名コラムニストの山本夏彦さんがお亡くなりになってから、もう5年が経とうとしています。この本は、山本さんが癌と闘病しながら書き続けた最後の作品集で、主に雑誌連載から抜粋編集されたものです。新出本というよりは再録本と言っても良いのかもしれませんが、山本さんの逝去後に出たコラム集で、400頁を越すたいへん読み応えのあるものです。山本夏彦さんと言えば、23年にわたって雑誌「週刊新潮」に連載されていた「写真コラム」が有名です。私は大層マセた子供だったので、小学生の頃から病院の待合室などに置かれている週刊新潮を手にとってはよく読んでいました。その当時から毎号必ず載っていたのが「夏彦の写真コラム」と「黒い報…  全文読む 評価する

プロメテウスの乙女 プロメテウスの乙女
らせん/そのまんま映画にできそうな、これは「青春小説」です
書店の文庫コーナーでひときわ目立つショッキングピンクの表紙の本を発見。手に取って見れば、赤川次郎さんの『プロメテウスの乙女』でした。何でも改版で出版社を変えての再版とのこと。懐かしくてつい読みふけってしまったのは、中学生の頃この本で読書感想文を書いて、当時の担任に激賞されたことがあったからです。物語の舞台は近未来の日本(ちなみに本の初版は84年だそうです)。武器輸出が解禁され、政権の右傾化と軍国主義の台頭が著しい社会。良家の子女を選り抜きのメンバーにした民兵組織「プロメテウスの処女(おとめ)」は、独自の武装をもって社会秩序の維持、言論の統制にあたり、市民からは畏怖の対象、為政者からは純真な愛国…  全文読む 評価する

初恋温泉 初恋温泉
らせん/湯煙にけぶる5編の男女の物語
日本各地に点在する実在の温泉を舞台にした短編集です。5編の作品が収録されておりすべて男視点の一人称になっています。熱海の高級旅館に妻を伴って来た男。外食チェーンを経営し成功したはずの人生だったが、男は妻に離婚を切り出されていた(初恋温泉)。話し始めたら会話が途絶えることがない似た者同士と言われる騒々しいカップルが、ひなびた温泉旅館で自分たちとは対称的に静かな佇まいが印象的な男女に出会う(白雪温泉)。学生時代の同級生とW不倫中の男は、不倫相手の女に京都旅行に誘われる。ひと足先に女が投宿した宿で男が見た光景は(ためらいの湯)。外資系生保のトップセールスマンで妻に裕福な暮らしをさせていることを誇りに…  全文読む 評価する

あなたの人生の物語 あなたの人生の物語
らせん/難解な物語に挑む喜びがこの本にはありますが、その難解さ故に途中で音をあげても大丈夫、短編集ですからいどこでも止められます
中国系アメリカ人の若手作家、テッド・チャンの傑作SF中短編集です。寡聞にして知らなかったのですが、このテッド・チャン氏は現在のSF界では最も評価されている作家のひとりで、この本に所収の8編の作品の内、表題作とデビュー作「バビロンの塔」でネビュラ賞受賞、「地獄とは神の不在なり」でヒューゴー賞を受賞している、すごい人なのだそうです。8編の作品の中から、私が気に入ったものを幾つかあげてみたいと思います。巻頭の『バビロンの塔』は、天まで届けとそびえたつバベルの塔の、頂上を目指す職人の視点で描かれた物語です。頂上に辿りつくまで2ヶ月はかかるほど巨大な塔の描写が実に魅力的です。上へ上へと天の高みを目指した…  全文読む 評価する

漢方小説 漢方小説
らせん/これはワタシの物語です
この本の主人公は、“みのり”という31歳の独身女性。昔プロポーズされたことのある元カレが、結婚すると知ったその日から、原因不明の体調不良に陥り、医者を幾つかはしごして、行きついたのが東洋医学の漢方診療所。そこで出会った漢方医の坂口先生にトキメキを感じたみのりは、漢方を通じて自分の心身のバランスと向き合うことに……。最初に言いきってしまいます。この物語の主人公はワタシです。いや、ワタシでもあると言うべきか。30代、独身、仕事あり、(特定の)男なし、そして原因不明の体調不良。いわゆる“負け犬”のステレオタイプですが、これほど等身大で親近感を覚える主人公は珍しい。最初から最後まで<共感の塊>になって…  全文読む 評価する

