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ひらひら
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拾得/どんなときでも面白がって生きる、国芳親分とその愉快な門下たち。
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本書を一読して、正直、「ああ、生きててよかった」と思った。ちょっとおおげさかもしれないが。この年になって、このような漫画が読めるなんて、とても幸せだ。 現在、森ビルで大規模な展覧会が行われている歌川国芳展に合わせたかのような、その国芳一門を登場させた漫画である。浮世絵師を扱った漫画と言えば、杉浦日向子の傑作「百日紅」がある。北斎父娘を描いたもので、もちろんおもしろい。一方、こちらは副題のとおり「一門」を描いたもので、国芳を親分とする仲間たちが愉快である。鯨がきたといえば、仕事を放り出してみんなで喜んで見に行き、火事といえば火消しの手伝いに飛んでいく。この世を全身で楽しみ尽くそうとするかのよう…
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SatoShio
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拾得/日常を生きるお仕事漫画。
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「働く人」をテーマにした物語は、小説も、映画も,そして漫画も数多いのですが、この作家に手にかかると、一味変わってきます。 ゆるゆるお仕事漫画、というのがどうやら売り文句(?)のようですが、別にのんびり仕事をしているわけではないです。ちゃんと仕事はしています。むしろ、仕事をしているのかどうかわからないような、バブル期のトレンディードラマの人物たちにくらべれば、はるかにちゃんと仕事をしているといえましょう。若手女社長と社員2名(と、ときどきアルバイト)の「弓田デザイン」は、小さいですが、一生懸命に仕事をしています。もちろん、のんびりする時間もあります。でも、徹夜続きのどうしようもなく多忙な日々も…
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少年少女飛行倶楽部
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拾得/ファンタジーなきファンタジー、ミステリーなきミステリーという力技。
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タイトルからすると、一見、ファンタジー。そして著者の名をみれば、中学校を舞台にした爽やか系青春ミステリーかと想像される。そう思いきや、倶楽部を主催するというのはかなり変人な先輩。なまえは神(じん)。そこに友達にさそわれて入ってしまった、中学一年の女の子・海月(みづき)が語り手である。そこに集まる少年少女たちは、飛行以前に、それぞれの名前が不可思議である。副部長は海星、海月の友達は樹絵里、不登校から一転入部する朋(るなるな)。顧問の先生の名前も信長。比較的ありがちな名前の球児君は野球が不得意。いたってふつうな良子は、なかなかのくせ者で、主人公はイライザとよぶ。顧問自身が、「珍名クラブ」とつぶや…
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深海の使者
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拾得/冒険と鎮魂と
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本書は、吉村昭による戦史小説のひとつである。「綿密な取材による史実の再構成」というスタイルの小説の読み応えは保証付きといってよいだろう。本書で取り上げるのは、第2次大戦下で日独の往復を図った潜水艦である。あまり広くは知られていない史実だけに、事実を知るだけでも興味深い。その克明な記録をぜひ楽しまれたい。 先の大戦において、日独伊は同盟国であったにもかかわらず、その物理的な遠さから、日独の協力や交流はごくごく限られていた。特にレーダーなどを含む兵器開発においては、技術交流が渇望されていた。ドイツ側も南方資源を欲していた。それゆえの潜水艦による日独往復が企図されたのである。飛行機による往復も試み…
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日本の歴史
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拾得/シリーズを総括する巻ではないです。
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講談社版「日本の歴史」の「締め」を飾る1冊である。本シリーズは、日本史研究を専門としない者にとっても、とても面白いものだった。同じく巻数の多かった中央公論社版と比較をしても、「これほどまでに日本史研究というものは進んでいるのか」と感嘆することもしばしばであった。正確には「進んでいる」だけではない、政治史中心であった中央公論社版にくらべて、研究の視野が「広がった」ともいえよう。編者の一人網野善彦氏が半生をかけて主張をした、列島の多様性というものが、豊富な研究蓄積にもとづいて示されていったわけである。 この多様性とは、いわゆる民族だけではない。人そのものの多様性といってもよいかもしれない。もちろ…
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錯視芸術
