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女医裏物語 女医裏物語
PNU/知られざる(?)病院と医学部の世界へようこそ!
 ビーケーワンをご覧のみなさま、こんにちは。著者の通称PNUこと、神薫です。 本書では、人体の神秘と忘れ得ぬ人々、衝撃を受けた実習の数々に夜間当直医事件簿、私の見聞きした名医・迷医伝を紹介しています。 裏と申しましても医学部裏口入学や不祥事の話ではありません。本当にあったトホホなお話と、ホロリとくるお話をギュッと詰め込んだ一冊です。医療系エッセイのお好きな方、医学部に興味のある方、どうぞお見逃しなく。 カバー挿画は漫画家にしてイラストレーターでもあられるTAGRO先生です。 本書によって医師や病院に親しみを感じていただけたら、たいへんうれしく思います。  全文読む

最後の一球 最後の一球
PNU/努力が奇跡を起こすミステリー
 御手洗と石岡のもとを相談に訪れた青年。そこからリンクしていく途方もない物語は、まさに島荘節と呼びたくなるダイナミックな味わいを持っている。 最初はタイトルやカバー画からバリバリの球界ミステリかと思い、野球に興味ない私が読みこなせるか不安に感じたのだけれど、読み始めれば杞憂だった。多少最近の作品が薄味だったり強引な面があろうとも、やはりこのお方は凡百の小説家の及ばぬレヴェルのページターナーなのである。 読み終えて、これは御手洗シリーズでなくとも成立する話だな、と思ったけれど、最初の奇妙なテイスト、そしてラストの爽快さはやはり御手洗の存在あってこそなのかもしれない。 内容は地味に感じられるかもし…  全文読む 評価する

銃とチョコレート 銃とチョコレート
PNU/大人だって、冒険したい。
 貧しい移民の子・リンツは探偵ロイズに憧れていたが、偶然に怪盗ゴディバに迫る品を手に入れ捜査に協力することに。 講談社ミステリーランドの一冊。最初はありがちなお子様向けかと危うく思い込むところだった。なんてエキサイティングな展開なのだろうか! そして悪ガキのドゥバイヨルにリンツが虐められるシーンには背筋寒くなるほど。さすが「死にぞこないの青」などの壮絶なイジメられ小説の著者だけはある。キャラ立ちも相当なもので、一読しただけで一生涯忘れられなそうな人物目白押しだ。 私は今まで発行されたミステリーランドを全巻読んでおり、胸揺さぶる筋立ての島田荘司「透明人間の納屋」、妖美さが印象的な篠田真由美「魔女…  全文読む 評価する

帝都衛星軌道 帝都衛星軌道
PNU/バリバリ社会派、しっかりエンタメ
風変わりな誘拐を描く表題作前後編と「ジャングルの虫たち」の三編を収録するミステリー作品集。 これは社会派プチ・トンデモサスペンスというのか、純愛小説というのか、ネタバレそうで多くは語れないが、とにかく壮絶な奇想が結集した書物であるのは間違いない。あの誘拐事件がこんな結末を迎えるなんて。そして前後編の間に挿入されたあの中編にも、意味のないわけがなかった。あれとこれがああつながるとは?!驚きに打たれる。そう、全てはタイトルに堂々と示されていたのだ! 著者のファンならば既読のはずの「××事件」を彷彿とさせる事件がフィクションとして解決されたり、吉敷シリーズを思わせる真面目な刑事たちの苦悩と、男の理解…  全文読む 評価する

怪盗グリフィン、絶体絶命 怪盗グリフィン、絶体絶命
PNU/怪盗グリフィン、めくるめく冒険!
 盗まれた物を、盗み返して正当な持ち主へ返す「怪盗グリフィン」であるジャックは、おかしな手紙を受け取る。それが全ての始まりだった…。 講談社ミステリーランドの1冊。これがツカミから抜群、わくわくのストーリーなのだ。同時期に出た「びっくり館の殺人」が私の苦手なそんなムードだったので、こちらももしそうだったらどうしよう…と思ったのだが、読み終えてみれば大人も納得の真相であった。 読み応えのあるテイストはそのままに、重すぎずライトすぎずの雰囲気も好ましい。アンソニー・ホロヴィッツの少年スパイシリーズや、スパイ映画007シリーズの好きな人にはたまらない小粋な作品だと思う。めくるめく、騙し騙されの世界を…  全文読む 評価する

