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鼻/外套/査察官 鼻/外套/査察官
R_for_KOK/面白い。肩肘はった退屈な作品ではなく、賑やかな小説です。
気軽に読める。肩がこらない。いろいろな解説にあるように、物語の裏を深読みして頭を悩ます必要もない。ああ、ゴーゴリってこんなシンプルな娯楽だったんだな、と思える。この新訳、文章が落語調になっている。ここが大きな魅力であり、同時に欠点でもある。昔から落語が好きな私としては、「江戸弁を気取っていれば落語調」という訳者の見解が見え隠れするこの落語調の文章がどうも鼻について、「鼻」を読むのに難儀した。訳文の調子でいくと、賑やか過ぎるし、緩急もない。だから、脳の中で少しトーンを落とそうと、いろんな師匠方に演じさせてみたが、とりあえず志の輔師匠の声と語り口を当てはめて、想像しながら読み進んでいったら気持ちが…  全文読む 評価する

敗因と 敗因と
R_for_KOK/ワールドカップドイツ大会を、さらに後味の悪いものに
読んでがっくりである。いや、読んでいるのがつらかった。曲がりなりにも日本代表に(TVの前で)声援を送っていた前回のワールドカップ。中田英の引退にも驚かされたが、このチームの内幕にはなんもとはや…。一読して絶句せざるを得ない。子供の集団である。チーム内の悪口。足の引っ張り合い。まともなサッカーひとつできずに、意見の相違も何もない。ジーコは、選手がサッカーを理解していると考えてブラジル人流に放任した。しかし、選手は、規範を求めていた。トルシエのようにがんじがらめにされるのは嫌だが、信頼され、自由を与えられても、どうやってプレーしたらいいか分からなかった。この本につづられたレポートは、選手たちの戸惑…  全文読む 評価する

汝ふたたび故郷へ帰れず 汝ふたたび故郷へ帰れず
R_for_KOK/ボクシング小説の傑作。いや、ボクシングに関係なく男の心を熱く揺さぶる傑作
とにかく、男たちの身の内に流れる血が沸き立っていく熱を描いている著者の“1人称時代”の大傑作。表題作は、ボクシングという過酷な世界に生き、追い詰められた男の息吹が生々しく描いて文藝賞を受賞した作品。リアリティに満ちた迫真描写がすばらしい。ボクシングをドラマの舞台に選んだ、というより、ボクシングの中に生きている本物のドラマを、そのまま切り取ってきたような迫力がある。この小説は、人生に、ボクシングに行き詰った男が見せるチャレンジの物語。負けた男が這い上がり、再び立ち上がるそのドラマに、胸が熱くなります。読み終わって、「俺も何かしなきゃ!」「俺はいったい何をしているのだろう」と、体内の血が沸き立つよ…  全文読む 評価する

カラマーゾフの兄弟 カラマーゾフの兄弟
R_for_KOK/この勢い、このリズム!「古典を学ぶ」ではなく「面白いから読む」傑作
いわずとしれた、文豪 ドストエフスキーの未完の傑作。これが新訳になって登場。しかし、この訳文のなんと勢いの激しいことか。ドストエフスキーの序文から、軽快なリズムが刻まれ、脳が翻弄されていく感覚。本編に入ると、次々に勢いよく言葉が飛び込んできて、思わずクラクラしてしまうほど。難解な言葉を避けて、分かりやすく訳された文章のおかげで、ガンガンと読み進みます。試しに、途中で新潮文庫の旧約版に目をやると、こちらはやはり、落ち着いた流れで、脳に問いかけてくる感じ。これはこれでやはりいい。もちろん、内容は同じ。しかし、これだけ違う。面白いです。古典文学というと、「勉強のため」にと思って、しぶしぶ読む人もいる…  全文読む 評価する

野生馬の谷 野生馬の谷
R_for_KOK/太古のロマンとハーレクインロマンスの2本立て
シリーズの1作目を読んだ興奮も脳裏に鮮やかなうちに、続編であるこの作品を読んだけれども……。この作品では、同族のクロマニヨン人に出会うべく、育てられたネアンデルタール人の洞窟を出て旅を続ける主人公エイラのサバイバルを描くパートと、後に彼女と出会う、クロマニヨン人の若く、美しき旅人ジョンダラーの旅を描くパートに分かれて進行します。エイラのパートは、前作から続く面白さがあるのですが、ジョンダラーのパートは、安い恋愛小説のような趣があり、少々つらい。低俗なポルノではありませんが、セックス描写も多く、「子供に読ませよう」と考えて検索をしたご父兄は、やめたほうがいいでしょう。正直、1作目の素晴らしさには…  全文読む 評価する

