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月夜のみみずく 月夜のみみずく
wildcat/「月が まぶしく かがやく夜に」
なんとなく寂しいなという気持ちで図書館の絵本コーナーに行ったら、「ねこの本」と「月の本」ばかり借りてきてしまった。同時に借りてきて原題が似ていたのは、『満月をまって』(Basket Moon)と本書、『月夜のみみずく』(Owl Moon)。家には、大好きな月の本、『ながいよるのおつきさま』(Long Night Moon)がある。原題は、すべて「~ Moon」なのに、邦題は工夫して、「~月」ではないところがおもしろい。タイトルは「~ Moon」でも、『満月をまって』も『月夜のみみずく』も語っているものが、月そのものではないからであろう。また、著者の表記が、「作」ではなく、「ジェイン=ヨーレン詩…  全文読む 評価する

エミリー エミリー
wildcat/エミリーが「部屋からおろしてくれた」物語
「わたし」の家のむかいの黄色い家に、いもうとと住んでいる女の人。20年近くも家の外に出たことがなくて、知らない人が来るとどこかにかくれてしまうという。町の人にとっては、「なぞの女性」だけれど、「わたし」にとっては、「エミリー」。この作品は、「わたし」の語る「エミリー」の思い出なのである。季節は冬で、外は雪景色。家でピアノの練習をしているママのところに手紙が届く。手紙を開けるとからからにかわいた花が入っていた。  おとなりさんへ  いまのわたしはこの花のよう。  あなたのかなでる曲で、  わたしをいきかえらせてください。  きっとわたしのところへ、  春がやってきてくれるでしょう。エミリーは、直…  全文読む 評価する

満月をまって 満月をまって
wildcat/「風は、おれたちには、かごをつくることをおしえてくれたんだ。」
ふと寂しい気持ちになったときに、図書館に絵本を見に行ったら、猫の絵本と月の絵本ばかり連れて帰ってきてしまった。この本は、まずはタイトルに惹かれた。「満月をまって」も原題の「BASKET MOON」も良い。主人公のぼくにとって満月がどんな日かというと、とうさんがハドソンに行って、つくったかごを売りに行く日。ぼくにとって満月は「とうさんがつくるかごみたいに、まんまるい満月」なのだ。馬も荷馬車もないから、とうさんはあるいてハドソンまで行く。ぼくはいつもつれていってとたのむけれど、「もっと大きくなったらな」とつれていってもらえない。ぼくは、町がどんな所か知らない。近所に住んでいるのは、自分の家族のほか…  全文読む 評価する

ぬすみ聞き ぬすみ聞き
wildcat/「運命に耳をすまして」
原題は、The Listeners である。カナカナ日本語化された「リスナー」からは、ラジオ番組を聴いている人がイメージされるが、この彼らが聴いているものはもっともっと重い。邦題の副題に「運命に耳をすまして」とあるが、まさに、彼らが聴いているものは「運命」なのだ。「はじめに」にこう書かれている。  かつてアメリカでは、奴隷制をみとめていました。  奴隷商人につかまり、  アフリカからむりやり連れてこられた人たちは、  奴隷として物のように売り買いされ、  主人のどんな命令にもしたがい、  はたらかなければなりませんでした。  奴隷は、どこの、どんな主人のもとではたらくのか、  自分できめること…  全文読む 評価する

よるのねこ よるのねこ
wildcat/見えるものと見えないもの
「よるのねこ」(The Cat at Night)というタイトルだけで、わくわくするような、何か秘密がありそうだ、と思わせるのは、「ねこ」という生き物のイメージの為せる技。夜になると外に出してもらえるねこ。外に出してもらった後、ねこはどこに行って、どんなことをするのだろう。人間の目に見える真っ暗な外とねこの目に見えているであろう明るい世界。私たちが見えていない世界をねこはこう見ているんだよと見せてくれるかのように同じ場所の真っ黒な絵と明るい絵が交互に現れる。まっくろな輪郭を見て、これは何かなと想像して、ぱっと次のページを開ける。ねこが見ている夜の明るい世界が何だかまぶしい。色の絵を黒いクレヨン…  全文読む 評価する

