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瑠璃の契り
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風(kaze)/プロの目利きとしての矜持を暗夜の灯として、“冬の狐”は行く。
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古美術・骨董業界で旗師を生業としている冬狐堂こと宇佐見陶子。生き馬の目を抜くような世界で、プロの目利きとして行動する彼女を主人公にした話が四つ収められた作品集。2003年〜2004年にかけて「オール讀物」誌に掲載された短編で、「倣雛(ならいびな)心中」「苦い狐」「瑠璃の契り」「黒髪のクピド」の順に収録されている。前作の『緋友禅』以来、二年ぶりとなる冬狐堂シリーズの作品集である。 仕掛けられた罠に傷つきながらも、歯を食いしばるようにして行動していく一匹狼の“冬の狐”、彼女が行動していく姿がいい。彼女が身にまとっている凛とした清々しさ、そこにまず惹かれる。 また、彼女の親友として登場するカメラマ…
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山田風太郎明治小説全集
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風(kaze)/山風の明治ものの中でも、これはとびっきりの面白さ!
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山田風太郎の明治ものの一冊。『ミステリ十二か月』の北村薫さんと有栖川有栖さんの対談の中で、有栖川さんが、<>(p.257)と言ってらしたので、どれどれ、どんくらい面白いんかなと読んでみました。いやあ、面白かったわあ。さすが、ミステリ通のおふたりが強力に推薦するだけのことはあるあると、問答無用の面白さを堪能しました。 以下、面白かったところを三点抜き出して述べてみます。 まず、いくつかの話の中で使われる事件のトリック、それが面白かった。 明治時代の初頭、新政府の警察機構の一環として出来た太政官弾正台の大巡察、川路利良(かわじ としよし)と香月経四郎(かづき けいしろう)のふたりが、同じ事件に対…
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怪奇探偵小説傑作選
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風(kaze)/横溝正史、戦前の作品選集。収録作品では、「鬼火」と「蔵の中」に★五つ。
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戦後、雑誌「宝石」で連載された『本陣殺人事件』『獄門島』が、推理小説史上、今も不朽の名作であることは間違いない。この二つの長編を皮切りに、名探偵・金田一耕助ものを始めとするミステリを次々に執筆していった横溝正史翁。本書は、戦前の著者の作品(昭和二年〜昭和十五年にかけて)を収録した選集である。 概して同じテーマを扱った収録作品が多いなかで、昭和九年の秋から冬にかけて執筆された中編「鬼火」が、燦然と輝く名品であることを再認識させられた。何年か前に、「横溝正史なら、この作品も読みごたえがありますよ」とお薦めされて読んだ時、あまりの面白さに圧倒され、読み終えてしばらく眩暈がするほどの恍惚感を味わった…
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北極星号の船長
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風(kaze)/ラヴクラフト作品のような凄みはないけれど、ドイルのストーリーテリングが楽しめる怪奇小説集
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シャーロック・ホームズのシリーズが著名なコナン・ドイルの怪奇小説を集めた短編集。ヴィクトリア朝のロンドンの雰囲気が好もしいホームズものとは異なり、未知の存在への恐怖と憧憬が前面に出た作品が多く収録されていた。読む前は、霊的な現象をテーマにしたオカルト風味の作品が多いのかなと思ったのだが、ストーリーテリングの巧みな、独特の熱気が脈打っている作品がいくつかあり、予想以上に楽しむことができた。 いくつかの作品で、書簡や日記を通して主人公が記述していくスタイルを取っている。このスタイルは、ともすれば単調で退屈な印象を読み手に抱かせてしまう恐れがあるが、コナン・ドイルの怪奇小説では有効に働いているよう…
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蜻蛉始末
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風(kaze)/“とんぼ”宇三郎がいい。話の前半と読み終えた後で、彼の印象が全く違ったものになっていた。
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本書の前半は、藤田傳三郎の視点で読んでいった。ところが話の中盤から、“とんぼ”宇三郎が俄然生彩を帯びてきて、読み終えてみれば、これは傳三郎ではなく宇三郎が主役の話だったのではないか、そう思えて仕方なかった。 幕末から明治初頭にかけて、政商として活躍した藤田傳三郎と、彼の忠実な“影”として生きた“とんぼ”宇三郎、このふたりの運命が交錯し、変転する様を描き出して行く話である。長州藩の萩で暮らしていた頃は、傳三郎が“主”で、宇三郎は“従”でしかなかった。しかし、傳三郎が時代の大きなうねりのなかで翻弄され、深刻な挫折を経験するうちに、宇三郎の存在が次第に増してくる。表舞台に登場して名を上げていくのは…
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日暮らし
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風(kaze)/何とも心が騒ぐ、あったかい物語でした。
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鉄瓶長屋を舞台にした前作『ぼんくら』の事件から一年が経った頃、井筒平四郎と彼を取り巻く人たちの前に、再び新たな事件が持ち上がります。先の「鉄瓶長屋」事件の火種は消えておらず、今回は大火事が起きたとでもいった風に話が繋がっているので、ぜひぜひ、『<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=02431106&volno=0000" target="_blank">ぼんくら』を読んだ後に本書に向かうことをお薦めいたします。 前作同様、この『日暮らし』でも、初めにいくつかエピソード的な話が置かれた後に本編に進むという構成になっています。料理に…
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牧逸馬の世界怪奇実話
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風(kaze)/二十世紀前半に起きた、常識では計れない怪事件の数々。牧逸馬の絶妙の筆致が楽しめます!
