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グラスホッパー グラスホッパー
luke/これは多くの意味を持った追跡劇だ
 裏稼業と言えば必殺仕置人、天に替わって恨みを晴らしてくれる正義と悪の狭間の世界ですが、現代の殺し屋稼業はちょっと違うような…。業界なんて言い合っているものの仕置人ほど組織も確立できていなくて、どんな殺しも請け負ってしまう単なる殺人者達。必要悪なのか、自然の摂理なのか、グラスホッパーの世界の片隅で息づき始めた新種のようにひっそり動き始めていた。 裏の世界の一組織のボスの息子の車に撥ねられて最愛の妻を失った中学教師は、学校を辞め復讐の機会を狙って組織の詐欺会社に入社する。ある日、組織への忠誠心を試されようとした時、仇と狙うボスの息子が車に撥ねられるのを目撃してしまう。撥ねられた直後に現場を離れる…  全文読む 評価する

犯人に告ぐ 犯人に告ぐ
luke/何の、誰の為に立ち上がるのか!
 心に染みる余韻が気持ち良い。絵に描いたように、高倉健や渡哲也(ホントは長髪なんだけどね)がピッタリはまるような、理不尽な処遇にもめげず与えられた職務を全うし、失敗は己がかぶり賞賛を望まず、その責任感ゆえ心に悔恨の念を持ち続け、不平も言わずにひたむきに生きているひとりの刑事がその信念を賭け闘った記録が本書である。良いじゃないか、現実には居ないなんて言うなよ。男が惚れる男の生き方、男の美学なんだな。 左遷された捜査指揮官が左遷地での検挙率の高さが目にとまり6年後の今、当時の上司で現在の県警本部長に再び連続幼児殺害事件の指揮を執るため呼び戻されてきた。行き詰まった捜査打開のため、テレビのニュース番…  全文読む 評価する

ダ・ヴィンチ・コード ダ・ヴィンチ・コード
luke/謎は探すもの、作るもの、解き明かすもの
 こんな物語を書いたら、それこそバチカンの暗殺者に狙われるのでは…と思ったりしてしまいますが、アチラの映画や本ではこの手のテーマをよく題材にしていますよね。キリスト教など宗教を実感的に見ることが出来ないので傍観者のような受け止め方しかできませんが、当たり前にその世界に身を置いている読者はどんな感想を持つだろうか興味あります。 ストーリーはルーブル美術館の館長が殺害され、奇妙なダイイングメッセージを残した事から始まります。たまたまフランスを訪れていたハーバード大学の宗教象徴幾何学教授のランドンは犯人と疑われますが、フランス司法警察、暗号解読官で館長の孫娘ソフィーと共に余儀なく逃亡し、館長殺害の犯…  全文読む 評価する

権力の道化 権力の道化
luke/ジャーナリストとは
 「新潮45」に2004年2月号より5月号まで連載されたものに加筆修正されたのが本書です。道路公団民営化委員会の初会合から最終意見書が提出されたまでの経過を、委員でもあり行政改革の旗頭でもあった猪瀬直樹氏が変節を繰り返し民営化委員会の方向を抵抗勢力側に利するよう仕掛けたのではと、糾弾する形でレポートしています。 族議員や官僚がなぜ反発するのか? 毎年予算審議をする一般会計予算は税収が40兆、赤字国債で40兆の合計80兆円の規模で行われていますが、実はその他に一般会計予算の4.6倍、370兆円が各省庁が所管している31種類におよぶ特別会計としてあります。驚きですね。その31種類の中に道路整備特別…  全文読む 評価する

エイジ エイジ
luke/自分で乗り越える勇気を
満たされる事なんて無いと思えるくらい、次々と湧き出てくる欲求にぼくらはどの様にして向き合っているのだろうか。努力で報われるものもあれば、遙か手の届かないものもある。自分の能力を見極めれて諦めとうまく折り合っても、次にはそのストレスの解消という問題が控えている。大人なら何とか出来る(難しいけど)ものも、中学生となると簡単じゃないのだな。 中学2年生、高橋エイジは高校教師の父親と専業主婦の母親、高校生の姉の4人家族。バスケット部に属していたが膝の故障で休部中。成績は良い方だが今思うように成果が出ていない。クラスに好きな子が居る。友達の幅も広い。ごく普通の中学生だが通り魔事件を境に様々な問題と直面す…  全文読む 評価する