オレンジだけが果物じゃない オレンジだけが果物じゃない
wildcat/強烈で味わいのある母娘関係
本書は、著者であるジャネット・ウィンターソンの半自伝的な処女作である。著者紹介から一部引用してみる。「1959年、イギリスのマンチェスターに孤児として生まれる。カルト的なキリスト教の一派を信仰する労働者階級の養父母により、説教師になるべく特殊な教育をほどこされて育つが、15歳の時、女性との恋愛関係によって人生が一変。家も教会も追われ、さまざまな職を転々としながら生計を立て、独学でオクスフォード大学に入学した。」かなり壮絶な半生だ。この半生を描いたら湿り気があり重くなりそうなのだが、読後感はまったく違った。どこかからっとした明るさがあるのだ。特異な環境で、強烈な個性を持った母親の下で育ったおかげ…  全文読む 評価する

灯台守の話 灯台守の話
wildcat/時を超えてつながる物語―「すべての灯台には物語がある」いや「すべての灯台が物語だった」
シルバーは、崖の上に斜めに突き刺さって建っている家に母さんと住んでいた。家の玄関までたどり着くのにも、登山のパートナーみたいに互いの体をロープでしっかりと結んだ。一歩足を滑らせれば、一巻の終わりだから。父さんはいない。「海からやって来て、また海に帰っていった」という。シルバーは、「あんたは他の子とちょっとちがうから、もしこの世界でやっていけないなら、自分で自分の世界を作ってしまうことよ」と言われて育った。でも、それが、「わたし」のことだけじゃなくて、本当は母さん自身のことなのだとちゃんとわかっていた。ある日、母さんが落ちた。孤児になったシルバーは、犬のドッグ=ジムとともに、ケープ・ラス(怒りの…  全文読む 評価する

うきわねこ うきわねこ
wildcat/そのものがもたらしてくれた時間を幸せな気持ちで思い出せるような宝物
赤と白の空気の入っていない大きなうきわをもって不思議そうな顔のねこ。そう。誕生日のえびおにおじいちゃんから送られてきたのは、「うきわ」だったのだ。えびおは、「うきわ」自体を知らない。おとうさんに「みずに うかぶんだよ。これに のってね」と教えてもらっている。おかあさんは不思議がっている。「どうして うきわなんか くれたのかしらね。このまちには うみも なければ かわも プールも ないのに」。箱の中に入っていたのはうきわだけではなかった。手紙があったのだ。えびおは、それを両親には内緒でポケットに入れる。きっとそこにあるのがふたりだけの秘密のメッセージだということがなんとなくわかったんじゃないかな…  全文読む 評価する

くつやのねこ くつやのねこ
wildcat/大切な人との生活を守るために
表紙のねこは、赤い長ぐつをはき、道具の入ったかばんを下げ、頬を紅潮させて、目に強い意志を持ち、立派な靴の前にしっかりと立っている。飼われているねこには見えない。大切な人との生活を守るために立ちあがったねこなのだ。民話「長靴をはいた猫」を新しくアレンジしたお話であるという本作。不思議なことに、核になっているお話は変わらないのに、「長靴をはいた猫」の猫は、男性のように感じるのだが、この「くつやのねこ」のねこは、読んだ瞬間に女性だと思った。主人であるくつ職人は、ねこと向かい合って食事をしているシーンの後ろ姿とくつを作っている後ろ姿のみ。最後のシーンでも小さな後ろ姿でしか描かれていない。こういってはな…  全文読む 評価する

11をさがして 11をさがして
wildcat/ルーツをさがして
本書を私に紹介してくれたのは、先行評を書いているwildflowerさんだった。ディスレクシアの子どもが主人公のお話で、静岡県の小学校高学年向けの読書感想文の課題図書であると。主人公や登場人物がディスレクシアである(と思われる)フィクション作品は今までも何冊か読んできた。その中で印象的な作品を挙げてみると・・・村上春樹『1Q84』(新潮社)桜井亜美『スキマ猫』(祥伝社)杉本亜未『ファンタジウム』(講談社)ポール・メイ『グリーン・フィンガー:約束の庭』(さ・え・ら書房)アラン・アームストロング『ウィッティントン』(さ・え・ら書房)やしまたろう『からすたろう』(偕成社)などを思い出す。どの作品もデ…  全文読む 評価する