チーム・バチスタの栄光 チーム・バチスタの栄光
PNU/大学病院に息づく魅力的な人々
 東城大学病院の万年講師・田口はいきなり病院長に呼び出され、病院のエース「チーム・バチスタ」の術中死調査を依頼される。これは事故か、それとも殺人なのか?! 『このミステリーがすごい!』大賞受賞作だが、実に完成度の高い作品。 出世には縁がないが、心には正義の灯ともす主人公・田口には素直に好感が持てるし、食えない高崎病院長を始めとして脇役一人ひとりに至るまで味があるのだ。キャラ立ちのみに終わらず、プロットも見事である。前半・後半で聞き取りが繰り返されるのを単調と観る書評家もあるが、私は質問者により表れ出でるペルソナの変化に目をみはったので退屈は感じなかった。 なによりすごいのが、大学病院に息づく魅…  全文読む 評価する

ちぇりあい ちぇりあい
PNU/近未来、童貞ブーム到来!?
 変人医学者の亀山田は、成人童貞から有用物質が分泌されていることを突き止める。一方、亀山田の宿命のライバル医学者・鳴滝は、研究成果を横取りしようと画策するが…近未来医学ドーテイサスペンス…かもしれない。 単行本帯の惹句から、「あの橋の向こうに」みたいな恋愛モドキ・ストーリーかなぁと思っていたら、予想は見事に裏切られた(それで良かったのか悪かったのか…)。医学者同士の不気味な対立は面白いし、オタク一人ひとりの激安生態グラフィティとしても楽しめるが、後半の怒涛の展開は読み手を選ぶだろう。この暴走ぶりは、ある意味いつものトカジらしいと言えなくもない。「さくらインテリーズ」「天才パイレーツ」しかりであ…  全文読む 評価する

スコープ少年の不思議な旅 スコープ少年の不思議な旅
PNU/スコープ少年少女のススメ
 手のひらに乗るほど小さな箱の中に広がる無限の世界。写真とイメージ文からなる作品集。 私は最初勘違いしていて、これらは現実の風景を魚眼レンズを通して撮影したのだと思っていた。読んで驚いたのだが、この迫真に迫った風景は、人の手によって造られたものだというのだ。なんだろう、このリアリティは?!しかもスコープの、光を照らす窓を変えると見える世界は昼から夜になったりするのだ。それも単純な昼夜だけではなく、まだ霞がかった朝や、紅美しい夕暮れ時までが表現可能だったりする。 こんな小さな箱が、世界を内包するなんて。素敵だ。それはミニチュアのジオラマや箱庭に似ていなくもないが、箱の中に介入出来ず覗きこみ眺める…  全文読む 評価する

都筑道夫少年小説コレクション 都筑道夫少年小説コレクション
PNU/わくわくのレトロミステリー
エッセイ・皆川博子、解説・日下三蔵と豪華な1冊。 おばけ博士こと和木俊一は、奇妙な現象を調査していた。それは、科学的に怪奇現象を解明するためで…迷信におちいりがちな小学生の頭を科学的に啓蒙してくれる、痛快ジュブナイル・ミステリー。 おどろおどろしさは江戸川乱歩の少年ものにも通じるものがあるけれど、こちらは(フリークス趣味が薄いぶん?)もう少しライトなノリで楽しませてくれる。子供向けとはいえど、奇怪な謎と論理的な解明には手抜きが見られず、大人だって充分に楽しめる本格ミステリだ。こういう、眠れる良書が新装版で入手可能になることはたいへんに喜ばしいと思う。解説では、掲載当時の味わい深い挿絵が載ってい…  全文読む 評価する

チョッちゃん チョッちゃん
PNU/可愛いよ、チョッちゃん。
 毛が抜け、みすぼらしくやせさらばえたメスの野良犬。どうやら彼女には、子犬がいるらしいのだが?動物好きの一家が、野良だった母犬と心通わせた感動のノンフィクション。 私はどうやら意地っ張りというか天の邪鬼なところがあって、世間が‘感動’とか‘泣ける’などと言うとわざとそういうたぐいの本は読まぬよう避けてきたのだった。なのになぜこのベストセラーの感動本を手に取ったかと言えば、私がそういう性質をも凌駕する程の犬好きだったからに他ならない。 表紙カバーの写真で、仲良さげに寄り添う二匹の老犬。それに惹きつけられ、手に取ったのが年貢の納め時、事実に基づいて書かれた本書は、私の感動のツボを押しまくる1冊であ…  全文読む 評価する