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十九世紀末から二十世紀の前半にかけて起きた猟奇的な殺人事件、不可解で謎めいた事件を紹介した作品集です。本書は、島田荘司さんがシリーズ作品の中から14編を選んだもの。以下の作品が収録されています。 「切り裂きジャック——女体を料理する男」「ハノーヴァーの人肉売り事件——肉屋に化けた人鬼」「マリー・セレスト号——海妖」「タイタニック号沈没——運命のSOS」「マタ・ハリ——戦雲を駆る女怪」「テネシー州、猿裁判——白日の幽霊」「ローモン街の自殺ホテル」「双面獣」「クリッペン事件——血の三角形」「ウンベルト夫人の財産」「女王蜘蛛」「ドクター・ノースカット事件——土から手が」「ブダペストの大量女殺し——…
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ぐるりのこと
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風(kaze)/梨木さんの思いが、凛として立ち上がってくる
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日本を始め、英国やトルコなど、梨木さんが訪ねた土地にまつわる思い出。執筆当時に起きた幼児殺害事件やイラク人質事件の報道と、それに対する国内世論の反応に接して考えたこと。映画館で『ラスト・サムライ』を観て、「西郷隆盛」的生き方とは何なのか、思いをめぐらせてみたこと。 こうした、梨木さんの身の回りで起きた“ぐるりのこと”について、心の奥から立ち上がってきた思いを綴ったエッセイ集です。季刊誌「考える人」2002年夏号から2004年秋号に掲載された八つのエッセイ。梨木さんの心にふつふつとたぎる思いが言葉によって解き放たれたような、そんな味わいがありました。 初夏の午後、英国のセブンシスターズの断崖を…
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風眼抄
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風(kaze)/“風の墓”に向かひて合掌
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奔放な空想力と語り部としての才能を駆使して、読み手の心をわくわくと躍らせてくれる小説をいくつも残してくれた山田風太郎。その作品を夢中になって読み耽ったあれは至福の時間であったなあと、今でもふっと思い返すことがある。 本書は、私の大の贔屓作家である山田風太郎が、1963年(昭和38年)から1979年(昭和54年)にかけて書いたエッセイ集。氏の死生観や人柄に触れるような味わいがあり、読みごたえがあった。 山田風太郎の死生観に大きな影響を及ぼしたことでは、氏が医学生だった頃に体験した太平洋戦争がまず挙げられると思う。それは『戦中派不戦日記』を読めば身に染みて感じ取れる訳だが、本書にも、その一端が伺…
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気になる部分
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風(kaze)/岸本さんの頭のスイッチを押してみたら…
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例えばここに迷路があって、入口から一人ずつ入っていくとする。たいていの人はうろうろと迷いながら、右に折れ、左に折れして歩いて行く。矢印で言うと、ある所で→に曲がり、ある所で←に曲がりながら進んで行く訳である。ところで、本書の著者の岸本さんだったらどういう行動を取るだろうかと考えてみる。で、私は思う。迷路の道を歩いて行くうちに、突然スキップしてみたり、仕切りの壁をよじ登ってまたぎ越したり(↑に向かったり)、岸本さんには確かに見える地面の取っ手を持ち上げて、その穴の中へとさっさか入って行く(↓に向かう)のではないかと。 今、迷路を引き合いに出してみたのだが、要するに何が言いたかったのかというと、…
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香港の甘い豆腐
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風(kaze)/広東語の響きに乗って、香港のざわめきが聞こえてくる物語
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17歳の夏、もやもやした気分で毎日を過ごしていた彩美(アヤミ)は、突然、母親に連れられて香港に行きます。生まれてからずっといなかった父親が暮らしているという香港に。 「ああ、このまま干からびちゃうのかもしれないなあ。ま、それもいっか」なんて調子でぐだぐだしていた彩美だったのですが、香港で生活するうちに、だんだんと変わってくるんですね。香港の町のざわめきに接しているうちに、人々がわあわあわあとしゃべる広東語を聞いているうちに、気持ちが乗ってくるみたいな。生きるパワーがふつふつと湧いてくるみたいな。 毎日が冒険とでもいった風に香港で生活し、徐々に前向きになっていく彩美。最初はさっぱり分からなかっ…
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鬼平犯科帳
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風(kaze)/よっ!平蔵親分、かっこいいねぇ、粋だねぇ。こんな親分の下で働いてみたいっ!