エラゴン エラゴン
R_for_KOK/観る前に、読むことをお勧め。
2007年お正月映画の話題作の原作。こんなときに気になるのが、観る前に読むか、それとも観てから読むか、です。そして、この本に関して言うなら……映画の予告編を見る限りでは「観る前に読むべし」、なのでしょうね。指輪物語、ゲド戦記、そしてスター・ウォーズなどなど、過去の名作の影響を隠すことなく、若い作者の筆は、コンピュータ普及後の世代らしい発想を加えて、素直に、伸びやかに新しく、雄大なファンタジー世界を描ききっています。ボリュームはありますが、読み終えるのに、それほどの時間を要しないはず。勢いもあるし、何より、話に引き込まれます。新書サイズの廉価版もある今、読まない手はないでしょう。特に、映画を観よ…  全文読む 評価する

野生馬の谷 野生馬の谷
R_for_KOK/太古のサバイバルとハーレクインロマンスの2本立て
シリーズの1作目を読んだ興奮も脳裏に鮮やかなうちに、続編であるこの作品を読んだけれども……。この作品では、同族のクロマニヨン人に出会うべく、育てられたネアンデルタール人の洞窟を出て旅を続ける主人公エイラのサバイバルを描くパートと、後に彼女と出会う、クロマニヨン人の若く、美しき旅人ジョンダラーの旅を描くパートに分かれて進行します。エイラのパートは、前作から続く面白さがあるのですが、ジョンダラーのパートは、安い恋愛小説のような趣があり、少々つらい。低俗なポルノではありませんが、セックス描写も多く、「子供に読ませよう」と考えて検索をしたご父兄は、やめたほうがいいでしょう。正直、1作目の素晴らしさには…  全文読む 評価する

永遠の仔 永遠の仔
R_for_KOK/祈るような気持ちで、ぺージをめくりました。
虐待に尊厳を奪われ、虐待のトラウマに心を縛られ、自らの存在意義を信じられない1人の少女と2人の少年。彼らが、自分たちの人生を踏み出すために計画した一つの殺人。それは、実行されたのか、否か。彼らだけの秘密を抱え、新しい人生を歩み出した3人が、17年の時を経て再会したとき、封印されていた過去がよみがえり、トラウマがうずき、懸命に生きてきたはずの足下が、意識の中で揺らぎ始めます。自分たちは生きていて良かったのだろうか、と。自分たちの人生に価値はあるのだろうか、と。……全5巻に及ぶこの物語は、非常に重く、切ないです。彼らが小児病院で出会って別れるまでの過去と、大人になった彼らが再会し、結末を迎えるまで…  全文読む 評価する

バーティミアス バーティミアス
R_for_KOK/面白いです。続編も発売されたので、読むなら今がチャンスでしょう。
ほかの方々の書評もあるので、長々とは申しません。面白いです。装丁も美しく、ポイント高いです。帯に「『ハリー・ポッター』の対抗馬」とありますが、確かにこのコピーに負けない楽しさがあります。アクションが派手です。魔法が本格的です。ハラハラドキドキです。駆け引きがグッときます。映画版(2005年公開予定)が楽しみな、大活劇です。そしてですね、何というか、『ハリー・ポッター』よりも、“イギリスらしい”といいますか、あの霧に包まれた国の魔法使いの世界というのは、「やっぱりこういうものなんだろうなぁ」という、ちょっと意地悪で陰湿なテイストが、いい味を出しています。スネイプ先生がいっぱい、といえば分かりやす…  全文読む 評価する

五輪の身体 五輪の身体
R_for_KOK/室伏選手は背骨を一つずつ動かせる!?一流アスリートの驚きの身体感覚
ベストセラー『声に出して読みたい日本語』でお馴染みの齋藤孝先生が、下記6名の豪華メンバーに、オリンピック アテネ大会開催前、“身体感覚”を問うたンタビュー集です。 ・ハンマー投げの室伏広治選手、 ・アーチェリーの山本博選手 ・レスリングの浜口京子選手 ・体操の塚原直也選手 ・柔道の野村忠宏選手 ・トライアスロンの中西真知子選手この一流アスリートたちが、自分の身体をどのように認識し、鍛え、調整して競技に挑んでいるか——TVのスポーツニュースでは聞けない、興味深い話が展開されます。例えば、室伏広治選手は、トレーニングの結果、背骨の一つひとつを自分で意識して動かせるようになったとか。また、有名な「倒…  全文読む 評価する

ケーブ・ベアの一族 ケーブ・ベアの一族
R_for_KOK/詳細に描かれた“始原”のドラマに感動。——大人向けの壮大なファンタジー
この作品、もの凄く面白いです。お勧めです。まず何といっても、この物語の中に描き出された先史時代の生活の、その説得力の強さが凄い。(原著が発行された1980年以前の)考古学の成果から、作者が豊かなイマジネーションの羽を伸ばし、実に豊穣な「人とは微妙に異なる人々」の愛と勇気と信仰と思考のすべてが、こと細かく描写されているんです。厳しい自然。生き抜くための信仰(迷信)。生物としての習性。(ネアンデルタール人の)滅亡への予兆。そして、人の愛。物語の舞台は、紀元前3万年頃のヨーロッパ。突然の地震により一人生き残ったクロマニヨン人の幼い娘・エイラが、新しい住処を探して旅をしていたネアンデルタール人の一族に…  全文読む 評価する

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