ママのとしょかん ママのとしょかん
wildcat/多様な人種と文化が混じり合う街の図書館
リジーのママは図書館で働いている。今日はリジーも一緒に図書館に行くのだ。「あかしんごう、あおしんごうだ。ワン、ツー、スリー」はリジーの口癖。原題は、その口癖そのままに、"Red Light, Green Light, Mama and Me"である。ストーリーは、シンプルで、ママと一緒に電車に乗って、街を歩いて、お昼を買って、一緒に図書館に行く。風邪を引いて休んだ職員がひとりいるため、リジーがその人の代わりにママを手伝うのだ。図書館に着いたときリジーは思う。「ママは、まちでいちばんえらいひとにちがいない」と。リジーのお母さんは図書館の仕事に静かに誇りを持っているし、街の中で…  全文読む 評価する

指で見る 指で見る
wildcat/写真を通して語りかけてくる盲児たち
国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People : IBBY)の障害児図書資料センターでは、隔年で世界各国から集めた資料の中から40タイトルを選び、IBBY障害児図書推薦リスト(Outstanding Books for Young People with Disabilities)を作成している。本書は、2005年の推薦リストに「障害のある人物が描かれている本」として選ばれた作品である。原書はスウェーデン語で1976年に出版されている。日本語訳本は、1977年に偕成社から「障害を理解する子どもの本」の第1冊目として刊行された。こ…  全文読む 評価する

七ひきのねずみ 七ひきのねずみ
wildcat/ことわざの言葉そのままにさわって確かめる世界を表現した絵本
国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People : IBBY)の障害児図書資料センターでは、隔年で世界各国から集めた資料の中から40タイトルを選び、IBBY障害児図書推薦リスト(Outstanding Books for Young People with Disabilities)を作成している。本書は、2005年の推薦リストに「さわる絵本」として選ばれた作品である。といっても、日本語版の絵本はさわる絵本にはなっていない。フランス語版と英語版にさわる絵本があるようだ。著者のエド・ヤングは、1992年に本書でコルデコット・オーナー…  全文読む 評価する

見えなくてもだいじょうぶ? 見えなくてもだいじょうぶ?
wildcat/「だれでもぜんぶ見えているわけじゃないんだよ。」
国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People : IBBY)の障害児図書資料センターでは、隔年で世界各国から集めた資料の中から40タイトルを選び、IBBY障害児図書推薦リスト(Outstanding Books for Young People with Disabilities)を作成している。本書は、2009年の推薦リストに「障害児者が描かれている図書」として選ばれた作品である。土曜日の町に買い物に来ていたカーラは両親とはぐれてしまう。電話ボックスのそばで泣いていた彼女に最初に気づいたのは、「犬をつれたおにいいさん」だった。…  全文読む 評価する

かあさんをまつふゆ かあさんをまつふゆ
wildcat/強いきずなで結ばれている娘と母と祖母の物語
薄暗い家の中から外の光が入ってくる窓を見つめる黒人の少女。エイダ・ルースのかあさんはシカゴでは黒人の女でも雇ってくれるからと働きに行くことを娘に告げる。「せんそうが あって、男たちが みんな たたかいに 出ていってしまったから」と。時代はいつとは書かれていないが、南北戦争の頃だ。エイダ・ルースの家も、エイダ・ルースと働きに出た母とエイダ・ルースと一緒に母の帰りを待つ祖母。この物語には女性しか出てこない。  「エイダ・ルース、せかいじゅうの なによりも あんたが 大すき。わかってる?」  「うん。雨よりも 大すきなんでしょ}わたしは つぶやいた。  「雨よりも ゆきよりも 大すきよ」かあさんが …  全文読む 評価する

しょうぼうねこ しょうぼうねこ
wildcat/信じて待つということ
消防車と同じ色の朱色の表紙に、黄色の文字で「しょうぼうねこ」。消防士の帽子をかぶった黄色い体に黒の斑点のねこが、右前足を振り上げて、勇ましくも消防柱を滑り降りるところ。ユーモラスで元気が出る表紙である。中の絵の色も黄色と朱色がアクセントになっている。黄色い体に黒の斑点のねこの名前は「ピックルズ」。ピックルズは前足にすごいパンチを持っていて、そのパンチで何か素敵なことをしてみたいと思っているねこ。たるの中に住んでいた。たるは、素敵なことなど起こりそうもうもない静かな裏庭にあって、ピックルズは裏庭に入ってくる子猫たちを追いかけまわす日々を送っていた。ピックルズにはそんなことはつまらないのだけど、他…  全文読む 評価する

