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吉田松陰 吉田松陰
流花/松陰先生は20代!
 安政6年、江戸伝馬町牢内にて刑死。享年29歳。・・・29歳?! 今夏、萩を訪れた際、恥ずかしながら初めて知ったのであった。あの肖像画の風貌は、どう見ても50代男性。中年どころか、むしろ老境にさしかかっていると言っても過言ではない。松下村塾にて教鞭をとり、伊藤博文や木戸孝允など、後の明治政府の中枢を担う数々の人材を輩出した“松陰先生”。20代で、そんなに多くの人々の尊敬を集め、多くの弟子達を育てることができるなんて、吉田松陰という人物、いったい何者なのだろうか。 “郷土の英雄”として、ご当地では絶賛されがちである。だが、客観的資料に基づいた本当のことが知りたかった。筆者は、山口県生まれ、現在、…  全文読む 評価する

明智光秀冤罪論 明智光秀冤罪論
流花/光秀は、やってないのだ。やってないのにやったことにされてしまっている。だから今まで腑に落ちなかったのだ。
「光秀冤罪論」と聞いて、目から鱗が落ちたような気がした。著者井上慶雪さんは、自称明智光秀の末裔。「信長暗殺、光秀でない。冤罪である!」と声を挙げた。ケネディー大統領暗殺事件の犯人とされたオズワルドのごとく、光秀も何者かによって、犯人にされてしまったというのである。 本能寺の変に関しては、怨恨説、野望説、黒幕説などがあるが、これらは、あくまでも「光秀が実行犯」という《固定観念》から抜け出せていない。茶道家である井上さんは、《茶会記》、《茶伝書》を分析して、《固定観念》の自縛を解き放ち、光秀の冤罪を晴らそうとした。 井上さんは、まず、その《固定観念》——「家臣・明智光秀の謀叛によって織田信長が弑逆…  全文読む 評価する

明智光秀 明智光秀
流花/謎は深まった。でも、ある意味、腑に落ちた。光秀のイメージが変わった。
光秀というと、故実に明るい教養人、常識的、保守的で、叡山焼き討ちなど絶対できない男というイメージがある。だが、本書を読んで、そのイメージが揺らいだ。 本書は、光秀について書いてある史料を徹底的にあたり、見解を述べた学術書である。著者高柳光壽さんは、初めての光秀の伝記と自負している。といっても、読むのをためらってしまうような、難解なものではない。高柳さんによると、光秀について書いてある文学書は多いが、史実を書いた歴史書、それも本能寺の変、山崎の戦以前の記述となると、全くないと言ってもよいくらいなのだそうである。また、史料にも、良質なものと悪質なものがあり、『明智軍記』などという光秀の伝記のような…  全文読む 評価する

少子 少子
流花/負け犬の戯言
「このまま少子化が進んでいくと、計算上では西暦3500年頃に日本の人口は約1人、となる。」——少子化をくい止めるには、どうしたらよいか。ということから、「産まない理由」を考察してみたのが本書である。だが、その理由たるや、「痛いから」、「結婚したくないから」、「うらやましくないから」、「愛せないかもしれないから」、「面倒くさいから」、「シャクだから」、「男がなさけないから」…アホかと言いたくなる。負け犬の戯言。産みたくないなら、産まなくていい。所詮、自分がかわいいだけじゃないか。 だが、今の世の中、右肩下がりの経済に加えて、虐待、通り魔、誘拐、いじめ、と、子供が生きにくい世の中になってしまったの…  全文読む 評価する

クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ
流花/媚びず、甘えず、淡々と、潔く、正直に…
 「四十にして惑わず」…“不惑の歳”40歳。しかし、実際は惑いだらけである。職場でも家庭でも、己の無力さ、醜い部分を、まざまざと見せつけられ、苦悩するのである。この『クライマーズ・ハイ』の主人公、悠木和雅はこの時まさに“不惑の歳”だった。“不惑の歳”に起こった日航機墜落事故が、悠木のその後の人生を変えてしまった。 …「同じ場面を与えられることは二度とない。その一瞬一瞬に人の生きざまは決まるのだ。」 他社を出し抜き、大スクープを狙う。記者ならば当然のことである。しかし、マスメディアの“良心”に忠実であろうとする者は、慎重に事を運ぶ。「こいつは根っからの臆病者ですよ。大きな判断を迫られると必ず逃げ…  全文読む 評価する

