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現代マンガの冒険者たち
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ジェニファー/漫画の海をたゆたいながら
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漫画評論は比較的よく読むのだが、たまに読んでいてやるせない気持ちになることがある。批判的すぎるというのか、大上段に切り捨てているというのか、「文芸評論」と比較すると、どうも上から目線で批評しているパターンが多いような気がするのだ。そんな中にあって、個人的に一番安心かつ信用して読んでいるのが、この南信長の評論だったりする。なぜこの人の批評なら安心できるのかというと、ベタな表現だが、そこに「愛が」あるから、としか言いようがない。「好きだから紹介している」という基本スタンスが、常に明確に打ち出されているのだ。この本では漫画界全体を俯瞰する立場から解説しているので、普段の筆致に比べるとややクールではあ…
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今日の特集
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ジェニファー/マスコミの光と影
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たまに平日が休みのとき、夕方のニュースを見ていると、その内容のあまりのくだらなさに唖然とすることがある。「報道」部分はどのチャンネルもみな同じ、「特集」部分は、主婦たちの回転寿司めぐりとか、ペット大集合とか、そんなんばっか。こんなの毎日見ていたら、人間としてダメになるんじゃないか…?という恐怖に襲われる。この本の主人公はまさにその、ニュース番組の1コーナー「今日の特集」を担当している孫請け制作会社のしがないAD。取材のためにあちこち駆けずり回りつつ、横暴な上司や理解しがたい同僚に悩まされている。前半は、戸梶圭太にしては比較的まともに、マスコミの表と裏を痛烈に風刺しているのだが、後半はいつもの「…
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夕映え天使
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ジェニファー/特別じゃない「特別な一日」
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「ALWAYS」のような、ちょっとノスタルジックな味わいのある短編集。表題作の『夕映え天使』と『切符』は特に昭和の情景が色濃く感じられる作品だった。「切符」はオリンピック直前の東京を舞台に、両親の離婚で祖父と二人暮らしをする少年の目から、間借りしている夫婦の「大人の事情」を描き出す。特に背伸びをするわけでもない、年齢相応の少年もかわいらしいが、江戸っ子らしさ全開の祖父の造形がとてもいい。「老人と子ども」を主人公にすると、えてしてお涙頂戴に偏りがちなのだが、そういうオチにしなかったところも感心した。個人的に一番心に残ったのは『特別な一日』。定年退職を迎える男性が、「最後の出社日」を終えて帰宅する…
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光
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ジェニファー/暴力と復讐はつり合うか
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この本を先に読んだ姉が「暴力とセックスと復讐の話」というので、まさか阿部和重の「シンセミア」みたいな話なのか…?と怯えつつ読んだところ、出てくるキーワードは確かに似ているが、テーマが全く違っていた。津波によって島民のほぼ全員が死亡する中、生き残ったのは子どもが三人と大人が三人のみ。しかし災害直後に起きたレイプ事件により、生き残った子どもの一人が殺人を犯してしまう。秘密を共有することになった子どもたちは、二十年後に再会するのだが…。よく、被害者の遺族が加害者に対して「同じ目に遭わせてやりたい」とか、「死刑にならないんだったら、わたしが代わりに殺す」とか言うことがある。もちろん法律によってきちんと…
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ひまわりっ
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ジェニファー/副主任レジェンド
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今さらギャグマンガで笑えると思っていなかった。年齢的に、もうギャグマンガなんて読んで笑っている場合じゃないかも…とたそがれていた。しかしついに、「求めていたのはこういう本なんだよおお!」と心から叫べるものに出会ってしまったのだ! それがこの「ひまわりっ」である。なんだか大げさだけれども…。ストーリー的には、コールセンターでOLをしながら少女マンガを描いている主人公アキコを中心に、会社の同僚やアキコの家族たちが繰り広げるドタバタコメディである。サブタイトルが「健一レジェンド」とある通り、最初の頃は主人公の父親「健一」の、常識でははかりしれない行動がメインだった。しかし段々サブキャラが出張ってきて…
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ほしのはじまり
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ジェニファー/見つめていたのは未来だけではない