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拾得/魅力ある読書体験をあなたに
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本書は、「アルケミスト双書」と題されて刊行されている翻訳シリーズの1冊である。 「錯視」というと、北岡明佳氏らの大活躍のおかげもあって(本書でも紹介されています)、日本でも、とても身近になったのではないだろうか。最近は「立体錯視」なんていうのも注目されているそうだ。数多くの関連書が豊富なカラー図版で刊行されている。 そうした書籍に対し、黒を基調にしたカバーに違わず、本書の中身は「白黒」である。しかし、地味さは感じさせない。むしろ、本を手にする満足感を感じさせてくれる。 エッシャーをはじめとする古典的な錯視や、古い図版を多く掲載するばかりではなく、新規の図版もトーンをそろえて作成されている。な…
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安全・安心の心理学
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拾得/後知恵バイアスの魅力をこえるために
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今年は、大震災・津波や原発事故がらみで、関連書籍が多く刊行されたようだ。レポートみたいなものもあれば、「**の安全性・危険性を問う」といった類いの勇ましい本も少なくなかったであろう。言っていることに間違いはないのだろうし、必要なことなのだろうが、違和感は残る。その違和感の元というのは、本書で紹介されていることばでいえば、「後知恵バイアス」というのだろう。 刊行されてから少し時間が経っているが、心理学の側面から安全安心にかかわる課題をまとめた一書である。安全対策は、通例はハードや制度によるものが多い。ただし、何か問題が起こった場合、さまざまな対策を列挙したうえで、「関係者の意識の向上を」という…
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作家の猫
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拾得/猫は友だち、犬は身内、というけれど。
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ほぼ、ひとつのジャンルとなった感のある「猫本」。猫を飼えない者の代理体験なのか、単に猫好きが多いのか、とにかくネタが尽きない。本書も、趣向そのままの「その2」なのだけれど、見飽きはしない。 加藤楸邨から立松和平まで、26人の作家の愛した猫たちの写真とまつわるエピソードが綴られる。それぞれの家族もしくはそれに代わる者による一文がつく。たとえば久世光彦であれば、妻の久世朋子が、といった具合である。これも一つの現代日本文学史の参考書である。 写真は、猫たちの表情がよく決まっていたり、猫を抱いた作家の幸せそうな笑顔は、他の猫本と同様の定番である。プライベート写真ならではの「幸せな家庭」の写真もよく出…
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家族という神話
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拾得/神話の役割と強さ
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「両親が女性」という家族のアメリカ映画を見た。大きくなった子どもは、精子提供者である生物学上の「父」に関心をもち、探し出して・・・、とそのてんやわんやが描かれる。子どもをもった同性婚カップルの「その後」という、先端的な設定で話題をつくろうとしたのだろうが、その描かれ方はとても「ふつう」であった。言い換えれば、「両親共に女性だろうがなんだろうが、家族は家族だ」というメッセージ満載だった。むしろ、このふつうさのほうに驚いてしまった。 本書は、そのアメリカにおける「家族は家族だ」を歴史的に問い返す試みである。著者のことばを借りれば、「伝統的」とおもわれる家族は、アメリカの歴史の中で一度も存在しなか…
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秒速5センチメートル
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拾得/時には秒速5センチで、時には時速千キロという速度で。
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なんとなく見ていてたテレビで、映像の美しさに、つい見入ってしまったアニメ映画があった。本書は、そのコミカライズである。物理的距離に隔てられてしまった「思い」を扱ったセンチメンタルなストーリーも、山崎まさよしの音楽と合わさって、観る者を放さないものがあったのではないか。 ある男女というより、男の子と女の子の出会いからはじまり、優に10年をこえる時間を扱った物語でもある。こう書くと大河ロマンかと感じられるかもしれないが、映画版では、おもに3つの断片から構成されている。2人の出会いと別れを扱った「桜花抄」、種子島での高校生活を描く「コスモナウト」、社会人になった男の子のその後を描く「秒速5センチメ…
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パラダイムでたどる科学の歴史
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拾得/科学とは何か、と考えるということとは?