アムールヒョウが絶滅する日 アムールヒョウが絶滅する日
PNU/アムールヒョウは、絶滅してしまうのか?
あのジャイアントパンダよりも少なく、今にも絶滅しそうな動物がいる…それはアムールヒョウ。保護する人々の努力と、この美しい生物の生態を探るノンフィクション。 ロシアで取材中の著者(TVディレクター)が、ふと出会ったアムールヒョウの剥製に魅せられ、ヒョウの映像を撮ろうと努力するさまが圧巻。寒さ厳しいロシアの大自然での撮影過程がユーモラスなだけに、その後語られるアムールヒョウの危機的状況が胸にせまる。人類の繁栄のためなら、動物が一種滅ぶくらいが何事かという意見があることは知っている。けれど、人間によって棲みかを追われ、絶滅の危機に瀕している動物を見て、心痛めずにはいられないのもまた人間である。 巻末…  全文読む 評価する

スカジャン スカジャン
PNU/古く新しいスカジャン
 米軍基地へスーベニアジャケットとして売られたジャンパーが、スカジャンとして親しまれるようになるまでのヒストリーと、豊富なスカジャンの柄を美麗なフルカラー写真で紹介するムック。ヴィンテージもの多数。 私はミリタリーマニアではないし、スカジャンを一着も持っていない。ただ刺繍が好きなので、スカジャンの柄を見ようと手に取った本書だったが、戦後日本の知恵が感じられて感動的であった。裏表で柄が違ったり、また柄が呼応していたりするのも見所。私は竜や鷲もよいけれど、シロクマやハスキー犬の柄が可愛くて好き。ブルータイガーの配色の美しさなどはためいきが出るほど。p.s.「Joe」が刺繍で「ヂョー」になっているの…  全文読む 評価する

オシムの言葉 オシムの言葉
PNU/だからオシムは面白い。
 ジェフ・ユナイテッド市原千葉の監督を務めるイビツァ・オシムの半生を綴るノンフィクション。 予算のないチームが名将を得ていかに躍進したか、戦術的なことや選手の証言も加えつつ振り返る。オシム監督のことをろくに知らなかったミーハーJリーグファンの私は、[オシム?ああ面白い禅問答みたいなこと言う人ね]程度の認識しか無かった。この本を読んで認識が変わった。これほどの、素晴らしいサッカー戦歴を持った監督だとはしらなんだ。そしてあの煙にまくごとき発言も、ワケがあったとは…驚きの連続だった。 ただ、2004年に村井選手・茶野選手というジェフの有力選手を引き抜いたジュビロ磐田(私のひいきチームである)は、本書…  全文読む 評価する

角
PNU/にこにこ、どきどき、そして涙
一夜にして頭に角がはえてしまった校閲者の麻起子。切るのも怖いし、どうしたものか…彼氏に相談するが信じてもらえず?! ツカミ抜群!いきなり頭から鬼のような角を生やしてしまったうら若き乙女の運命やいかに!である。校閲・編集の、やや地味な世界を飽きさせず読ませるために「角」という超自然的な物体を持ち込んだのかな?と最初こそは邪推したが、同僚や小説家・編集者の濃くも憎めない人柄がわかってくるうち角の設定も効いてきて、ぐいぐいとひきこまれた。 やや水木しげるテイストの、文学ちっくなラストもナイス。どこかユーモラスなのに、そこはかとなくただよう悲しみがたまらない。  全文読む 評価する

ネコソギラジカル ネコソギラジカル
PNU/この、ラストにやられた。
 狐面の男とふたたびあいまみえる「ぼく」こと戯言遣い、いーちゃん。赤き制裁vs橙なる種、の決着もついて、戯言シリーズ堂々のフィナーレ! こ、こ、このラストはぁーっ!ファンにはグゥの音も出ないカンペキなラストなわけで…いやぁ心憎い。今までの残酷さはなんだったのか、というようなオチに呆然、なのだった。 今まで読んできて、それは人殺しすぎなんじゃないのとか、ヒロインの言葉遣いが頭痛くなってついていけませんとか、いーちゃんのドライかと思うと瞬間湯沸かしブチ切れる性格がワケわかりませんとか、数々のなぜ、ナゼ、何故?!をかかえつつ突き進んだシリーズ、好きなキャラが惨死したりした時は読むのやめようかと思った…  全文読む 評価する