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「星新一 1001話をつくった人」を読んで、もう一度星新一を読み返したいと思ったのだが、1001作に及ぶその著作のどこから手をつければよいかわからず、しばし呆然としていたところ、この本を発見。早速読んでみた。新井素子が選者ということだが、だれが選んだとしても必ず入りそうなスタンダードな作品が多く、どんな読者にも楽しめる内容になっている。しかし、こうして並べてみると、改めてそのシニカルな視点に驚かされる。あとがきで新井素子自身が言っているように、たまたま新井素子が選んだものがそういうラインナップだったということもあるのだろうが、それにしてもここまで客観的に社会を見つめられる人というのも珍しいので…
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群青学舎
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ジェニファー/期待が雪だるま式に膨れ上がるマンガ
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好きなマンガの新刊というのは、いつも期待と不安でドキドキする。「一体今度はどんな展開なのか」という期待と、「もしかしたら、今回は期待を裏切られるかもしれない」という不安と。私もいい加減かなりの数のマンガを読んできているので、それがどんなに好きな作者であっても、期待を裏切られる日は必ず来るということがわかっている。それでもやっぱり期待と不安を抱いてしまうのだ。この「群青学舎」は、そんな中でも常に「期待以上」を打ち出してくれる、稀有なマンガだと思う。この3巻も、私の期待を超えるすばらしい内容だった。特に私の心に残っているのは、「薄明」という中篇である。読書に取り憑かれている病弱な少年と、それを見守…
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説得
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ジェニファー/自分の気持ちか周囲の理解か
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オースティンの作品を読んで驚くのは、二百年も前の話にも関わらず、人間の心情が基本的なところではほとんど変わらない、ということである。すでに婚期を逃しているアンには、かつて婚約していた相手がいた。しかし、彼はまだそれなりの財産を持っておらず、それを心配した周囲の人々の反対により、婚約を解消せざるをえなかった。そして時は流れ、ほんの偶然からアンとかつての婚約者ウェントワースが再会するのだが、すでに美しさの盛りを過ぎてしまったアンは、ウェントワースの心を取り戻す自信がなく…。これって、今でも非常によくあるパターンではなかろうか。本人たちは気持ちのままに突っ走ろうとするのだが、周囲が「まだ若い」とか「…
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一音入魂!全日本吹奏楽コンクール名曲・名演50
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ジェニファー/普門館は吹奏楽の甲子園
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テレビ番組「笑ってコラえて」で、一躍メジャーとなった吹奏楽。「普門館は吹奏楽の甲子園」というのもすでに一般常識になっているようだ。 中学時代、吹奏楽に熱中していた私にとってはちと照れくさいというか、「実際はもっと地味な世界なんだけどな…」という気がしないでもないが、ともあれ、このように注目されるのは決して悪いことではないと思う。 この本は、これまで全日本吹奏楽コンクールで演奏された曲目と、特に名演だった演奏を学校名を挙げて紹介している、なかなかユニークな試みの本である。音楽には好き嫌いというものがあって、誰かが「この演奏はすばらしい!」と絶賛していても、他の人にとってはそうでなかったりもするの…
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マンスフィールド・パーク
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ジェニファー/幸福な結婚って?
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「エマ」「高慢と偏見」「分別と多感」を読んでしまって、他にジェイン・オースティンの本はないのかと思っていたら、まだあった! 上記の三冊ほどは有名ではないが、個人的には好きな「孤児もの」。いや、実際は孤児とは違うのだが。 きょうだいが多すぎるという経済的な理由から、裕福な伯母の家に引き取られることになったファニー。伯母の家の娘たちと同列には扱ってもらえないものの、従兄弟の心遣いのおかげで優しい娘に育った彼女が、従姉妹たちの恋模様に巻き込まれつつ、自分の幸せを見つけるというお話。 映画化もされた作品に比べると、確かに地味な印象はぬぐえないが、このファニーが健気で健気で…。「周囲から誤解されて孤立し…
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ひとりと一匹
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ジェニファー/富士丸ファンがここにも一人
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最近、ペットブログを見るようになった。とは言っても、猫の「はっちゃん」ブログと、この「富士丸な日々」だけなのだが。「はっちゃん」は、うちにも猫がいるので、「くそう〜うちの猫よりもかわいいぜ〜」とちょっと唸りながら見ているのだが、「富士丸」は邪心なく、「かわいい〜かわいい〜」とミーハー(死語)な女子高生のような気持ちで見ている。「ひとりと一匹」は、富士丸と作者の出会いからこれまでを書き下ろした一冊である。ペットを飼っている人間の宿命なのだが、ペットがかわいければかわいいほど、「この子が死んだらどうしよう…」と不安になる。普通ならばやっぱりペットの方が寿命が短いので、どんなに努力しても、十数年で否…