嵐が丘 嵐が丘
wildcat/コントラストとシンメトリーが悲劇を生み、そして、未来への希望も残した。
最初にこの作品のことを知ったのは、有名少女漫画の劇中劇としてだったから、小学校の高学年の頃だった。だが、『ジェーン・エア』は、世界の少女文学として出会って、中学生の頃に読んでハマったのに対し、この『嵐が丘』を通して読んだのは今回が初めてだった。読む前から話はなんとなくは知っていて、少ない登場人物で濃密な愛憎劇を繰り広げるというイメージがあった。きちんと読んでみようと思ったのは、多読用にリライトされた本を読んで、気になるセリフがあったから。そして、以前読んだのよりももう少し長めのリライト英語版を読んでみようと思ったので、その準備のためもあった。「エドガーがハンサムで若くて明るくてお金持ちで自分を…  全文読む 評価する

フラピッチのふしぎな冒険 フラピッチのふしぎな冒険
wildcat/親切な心はやがて自分の元へと帰ってくる。
本書は、クロアチアの少年・フラピッチの1週間の冒険物語である。舞台はクロアチア、時代は100年ほど前。本書は、クロアチアの児童文学作家であるイヴァナ・ブルリッチ=マジョラニッチの作品で、1998年に彼女の没後60周年を機にクロアチア-エスペラント連盟によってエスペラント語に翻訳された。この日本語翻訳版は、エスペラント版を底本にしている。フラピッチは、靴職人のムルコーニャ親方の下で修業をしていたが、親方は昔のある出来事のためすっかり心を閉ざしてしまい、いつもフラピッチにつらく当たっていた。一方、おかみさんは、親方と同じつらい経験をしていたのだが、フラピッチにやさしくしてくれていた。ところが、ある…  全文読む 評価する

エリコの丘から エリコの丘から
wildcat/スターになるのに必要な三つ目のもの
なじみある岩波少年文庫だが、E.L.カニグズバーグは、私にとっては初めて読む著者だった。検索結果から書誌をざっと眺めてみると、11歳、12歳、13歳あたりの少年少女を主人公にしたお話が多いようだ。同世代で出会うとより共感できる作品だと思う。本書の主人公・ジーンマリーは11歳。文体は、一人称で、ジーンマリー自身が当時のことを振り返っていて語っている。ジーンマリーの母親は空港の荷物検査員で、ケネディ国際空港の検査員に抜擢されることとなり、母と娘は、トレーラーハウスでテキサスからロングアイルランド島へ引っ越してくる。時代設定は、荷物検査をすべて人手でやっていた頃(その後も上映されていた映画とかコンピ…  全文読む 評価する

ないた赤おに ないた赤おに
wildcat/大人になって読み返すほどに響く青おにの手紙
先日、父に「ないた赤おに」は家にあるかと訊かれた。FMの本の紹介で聞いて読みたくなったのだそうだ。持っていなかったので、職場から家までの途中の図書館に寄るも、絵本版はすべて貸出中だった。近所の本屋に寄ったところ、本書があったので、購入して帰った。父は、自分でも職場近くの図書館に寄って、児童コーナーに案内され、子どものいすに座って読んできたのだそうだ。本書も興味深そうに読んでいた。絵は、いもとさんの絵なのだけど、オリジナル作品ほど個性を前面に出した絵といった感じではなく、元のイメージの鬼を崩さずに、でも、やっぱり、いもとさんだ、という雰囲気である。父と娘の会話は、普段からも淡々としている。父は、…  全文読む 評価する

怠けてなんかない! 怠けてなんかない!
wildcat/「自立して社会に参加でき、自己実現したり、社会貢献したりできるようになるために必要なこと」
本書は、『怠けてなんかない!―ディスレクシア 読む・書く・記憶するのが困難なLDの子どもたち』(2003年11月)、『怠けてなんかない!―2セカンドシーズン―あきらめない?読む・書く・記憶するのが苦手なLDの人たちの学び方・働き方』(2010年4月)に続く、ディスレクシアに関する本である。前の2冊は、「世の中には読み書きや計算や記憶が苦手なディスレクシアな人たちがいるというファクトを日本中の人たちが知ることこそが、彼らへの一番の支援」という信念に基づき、本人、家族、学校、支援機関等の取材を行い、日本のディスレクシアの本人の話をていねいに聴き、その思いを語った本である。本書は、「気になるところが…  全文読む 評価する