イン・ザ・プール イン・ザ・プール
luke/とにかく面白い!だけど面白いだけじゃない
神経科医伊良部一郎と患者の奏でる協奏曲が現代ならではの病理をやさしく癒してくれる。患者とのやりとりを軽妙で絶妙な語り口で巧妙に表す様は職人芸のように隙がない。思わずフフッとしたり、ワハハッと声が出そうになるのを押さえたり、愉快、愉快で読んでいる内に患者の深刻な病もいつの間にか回復している。これは解決法と言って良いのか、解消法と言うべきか…。 私鉄沿線の伊良部総合病院、そこの地下に神経科がある。ドアをノックすると「いらっしゃーい」と妙に甲高い声で迎えられる。中にはいると一人用のソファーにズッポリ座り込んだ色白の太り気味の医者が医学博士、伊良部一郎で傍らで週刊誌を読んでいるセクシーな看護婦がマユミ…  全文読む 評価する

冷たい校舎の時は止まる 冷たい校舎の時は止まる
luke/冷たい校舎の下には熱い情熱が…
 上中下と3巻からなる「冷たい校舎の時は止まる」ですが、全く長さを感じさせず読み応えのある作品でした。上巻、中巻と連続して読んだものの下巻が無くて手にはいるまで待ち遠しい事といったら…。とりあえず、上巻でも読んで、それによって以下を読もうなんてしない方が良いと思います。揃えてから読んだ方がストレスが無くて良いはずです。1日だって待ちきれないから。 雪の降る日に登校した8人の高校生の男女。全員が揃った時、校舎の扉は全て閉ざされ脱出不可能に。遡ること数ヶ月前の学園祭で一人の生徒が屋上から飛び降り自殺をしたのだが、閉じこめられた8人はその自殺者の名前が思い出せなくなっていた。8人以外誰も居ない校舎、…  全文読む 評価する

輪違屋糸里 輪違屋糸里
luke/哀れでも道は1つ、生きるしかない
 社会の仕組みが変わる狭間の幕末、時代の流れに翻弄された人々が居た。新しい価値観が目覚める間際、謀略と破壊に人の心は侵され、傷つき、敗れ、散っていく。崩壊を防ぐべく防波堤である男達は自らが破壊の象徴であり、交わる女達の物語は残骸の象徴、波は否応なく双方に覆い被さって行った。  女衒に買われて京都、島原の置屋輪違屋に来たのはお糸が6つの時。禿、半夜、鹿恋、を経て糸里天神になったのが14歳、物語はそこから始まる。糸里天神、江戸から来た菱屋のお梅、糸里天神の唯一の友達、桔梗屋の吉栄、そして新選組が屯所にしている壬生住人士八木家のおまさ、同じく前川家のお勝ら女達の眼を通して壬生浪士組から新選組になる過…  全文読む 評価する

なぎさの媚薬 なぎさの媚薬
luke/正面から向き合わされる官能世界
 誰もが後悔している、戻れるならばやり直したい過去を持っているもの。まして、悲惨な結果につながってしまったとしたら…。それは、「行動を起こしてしまった」か「行動しなかった」かの2通りしかない。その2通りの青春時代の悔恨が本書なのだ。 中学から高校時代は子供は卒業したものの大人にはまだなりきれない心も身体も中途半端な時代と捉えられがちだが、昔も今も性に関しては間違いなく知識が足りないだけの(個人差はあるけど)大人なんだろうと思う。忘れてしまった当時の性の想いだが、まさに本書に書かれている通りだ。中学生だろうが本書に出てくる程度のことは考えている。文字にすると過激なように見えるが、なぎさとの交わり…  全文読む 評価する

いま、会いにゆきます いま、会いにゆきます
luke/切なくも清々しい愛の物語
 あの「秘密」がそうだったように、もし神様の粋な計らいで再会させてくれるなら、最初から別れさせないで欲しい…と、願わずには居られない切ない愛の物語が「いま、会いにゆきたい」だ。会いに行きたくても手の届かないところに行ってしまったら、諦めるしか無いなんてあきらめちゃ駄目なんだ。「ボクハ、イツモココニイルヨ」とエリオットの頭を指で触れた「ET」のように、忘れさえしなければ、想い出の中でいつも会えるじゃないか。 その記憶が薄れてしまう(病気で)事を恐れた夫は、幼い子どものためにも亡き妻の事を綴った小説を書こうと決意する。主人公達が公園で会うノンブル先生は「…記憶とは、もう一度その瞬間を生きることだ、…  全文読む 評価する

