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オンリー・イエスタデイ1989 オンリー・イエスタデイ1989
和田浦海岸/セミの抜け殻。
休刊した月刊雑誌『諸君!』を回想しているのですが、これがスラスラと読みやすい。ご本人は「あとがき」にこうしるしております。「読み返してみると、我ながら『いい気なもんだね』という気がするし、最後に『ナーンチャッテ』と付け加えたくなるような気分もある。」うん。わかりやすい語り口なのです。そこを本文から拾うとすると、こういう箇所になるのでしょうか。「雑誌の世界でも、『世界』が左翼系論壇を代表するとすれば『諸君!』は保守系の代表、『中央公論』はその中間に近い、というのが大方の見方だった。が、私にいわせれば『諸君!』と他の二誌との最大の違いは、そうしたイデオロギーではない。二誌には高踏的すぎてアタマに入…  全文読む 評価する

茨木のり子の家 茨木のり子の家
和田浦海岸/いつも「いらっしゃい」と小さな声で囁いて。
文藝別冊、KAWADE夢ムック「花森安治」に、茨木のり子の「『暮しの手帖』の発想と方法」という貴重な文が読めます。それを読んでむしょうに読みたくなったのが、この本でした。「茨木のり子の家」(2010年11月初版)は写真集ですね。 詩人・茨木のり子が亡くなったのが2006年。享年79歳。この写真集は撮影期間が2008年から2010年とあります。 サッシではなく木枠にガラスが入った窓。あけたすぐそばに金木犀が咲いていたり。二階のやはり木組のガラス窓から庭を見下ろすと、紫陽花が咲いていたり。庭のみかんの木。みかんの花。当時とかわらない近所の坂の散歩道。書斎の曇りガラスは、模様が、おはじきのようなギザ…  全文読む 評価する

花森安治のデザイン 花森安治のデザイン
和田浦海岸/あけましておめでとうございます
「文藝春秋」2012年1月号をパラパラめくれば、そこに年賀状特集。「母・佐藤愛子の困った年賀状」という箇所が、もう、見るだけで大笑い。写真年賀状の珍傑作。新年早々、笑うかどには福が来たる。という見本。ここから、私は、「花森安治のデザイン」一冊をおすすめしようと思うんです。うん。この切り口からなら、すんなりといけそうです。それが、「年賀状」。「花森安治のデザイン」には、「暮しの手帖」の表紙ばかりか、ページのカットも、ていねいにひろわれており。なんと、「読者への年賀状」のページまでありました。さてっと、佐藤愛子さんの年賀状にかぎらず、最近は写真の年賀状がふえているようです。「花森安治のデザイン」は…  全文読む 評価する

希望 希望
和田浦海岸/ハチャメチャにしていったのだ。
BK1より、注文してあった杉山平一詩集「希望」が届く。 パラパラとめくりながら、詩集の余白がまぶしい。 そう。そういえば、詩「取り消し」の最後の3行は   息づまりのなかに   風通しのよい空白を見つけて    ハハハ・・とわらっている 余白と空白と、どう違うのか、笑いながら思ってみます。 さて、ご存知でしたでしょうか? 昭和42(1967)年出版の杉山平一詩集「声を限りに」に、 詩「退屈」がありました。ここに引用。     退屈       十年前、バスを降りて   橋のたもとの坂をのぼり   教会の角を右に曲つて   赤いポストを左に折れて三軒目   その格子戸をあけると   長谷川君がい…  全文読む 評価する

花森安治の青春 花森安治の青春
和田浦海岸/昭和の思想家。
馬場マコト著「花森安治の青春」(白水社・2300円)を読了。文が句読点で短く、テンポが軽快で澱みなく読めました。よく咀嚼された内容を、簡潔に歯切れよくさばいてゆく文章運び。たとえば、時代運びも、こういうふうです。「映画堂々隊の副隊長が、中学をやめてブラジルへいったのは、安治が中学四年のときだった。前年、1927(昭和2年)に・・・・移民熱が一気に神戸の町中に吹き荒れた。・・・副隊長から手紙が来ることはなかった。全国の中学で軍事教練が行われることになったのは、それからすぐだった。」(p20~22)ちなみに映画堂々隊というのは「中学の映画好きが集まって、学生服のまま、かばんを斜めに掛けて堂々と隊を…  全文読む 評価する