しゃばけ しゃばけ
らせん/「水戸黄門」ご一行だって一番偉いのは守られてるはずのご老公様、いわんや「しゃばけ」においては?
1.廻船問屋と薬種問屋の大店「長崎屋」の若旦那一太郎は、当年17歳。2.一太郎は生来病弱で、床から長く離れた試しがない。3.両親は大事な一粒種の一太郎を溺愛しており、世間では大甘と大評判。4.一太郎には幼少時から彼に仕える、2人の手代がいる。5.実はそれは手代に身を替えた、妖怪の犬神と白沢である。6.一太郎の周りには、他にも家鳴という小鬼や屏風覗きなど様々な妖怪がいるらしい。そんな深窓の若旦那が、ひょんなことから江戸市中を騒がす、謎の連続殺人事件の目撃者になったから大変。心優しい若旦那と妖怪達は否応なく事件の解決に乗り出すことになる、愉快な愉快な時代小説です。親が金持ちだから病弱でも路頭に迷う…  全文読む 評価する

中陰の花 中陰の花
らせん/中陰の花とは、輪廻する魂を送る手向けの花ですか?
現役の僧侶である著者の玄侑氏が、肉体の死を迎えた魂の行きつく「死後の世界」をテーマに描いた作品で、第125回芥川賞受賞作。予知能力を持つという「おがみや」ウメさんの臨終に際して、禅寺の住職則道とその妻圭子の織り成す会話から、「死とは何か」「魂とは何か」を見つめた作品です。人が死んだらどうなる?ということを、仏教者の立場から抹香臭くなく語るのは、文学の力をもってしても難しい仕業だと思いますが、存外にわかりやすく、またある程度得心のゆくように物語のオチがついていたのには感心しました。読んでいて思い出したのは、実は宮沢賢治だったりします。主人公の僧侶則道の妻圭子が、紙で作った縒(こより)を繋ぎ合わせ…  全文読む 評価する

へんないきもの へんないきもの
らせん/「おかしな」でもなく「変った」でもなく「不思議な」でもなく、「へんな」という言葉が一番しっくりハマる「へんないきもの」がこの世にはいるのですね
この本を本屋の棚で見かけたとき『幻獣図鑑』の類だと思いました。幻獣とは、河童やユニコーンや人魚みたいな、幻想世界の奇妙な生き物のことで、てっきりその手の架空世界の生き物の本だと思ったのです。だってお見せできないのが残念ですが、あの朝顔の双葉が開く直前にカパッと割れたような口を開いた生き物はナンだ? あの背中から陰毛のような毛を生やした甲虫はナンだ?実はこれ全部、この地球上に実在の生物だっちゅうから驚きじゃありませんか。他にも音波兵器を持つエビ、足が85本のタコ、サイバーパンク深海魚など、地球にうごめく珍妙で奇怪な生きものたちを、精緻なイラストと、著者の多分に独断と偏見に満ちたオタク的な解説で紹…  全文読む 評価する

猫語の教科書 猫語の教科書
らせん/たった今道ですれ違った猫も、家で飼ってる猫もきっと読んでいるに違いない、猫世界の大ベストセラー(だそうな)
そう言えば♪猫の気持ちはわっからない〜 ハテニャ〜? なんて歌がありましたな。(アレは確かTVアニメ『What's マイケル』の主題歌だったような…。)そう、猫の気持ちはわからない。わからぬも道理。だって猫はその心の内を巧妙に隠して、決して本心をあからさまにしないのだから。「なぜそんなことが言える?」猫に興味のない諸兄は仰るかもしれません。そこで登場するのがこの本『猫語の教科書』です。この本は、ある日、とある編集者の家に届いた不思議な原稿が元になっています。タイプで打たれて文字と記号がいりまじった暗号のように見えるこの原稿は、作家のポール・ギャリコ氏の手に渡り、ギャリコ氏が解読すると、それはな…  全文読む 評価する

板谷バカ三代 板谷バカ三代
らせん/蛙の子は蛙とか、血は水より濃いとはよく言ったものですね。
アジア各地への体当たり旅行記『怪人紀行』シリーズでおなじみゲッツ板谷さんの本です。それも、これまでゲッツさんの著作で度々ネタになっていた、板谷家の家族についてのみ書かれた同人誌風に言うと「板谷家オンリー本」です。仲間が数人集まってワイワイ楽しんでいる時、その場の話題が「貧乏自慢」や「ドジ自慢」の競いあいになってしまうことはありませんか? でもってその中に、ただその場で受けるためだけに、身を切るかのごとく自虐的なネタを次々と繰り出して、その場の爆笑を独り占めしてる人がたまにいますよね。(実は私もその一人だったりして(笑)受けをとるのに血道をあげるタイプです)。より悲惨で、より笑える経験の持ち主が…  全文読む 評価する