追憶のかけら 追憶のかけら
luke/手記の謎で始まり、手記が救った
ページをめくる手がもどかしいとか、一気に読ませるとか、夢中にさせる本って何がそうさせるのだろう。だいたいが初っ端からだし、それも謎とかまだ出ていないのに。幾つか根拠が浮かぶけれど、どれもが当たっているようで確信が持てない。行き着くところ読む人次第って事なのかしらん。「追憶のかけら」、読み始めたら結局止められず一挙に読み切ってしまいました。主人公は人の良い大学講師。最愛の妻は幼い娘を一人残して事故死してしまいます。妻は自分が講師として勤務している大学の教授の娘で、主人公が原因の夫婦喧嘩の果て子どもを連れて実家へ戻っている時に事故に。その為、幼い娘は義父である教授宅で生活していますが、何とか引き取…  全文読む 評価する

カタブツ カタブツ
luke/地味で真面目は普通じゃないぞ
地味で真面目な人達にスポット当てたくて…とは作者の弁。そのテーマ通り、ごく普通に生活している人達が物語の主人公です。ストーリーも日常的なのですが、舞台だって客席だってスポットが当たったら、そこは別世界、…普通の人達の普通じゃない物語が始まりました。 真面目な主人公の物語が6篇収録された短編集です。確かに真面目な人達とは思うのですが、シチュエーションはどちらかと言うと異常です。ですから言葉を換えれば普通の人が異常に遭遇したらどうする、またはどうなる、なのでしょう。不倫の果て、妹を溺愛する双子の兄、待ち人ウォッチング、強迫神経症と二重人格、記憶を無くした2日間、無言電話、と6つのミステリアスなテー…  全文読む 評価する

残虐記 残虐記
luke/救いを見出せないのは残虐である
出版社から転送されてきた手紙を見た直後に、少女時代に誘拐され1年間監禁されていた過去を持つ女流作家が失踪した。手紙は誘拐監禁した犯人が出所して出してきたものだった。ひらがなだらけの手紙は「…私のことはゆるしてくれなくていいです。私も先生をゆるさないと思います」と締めくくられていた。 小学校4年生、10歳、バレエ教室の帰りに少女は誘拐され鉄工所の2階に監禁された。容赦ない暴力から逃れるため監禁を受け入れた。性的暴行は受けていないのだが、救出後の事情聴取でも専門医の診察でも監禁生活を語ることはなかった。それは、廻りの人間の哀れみ、好奇心、想像の対象とされている事を感知し嫌悪したからだ。そして、「犯…  全文読む 評価する

スペース スペース
luke/スペースから何を読みとるのか
 本を閉じてフーッとため息。最近、こんな感じの読後感を味わったような…そうそう「イニシエーション・ラブ」だっけ。あれも恋愛小説なのかミステリーなのか、読み手次第の分類って感じだったけれど、よく似ているなっと。でも、まさしくミステリーです。壮大な罠が仕掛けられたミステリーです。また「2文字」で鳥肌が立ってしまったぞ。 本書は先に刊行された「ななつのこ」、「魔法飛行」に続く3作目と言うことで、作者も「はじめの言葉」で出来るなら1作目から順番に読んでいただきたいとお願いしています。もちろん単体でも読めると断っていますが。そうなんですよね、これはストーリー的にと云う事じゃなく感動の度合いに大きく影響し…  全文読む 評価する

みんな誰かを殺したい みんな誰かを殺したい
luke/これは駅伝じゃない。完走させなくては!
 山梨県、東京との県境奥多摩山中で殺人事件が目撃されるところから物語は始まります。一見、無防備な殺人事件ですが、実は周到に計画された殺人事件でした。時は1ヶ月半前に遡り…。とまぁ、これくらいしか粗筋を書けないくらい、ある意味で密度の濃いストーリーとも言えます。賛否両論有ったようですが、本書は横溝正史ミステリー大賞優秀賞作品です。 たぶんですが、ミステリーを書かれる時にトリックは出来上がっていても、頭を悩ますのは動機じゃないでしょうか。簡単に浮かぶのが財産(金)、痴情(女)、名誉(権力)で、その裏返しの復習。出尽くしちゃってますものね。だから味付けをするわけですが、これが問題だ。途中犯人がでバレ…  全文読む 評価する