摩天楼の怪人 摩天楼の怪人
PNU/名探偵・御手洗潔
 病床につく大女優ジョディ・サリナスは昔犯した犯罪を告白した…しかし、それは不可能犯罪。だからこそ、ジョディは容疑を免れていたのだった。ミタライはこの謎を解けるのか! 美麗なカラー挿画付きの豪華な本格ミステリである。著者「後書き」もあり製作過程やネタ元が知れて面白いのだが、ネタバレしないよう最初から順序よく読むのがおすすめ。 ようやく、「ネジ式ザゼツキー」以来ようやくの御手洗潔復活である。いちおうシリーズとしては石岡君が活躍する「龍臥亭幻想」が出てはいたのだが、こちらではどうも作中世界にのれなかったのである(それは私がカズミストではなくミタライアンのせいだけではないはずだ)。 それが本作では違…  全文読む 評価する

精神科ER 精神科ER
PNU/ひとはせつなく、いとしい。
自殺企図、昏迷状態…精神科に運ばれてくる救急患者との関わりを通して、人生を見つめてゆくノンフィクション。 治療を要する人からそうではない人まで、症状が病変という目に見えるカタチでは現れない精神科疾患ゆえに、医師の判断責任が増大するのだろうと想像した。本書は一般向けの啓蒙的読み物として書かれ、精神科救急とはどんなところで、どういう疾患を扱うのか…そして精神科に初診でかかると(または家族をつれて行くと)どんな感じかを知りたい向きには重宝な1冊であると思う。用語解説もコラムとして付いている。個々のケースには哀切きわまるものあり、肝胆さむからしめるものあり、また逆に心温まるものもあってまさに人生いろい…  全文読む 評価する

「超」怖い話クロス 「超」怖い話クロス
PNU/おそるべき、実話の力
かつてケイブンシャから出版されていた伝説の「チョーコワ」に、新たなる14編もの新作書き下ろしを加えての復活である。 ケイブンシャ版「「超」怖い話」を持っている私だったが、書き下ろしがあるとあっては買わないわけにはいかない。そして、新作の出来は期待通りであった。旧作に負けず劣らず、ファンタジックにして背筋なぶる話が目白押しである。怪談好きならば、これを見逃す手はない! そしてひさびさに読み返すことになった旧作も、これまた上質で静かな違和感と不思議に満ちていて、やはり「チョーコワ」はすごかった、と感じ入った次第。p.s.あとがきもたいへんに面白かった。新作がたまった暁には、続編をぜひ…!  全文読む 評価する

七悪魔の旅 七悪魔の旅
PNU/とぼけた味わいの、愛すべき悪魔ものがたり
七つの大罪を象徴する悪魔、ルシフェル・サタン・アスモデウス・マンモン・レヴィヤタン・ベルゼブル・ベルフェゴールらは大魔王の命令で時空を超え、ターゲットを罪に陥れる旅に出た…。 オカルトファンならおなじみの悪魔たちがぞろぞろと出て来て、楽しい作品だ。現代でも物語が古びていないところもすごい。 良いのが悪魔のキャラが立っているところ。美しく誇り高いルシフェル、怒りっぽいサタン、呆れるほど眠りこけているベルフェゴール…etc.彼らが自らの特性を駆使し人間を堕落させていく様子から目が離せなくなってしまった。読者としては当然人間たちが負けぬよう応援すべきなのだろうが、この悪魔たちがあまりにユーモラスで人…  全文読む 評価する

サージウスの死神 サージウスの死神
PNU/吹きだす青色の炎
デザイナーの華田は、ある時ビルから投身自殺する男と目があってしまう。以来、彼の生活は一変した…。 初めて読む作家だが、これはたいしたものだ!平山夢明・灰崎抗のような闇色に輝く作家、怪奇幻想小説が好きならば見逃す手は無い1冊!! 五感に訴えかける超常能力の描写が映像的で総毛立った。内容はというと、華田という男の範型2mの日常になるのだろうが、悪夢のようなピースがちりばめられていて、飽きることがない。エスカレートしていく暴力やスプラッタがドラッグ中毒者の幻想のごとくサイケデリックになっていったり、生と死と人類の影なる歴史までにおわせたり、壮大ながらきちんと着地するところが素敵だ。 新人とは思えぬ異…  全文読む 評価する