ペリーヌ物語 ペリーヌ物語
らせん/「強くて賢くて優しい」女の子が、自分の手で掴み取るシンデレラ・サクセス
フジテレビが日曜日19:30から放映していた「世界名作劇場」という、子供向け物語のアニメを覚えてますか?  「アルプスの少女ハイジ」から「家なき子レミ」に至る全24タイトルが放送されたそうで、この世界名作劇場が、どういう訳か主題歌のミニCD付きで文庫化されることになり、本屋で見かけて思わず手に取ってしまったのが、「赤毛のアン」「南の島のフローネ」と並んで私が一番好きだった「ペリーヌ物語」です。だって表紙を飾るペリーヌの、可愛いんだけどのっぺりした平目顔がすごく懐かしかったんだもん。文庫を読むまで知らなかったのですが、この「ペリーヌ物語」の原作は、「家なき子」を書いたエクトル・マロという人が作者…  全文読む 評価する

サンタのおばさん サンタのおばさん
らせん/サンタクロースに必要な資格ってその外見ですか?
杉田比呂美さんが描く表紙がとても可愛いくて、思わず手に取ってしまった絵本がこの「サンタのおばさん」です。そもそもサンタクロースの起源は中世キリスト教の聖人の聖ニコラウスから来ているとか。トナカイのそりに赤い衣装の白いあごヒゲを伸ばしたおじいさんのサンタ像は聖ニコラウスがモデルだからこそなんでしょうね。では、このサンタクロースはおじいさんしかなることができないのか? 女の人はサンタにはなれないのでしょうか?この絵本はクリスマスを前に世界中のサンタが集まるサンタ協会の席でアメリカ支部のサンタが引退することになり、自分の後任として魅力的な女性を連れてきたことから始まります。紹介された他の国のサンタは…  全文読む 評価する

賢者のおくりもの 賢者のおくりもの
らせん/愛する人からもらいたいのは、心のない贈り物よりその人の真心です
キリスト教に馴染みのない日本人にはわかりにくいことですが、賢者の贈り物というのはイエス・キリストが生まれた夜、東方から星の導きによってやって来た3人の賢者が、みどり児のイエスに与えた祝福の贈り物のことを言います。この贈り物に題を取ったのが、O・ヘンリーの代表的な短編『賢者のおくりもの』でこれはその絵本です。ニューヨークに住む若夫婦のジムとデラは、互いを愛して暮らしていました。貧しい暮らしでしたが、ふたりはそれぞれ自慢の宝物を持っていました。ジムの宝物は祖父から父へと代々伝わる金時計、デラの宝物はほどけば膝のあたりまである栗色の美しい髪の毛でした。クリスマスの前日、デラは愛する夫にプレゼントを買…  全文読む 評価する

芭蕉紀行 芭蕉紀行
らせん/そゞろ神に誘われた、江戸の俳聖と現代の作家の時を越えた夢紀行
大の松尾芭蕉フリークとして知られる嵐山光三郎さんによる松尾芭蕉ガイド。文庫裏の解説によれば、『野ざらし紀行』『冬の日』『笈の小文』『奥の細道』はもちろん、従来の案内書にはない『かしま紀行』『更科紀行』ゆかりのスポットも完全網羅。中学三年で芭蕉の言霊にふれ、自らも「旅を栖(すみか)」とする著者が、足と目と感性で俳聖の全足跡を辿る。研究者のあいだではタブー視されている、蕉翁の衆道にも踏み込んだ稀有な書。沿道の美味な食べ物も紹介。著者手書きの絵地図入り。『芭蕉の誘惑』を改題。松尾芭蕉は言わずとしれた俳句の神様で、この偉大すぎる個性に凡人が正面きって向き合うには、嵐山さんのように、芭蕉が句を得た全紀行…  全文読む 評価する

星の巡礼 星の巡礼
らせん/「心の旅」の始まり
ブラジルの作家パウロ・コエーリョの作家デビュー作にあたる本書は、作家自身の投影である「パウロ」を主人公に、自らの体験を元に描かれた宗教性にあふれた作品です。傾倒するキリスト教神秘主義集団(RAM)の、マガス(魔術師)への最後の試験に失敗し、奇跡の力の象徴である剣を手にすることができなかったパウロは、その剣を自分で見つけるため、「星の道」と呼ばれるピレネー山脈から、聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラへ続くスペイン巡礼の旅をすることになる。それは奇跡の剣を見つけるだけでなく、人生の良き戦いを戦うための啓示に満ちた魂の旅でもあった…。私はキリスト教徒ではないし、元来物事に対する猜疑心も強く、奇跡や魔…  全文読む 評価する