負け犬の遠吠え 負け犬の遠吠え
流花/花の命はけっこう長い
“どんなに美人で仕事ができても、30代以上・未婚・子ナシは「女の負け犬」なのです。”——こんな帯の言葉に、ドキッとした人が本書を手に取るのだろう。何も悪いことをしていないのに、別に今のままで幸せなのに、何で“負け犬”なの? だが、本書を手に取った時点で“心当たり”があったはずである。「いつまでも結婚しないで、子供も産まないで、これでいいのかなぁ」、「もしかすると手遅れかも」…だが、人はうすうすわかっていても、それをはっきり認めたくないものだ。 筆者は、「30代以上・未婚・子ナシ」女を“負け犬”、「既婚・子産み」女(狭義では専業主婦)を“勝ち犬”と定義している。森前首相の「好き勝手なことをして、…  全文読む 評価する

浮沈 浮沈
流花/黄昏
 知りたくないことを知ってしまった。おはるは、小兵衛より先にあの世へ行くのである。そして小兵衛は、93歳まで生きるのだ。 本書には、「小兵衛は93歳まで生きる」ということが3回も述べられている。そして、おはるをはじめ、四谷の弥七など、小兵衛ファミリーの一員が、小兵衛より先に死ぬということが、示唆されているのだ。おはるが死ぬなんて…しかも小兵衛より先に…40も違うのに…。信じられないというか、信じたくないというか…。読者としては、小兵衛ファミリーが死ぬことなんて、考えたくもない。なのに池波さんは、なぜわざわざ、小兵衛ファミリーの死について述べたのだろう。それに、どうも何かただならぬ空気が感じられ…  全文読む 評価する

波紋 波紋
流花/「よい爺(じじい)ぶりじゃ」…老境を模索する
 老人は、己の来し方を語るのは得意であっても、行く末を語るのは、不得手である。それは、限りなく“死”に近いからであろうか。自分の人生がどのような形で終わるのかなんて、予想ができないし、したくもないというのが、人間として当然の気持ちであろう。 『剣客商売』も、13巻めである。三冬も、大治郎と夫婦になり、小太郎が生まれてからは、めっきり出番が減ってしまった。出てきたとしても、ほんのついでである。だから三冬の心中が語られることなんてない。心なしか大治郎の出番すら少なくなったように思えてしまう。三冬ファンとしては、やはりおもしろくない。何か『剣客商売』に対する“熱”も覚めてしまった。 しかし、『剣客商…  全文読む 評価する

イタリアからの手紙 イタリアからの手紙
流花/大人の国からの大人のエセー
 「カンターレ! マンジャーレ!」人生を楽しむことにかけては、イタリア人の右に出る者はいない。…イタリアの国民性を述べようとするとき、こんなふうに述べられることが多いだろう。確かにラテン系の国を旅行すると、何だか人生観が変わってしまうような気持ちになる。一言で言うと、「元気になる」とでも言うのだろうか。「いいんだ、これで。」と自分が肯定されたような気持ちになる。 だが、そんな陽気で自由な国民性が、しばしば、工事の遅滞や、鉄道や郵便の遅滞などの“いい加減さ”に変わる。旅行に行くときも、必ずスリや窃盗に気をつけるようにと言われる。実際被害に遭う人も珍しくないようだ。今のイタリア人って、古代ローマの…  全文読む 評価する

ビートルズで英会話 ビートルズで英会話
流花/英会話を学ぶ古くて新しい方法
 今さら英会話を学ぶ気はない。だが、何故か手に取ってしまった。 リアルタイムで出会えた人も、伝説となってから出会った人も、歌詞カードを見ながら、ビートルズの歌を聴いた覚えがあろう。思春期に、初めて出会った“英語”である。中学生ぐらいの少年少女でも、何とかわかる英語もあり、うれしかった。反面英語特有の言い回しにも初めて出会った。「LET IT BE」はどうして「なすがままに」なの?なんて。でもこういう英語特有の言い回しにこそ、イギリス人のものの考え方や文化の背景があるのだ。ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ。彼らはイギリス人なんだ。彼らの生の魂に触れたような気がした。そんな思春期の心のときめきが、…  全文読む 評価する