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人文社会系の学問と自然科学の学問とを区別するひとつの手がかりが、「学説史」の位置づけではないだろうか。基本的に決定的な証拠がないともいえる人文社会系の学問において、学説史はその学問分野のアイデンティティをさぐる試みともいえ、重要な位置におかざるをえない。自然科学系でも、「*学史」という分野は確かにある。しかし、科学史と総称されるものに一括することが可能であろう。ところで、人文社会系の各学説史はこのように一括できるだろうか。 「この両者の違いは何なのだろうか?」とふと思ったことがあるが、そうした疑問に明快に応えてくれるのが本書である。 本書は、日本の科学史研究の碩学である著者の「語り下ろし」で…
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昭和天皇
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拾得/エンペラーズホリデー
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映画「英国王のスピーチ」は面白かった。よく考えてみれば、旧敵国の宣戦布告スピーチがクライマックスな訳で、そこを日本人が興味深くみれてしまうのも妙な話だが、そうした大状況の中での、一個人の孤独な戦いをよく映像化できていた。そのジョージ6世の娘を描いた「クイーン」も面白かった。日本でも同じような映画ができないものだろうかと思ったら、ちょうとよい格好の「青年」がいた。 20歳前後の青年が海外旅行をするのは、今となっては珍しくもないが、彼の父も祖父も海外に出たことはなかった。自分が初めてである。おつきの者に囲まれるのは国内にいるときと変わらないにしても、その程度は全然異なり、解放感を大いに感じること…
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海炭市叙景
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拾得/街を想像して,創造する。
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本書を原作にした映画が作成・公開され、それに合わせて原作も文庫化された。映画への評価もそれなりに高く、実際,芸達者な俳優を集めた見応えのあるものであった。そこであらためて原作を読んでみたのだが、忠実に、いやそれ以上に丁寧な映像化といってよいだろう。多少の設定の変更はあるにしても、原作では書かれなかったような行間までも丁寧に埋めようとしている。それにもかかわらず、映画と原作との印象の違いを感じてしまうのである。 原作は、函館をモデルとした海炭市を舞台とした18の連作短編から構成されている。映画では、このうちの5つほどを再構成したものという。映画でも原作でも冒頭の「まだ若い廃墟」の印象が強いせい…
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片思いレシピ
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拾得/「ふわミス」誕生!
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ハードボイルド作家のはずの著者にしては、やけにガーリーで華やかな装幀と感じたものの、今回の語り手が「柚木草平シリーズ」の草平の一人娘・加奈子と知って納得。この作家は、青年にさしかかろうかという少年を主人公にしたミステリーは、処女作以来、数多く出しているが、少女を中心にしたのは初めてではないだろうか。同じような設定がくり返される著者の作品群の中で新機軸を試みたのだろうが、それは確実に成功したといってよいだろう。 加奈子の通う塾の講師・松永先生が、何者かに殺されるという事件が起きる。講師控室で殺されたものの、誰も逃走者を目撃していない。当初は衝動的な殺人とも考えられたが、なかなか容疑者が浮かばず…
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幻の終戦
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拾得/日本の8月は有意義だ
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1945年8月15日にポツダム宣言受諾を発表して以来、8月の日本には「戦争もの」があふれる。書籍、ドキュメンタリー、マンガ、証言集、もろもろ。このことに疑問を呈する向きもあるようだが、「考えるべきこと」が沢山あるだけではなく、多くのことを教えられる。そんな貴重な機会を、後代に生きるわれわれが活かさないわけにはいかない。 歴史を考える禁じ手のひとつに、「もし、あのとき・・・」というものがあるそうだ。しかし、それを考えたくなるのも人間の性であろう。「太平洋戦争」において、その「もし」の対象となってきたのは「ミッドウェー海戦」ではないだろうか。昭和史を中心にノンフィクションを次々と著している著者も…
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日本の歴史
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拾得/同時代の時空間を再現する試み