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火付盗賊改方の長官を務めることになった長谷川平蔵こと鬼平が主役を張るこのシリーズ。予想以上に面白くて、第1巻収録の八つの話を次から次へと読んでしまいました。読み始めたら止まらないって感じ。 登場人物や彼らが関わる事件が、それぞれの話のなかで繋がっていますね。例えば、第三話で出てきた脇役が、第五話では主人公になるという具合に。やっぱりこういうシリーズものは、最初から順番に読んでいかないと面白味が半減してしまのだなあと、つくづくそう思いました。 まず「へえーっ」となったのは、モラルを守った“真の盗賊”と、兇悪無惨な殺しも平気でする“非道の盗賊”の二種類があるってえところ。真の盗賊の三箇条というの…
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白萩屋敷の月
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風(kaze)/なにしろ表題作が素晴らしい。胸にぐっとくる名品です。
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江戸は大川端の旅宿「かわせみ」の女主人るい、るいと恋仲の神林東吾(かみばやし とうご)、東吾の親友で八丁堀同心を務めている畝源三郎(うね げんざぶろう)、「かわせみ」の女中頭のお吉(おきち)ほか、彼らの心が通い合う姿をあたたかく描き出した「御宿かわせみ」シリーズ。今回は表題作を再読したくなり、手にとりました。 本巻には、「美男の医者」「恋娘」「絵馬の文字」「水戸の梅」「持参嫁」「幽霊亭の女」「藤屋の火事」「白萩屋敷の月」の八編が収められています。なかではおしまいの二篇が良く、とりわけ表題作の切なさが身に染みてぐっときました。 「白萩屋敷の月」……東吾の兄で、南町奉行所の与力を務める神林通之進…
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オカメインコに雨坊主
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風(kaze)/汽車に乗って、不思議になつかしい風景を見ているような、そんな気持ちに誘われた七つの話
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乗る列車をうっかり間違えてしまったために、どことも知れぬ町に運ばれた画家は、ひょんなことからその町の家の離れで暮らすようになります。そうして、そこで暮らすうちに、物語の語り手である画家は町の住人たちと言葉を交わすようになり、ちょっと不思議な体験をしていきます。どこか夢のような、なつかしい気持ちを呼び覚まされるような、そんな出来事に遭遇したり、妙なモノとめぐり会ったりするんですね。スケッチブックにさらさらっと絵を描く感じで、画家が綴っていく不思議の話たち。「オカメインコ」「やまざくら」「雨坊主」「ほおずき」「ねえや」「ブランコ」「ミーコ」の七つの話が収められた連作短編集です。 アイルランド出身…
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日本語の作文技術
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風(kaze)/分かりやすい文章を書くためには
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自分の言いたいことが相手に分かりやすく伝わる文章を書くには、どんな作文の技術が必要なのか。読む人の気持ちを出だしで掴み、最後まで読んでもらう文章を書くためには、どういう工夫をしたらいいのか。この二点を大きなテーマとして、例文を引きながら検証していったのが本書である。 文章を論理的で分かりやすくするためには、どんな点に注意を払えばいいのか。この点を記した本書の前半では、“、(テン)の打ち方”と“助詞の使い方”を見ていく件りが参考になった。どこにテン(読点)を打つかで文章の意味が全く違ってくることや、助詞の一文字が抜けているために誤解を招く文章になってしまうことなどが論理的に説明されている。こう…
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かなしみの場所
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風(kaze)/なつかしくて優しい思いが心に満ちてくる小説。静けさを湛えた話の風情が、とても素敵でした。