塩野七生ルネサンス著作集 塩野七生ルネサンス著作集
流花/“生きた戦った愛した”
 歴史上の人物を小説化する時、どこまで史実に忠実であるべきであろうか。第一、史実というのが疑わしい。長い歴史の中で、しばしば歪められて伝わるものである。ある一面を拡大してイメージづけてしまったり、時の為政者によって都合よく塗り替えられてしまったり。チェーザレ=ボルジアと聞いて、まず、悪いイメージが先行するのではないだろうか。ボルジア家といえば“毒”。残忍な殺人鬼。猟奇趣味。淫乱。…だが、それらのどこまでが真実なのか。塩野七生さんは、同じ時代に生き、接触もあったマキアヴェッリの眼を借りて、チェーザレを描いている。マキアヴェッリは『<a href="/cgi-bin/srch/srch_detai…  全文読む 評価する

大地の子 大地の子
流花/大地に足をつけて読むべし。原作は辛辣である。
 『大地の子』は、テレビドラマ化され、何回か再放送されている。つい最近も再放送があった。そのたびに見てしまうのだが、見るたびに心に残るものが違ってくることに気付いた。今回は、「私は、大地の子です。」という言葉だった。テレビでは「父の目に涙があふれるのを見た。きっと父はこの言葉が永遠の別れの言葉と知ったのだ。」という一心の独白がつづく。何とも言えない重いものが、ずしんと頭に残った。それで、原作を読んでみたくなったのだ。 しかし、『大地の子』の原作を読んでみると、美しく情緒的なテレビドラマとは裏腹に、かなり辛辣である。登場人物の心の動きも行動も、人間臭い。ドラマでは、俳優の演技や間に委ねられていた…  全文読む 評価する

蟬しぐれ 蟬しぐれ
流花/青春時代の落とし物を拾いに行く少女
 懐かしさにも似た愛おしさが込み上げてくるのはなぜだろうか。通り過ぎていった自分の青春時代の影を、彼らの中に見るからであろうか。 ある出来事が、その人の青春時代を支配してしまうことがある。肉親の死。試合の敗北。失恋。試験の失敗…。喪失感、挫折感、悔恨、屈辱感…そしてそれが理不尽であればあるほど、怒りへと姿を変える。 海坂藩士、牧助左右衛門が一子、文四郎の場合、その出来事とは父の死であった。その理由もはっきり明かされず、切腹させられた父の亡骸を荷車に載せ、真夏の白昼、町中を横切って自分の家まで引いていく十六歳の文四郎。人々の突き刺さるような視線を一身に浴び、蟻のごとく父の亡骸を引いていく少年に、…  全文読む 評価する

辻斬り 辻斬り
流花/影法師〈父子…古きくびきへのレクイエム〉
「父上…」「ようやった」眼と眼を見合わせて刀身をぬぐい、鞘におさめた秋山父子が戸外へ出たとき、道場内の死体は十四を数えた。  (『辻斬り』より) 自分と同じ剣客の道を志した大治郎。その大治郎と共に、剣を以て悪を退治する。小兵衛にとって、これほど、父親冥利に尽きることはないであろう。 母親の無条件の愛と違って、父親の愛というものには、理屈が必要である。自分の血を分けた息子でありながら、そこに何らかの理由、価値を見いださないと、愛せないのである。ずっと後の巻で、孫の小太郎が生まれた時、寝顔を見ながら、小兵衛が心の中でこうつぶやく場面がある(大治郎にも、こんな頃があったのだなあ。その時大治郎は、どん…  全文読む 評価する

