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幼年期の終り 幼年期の終り
グリーンアイ/今までそこにいたものは?
 アーサー・C・クラークの作り出した異星人の中で最も冷静で尊厳にあふれた異星人がカレルレンだ。地球上空を覆う幻の宇宙船団の総督。完璧な言語を話し、地球の全面的統治を告げる。あらゆる攻撃を受け付けず、示威活動も完璧だ。カレルレンは慎重だ。必要なときまで決して姿を見せない。彼の声だけを人類は知っている。他は何も知らない。このカレルレンの謎をめぐって話が進行する。彼は、人類が「オーバーロード」を信頼する時間を計っているのだ。  そして、ついに姿を現した彼はとてもすてきな恰好をしていた。そう、古の昔から人々が民間伝承や絵画でよく知っている姿だった。短い角、強靭な翼と逆とげのある尻尾をもつ姿。しかし、誰…  全文読む 評価する

火星年代記 火星年代記
グリーンアイ/死んでしまった世界を眺めながら
レイ・ブラッドベリとの最初の出会いは、この「火星年代記」だった。続いて、「華氏451度」、「十月の国」、「RはロケットのR」、「何かが道をやってくる」、「メランコリイの妙薬」といった有名な作品群を読んだ。最初は感傷的な気分を誘発する彼の文章に幻惑されて気がつかなかった。いったい何が心に引っかかるのかが分からなかったのだ。 ブラッドベリという作家は生者と死者を繋ぐ物語しか書かないということに気がついた。生きている者も死んでいる者も彼の前では交錯して描かれる。美しいが、物悲しい。 「火星年代記」の序章としてロケットが地球から出発する様子が描かれる。少年の心を焼き焦がす希望に満ちた火星への旅立ち。「…  全文読む 評価する

海を失った男 海を失った男
グリーンアイ/待ち望んでいても手がつかないものもある
 正直言って、何度読んでも理解できないのが「ビアンカの手」だ。「一角獣多角獣」で読んだときもそうだったけれども、今回もそうだった。私にとってスタージョンの作品の半分はまったく理解できない。話は分かるけれども、一体何が面白いのかさっぱり分からないのだ。一方、他のアンソロジーや雑誌に収録されているものでいつまでも記憶に残る作品も多い。「隔壁」、「極小宇宙の神」。「あなたに必要なもの」「空は船でいっぱい」などは忘れがたい作品だ。しかし、それでも私はスタージョンの熱烈なファンだと思っている。名前を見たら衝動的に購入してしまうから。ファンというのが良いも悪いも含めて応援するものだとすれば明らかに矛盾して…  全文読む 評価する

天使と宇宙船 天使と宇宙船
グリーンアイ/ユーディの原理再び
 ぼくは気が狂いかけている、で始まる「ユーディの原理」が一番気に入っている。本人に代わって何でもやってくれる機械が自殺して作動しなくなる物語だ。壊れるんじゃなくて自殺するんだ。そうしたら、命令しても何も起こらない。これから誰がコーヒーを入れてくれ、面倒な掃除や洗濯は誰がするんだ。誰か教えてくれ。そもそも自殺したモノって何なんだ。 人間の信じるもののうち、本当のものは何かということを問いかける物語が揃っている。科学も宗教も考え方の問題にすぎない。妖精だって悪魔だってそういう種類の問題だ。えっ、本当かな。 フレドリック・ブラウンの世界では名前がすべてを支配する。「ミミズ天使」でも同じく名前が問題で…  全文読む 評価する

未来世界から来た男 未来世界から来た男
グリーンアイ/雪女と言ったって
 この「未来世界から来た男」の短編集を知ったのは、ラジオドラマの中だった。最初に耳に入ったタイトルは「雪女」。もっとも舞台はヒマラヤだったけれども。その話に引き続いて、淡々と語られる奇妙な物語に、グイっと引き込まれてしまった。短いが鋭いと思った。何となく哲学的だ。これは面白い。洗練されているぞ。 翌日本屋へひた走り、創元社の文庫本を手にした。当時は松田正久氏のカバー絵で、赤い美人の両生類人魚の乗った割れた卵からはみ出している爬虫類の頭と靴を履いた両足、そして卵を貫く針が描かれていた。何故か蝙蝠が何匹も飛んでいた。まさしく未来世界から送られたイメージだ。 短編集は2部構成で少しエロチックな雰囲気…  全文読む 評価する

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