今、日本人に知ってもらいたいこと 今、日本人に知ってもらいたいこと
和田浦海岸/おならはえらい。
金子兜太・半藤一利対談「今、日本人に知ってもらいたいこと」(KKベストセラーズ)を読んだら、母親と親父の箇所が印象に残りました。もう、91歳の兜太さんは、下ネタを取ったら、死んじゃうのじゃないかというぐらいに、楽しんで、歴史を語る一利さんの対談の舵取りを奪ってゆきます。最後の方には、こんな箇所がありました。半藤】 一茶の屁比べがという句もありましたね。金子】 ありますね。     屁くらべが又始まるぞ冬籠  ・・・・・半藤】 女の人で結婚しない人がいるから、『どうしてしないんだ』というと、私が屁をするのを、びっくりするような男とは結婚したくないと。金子】 それは優秀だな。半藤】 要するに、私が…  全文読む 評価する

本へのとびら 本へのとびら
和田浦海岸/目をそらさないようにする。
「いい話というのは少年・少女には威力を発揮するのではないだろうか。いな、少年・少女でなくてもいい話は成人にも何かの影響を与えるに違いない。考えてみると私の今日あるのも本を読んで、そこから大切な教訓を得たためである。」これは、渡部昇一著「『修養』のすすめ」(到知出版社)の、まえがきにある言葉。ちなみに、この本は連続講演を一冊にまとめたようです。さてっと、宮崎駿著「本へのとびら ― 岩波少年文庫を語る」(岩波新書)が、この10月20日に出てたのでした。最初の第一章が、宮崎駿選「岩波少年文庫の50冊」(以前から気になっていたのですが、私は遅まきながら、はじめて見ました)。ところで、この新書の結構は、…  全文読む 評価する

日本人の美風 日本人の美風
和田浦海岸/狂歌を落としてはいけません。
新潮新書9月の新刊に、出久根達郎著「日本人の美風」あり。さっそく読む。序にこんな箇所「・・・遅ればせながら、大正の関東大震災、明治三陸大津波、安政地震と津波などの文献に当ってみた。そして書き出してみたのだが、どうも団体の行動は画一的で変化に乏しい。やはり、個人の活動の方が、示唆に富み面白い。どんな形にしろ思惑にせよ、日本人が考え、いちずに人の為に砕身するからには、特異なケースだろうと何だろうと、日本人の美点に他ならぬ。」(p13)登場する人は、濱口梧陵・中谷宇吉郎・二宮尊徳・野口英世・樋口一葉・一高校長たち・美智子皇后さま。その人たちにまつわる方々が登場して味わいと奥行きを深めております。さて…  全文読む 評価する

これからを生きる君たちへ これからを生きる君たちへ
和田浦海岸/井上ひさし氏の釜石小学校校歌。
ふだん本屋へと近づかないようにしております(笑)。ですが、東日本大震災のあとは、週刊誌や月刊誌を買いにいったりで、町の本屋へと足が向きます。その本屋で見つけたのが新潮ムック「これからを生きる君たちへ」(平成23年4月26日発行)。脇には「校長先生たちからの心揺さぶるメッセージ」。卒業生への校長先生の言葉が選ばれて並んでおります。そう、今年の卒業式は、いつもの卒業式とは違っていたのでした。え~と。どなたにも、おすすめです。簡単に読めます。岩手県の小学校・中学校が5校。それに関東の学校や、東京・一橋・大阪・長崎大学の式辞告辞が並びます。どれかを選んで読んでもよいわけです。それを読みながら、私に思い…  全文読む 評価する

『史記』と日本人 『史記』と日本人
和田浦海岸/余談鼎談史記雑談。
この鼎談は、きちんと順番どおりに「史記」を料理してゆくわけでもなく。たとえてみれば、「史記」というまな板の上で、様々な材料をもちよって、3人ワイワイと調理をはじめる。そんな1冊。全310ページ。その料理を食べてゆけば、すぐに満腹で、一回ではとてもとても読みとおせなくなります(笑)。まずは、好きそうな所をめがけて拾い食いがお薦め。べつに、3人ともが読者をはなから楽しませようなどと、思ってなどいないようで。近頃珍しく、ご自身が楽しくて楽しくてならないという語り。ですから、最後までつきあえば、あらためて3人の愉しみに飲み込まれる感があります。さてっと、カバー折返しの3人紹介は写真入り。80代が2人、…  全文読む 評価する