まれに見るバカ まれに見るバカ
流花/バカはユーモアを解さない
 『<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=02309600&volno=0000" target="_blank">バカの壁』という本が売れている。私も買った。そして読んだ。「y=ax」か、なるほどね…。うむ。…でも、なんか頭に入っていかない。ん?! そうか! そこが「バカの壁」なんだ!? …なんて、妙に納得したりして? でも、同じバカの本だったら、私はこちらのほうが性に合っている。…『まれに見るバカ』…。ありがとう、勢古浩爾さん! なんとスカッとしたことか。ほんとに世の中バカばっかり。しかも、そのバカがのさばっているのだから、腹…  全文読む 評価する

隠れ簔 隠れ簔
流花/影法師〈罪ほろぼし〉
 知らない者は幸せである。病で盲目となりながらも、28年もの間、“我が父の敵”と探し求めていた男。まさにその男が、長年影法師のようにぴったり寄り添い、身の回りの世話をしてくれた老僧だったとは。その老僧の腕の中で、「長い長い間…かたじけない」という言葉を残して死んでいった年老いた武士。その最期は、きっと安らかだったであろう。…「やっと終わった…」敵を討つことはできなかった。だが、長い長い辛苦の旅は終わったのだ。家族も青春もやすらぎも捨て、ひたすら敵を探し求めた歳月。貴重な人生を敵討ちに費やし、気がつけば棒に振っていた…しかし今、解放されたのである。そのことだけを思って、安らかな世界へ旅立って行っ…  全文読む 評価する

待ち伏せ 待ち伏せ
流花/三冬浪漫〈夫婦〉
「恋はゲームじゃなく、生きることね」…こんな歌があった。すべてが輝いていた恋の季節を経て、男と女は結婚し、夫婦となる。結婚するということは、「この人と生きる」ということである。喜びも悲しみもともにし、同じ人生を歩む。二人の人生は一つになるのである。大治郎とともに、人生を歩み始めた三冬。そして、二人の人生が一つになった証として、子どもを授かるのである。 ここに、もう一組の夫婦がいる。佐々木周蔵と、りくである。周蔵は、主人の汚行を一身に引き受け、「敵持ち」として逃げ回る生活を送ってきた。りくも、「敵持ち」という重荷を背負った周蔵とともに、同じ人生を生きてきた。ある日、周蔵と間違えられて大治郎が襲わ…  全文読む 評価する

狂乱 狂乱
流花/影法師〈レクイエム〉
「これだけ世間から見捨てられた俺だ。このままいつまでも、こんな暮らしをしていられるか。こうなれば…狂い死にに死んでくれるぞ!!」 石山甚市、35歳。両親に先立たれ、不遇な生い立ちの中で、剣を頼りに生きてきた。しかし、身分の低い石山が、身分の高い者たちをうち負かしてしまった時、すべての歯車が狂いだしたのである。『遠ざけられ、疎まれて…青春は踏みにじられ…いつも孤独…こういう若者が、どのように変形していくことか?…』誰もが、自分を蔑み、まともに扱ってくれない。…たった一人、まともに接してくれた豊田でさえ、周囲の圧力に耐えきれず、「出て行け!」と言う。そしてとうとう、そんな彼の姿を見て笑いを漏らした…  全文読む 評価する

新妻 新妻
流花/三冬浪漫〈大治郎さま!〉
 とうとう来てしまった! 三冬ファンなら、誰もが夢見ていたであろう、その日が。そう、三冬が大治郎の妻となる日が。 しかし、ただでは妻とならせないところが、心憎いではないか。“三冬さま危機一髪”のところを救い出す…そんな演出があってこそ、妻となる喜びも大きいのである。やはり“大治郎さま”は、助けに来てくれるのである。そればかりか、“大治郎さま”の苦悩も、見事に描かれていて、「三冬うれしい」!「三冬どのは、練香の在処を曲者どもに洩らすまい。そうなれば、どのような拷問に合うやも知れぬ。それが…それをおもうと、私は…」(絶句)「そんな悠長なまねをしていて、どうなる。三冬どのは、どうなる!!」「長次。た…  全文読む 評価する