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本の帯の裏に、<>とあります。その言葉にあるとおり、“生きていくことのいとおしさ”が、じんわりと心にしみ込んでくるような味わいがありました。主人公の果那さんと、彼女をめぐる人たちの心の触れ合いが、静けさを湛えた文章からやわらかく浮かび上がってくるような話の風情。頁をめくっていくうちに、気持ちがすうっと落ち着いてくるみたいな、そんな居心地のよい雰囲気に浸ることができました。 話のはじまりの部分が実に手際よく、本書の帯の裏にまとめられています。その文章を引用させていただきますね。 <> この中で触れられていますが、果那さんの眠りというのが、この作品の重要なモチーフになっているように思います。「梅…
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初春弁才船
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風(kaze)/江戸の春に乾杯!(表題作に宛てて)
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時々おしゃべりを楽しみに行くネットの推理小説の某フォーラム。そこで、「最近、“半七捕物帳”を読んで、江戸幕末の気分に浸りました。いいですね、これ!」と書き込みしたところ、「江戸幕末のシリーズで、こちらはいかがでしょう。表題作が、なにしろぐっときます。ちょうど時期的にもぴったりなので、もしよかったら、ぜひお読みになってみてね」とお薦めされて、それで久しぶりに“かわせみ”の雰囲気に浸りたくなり、本書を手にとってみました。 なんせご無沙汰していた“かわせみ”シリーズ。いつの間にか東吾とるいが夫婦になってるし、かわいい子供までいるし、東吾の幼なじみで八丁堀の同心をしている畝源三郎にも子供がいるし(つ…
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日本の黒い霧
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風(kaze)/現代に通じる謀略の影、大国の論理についても考えさせられました。
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終戦後、米国の占領下にあった日本。昭和20年代に起きた怪事件の裏側にあったのは何か、公表された“記録”とは別の“真実”がそこにあったのではないかと、松本清張が検証、推理していく戦後昭和史ドキュメント。 下巻には、「征服者とダイヤモンド」「帝銀事件の謎」「鹿地亘(かじ わたる)事件」「推理・松川事件」「追放とレッド・パージ」「謀略朝鮮戦争」と、「なぜ『日本の黒い霧』を書いたか」が収められています。 関係者の証言や残された記録を手がかりにして事件の真相を探っていくと、どうも公表された事と違うのではないか、様々な不審の点がそこにはあるようだと論を展開していく清張の推理。実に説得力のあるものでした。…
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日本の黒い霧
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風(kaze)/黒い霧の中に蠢く魑魅魍魎の世界を、反骨の士・清張がえぐり出していく戦後昭和史ドキュメント
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第二次大戦が終わり、米国の統治下に置かれるようになった日本。昭和20年代に起き、世間を震撼させた怪事件の性格と背後に潜むものを、松本清張が推理、検証した戦後昭和史ドキュメントである『日本の黒い霧』。 文庫の上巻にあたる本書には、「下山国鉄総裁謀殺論」「[もく星]号遭難事件」「二大疑獄事件」「白鳥事件」「ラストヴォロフ事件」「革命を売る男・伊藤律」が収録されています。 戦後、日本で独裁的な権力をふるったGHQ(連合国最高司令官総司令部)。その内部で繰り広げられていたG2(参謀部第二部 ※諜報、保安、検閲を行う)と、GS(民生局 ※日本の民主化政策を担当)との激しい勢力争い。共産主義の台頭に神経…
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弱法師
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風(kaze)/ぎりぎりと胸を締めつけて離さない恋愛小説集。殊に、「卒塔婆小町」の一編にやられました!