AMEBIC AMEBIC
PNU/どこまでとんがる、金原ひとみ?
本作「AMEBIC」の主人公は、働かなくても充分な金を持っているが、文筆業についており、エッセイなどを書いて収入を得ている。そして潔癖なほどに、食事を醜く感じる性質を持つ若い女性である。ここまで見てくると、どうしても著者・金原ひとみのイメージがちらついてしまう。「アッシュベイビー」はともかく、「蛇にピアス」では大きなピアスをマスコミにさらし、ピアスにこだわるヒロインとの共通イメージを強調してみせた金原ひとみ…今回のこれはワザと、作家とヒロインのイメージ融合を狙っているのだろうか。 さて「AMEBIC」、読んでいる最中はあまり面白いとは思わなかった。ヒロインの関知しないところで書かれる「錯文」は…  全文読む 評価する

スモールトーク スモールトーク
PNU/車、男、人生
6つの恋愛&車連作短編と、6つのエッセイ、そして徳大寺有恒とのクルマ対談を収録。 前々から車と音楽にかけては目利きと見込んでいた作家さんなので、クルマ本が出たことがとにかくうれしい。 小説仕立ての部分であるが、ヒロインの元彼が、クルマ好きなヒロインの気をひくためと自分の趣味を兼ねて、毎回新たなクルマで登場するのである。しかも初回はなんと…あのタスカンなのだ!!車の選定が毎度絶妙で、それだけでも楽しい。そして著者独特のドライヴ感やフェイスの描写がまた光っている。恋愛(…というより旧友っぽい男女関係だが)の部分はなんだかピンと来ないまま読み終えてしまったが、車描写が素晴らしく面白かった。  全文読む 評価する

「超」怖い話Ζ 「超」怖い話Ζ
PNU/怪談ジャンキー御用達…真夏には、やはりコレ!
日本最恐を誇る実話怪談集、2005年真夏を冷ます傑作目白押しで堂々登場!ううううん、毎回すばらしいっ!何が良いかって、じわじわとしのびよる厭な何か、グロテスクの衝撃、民話のような不可思議な訓話、SFファンタジーとも読める奇想天外な物語…がぎっしり詰まって輝きを放つところ。 怪談シリーズは巻を重ねるにつれマンネリ化や内容の薄さが気になることが多いが、2005年にめでたく完結した「新耳袋」全十夜のシリーズと、本シリーズだけは毎回バリバリにトバしていて楽しませてくれる。** 実話怪談は二度楽しめる。一度目は、完全な創作掌編集として信じないで読む。かなり面白い。二度目は、本当に起きたこととして、もし自…  全文読む 評価する

アゴールニンズ アゴールニンズ
PNU/恋して悩んで戦って…
ヴィクトリア朝を模した世界。ただし、出てくるのは全て竜である。ヴィクトリア時代っぽい身分制と宗教観を持つドラゴン・ワールド「ティアマト国」。父の死に、うら若きドラゴンの姉妹・セレンドラとヘイナーはそれぞれ違う家に引き取られていく。互いに苦労しつつ、相手を思いやる姉妹の運命やいかに?ドラゴンにとことんこだわった作りで、人物紹介も登場「竜物」紹介になっているくらい。竜ばかりとはいえ、家族を思う気持ちや恋心は人間と変わらず熱いのだ。ただ…ちょっぴり習慣が違うくらいで。 ヴィクトリア朝には思い入れや興味がない私だったが、読み進めればキャラクターの魅力ですいすいと作中世界に引きこまれていった。物語の中心…  全文読む 評価する

死体はみんな生きている 死体はみんな生きている
PNU/コンポストは興味がある。製造工程を考えず、結果だけを見れば、であるが。
みんなが知ってる火葬、土葬以外に、遺体がたどる道はあるのだろうか。あるのだ。しかも、解剖の献体・医学標本以外の想像もつかない選択肢が…。 著者が体当たりで取材をこなすスゴい1冊。巻末の資料文献一覧を見ればわかるが、膨大な論文などから死体の歴史を丁寧に掘り起こしていて興味深い。 そして紙上で終わらず、著者は現場に出掛けていく。五感を駆使して、その場所でなにが起こっているかを、若干のブラック・ユーモアを適度に交えながら詳細に記述していくのだ。死を隠蔽する文化に育った日本人には、著者のユーモアや容赦なき事実の記載が不謹慎に思えるかもしれない。しかし、著者は両親の遺体をはじめとして、遺体に敬意をはらっ…  全文読む 評価する