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毎夏、繰り返し問われる「昭和史」の主題とは、「あの戦争は避けられなかったのか」である。正解はないであろうし、論者の現在の立ち位置によっても歴史への見方は大きく異なり、これからも延々と問われ続けることだろう。しかし、それが無駄だとは決して思わない。 戦争までの20年くらいを近代日本の「逸脱」とする一方で、戦争を明治以来の「結果」と見るものとに大きく分けられるといってよいだろう。どちらもそれぞれに説得力をもっており、素人にはなんとも言えない。ただ、政治史などの史実をこまめに追うだけでは、この時期の歴史はあまりに困惑してしまう。それゆえに、こうしたなんらかの史観をつい欲してしまうのであろう。本書は…
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関東大震災
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拾得/災害下の人心を冷静に見透す記録文学
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3月11日の東日本大震災以後、同じ著者の「三陸海岸大津波」とともに、改めて広く読まれているのが本書である。たいていの書店には並んで置いてあるようだ。震災以後4ヵ月、関連書籍は数多く積まれている。単に「著名人が何かをちょっと書いた」程度の、首をかしげたくなるような本もあるが、吉村氏の2作は今なおこの国に必須の書といってよいだろう。 同じ著者が同じ「震災」を扱った本とはいえ、両著は重きの置き方が実はだいぶ異なっている。「三陸」のほうが「証言」と「対処」によって構成されているとするならば、本書の重心は「証言」と「人心」におかれている。災害などを扱っている書を読んでいるとき,懸命かつ適切な対処がなさ…
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昔も今も
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拾得/『君主論』以前のマキャベリズム
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本書の紹介文を見てびっくり。あのモームが、『君主論』のマキャベリを主人公にした小説を書いている。しかも扱っているのが、あのチェーザレ・ボルジアとの出会いの場面という。どのように描いているのか、気になって仕方がない。まさしく『君主論』誕生の瞬間を描いたものと容易に想像がつくし、実際にそうである。しかし、そこはモーム、素直にそんな場面を描くであろうか? フィレンツェの外交官であるニッコロ・マキャベリは、共和国使節としてローマ法王軍司令官であるチェーザレ・ボルジアのもとに赴く。何かの取り決めをするというより、何か取り決めることを引き延ばすことによって、状況を見極める時間を稼ぐというのがマキャベリに…
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舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵
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拾得/名探偵登場、の巻
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「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」につづく第二弾。きっちり三年後に14歳編が出るとは、と少々の驚きをもって手にとる。 カバー袖の著者の自称では「ゆるミス」ということになっているものの、扱っている素材は決して、「ゆるい」ものではない。今回のメインの登場人物は舞田ひとみとその小学校時代の級友・高梨愛美瑠、さらにその中学校の友人2人の計4人。高梨と2人は大学までエスカレーターで進める私立中学校に進学している。一方、ひとみは公立中学校に通っている。 「ゆるミス」で中学生が主人公などというと、学園ミステリー×「日常の謎」ものを想像してしまう。ところが、そんな中途半端な想像をする読者を置いてけぼり…
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不確実性の時代
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拾得/ハイルブローナー VS ガルブレイス
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最近、とある(よく売れているという)新書でガルブレイスの『不確実性の時代』を揶揄するような注記があった。そうなると、俄然読みたくなってしまった。日本国内でも流行語となるほどに売れた書籍は、いったいどのようなものなのか。折よく、近年再文庫化されている。 本書をひとことでいえば、一般向け経済史と経済学史の本である。最近はやりのリスク論を先取りしたものではない。19世紀の経済と経済学に見られた確実性に対照させて、変動激しい20世紀を「不確実性の時代」と表現したわけだが、このネーミングのよさは卓抜である。本書の内容をこえて、一人歩きしたとしても不思議はない。ちなみに、本書は連続テレビ番組で放送された…
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勝負の分かれ目
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拾得/大河ノンフィクションの面目