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群青学舎
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ジェニファー/懐かしい匂いのするマンガ
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洗練された描線のマンガが溢れている現代にあって、画力はあるのだがやや垢抜けない絵柄のマンガである。そこから描き出される物語もまた、洗練というのとは違う、「マンガ」のエキスのめちゃくちゃ濃いところを抽出した、という印象。そこがもう、なんとも言えずに「いい」のだ! 久しぶりに、マンガをよんでワクワクした。ドキドキしたり、ハラハラしたりするマンガは結構あるのだが、このワクワク感にはずいぶんと長い間ご無沙汰していたような気がする。一編ずつ、まったく相互に関係のない独立した短編集なのだが、「次はどんな話なんだろう?」「今度の登場人物は一体どんな人物なんだろう?」と、とにかくワクワクしっぱなし。そしてそれ…
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エマ
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ジェニファー/萌えではないメイド
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いつのまにやら、メイド=萌え〜という図式ができあがり、表紙がメイドだというだけで、このマンガも敬遠されかねない雰囲気があるが、実際この中身は「萌え」などという軽々しいものではなくて、かなり正統派のラブロマンス。とある未亡人のもとでメイドとして働くエマと、爵位は持たないがジェントリ(上流階級)の御曹司として将来を期待されるウィリアム・ジョーンズの、禁断の恋模様である。「身分」というものの差が、現代からは想像もつかないような障害だった時代に、この二人がどんな道を選ぶのか、本編連載中はかなりハラハラしながら見守っていた。ヴィクトリア朝イギリスをかなり忠実に描きつつ、二人の行く末にもある意味現実的な着…
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焼身
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ジェニファー/非暴力という力
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ベトナム戦争当時、抗議の意味を込めて焼身自殺をしたベトナムの僧がいた。9・11テロをきっかけに、その僧の足跡を辿った旅の記録。限りなくノンフィクションに近い小説として読んだのだが、どこまで真実かはよくわからない。しかし、抗議の焼身自殺をした僧の写真は、私自身も見た記憶があるし、おそらく誰もが一度は目にしたことがあるのではないだろうか。炎の中でひたすら端座する僧の姿は、見る者にかなりの衝撃を与える。当時を知る人たちに、その僧(文中ではX師)について地道に取材していく過程が綴られているのだが、不思議なことに、まったくX師の実像が見えてこない。はっきりしているのは、ベトナム戦争への抗議として捉えられ…
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不細工な友情
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ジェニファー/美しくなくても友情は友情
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実は結構、光浦靖子が好きな私。テレビ番組などで光浦がイジめられていると、ついつい同情してしまう。たぶん、顔が私の姉に似ているせいだと思う。姉に言ったら殺されそうだが。昨日も新聞で光浦靖子の写真を見て、「うちの姉が新聞に載ってる!」と一瞬驚いた。実はこの本も、姉が「読み終わったからあげる」と言ってくれたものなのだった。自分でもシンパシーを感じていたのだろうか…?この本は、お笑い芸人オアシズの二人、光浦靖子と大久保佳代子の往復メールを単行本化したもの。前半は無理に笑いをとろうという下心が見え隠れしていたが、後半になってくると、もっと素の自分をさらけ出している感じがして、かえって面白かった。この二人…
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長い長いさんぽ
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ジェニファー/生きていくニャン太と私
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猫は大嫌いだった。飼うなら断然、猫より犬だと思っていたし、猫を飼っている自分など想像もできなかった。なので、ある日突然「ネズミ対策」とか言って、母親が猫(すでに子猫ではなかった)を連れて帰ってきたときには、当然めちゃくちゃ怒ったし、「絶対に面倒見ないからね!」と宣言して、実際そうするつもりだった。…のだが。今では一瞬でもニャン太の姿が見えないと不安になり、家族中に「ニャン太は?」と尋ねる始末。目の前にいると、呼び寄せて自分のお腹の上に乗せる。冬なら一緒の布団で寝る。いつのまにやら、「猫好き」と称してはばからない自分がいる。そしてニャン太の顔をじっと見ながら、「あと何年こうしていられるだろう」と…
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盗神伝
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ジェニファー/大人に読んで欲しい児童ファンタジー