陽炎の男 陽炎の男
流花/三冬浪漫〈女へ…〉
 剣術に励むのみならず、男装をし、男言葉を使い、男のようにふるまうのは、ずばり、“男に憧れている”からである。現代とは比ぶべくもなく、当時は、男の人生と女の人生が、はっきり決まっていた。そんな時代に、自分の腕を心ゆくまで磨き、自由にふるまうことのできる“男という立場”は、この上もなく魅力的である。特に三冬のように、複雑な生い立ちを持つ者にとっては、なおさらである。田沼意次の妾腹の娘として生まれ、それを知らずに他家で育ち、ある日突然、事実が知らされる。「うそ…。今までみんなで私をだましていたのね!」…現代でも、往々にして見られる光景である。「わたくしは、“佐々木三冬”でございます!」と言い張った…  全文読む 評価する

天魔 天魔
流花/三冬浪漫〈きらめき〉
 自らの剣によって、相手をうち負かすこと…つまり人殺しが快感となり、虜になってしまった怪物。このキャラクターは、たびたび『剣客商売』シリーズに登場する。剣の道は、強くなることばかりを求めるものではない。人としての生き方を磨くものである。“魔物にとりつかれ、いったん道を踏み外すと、二度ともどってこられない。”作者は、怪物を勝たせるようなことは、絶対しない。世の中とは、そうあるべきだからだ。 そんな剣の道に、必死になって打ち込んだ青春時代を持つ二人。今、その二人に遅すぎた第二の“青春”が訪れている。三冬にとっても、大治郎にとっても、一緒に過ごす、この様々な瞬間は、まさに、第二の“青春”であろう。ま…  全文読む 評価する

白い鬼 白い鬼
流花/三冬浪漫〈恋〉
 人は、いつからそれを“恋”と認識するのだろうか。 ある日、三冬は見てしまった。木立の中での男と女のおどろくべき姿態を。(汚らわしい…)と思いつつも、あの時のみだらな姿が、脳裡からはなれない。(大治郎どのも、妻となる女に、あのようなまねをなさるのか…?) 大冶郎と自分が、“男と女”であることを意識した瞬間、またそれは、“恋”というものが現実となって、一気に迫ってきた瞬間でもあっただろう。恋する気持ちというものは、隠しきれないものである。その人の体から、そこはかとなく漂ってしまうのである。負傷した大治郎。「私が、若先生の看護を…」と言う粂太郎に、小兵衛は、「いや、今夜だけは、別の人に看護させてや…  全文読む 評価する

勝負 勝負
流花/三冬浪漫〈涙〉
 夫には言えない、結婚する前の出来事というものがある。夫に対して、後ろめたいことは何もないのだが、どうしても言えないことがあるものだ。秋山大治郎の妻、三冬にもあった。…若き日の三冬の手に、口づけをし、去っていった男。しかも、数年後の現在、偶然にも、その男と再会することになるのだ。三冬は、大治郎の息、小太郎を生んだばかり。女としての幸せのただ中にいる。運命は、そんな三冬に何故、彼を再び巡り合わせたのだろうか。 “一度道を踏み外してしまった人間は、もう二度とまっとうな道を歩めない”。これは、この『剣客商売』シリーズの中にたびたび登場するテーマである。醜い姿ゆえ、他人から疎んじられ、姿を消すしかなか…  全文読む 評価する

剣客商売 剣客商売
流花/三冬浪漫〈幻影〉
 「女武芸者」。この、男臭さがぷんぷん漂う『剣客商売』という本のイメージからは、一見無縁のように見え、しょせん殿方はクノイチがお好みなのねと感じさせる題名のついた話が、本書の第一話である。 “女武芸者”佐々木三冬。十九歳。かの老中田沼意次の妾腹の娘である。他家に養女に出されていたのだが、十四歳の時に田沼家へ引き取られた。しかし、賄賂の横行する政事の渦中にいる田沼の威勢を汚らしく思う三冬は、田沼のもとに寄りつこうともせず、七歳のときから習い始めた剣術に一層のめり込み、男装をも始める。そして、井関道場の四天王と称されるほどの“女武芸者”となる。 『髪は若衆髷にぬれぬれとゆいあげ、すらりと引き締まっ…  全文読む 評価する

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