くずし字で「百人一首」を楽しむ くずし字で「百人一首」を楽しむ
和田浦海岸/あのみみずの這ったような。
じつはこれ1月9日の毎日新聞「今週の本棚」で紹介されていた一冊なのでした。本文の「はじめに」では、こうあります。 「最近、社会のいろいろな局面で、江戸が取り沙汰されることが、とても頻繁に目につくようになりました。・・・・・基本的には、あのみみずの這ったようなくずし字が読めるということが、江戸を理解する第一歩であることは、以外に軽んじられていたようにも思います。」 そこで、中野三敏氏の提案が語られておりました。 「・・古文書という名称に顕著なように、多くの場合、手書きの文書や写本を対象としているからです。これは余程の志と、有能な導き手の存在なしには、往々にして挫折を余儀なくされる場合が多いように…  全文読む 評価する

バムとケロのもりのこや バムとケロのもりのこや
和田浦海岸/すっかり忘れてた12年目の贈りもの。
なにげなく、シリーズ5巻目の最新作が発売になっておりました。1999年に、バムとケロのシリーズ4巻目「バムとケロのおかいもの」が出て。それから、もう12年です。こちらは、すっかり待つのも忘れておりました(笑)。けれども、シリーズ最新作のこの絵本をひらけば、いつものバムとケロがいつものようにベッドからおきて、いつものように食べながら、少しずつふえる仲間とともに出かけているのでした。今回は、木苺つみにでかけてからの物語。そこで、木の上にある古い小屋を発見。それをきれいにかたづけ、皆で集まっての「星をみる会」までのテンマツです。細かい描きこみが、後半になればなるほど、またしても最初のページをもどって…  全文読む 評価する

漢詩を読む 漢詩を読む
和田浦海岸/漢詩に酔う(笑)。
平凡社の宇野直人・江原正士著「漢詩を読む・2」を読みました。漢詩というテキストの読み込みというより、時代の推移が漢詩にどのように現れているのかを、うんそうかと納得しながら読み進みました。ただ単に、漢詩を探してページをめくってだけでも、よい詩を探せるので、まずは手にとってぱらぱらとのぞいてみるのもよいかもしれません。でも、読み通すと漢詩の流れにゾクゾクさせられるわけです。さあ、どこからいきましょう。宇野直人氏の「はじめに」で、「唐詩の世界は言わば巨大な宝石箱で、蓋を開ければさまざまな珠玉の作品が現れ、まさに応接に暇がありません。この豊饒な世界を、江原正士氏との対話形式により、じっくりと周遊してゆ…  全文読む 評価する

史記 史記
和田浦海岸/ここに「史記」への、水先案内人がいますよ。
この本の読了後、その文章運びに豊かな気分を味わったのでした。さて、私に「史記」を語る教養もないし、この本の紹介者に、ふさわしいとも思えないのですが、ここはひとつ、内容には触れずに、からめ手から、その気分を紹介してみたいと思うのでした。原田種成著「漢文のすすめ」(新潮選書)に明治44年生れの原田氏が学んだ頃の話があり印象にのこります。そこにこんな箇所。「私の教員免許状が旧制中等教員も旧制高等教員も『漢文科』の免許であることについて、高師出身の鎌田正氏は自分のが『国語漢文科』の免許であるので、漢文だけの免許状があるのは知らなかったと驚いていた。」(p77)ちなみに原田種成氏は大東文化の学生でした。…  全文読む 評価する

江戸のことわざ遊び 江戸のことわざ遊び
和田浦海岸/風刺画からの連想で、「耳」の芸術へ。
平凡社新書・南和男著「江戸のことわざ遊び」。これが、なんとも、奇天烈なインパクト。副題に「幕末のベストセラー・・」とあります。その幕末から明治にかけての40年ほど続けて売れていたベストセラー。と解説されております。なにげなく使っていることわざも、それを絵で表現すると、とたんに、インパクトのある現実離れした、絵空事に変換していくのでした。そこの可笑しさを、すくいとってゆく、幕末の文と絵とのコラボ。たとえば、「目から鼻にぬける」とは、新書の解説によりますと、「頭の回転が速くて抜け目のない様子。昔大仏の目を修理した大工が、目をはめてから鼻から抜け出た利発さをいったという説もある。・・・」これを絵にす…  全文読む 評価する