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身を焦がすような、ただでは済まされないような、そんな深くて苦しい愛の思いを描いた作品が三つ。 秘めやかな、それだけに一層激しい気持ちとなって湧き上がってくる恋する気持ち。かなえられない相手への想い。弓の弦を振り絞るような緊張感をともなって、愛する者の苦しみが描き出されていく話に、胸を噛むような思いにとらわれました。 難病にかかった少年と、彼の治療にあたる医者の物語……「弱法師(よろぼし)」。 出版社の女性編集者と、彼女に捧げるために小説を書いていった作家の物語……「卒塔婆小町(そとばこまち)」。 薫子(かおるこ)おばさんとある人物との秘められし恋模様を、高校生の碧生(みどりお)の視点から描い…
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半七捕物帳
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風(kaze)/江戸の不思議と怪異に親しみながら、推理小説の謎解きの妙味が堪能できるシリーズです。
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本巻には、「半七捕物帳」の記念すべき第1作「お文(ふみ)の魂」から「山祝いの夜(よ)」まで、14編が収録されています。「お文の魂」が初めて掲載されたのが大正六年(1917年)ですから、今からざっと90年近く前に執筆されたことになります。江戸幕末に岡っ引として活躍した神田三河町の半七親分が、その手柄話を、明治30年頃に「わたし」に語って聞かせる。その事件の顛末を、「わたし」がメモ帳に記して世に発表したのがそれぞれの話であると、そうした聞き語り形式の連作短編集ですね。 半七老人と「わたし」が会って、時候の挨拶を交わす話の枕の部分。その話がきっかけとなって、「そう言えば、こんな話がありましたよ」と…
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半七捕物帳
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風(kaze)/江戸幕末の空の下に心遊ばせることのできる推理小説。第4巻で◎を付けたのは…
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「半七捕物帳」シリーズの話の構成、季節感のある江戸の風物が眼前に彷彿される味わいといったことは、すでに本文庫の第2巻、第3巻で書き記したので、ここからは、収録作品の中で殊に面白かった話を挙げる形で進めていくことにします。 こうした連作短編集を読みながら、私はしばしば、「とても面白かった作品」に◎を、「かなり面白かった作品」に○を、目次のタイトルの上に書き付けておくということをします。こうすることで、シリーズものを読む楽しみが増すのと、後でまた読み返した時に、「ははあ。初めて読んだあの時は、この話が面白いと思ったのか」と振り返ることができるんですね。よほど強烈な印象を持った話は別にして、とかく…
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半七捕物帳
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風(kaze)/半七老人が語る話の中から浮かび上がってくる江戸の情緒、季節感のある江戸の風情が実にいいですね。
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明治三十年前後、新聞記者をしていたわたしが、江戸幕末期に岡引きを務めていた半七老人の手柄話を聞くという体裁で事件の顛末が語られる「半七捕物帳」シリーズ。第3巻には、「雪達磨」から「一つ目小僧」までの14の話が収められています。 現代から振り返ってみればなおさら、明治の当時から見ても、怪異の不思議をすっと受け入れてしまう江戸の人たち。電灯などはまだ使われておらず、辺りが闇で満たされれば、提灯の明かりを頼りに夜道を歩くよりほかなかった江戸の人たち。江戸時代の怪談めいた話の不思議と因縁、それが事件の謎と絡まり合っている妙味。影を落としている雰囲気。半七老人が淡々と語っていく話の中から浮かび上がって…
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半七捕物帳
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風(kaze)/話の中にすっと引き込まれ、江戸の空気が立ち上ってくる味わいに魅了されます。
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江戸時代のシャーロック・ホームズこと神田三河町の岡っ引、半七。彼が関わった江戸幕末の事件を、新聞記者をしていた「わたし」が半七老人から直に聞くとというスタイルの捕物帳シリーズ。この第2巻には、第15話「鷹のゆくえ」から第27話「化け銀杏」まで、13の話が収められています。 メインの事件を半七老人が語り出す前に、話の枕として置かれている前段の部分。ここの“話のつかみ”の部分が巧いですね。その時の季節や天候、近況報告などから、実にさりげなく、話をすっと江戸の事件に持っていくところ。綺堂の押さえた筆致の旨味は、すでにこの出だしの場面から滲み出ているかのよう。実に自然な話の持って行き方、話術の巧さと…
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張込み
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風(kaze)/清張作品の旨味について思うこと
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松本清張初期の短編が八つ、収められています。表題作の「張込み」から順に、「顔」「声」「地方紙を買う女」「鬼畜」「一年半待て」「投影」「カルネアデスの舟板」。先に読んだ文春文庫の宮部みゆきセレクションの三冊、そこに収録されていた短編を除いた五つの作品を読んでみました。 とりわけ印象に残ったのは、「鬼畜」と「投影」の二作品。陰と陽とでもいった味わいが好対照なんですが、作品の根っこの部分で通じているところがあるかなあと、そんな気がします。 どこが?っていうと、「鬼畜」に出てくる三人の子供の長男と、「投影」に出てくる主人公の男。虐げられた者が鬱々として、「今に見てろよ」と怨念を抱くところ、そこに“復…