ヴィーナス・プラスX ヴィーナス・プラスX
PNU/目が覚めると、一面銀色の空が…
目覚めたそこは、奇妙な人々のいる異世界「レダム」だった。チャーリー・ジョンズはレダム人から彼らのことを学ぶようたのまれるが…。 導入がいい。現代人チャーリー・ジョンズがいきなり目を覚ましたら奇怪な世界にいるのである。直線ではなく曲線で構成された建物、そして銀色の空。その世界レダムで、レダム人からレダムを学んでくれるようお願いされたチャーリー・ジョンズとともに読者はレダム世界を見学して歩くことになる。SFは現実とは異なる世界観を飲み込むまでに時間を要することが多いが、本書でははじめからチャーリー・ジョンズは異分子なので、彼と一緒にまっさらな気持ちでレダムを学べるところが巧い。 男女性別なき人々が…  全文読む 評価する

新耳袋 新耳袋
PNU/堂々の完結、そして…
怪談の名作シリーズ・新耳袋も本作でついに完結!メディアファクトリー版から追いかけた私だが、感無量である。 読んで思ったこと。す・ば・ら・し・い!不可思議な話から心温まる話、そして正統派背筋凍る怪異まで、ヴァリエーション豊かな内容は10冊目の本書でも全く劣らず、マンネリズムにも縁がない。構成もすてきで、既刊と円環をなすさまなど見事の一言。そう、この世に人のあるかぎり、恐怖体験は続く。怪異は決して終わらないのである。 「新耳袋」は完結したが、怪異談はこれからも集めてゆかれるとのこと。さらなる、新たなる幽&怪との素敵な出会いを思うと今からワクワクしてしまう。新シリーズの刊行を鶴首して待ちたい。  全文読む 評価する

告白 告白
PNU/ああ、おもろ。
河内十人斬りを起こすに至った熊太郎の人生を幼少より丹念に書き起こす! 内面描写がリアルかつすさまじい衝撃の文学。 かのクラシックミステリ「八つ墓村」の元ネタである岡山三十人殺しは知っていたけれど、寡聞にして河内十人斬りは知らぬ私であった。こんな事件が実在し、河内音頭にまで唄われているとは。なんだかマザー・グーズになったリジー・ボーデン事件みたいね。 この河内十人斬り、動機だけから見ると金と女というまことに陳腐なありふれた理由で起こったらしいのだが、それが町田康の手にかかればあら不思議、高等な頭脳を持ちながら肉体礼賛主義の農村に生まれ落ちてしまった男の孤独と苦悩がこれでもかと読者の胸にせまるでは…  全文読む 評価する

泣かない女はいない 泣かない女はいない
PNU/まじめな女にカンパイ
女ひとり、恋したり失望したり、でも生きていく。そんな短編2編および、掌編1編を収録。 「泣かない女はいない」睦美は同じ会社の桶川さんになんとなく好感をいだく。 睦美のこのなんというのか、大人になりきれぬ夢見るぼんやりさ加減にはすごく共感してしまった。たとえば通勤路途中にあるキン肉マンの落書き。いくらそれが上手かろうと、ふつうの大人はそんなものしげしげとは見ないものである。ところが睦美は、落書きを毎日確認する上に、それらを心のお気に入りスポットとして見なしているのである。どこかピュアでおバカな子供心を残した人でないと、こんな行動はしないものであろう。 万事そんな感じで、マジメなくせに他人に自分が…  全文読む 評価する

セシルの魔法の友だち セシルの魔法の友だち
PNU/可愛い、ドキドキ
花農場の娘、セシルの愛するジャン=ピエールはアビシニアンてんじくねずみ。賢く可愛いおともだち、いやむしろ彼は恋人…。可愛いけれど騒動のタネとなってしまうジャン=ピエールに、セシルはいつもドキドキはらはらさせられる。 タイトル通り可愛らしい魔法が花開いたり、ジャン=ピエールがさらわれてしまったり、間違った飛行機に乗せられたり…とセシルのヒヤヒヤは続く。 秀逸なのがペットショップでセシルがジャン=ピエールと出会う場面。私のものではないけれど、どこか心通じ合うような感覚のする売り物の動物…。幼いころペットショップで悶えたことのある身にはしみすぎるシチュエーションであるのだった。 「愛してる!」なんて…  全文読む 評価する

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