細菌と人類 細菌と人類
wildcat/人類と感染症との長い闘いの歴史とその研究に献身した人々の物語
図書館から借りた本を返そうと思った際に、次にどれを借りようかぱっと思いつかなかった。読みたい本のリストがゼロになることは決してないのだが、なんとなく、リストの中の本を着手するという気分ではない。そんなときは、借りる本をまるごと友人からのお勧め本にしてしまう。今回は借りた本5冊すべてが自分の選択肢としてはまったくなかった本になった。本書の選択理由を友人に尋ねると、ノロウィルスやインフルエンザの時期だからとのこと。なお、本書は2008年に文庫版も出されている。図書館ではハードカバーの所蔵の方が多いのではないだろうか。本書の目次は、16章すべてが細菌を起因とする病気の名前である。  ペスト  コレラ…  全文読む 評価する

魔女の宅急便 魔女の宅急便
wildcat/「引っかかりがある本」は、「大切な本」になる。
気の合いそうな全集モノに出会うと一気に読みたくなる癖は子供の頃から変わらない。そして、この場所に出会ってからは、読んだら、足跡をつけたいと思うようになった。私は、本について語る際に、「その本と出会った時が今なのだ」という言葉をよく使う。その本が出たばかりのとき、流行っているとき、自分と登場人物が同年齢で最大限に共感できるときなどを逃してしまったとしても、きっと今この本を手にしている瞬間が、あなたがこの本を必要とする時なのだという想いをこめて。だが、そう言いながらも、悔しさを100%拭い去れたわけではない。私は、読書を休んでいた時期もあるし、読むのは決して早くない。数を今から取り返すのは難しいの…  全文読む 評価する

冒険者たち 冒険者たち
wildcat/ドブネズミガンバの成長物語―忘れかけていた何かを思い出させてくれる作品
『冒険者たち―ガンバと十五ひきの仲間』、『グリックの冒険』、『ガンバとカワウソの冒険』の3部作は、ドブネズミのガンバとその仲間が登場する冒険の物語である。『冒険者たち』と『ガンバとカワウソの冒険』は、ガンバが主人公である。『グリックの冒険』はシマリスのグリックが主人公で、ガンバは途中のエピソードに一時的に登場する。この3冊の共通点は、ページ数が多くて重いことだろうか。文庫も出ているけれど、ページはやっぱり多い。『冒険者たち』が378ページ、『グリックの冒険』が346ページ、『ガンバとカワウソの冒険』に至っては546ページ。小学校時代を懐かしみ、当時読んだハードカバーでと思って勇んで図書館からま…  全文読む 評価する

自由ってなに?人間はみんな自由って、ほんとう? 自由ってなに?人間はみんな自由って、ほんとう?
wildcat/「考える自由があるときこそ、人は自由でいられる。」
本書は、「天才のら犬、教授といっしょに哲学する。人間ってなに?」に続く、10代の哲学さんぽシリーズの第2巻である。自由ってなに?短くも鋭く深い問いである。章題も印象的である。  ・かつて、生まれながらに自由をもたない人間が存在した。  ・人として生まれた者は、だれもが自由である。たとえ奴隷であっても。  ・自分らしくいられなければ、自由でいても意味がない。  ・人は自分からすすんで、自由を捨てるのか?はじめは、こんな問いから始まる。  「自由な人間」って、いったいなんだろう?  その答えをさがすとき、わたしたちは「自由とは?」「人間とは?」などと  抽象的に考えるのではなく、むしろ具体的なだれ…  全文読む 評価する