銀河帝国の弘法も筆の誤り 銀河帝国の弘法も筆の誤り
らせん/豪華珍品駄洒落のフルコースディナー。
人類が宇宙へ乗り出し、銀河にあまねく<人類圏>を構成して繁栄を極める遠い未来のお話と言えば、ジャンルはSFで決まりですが、これはただのSFじゃあない。世にも稀な“ダジャレSF短編集”です。SFにダジャレのスパイスを効かせたから“ダジャレSF短編集”なのではなく、ダジャレの風味を最大限に賞味するため、SFを素材に調理したとしか言えない本末転倒ぶりで、全編これダジャレのてんこ盛り。料理としてはゲテモノの部類に入り、好き嫌いの激しい方には全く口に合わないであろうことが予想されますが、珍品中の珍品だけに見方を変えれば“至高のメニュー”のひとつとも言えるでしょう(笑)本書のメニューは5編の短編と、各話末…  全文読む 評価する

あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度 あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度
らせん/雑誌裏表紙から愛を込めて
今からひと昔前のこと。少女漫画雑誌の裏表紙に決まって掲載されていた、広告マンガ『日ペンの美子ちゃん』を覚えてますか? これは20代後半以上の女性なら懐かしさを禁じ得ない『日ペンの美子ちゃん』の、アレやコレやについて書かれた本です。少女漫画雑誌をかなり長いこと愛読していた私でも、歴代の美子ちゃんが4人もいたとは知りませんでした。4代の美子ちゃんのうち、私がいちばん馴染み深いのは、やっぱり初代の美子ちゃん。日ペンで鍛えた字の上手さをひけらかすため、美子ちゃんは手紙はバンバン書くし、パーティーの招待状なんかもバンバン出して、なかなか華やかな私生活を送っています。字の上手さで捕まえた彼氏は多数いて、フ…  全文読む 評価する

下妻物語 下妻物語
らせん/ちょっと痛いけど眩しい青春
四方八方田んぼだらけの茨城県下妻。そんな田舎で浮きまくりのバリバリロリータ少女・桃子は、大好きなお洋服欲しさに始めた個人販売で、これまた時代遅れなバリバリヤンキー少女・イチコと出会う。見た目も趣味も全く違うこの二人。わかり合えるはずはないのに、やがて不思議な友情が芽生えて…。“乙女のカリスマ”嶽本野ばらさんの『下妻物語』が、2004年5月の映画化を機に文庫本として登場しました。全編桃子の視点で書かれたモノローグで、ロココを貫くロリータ少女の根底から、生まれは尼崎の関西テイストがほの見える語り口はとても面白いっ! ド田舎ヤンキー少女のイチゴ(本名イチゴだとヤンキーらしくないのでイチコと名乗ってる…  全文読む 評価する

琥珀のひとみ 琥珀のひとみ
らせん/抑えきれない心の痛みは「キスで治して…」
後藤啓介さんの美しい表紙につられて思わず買った本です。ヒューゴー賞受賞の表題作「琥珀のひとみ」他5編からなる短編集で、どの作品も粒ぞろいですが、私がいちばん好きなのは最後の作品の「錫の兵隊」です。「錫の兵隊」は、亜高速航行によるウラシマ効果でいつまでも老いることない宇宙船乗りと、歳をとりたくてもとれないサイボーグのせつない恋のお話です。これ意外なのは、宇宙船乗りが女性で、サイボーグが男性なんです。ふつう船乗りと言えば男、港で待つのは女のイメージですが、それが逆なのがとても新鮮。過去の戦争でサイボーグになった彼は開拓惑星の酒場の主人で、彼の店には何十年かおきに殆ど歳を取らずに現われる航宙士達が集…  全文読む 評価する

ささらさや ささらさや
らせん/愛しさと切なさと心強さと
夫を突然の事故で失い、産まれたばかりのユウ坊と二人で、佐々良(ささら)という町に越してきた未亡人のサヤ。サヤとユウ坊の身に危険が降りかかる度に、優しい風の音とともに「あの人」が身近な人の姿を借りて帰ってくる…。幽霊になった夫の愛と、佐々良の町で出会う人々の優しさに支えられて、サヤとユウ坊が少しずつ成長して、最後には夫と永遠の別れを迎えるまでの、連作短編集です。幼くて内気で頼りなげで、そんなサヤの身が心配で心配で、幽霊になってしまう夫の気持ちは、読んでいたら痛いほど伝わってきます。周囲の人々(ヤンママのエリカさんに、久代・夏・珠子の三婆さん)もそんなサヤを放っておけずに、彼女に力を貸してくれます…  全文読む 評価する

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