渋沢栄一の「論語講義」 渋沢栄一の「論語講義」
和田浦海岸/「論語」の名演奏を聴いた。そんな味わいの読後感。
近頃、魅力の新書を読みました。それを紹介しようと思うのですが、さて、どうはじめたらよいのやら、楽しい悩みを味わっております。まずは、こんなはじまりを思いつきました。「論語」というと、読みたいけれども、歯がたたない古典。下手に解説書をひらけば、チンプンカンプン。そんな霞みがかかったような、なんとも、手を出しにくいというイメージが、私にはあります。それが、この新書を読んで、めでたく解消。古典というより、そのよき演奏者にめぐりあえた手ごたえ。名奏者をえて、新鮮な楽曲「論語」を聞くことが出来た。そんな読後感があります。こんなことを縷々(るる)述べるよりも、百聞は一見にしかず。以下数箇所引用して、読書家…  全文読む 評価する

お礼まいり お礼まいり
和田浦海岸/山本夏彦を面と向かって叱る男。
文春新書の「完本 紳士と淑女 1980~2009」の最後は「紳士と淑女諸君へ」という5ページほどの文でした。そこに悪性リンパ腫(血液性ガン)という診断を受け闘病生活に入るのと前後して『諸君!』の休刊が決まったこと。そこでは第二クール、第三クールの治療を受けている日々に触れておりました。そのおわりで、 「なお、三十年にわたって、ご愛読いただいた『紳士と淑女』の筆者は、徳岡孝夫という者であった。」と最後をしめくくっておりました。 読者である私は薄情なもので、そのままに、すっかり忘れておりました。 すると、最新刊の書評が石井英夫氏によって書かれ。 さっそく、この徳岡孝夫著「お礼まいり」を取り寄せまし…  全文読む 評価する

昭和二十年夏、女たちの戦争 昭和二十年夏、女たちの戦争
和田浦海岸/落ち込んだり、疲れてしまったときは。
梯久美子さんの「昭和20年夏、僕は兵士だった」を、前に印象深く読んだのでした。それが今年になって「昭和20年夏、女たちの戦争」(角川書店)が7月に出ておりました。近藤富枝・吉沢久子・赤木春恵・緒方貞子・吉武輝子の五人が登場しております。ここでは、私は吉武輝子(昭和6年生まれ)さんについて引用してみたいと思います。こんな箇所がありました。「・・・学徒出陣だって、最初は理系の学生は行かなくてすんだでしょう。まっ先に戦地へやられたのは、音大や芸大の学生でした。長野県の上田市に、無言館っていう美術館がありますよね。戦死した画学生たちの作品を展示してあるところ。私ね、気持ちが落ち込んだり、疲れてしまった…  全文読む 評価する

日本を讒する人々 日本を讒する人々
和田浦海岸/一行も書いてない。
外山滋比古著「エディターシップ」(みすず書房)。その「見つけて育てる」は、こうはじまっておりました。「平凡社『世界大百科事典』の菊池寛の項を見ると、文学者としてのことだけが書いてあり、すぐれた雑誌編集者としての仕事については一行も書いてない。これはこの項目の筆者を責めるよりは、『百科事典の編集者に責任がありそうである。ケアレスミステークというよりも、むしろ、意識して平凡社世界大百科事典編集部の見識として、日本における中間ジャーナリズム文化の始祖である菊池を黙殺したのかもしれないと思えるからである。』松浦総三氏がこういう指摘をしているのをおもしろいと思って読んだ。(「調査情報」72年11月号) …  全文読む 評価する

名文どろぼう 名文どろぼう
和田浦海岸/現代コラム小史。
こういう引用からなる新書を紹介するときに、いちいち内容紹介をしていってもよいのでしょうが、天邪鬼(あまのじゃく)な私は、本の内容には触れずに、しかも引用でもって、あなたをこの新書の前まで連れて行きたくなるのでした。では御案内。いまは、新聞の一面コラムをそんなに読まなくなりました。それでも、天声人語・産経抄・編集手帳という順番で、たどりたくなります。坪内祐三著「考える人」(新潮社)でとりあげられている人の一人に深代惇郎氏が登場しておりました。ちょっとそこを引用してゆきます。「ジャーナリストやコラムニストは、その現役の時に出会えなければ、過去の人として、復活されにくい。つまり、言説が、同時代の中で…  全文読む 評価する