天才のら犬、教授といっしょに哲学する。人間ってなに? 天才のら犬、教授といっしょに哲学する。人間ってなに?
wildcat/「人間は文化を誇り、犬は本能や自然体を誇らしく思う。」
本書は、10代の哲学さんぽシリーズの第1巻である。この「天才のら犬、教授といっしょに哲学する。人間ってなに?」も、第2巻の「自由ってなに?人間はみんな自由って、ほんとう?」もフランスの作者・画家によるものである。第3巻として、「なぜ世界には戦争があるんだろう。どうして人はあらそうの?」が続く予定である。本書は、ある哲学者が「人間と動物のちがいについて」という本を書くことになっていたが、さっぱり筆が進まない。この設定、まるで本書を書こうとしているの作者のようである。書けなくていらいらした哲学者はこんなことを言う。「人間が動物よりずっとすぐれている理由を、犬にたずねたら、なんて答えるかな。ぜひ、き…  全文読む 評価する

スヌーピーと音読するフォニックス式こども英単語 スヌーピーと音読するフォニックス式こども英単語
wildcat/耳で聞いて音とつづりを結び付けていく。
新着に挙がっていたタケウマさんの書評で、『えほんで楽しむ英語の世界』の存在を知ったのは、去年のこと。著者名でたどって著者のリーパー・すみ子さんが、『アメリカの小学校ではこうやって英語を教えている ライミング編 英語が話せない子どものための英語習得プログラム PHONEMIC AWARENES』を出していることも同時に知った。バウ子さんの書評も興味深い内容だった。『アメリカの小学校ではこうやって英語を教えている ライミング編』では、次のことが書かれていた。米国ではヒスパニック系の人が増えてきていて、リーバー・すみ子さんのいるニューメキシコ州でも、移民の生徒たちが増えるにつれて、英語が“読めない・…  全文読む 評価する

ぶたぶたくんのおかいもの ぶたぶたくんのおかいもの
wildcat/仲間がいるって楽しいなぶたぶた♪
ぶたぶたくんがおかあさんに頼まれてはじめてのおかいものに行きます。はじめてのおかいものといえば、ドラマがつきもの。そして、おかあさんと行ったことがある場所でも、はじめてそこに行くのは本人にとっては大冒険なんです。途中出会ったお友だちのかあこちゃんにこぐまくん、目的のお店のぱんやさん、やおやさん、おかしやさん。みんなそれぞれが個性的でマイペースでそれでもなんか調和していて、そのやりとりがおもしろい味を出しています。彼らは無理して周りと合わせようとはしていなくて、話すスピードもはやい人ははやい、ゆっくりの人はゆっくりで、それでOKという雰囲気が良いのです。「ここまできたら、あとへ もどるよりも、こ…  全文読む 評価する

ちいさなもののいのり ちいさなもののいのり
wildcat/ちいさなものにたいする慈しみの気持ちをじんわりと引き出してくれる作品
本書の存在は、第16回の大人絵本会のときに、会の常連の仲間が教えてくれました。大人絵本会では、毎回その絵本の新しい見方、深い読み、そして、新しい本を教えてもらうのですが、本書もその一冊です。子供時代は、エリナー・ファージョンの作品集が好きでしたが、本書の存在ははじめて知りました。エリナー・ファージョンは、作品集の印象から短編の書き手、あるいは、英国の昔話を脚本や長いお話として書いたというイメージだったので、宗教的な詩も書いていたとは知りませんでした。彼女が言うGod はキリスト教の神でしょうが、子供や小さな生き物を大切に思う気持ちは一つの宗教を超えた共通の考えといえると思います。違う神様を信じ…  全文読む 評価する

海炭市叙景 海炭市叙景
wildcat/変わりゆく海と炭鉱しかなかった街で生き抜いていく市井の人々の物語
本書のタイトルを初めて聞いたのは、昨日のインターネットラジオottava。最初音で聞いた瞬間は、漢字変換できなかった。「かいたんしじょけい」は、ただ音として飛び込んできたのだ。普通の人々の生活を描いた物語で、舞台となった街は著者の故郷の函館市をモデルとしていて、映画は函館市の人たちの協力によって作られたという。ハードカバーは絶版になっていたが、映画化を契機に文庫化されたと。気になったので、そのままひらがなで検索をかけた。一番上にヒットしたのは、映画「海炭市叙景」の公式サイト。東京での封切りは、12月18日(土)渋谷ユーロスペース。その後の予定はすぐに決まった。本屋に原作本を買いに行こう。そして…  全文読む 評価する

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