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人から薦められていて、半ば忘れかけていた本を改めて手にとる。それがとんでもなく面白かった場合、それは「得をした」というべきか、「損をした」と感じるべきか。そんな本書は1999年刊行。すでに文庫化もされており、いまさらながら紹介するのは気が引けるのだけれども、何度紹介されてもそれに見合う内実を本書はもっている。 大まかにいって、イギリスの通信社「ロイター」と日本の通信社「時事通信」の二社の90年代までに至る戦後史を通して、「報道」という業務がどのように変質していったのか、ということを描いた、大河ノンフィクションである。本文二段組み500ページをこえる物量に圧倒されてしまうが、量をもってしか書け…
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忠臣蔵とは何だろうか
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拾得/物語と事実の断片の双方から真実を照射する試み
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本書が刊行されたのは、大河ドラマ「元禄撩乱」が放送されていた頃だろうか。だいぶ時間が経っているが、改めて読んでみると素直に「面白い」。大河ドラマ便乗本などとあなどってはいけない。忠臣蔵のもつ「わかりにくさ」と「面白さ」とを上手に解説してくれている。 忠臣蔵が何度もドラマ化・物語化されるのは、起承転結がはっきりし、またドラマ性の高い「見せ場」がいくつもあるからだろう。一方、浅野内匠頭、吉良上野介、大石内蔵助といった主要人物が、「回顧録」を残しているわけでもないので、それぞれどのような「思い」をもっていたのかは、最終的にはわからない。ここに通俗的なストーリーを量産する力と、さまざまな解釈に挑む余…
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神保町「書肆アクセス」半畳日記
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拾得/今はなき書店の日記を読む、ということ。
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書誌アクセス。この書店名を知っているのは、そこそこの神保町通か、地方出版社関係者であろう。書籍取次である地方小出版流通センターの書店として、神保町にその存在感を示したものの、2007年に惜しまれつつ閉店した。本書店を偲んだ本まで出ている。本書は、閉店になる前の1998年から2002年までの日記である。前半は黒沢さんという20代末(当時)のスタッフが、後半は店長の畠中さんが書き記している。 閉店になってしまったお店の、日々進行していく日記を読むというのも、なんだか妙な気分だったが、読みはじめていると素朴に面白い。とりわけ前半部分は、まだ若めの黒沢さんのライフイベント(引越、結婚、引越、出産)と…
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武士の家計簿
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拾得/ある武士の家族の「生きざま」を現代に再現する。
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昨年2010年の日本映画界は、「時代劇映画」豊作の年だったという。その中でも本書の映画化は異彩を放っていた。「家計簿の本が、どうやったら映画になるのか」という声もあったものの、ある家族のドキュメンタリーを見るようで興味深かった。本書は、サブタイトルにあるように「加賀藩御算用者」である猪山家三代の家族史を、その家計簿=入り払い帳をもとに再現している。家計簿だけに、文字通り「身辺」の再現になっているのである。 時代劇映画とはほぼサムライ映画のことであり、その基本はチャンバラとなる。ところが、本書の主人公である侍は刀を抜かない。御算用者=経理みたいなものだから、当然ではある。実は「最後の忠臣蔵」も…
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もっとも美しい数学ゲーム理論
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拾得/「心理歴史学」の見果てぬ夢をさぐる。
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現代で、経済学や統計学のみならず、社会科学一般を学ぶ人・学んだ人にとって、「ゲーム理論」ということばを、どこかで耳にしたことがあるだろう。一般向けの概説書も数多く見られるようになった。本書も、ゲーム理論をやさしく解説したものの一つと思って手にとったが、だいぶ趣きが違う。おそらく本書を読んだからといって、ゲーム理論を使いこなせるようになるわけではない。本書のねらいは、ゲーム理論はどのような「流れ」の中にあるのか、を解き明かそうとすることである。ゲーム理論の系譜学ともいいかえられよう。 この系譜を解き明かす一つの鍵が、アシモフの『ファウンデーション』で展開されるという「心理歴史学」である。SF小…
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旅する力