妖怪と歩く 妖怪と歩く
和田浦海岸/アニメの主題歌「ゲゲゲの~」考。
NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」を見ると、この本の第二章なんかがお見合いの話とかよく分かる記述にぶつかります。武良布枝著「ゲゲゲの女房」とともに、朝ドラを楽しむ一冊。さて、ここでは、アニメの主題歌について。この二冊を並べてみました。武良布枝著「ゲゲゲの女房」(実業之日本社)に「鬼太郎の歌」の歌詞をつくる箇所が出てきます。「夜、遅くまで、水木は机に向かって、歌詞を考え続けていました。そしてある日の朝、『できたぞ!』と満面の笑みを浮かべて、いちばん最初に私に見せてくれました。考えに考えた末に生れた歌詞でした。私はこれを見て、なんていい歌なんだろう、と心底感心しました。ユーモアがあって、おおらかで、楽…  全文読む 評価する

ゲゲゲの女房 ゲゲゲの女房
和田浦海岸/うらやましい。うらめしい。
外山滋比古著「新エディターシップ」が届き、以前の「エディターシップ」と比べようと思いました。 その改訂箇所をまずは数ページひらいております。 さてっと、現在放映中のNHK朝の連続ドラマは、武良布枝著「ゲゲゲの女房」(実業之日本社)が原作となっております。そのテレビはというと、もう戦地から帰った水木しげるがお見合いを済ませて、めでたく東京で新婚生活を過ごしておりました。ご主人の水木しげるは、漫画制作に没頭しております。その背中を布枝さんが見ている。近頃テレビでは、まるっきり見られなくなったお見合い結婚の様子がその朝のドラマで描かれて何だか新鮮。 うん。こういう状況で、私は「新エディターシップ」の…  全文読む 評価する

漢詩を読む 漢詩を読む
和田浦海岸/とかく敬遠される漢詩なのに、お二人の語り口がその歴史を語り始めて新鮮な味わい。
「漢詩を読む 1」宇野直人・江原正士著を読了。といっても軽く読み流した程度。それでも、手ごたえはあり。最後に陶淵明の箇所(p325~411)がありますが、そこだけを読んでも読み応えは十分。「詩経」からはじまる詩の歴史的変遷。その時代・政治状況をからめながらの対話がつづくのを、順を追って読む進めば。たちまちのうちに、漢詩の歴史の厚みに参入し、詩のたどる道筋へと読者の興味はいざなわれてゆくのでした。たとえば、ちょうど本文の中頃に、三国志の立役者・曹操(そうそう・155~220)が登場する箇所があります。そこに徐幹(じょかん)という人を語ってこうあります。「政治的な見識が高くて詩人としても優れていた…  全文読む 評価する

腐敗性物質 腐敗性物質
和田浦海岸/誤解。
本を読みながら、別の本のことを思い浮かべることがあります。最近、何だか田村隆一の詩を思い出すことがありました。たとえばこうです。マイケル・ディルダ (高橋知子訳)「本から引き出された本」(早川書房)を開いていたとき。そこにW・H・オーデンの言葉が引用してあったのでした。 「不信、報われない愛、死別、歯痛、腐敗した食物、貧困、こういったものは、人がひとたび手記を書きはじめるや、なんら問題ではなくなる。」(p201) ここにあるところの「腐敗した食物」という箇所。 そういえば、というので、この文庫「腐敗性物質」を思い浮かべたのでした。 ちなみに、マイケル・ディルダの「本から引き出された本」の引用に…  全文読む 評価する

中年記 中年記
和田浦海岸/文学論のテーマ。
鶴見俊輔の本を読んでいたら、そういえばと、外山滋比古の学生時代のことを思い浮かべたのでした。それについて、順を追ってたどってみたいと思います。つきあってみてください。鶴見俊輔の新刊二冊を読んでいて、そこに前田愛氏が登場する箇所があるのでした。ちなみに「前田愛」でネット検索をすると、まず最初に、声優・女優とでてきます(笑)。話がそれました。「前田愛(1932~1987)。文芸評論家・国文学者。著書に『樋口一葉の世界』『都市空間のなかの文学』など」とあります。さてっと、鶴見俊輔氏の文にこうある。「いまから二十年以上も前のことですけど」ということは、もう20年以上前のことがいまだに80歳を過ぎた鶴見…  全文読む 評価する