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このシリーズは全部で五冊刊行されているのだが、内容的には三部に分かれている。主人公の盗人ジェンの視点から描かれる痛快な冒険ファンタジーの第一部と、がらりと雰囲気が変わって、三人称で描かれるジェンと敵国アトリアの王女をめぐる物語の第二部、そしてジェンがアトリアの王となって苦戦する第三部である。作品ごとにまったく作風ががらりと変わるのに、読者はちょっと戸惑うかもしれない。 第一部ではひたすら明るく、無敵で、無鉄砲で、しかし非常に知恵の回る少年だったジェンが、よりによって自分の手首を切り落とした女王と結婚することになる。そのあたりの心の機微は、子どもの読者には難しいかもしれないが、大人の読者である私…
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東京ライオット
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ジェニファー/足立区の悲哀
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とうとう来たか、この日が。私の住む足立区が、戸梶圭太の標的になる日が。常々、日本の「激安人間たち」を完膚なきまでに叩きのめしてきた戸梶圭太が、東京都でもっとも安い「足立区」に目をつけない訳がなかった。しかも、綾瀬というめちゃくちゃ微妙な土地をチョイス。うーんリアル。東京出身ではない人に「足立区に住んでるんですよ」と言うと、大概「へえ〜下町でいいじゃない」などと言われる。しかし!足立区は断じて下町なんていいものではない!単に東京都における田舎なのだ!この本では、足立区綾瀬に超高級マンションが完成し、そこに住むセレブ階級の人々と、地元に住む有象無象の輩との激しくも馬鹿馬鹿しい攻防が描かれているのだ…
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文芸漫談
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ジェニファー/奥泉光がボケていとうせいこうがツッコむ
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奥泉光は私の好きな小説ベスト10に入る「鳥類学者のファンタジア」の作者であり、いとうせいこうもかつては「ワールズ・エンド・ガーデン」「解体屋外伝」(今気づいたが、この二冊はもしかして韻を踏んでいるのだろうか?)などの小説を書いていた。二人とも好きな作家だったのでこの本を手にしてみたのだが、漫談というだけあって、笑いがふんだんに盛り込まれた、非常に楽しい本だった。 もちろん文芸論でもあるので、真面目に語る部分もある。私の半端な理解によると、たぶん二人が言いたかったのは、「小説」とは何か、そして「作家は何を書くべきか」という問題なんだと思う。今までことさらに「小説って何だろう?」などと哲学的に考…
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沼地のある森を抜けて
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ジェニファー/ぬか床のぬくもり
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叔母の死をきっかけに「家宝」のぬか床を託された独身の女性が、そのぬか床をかき回しているうちに、あるはずのない「たまご」をその中に発見するところから始まり、「菌」と「生命」をめぐる不可思議な世界が展開されていく。前代未聞の「ぬか床小説」である。 一昔前の日本なら一家に一つはぬか床があったのかもしれないが、とにかく手入れが面倒くさいし、スーパーに行けば日本全国の漬物が手に入るので、最近では持っている人も少ないんじゃないだろうか。かく言う私の家には、祖母が丹精してきたぬか床が存在する。もちろん「家宝」でも「先祖伝来」でもない、ごく普通のぬか床である。祖母は腰を悪くして、半分寝たきりの状態なのだが、…
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魔王
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ジェニファー/21世紀日本を生きるための必読書
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友人たちに「この本面白いから読んでみて!」と薦めたくなる本はよくある。しかし、この「魔王」という作品ほど、切実な意味で「絶対に多くの人に読んでもらいたい」と思った本はない。 ここには連作二編が収められていて、表題作の「魔王」では、一人の政治家によって変えられようとしている日本に激しい危機感を抱き孤独な闘いを挑もうとする兄を、そしてもう一編の「呼吸」では、兄とはまた別の闘い方でこの流れを食い止めようとする弟を描く。…が、こんなあらすじでは、この作品の本質を語ったことにはならないだろう。 先日の選挙では自民党が大勝利をおさめた。あまりにもタイムリーすぎて、この作品の意図をいろいろと深読みしてしま…
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『恐怖の報酬』日記
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ジェニファー/作者と読者の共通点
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人が「作家では○○が好き」と言うとき、「○○の作品が好き」という場合と、「人間として好き」という場合の2パターンがあると思う。もちろん大概は両方を含めての「好き」な訳だが、私はどちらかというと後者の方のニュアンスが強いらしい。どんなに作品が素晴らしくても、人間としての相性が合わないなと思うともう作品も読む気になれない。そういう意味で言うと、恩田陸は両方含めて「好き」と言える、私にとっては稀有な存在である。別に個人的に知り合いな訳では決してないのだが、小説やエッセイを読んで、恩田陸の価値観が自分と非常に近いのではないかと思っていた。そしてこの「恐怖の報酬日記」を読んで、それは確信に変わった。わ、…
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