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拾得/旅する理由/旅をしない言い訳
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初めての海外旅行の前、『深夜特急』を読んで大いに気分が盛り上がってしまった一人として、本書を読むべきかどうかずっと迷っていた。「旅をしなくなった自分」いや「旅をしない言い訳がうまくなった自分」に向き合うようで、いたたまれなくなるのではないかと感じたからだ。実は、「ドラマ」になったときは少々感じた。 沢木氏は、この『深夜特急』のみならず、その軽やかな人生—入社初日で退社して、そのままルポライターになってしまったという逸話などから、ある種の若者の偶像であったといってもよいのではないか。しかも、文化人や評論家などのように軽々しくテレビには出ない。かといって隠棲しているわけでもなく、きちんとした文章…
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おたから蜜姫
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拾得/ユーモア時代小説と見せかけて、実は古代史ミステリーという、鮮やかなお手並み。
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退屈姫君シリーズで、江戸時代を舞台に独自のユーモア時代小説の分野を切り開いた著者の米村氏。本書も「気分転換に耽読を」と気軽な気持ちで、600ページをこえるこの文庫を手にしたのが運のつき。蜜姫を中心とするユーモア活劇と見せかけて、今回の中心は「竹取物語」の隠された真実をめぐる古代史ミステリー。この最初からの「どんでん返し」に驚きつつも惹き込まれてしまった。「気軽な」どころか、古代史と古典について、わが頭に残存する知識を総動員しての、意外に大変な読書となった。 最新の発掘成果や新発見事物に基づきつつ構成する、古代史ノンフィクション仕様とは異なり、あくまでも現時点で(この場合は江戸時代)入手可能な…
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ビューティフル・ネーム
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拾得/同時代の作家の最後の作品を読む
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私が書評らしきものを書きはじめた頃から、著者の作品を紹介してきた。一番最初には、才能ある同時代の作家と伴走できる同時代の読者の喜び、みたいに書き出した記憶がある。その時には、彼女の「最後の作品」について書く時がこようとは思いもしなかった。「残念」とも「無念」とも言いがたい、複雑な心境である。できれば「読みたくなかった」。 本書は、作家のPCから発見された未完の作品を含む、4編から構成されている。そのうち著者の生前に発表されたのは「眼鏡越しの空」「故郷の春」の2つである。「ビューティフルネーム」という表題作があるわけではなく、この2つに未完の「ぴょんきち/チュン子」をくわえた一連の作品につけら…
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科学コミュニケーション
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拾得/正念場を迎える科学コミュニケーション
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本書の刊行日は2011年2月15日。著者も出版社も、刊行後すぐに科学コミュニケーションの「正念場」を迎えることになろうとは、想像すらしなかったであろう。著者の元々の専門は「素粒子物理学」「原子物理学」という。おそらく原発にかかわったことなどないであろう。しかし、3月11日を境にして、多くの一般人にとっては、著者は「向こう側」の人になってしまっているのである。 この東日本大震災においては、地震や津波予知や防災そして原子力発電と、現代の科学技術をめぐる論争も巻き起こしつつある。「やっぱり、原子力は危ないのだ」と「今、ここ」で批判をすることは、実は容易なことであろう。ましてや、原子力による電力の恩…
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日本の歴史
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拾得/明治最初期の制度変化をダイナミックに再現
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「幕末」「維新」、今なお、人々の関心を呼んでやまない時代である。さまざまな個性の人が出現し、さまざまな事がめまぐるしく起こった。その一方で、戦国時代に次ぐくらいに、混乱の時代でもあった。いや、「混乱」というのは婉曲的にすぎるかもしれない。内戦・内乱、略奪、暗殺、襲撃、殺人、・・・と、ダークサイドの面も見せた。幕末〜維新とは、短い間に、とてもさまざまなことが押し込められた時代であった。負の側面を含めて、物語に紡いだのはなんといっても山田風太郎だろう。 本書は、五箇条の御誓文が示された慶應4年(明治元年)から、明治憲法が発布された明治22年までの時期を扱っている。ごく短い期間だが「教科書で覚える…
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