思い出袋 思い出袋
和田浦海岸/80歳代の回顧と博識とを日常へと呼びもどす呪文の書。
この新書、読み応えがありました。なぜならば、80歳から月一回の連載を7年つづけたのを、こうして一冊にまとめてあるからなのでしょう。さて人間80歳を過ぎるとどうなるか。「出典をあきらかにして、引用を正確にするところから、私はもはや遠いところにいる。」(p60)そういう鶴見氏が、自分のことを回顧しながら、それが自慢話にならずにすんでいるのは、たとえばグレタ・ガルボを語ったこんな箇所に、その気構えが出ているように思えます。「この人は、晩年、ニューヨークにかくれて住んだ。老夫婦とすれちがう時には、うらやましく感じることがあると友だちに言い、『名声と欲望が自分をほろぼした』とつけ加えた。自分の生涯をふり…  全文読む 評価する

言い残しておくこと 言い残しておくこと
和田浦海岸/I am wrong. 悪人で結構だ!
この本は、インタビュー(2007~2008年)をまとめた面白い構成の本です。まず5~6ページの鶴見俊輔氏の話があり、そのあとに、その話に登場する人物や事件に関する事柄を、ほかならぬ、鶴見俊輔氏の本のなかから、選んで項目別に引用してある。そして、次の話へとすすむ。その項目別引用はあとで「メモラビリア初出一覧」として、7ページほどの掲載誌および単行本の紹介も載っております。そして最後には人名索引もついております。そんなこんなで、本は全315ページ。というわけで、項目別引用をはしょって飛ばして読めば、それだけでも楽しめますし、読むのが簡単です。さてっと、鶴見俊輔氏は哲学者という肩書きが、ございます。…  全文読む 評価する

国民の見識 国民の見識
和田浦海岸/外国人参政権。
今日の産経新聞(2010年4月18日)の3面に「永住外国人への地方参政権(選挙権)付与・・・参政権付与には鳩山由紀夫首相、岡田克也外相、小沢一郎民主党幹事長ら政府・与党に推進派が多く、参院選後に推し進めかねないとの危機感が広がっている。・・」とあります。渡部昇一著「国民の見識」(到知出版社)にその外国人参政権付与が成立するとどうなるかという具体的な指摘がわかりやすい。以下に端折ってその部分を引用。「・・・では、外国人に参政権を与えている国はないのか。三国ある。スイス、オーストラリア、それにお隣の韓国である。韓国も以前は参政権を『国民固有の権利』と憲法で規定していた。それが突如、平成17(200…  全文読む 評価する

「人生二毛作」のすすめ 「人生二毛作」のすすめ
和田浦海岸/豆腐は豆腐らしく。
外山滋比古著「『人生二毛作』のすすめ」というのは、「思考の整理学」を読んだ方が、いったい外山滋比古氏というのは、どのような方なのだろうと、興味をもつ。そんな方へまずはお薦めしたい一冊。現在の外山氏を知るのに好都合な一冊なのでした。なんせ、親しい方とのおしゃべりを活字にされているので、普段の文章からうかがえない様子や姿を垣間見させていただけたりします。たとえば、外山氏の文では、奥様のことなど、まずは出てきませんが、この本では、現在の生活のなかでの様子として、ちらりと登場したりするのです。ということで、外山氏の他の本を読まれている方にも、思いがけない側面を知ることの出来る本。これが、文章とおしゃべ…  全文読む 評価する

〈完本〉巻末御免 〈完本〉巻末御免
和田浦海岸/完本比べでたのしむ「敬語と朝日新聞」。
谷沢永一著「完本 巻末御免」(PHP)をさっそく手にとっております。完本といえば、そういえば、この前、徳岡孝夫著「紳士と淑女」の完本が出たばかり。もっとも徳岡氏のは新書でした。谷沢氏のは全300コラムを一挙掲載で重量感がちがいます。さてっと、楽しみは、二冊を並べて共通項比べ。たとえば、ここはひとつ『朝日新聞の敬語』について、比べる楽しみ。まずは、「完本 巻末御免」の125『敬語』(平成7年5月号)。その最初から引用。「朝日新聞は皇室に対して一切の敬語を用いないと定めたらしい。天皇皇后両陛下が阪神大震災の被災地をお見舞いなされた記事の見出しが『両陛下、阪神見舞う』(二月一日)である。以下の本文で…  全文読む 評価する

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