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ほうかご探偵隊
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風(kaze)/五年三組の四人組、不要物連続消失事件の謎を追う
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小学五年生の僕、藤原高時。五年三組の僕のクラスメイト、龍之介(りゅうのすけ)、吉野明里(あかり)、成見沢めぐみ。彼ら四人が、江戸川乱歩の少年探偵団のようにチームを組んで、不要物連続消失事件の謎を調べ、真相を推理していくミステリ。 消えたものは、クラスメイトが描いた絵、飼育小屋で飼っていたニワトリ、募金箱として作られたハリボテの招き猫、そして僕のたて笛のまん中の部分。なぜ、この四つの“要らないもの”が消えたのか? 犯人は一体だれなのか? 四人はあれこれと意見を出し合いながら、消失事件の謎を追って探偵活動を始めます。 四人組のリーダーとして名探偵ぶりを披露するのは、龍之介くん。小柄で、リスのよう…
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ペルシャ猫の謎
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風(kaze)/火村助教授のエピソードに、ぐっときました。
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有栖川有栖さんのミステリのなかでも、やわらかな肌触りを感じる作品が好きです。 国名シリーズの五冊目にあたる本作品集では、おしまいのエピソード風のショート・ストーリー、「猫と雨と助教授と」のあたたかな温もり、そのしっとりとした味わいがいいなと思いました。臨床犯罪学者の火村英生助教授の猫好きぶりが、親友の有栖川有栖の目を通して描かれています。話の中にそぼ降る雨音のやわらかさと、助教授の猫かわいがりぶりを見守る有栖の眼差しの優しさに、ぐっときました。 ミステリ作品として一番の読みごたえを感じたのは、「赤い帽子」かな。この作品でも雨が降っていますが、それは土砂降りの雨。叩きつけるように降る雨音と、犯…
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Q&A
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風(kaze)/あれは一体、何だったのか?話の中に潜む“魔”の不気味さに、ぞくぞくしました。
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2月11日の祝日、大型のショッピングセンターで事故が発生。死傷者、怪我人多数。一体、何が大事故の原因となったのか? その事故当時の様子と、事故の後に起きた出来事が、関係者の証言によって次第に明らかになっていく話。 話の趣向が一風変わっていて、タイトルにもあるようにQ&A形式、あるいはふたりの人物の会話によって進んでいきます。 関係者の証言、やり取りが積み上げられていくに従って、事件の全体像が垣間見えてきます。しかし、そんな大事故を引き起こした真相は何かとなると、これが容易に特定できない。そのうちに、郊外型の大店舗で起きた事故は、次第に都市伝説じみた奇怪な相貌を覗かせていくようになるのですね。…
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アガサ・クリスティー99の謎
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風(kaze)/「イングランドの秋の光」のようなアガサのミステリ。また何か読んでみようかなという気にさせられたエピソード集です。
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2003年10月から、装いも新たに刊行されてきた早川書房のクリスティー文庫、全100巻が完結しました。その最終回のうちの一冊である本書は、クリスティーという作家や彼女が残した作品、作品に登場する探偵たちに関するエピソードを質問形式でまとめたもの。【伝記的事柄】【趣味・その他】【ポアロ】【ミス・マープル】【トミーとタペンス・他】【作品全般】【戯曲・映画・テレビ】【その他】の項目に分けて、全部で99の質問と答えが掲載されています。 興味を惹かれるエピソードがいくつもありましたが、なかでも「ほおっ」と思ったのは、質問No.12「アガサがミステリを書くきっかけは?」と、質問No.47「『カーテン』出…
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二人が睦まじくいるためには
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風(kaze)/詩人のまっすくで、あたたかな言葉が胸に染みる、とても素敵な詞華集です。
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タイトルの『二人が睦まじくいるためには』は、本書の冒頭に収められた「祝婚歌」の最初の一行からとられています。 吉野弘さんの詩の花束から32編を選び、最後に、「祝婚歌」に寄せた茨木のり子さんの文章を載せて。それがポケットサイズの詞華集である本書『二人が睦まじくいるためには』です。 吉野弘さんの誠実で真摯なお人柄やあたたかくて澄んだ眼差し、それが行間から立ち上ってくるような詩だなあと、久しぶりに読み返してあらためてそう感じました。 満員電車の光景を描いて胸がぎゅっと締め付けられるような「夕焼け」もいいですし、英語を習い始めて間もない弘少年と父親との会話に切ない気持ちにさせられる「I was bo…
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