パラレル パラレル
luke/どんな別れをするのか、出来るのか?
 哀しくて、切なくて、辛い別れにも、凍るような冷気が鼻孔を通り抜けて行くような…清々しさを感じる別れがここにはあった。一般的な見方をすれば、恋愛のゴールって結婚って言うことになるのだろうけど、どうも恋愛の完結って別離じゃなかろうかと思ったりも。まあ、寿命があるので別離は避けられない運命なんですけどね。 「パラレル」は離婚した主人公と元妻、主人公の親友とそれを取り巻く女性達の人間模様を現在と過去を行ったり来たりしながら、軽妙で味わい有る会話で綴るラブストーリーです。失職から妻の不倫、別居から離婚と移り変わる様をエピソードを通してセピア色で描かれるも現実的であります。それでいながら、主人公の年齢か…  全文読む 評価する

眩暈を愛して夢を見よ 眩暈を愛して夢を見よ
luke/確かに目眩を覚えた…
 帯には「この物語の真相は決して人に話さないでください」と書いてあります。もちろん、言われなくたってミステリーを語る時には読んでいない方のために内容は極力わからないようにお話していますが、こりゃ話そうたって頭の整理がすぐつかないぞ…(^_^;) ぼくはぼくなりに、すごく楽しめました。片想いだった高校生の頃の先輩女学生の失踪事件を追求していく。妙に引っかかる筋立ては伏線だったのか…なるほどね。二転三転する後半は目を離せません。引っ張りますね。エピローグのスペードマークの章がどのような意味を持つのか混乱してしまうのですが。そこでぼくの考えたラスト。エピローグ…深いため息をついてノートを閉じた。いつ…  全文読む 評価する

スタジアム虹の事件簿 スタジアム虹の事件簿
luke/収穫は育て方次第
 青井夏海の「スタジアム 虹の事件簿」は最初は自費出版されたものだそうです。自費出版を全国の書店へ委託販売してくれるシステムなんてあったのですね。それが目にとまっての出版ですから効果もあるのだな。 本書は犯罪現場に出向かず事件を推理してしまう「安楽椅子探偵物」で、短編集です。伏線の張り方次第で作品が左右されるこの手のミステリーは、どうしたって本格物に分類されると思うのです。ですからご都合主義が出過ぎると情けないミステリーになりかねないですね ボクとしては満足できる伏線とは言い難いのですが全体が同じトーンで合っているものですから落胆度はそれほどありませんね。タネを蒔いて育てて刈り取る。手塩に掛け…  全文読む 評価する

量刑 量刑
luke/正当な量刑を…
 現在の裁判の量刑についての問題点を問いかけながら、量刑に手を加えさせようと前代未聞の裁判官脅迫事件展開します。江戸川乱歩、横溝正史にはじまる日本のミステリー(推理小説)は松本清張から社会派ミステリーと変貌していきます。謎解き本格物から回答編がない進行形のミステリーは映像を主眼においたエンターテイメント・ミステリーに。最近のミステリー小説はホラーを入れ込みながら読ませる本が多いですね。犯人も動機も全て明かされていながらぐいぐい読ます本がなんと多いことか。嘆かわしいなんて全然思ってないですよ。むしろ、今時密室殺人なんて無理でしょう。だからこそ登場人物が描ききれないとエンターテイメントになりきれな…  全文読む 評価する

浪花少年探偵団 浪花少年探偵団
luke/少年達に読ませたい
 ご存じ、東野圭吾「浪速少年探偵団」。いいっす! ネ! 小学校教諭、しのぶセンセの魅力もさることながら、生徒たちの何て生き生きしている事。今日びの子供、こんなん居ますか?と思いつつ、居るんですよね。情報社会の弊害というか、昔からあった事なのか、一部が全部、際立ったものが代表のように取り扱われ、本質が見抜けなくなっています。大部分はそんなに変わっちゃいませんって。 しのぶセンセの短編が5篇収録されています。先生と生徒、刑事のコンビ、この絶妙なコンビネーションで語られる物語は宮部みゆきセンセ憧れの関西弁だ。軽妙ながらも言葉の裏にあるニュアンスが何とも奥深い関西弁で語られる物語は、その軽妙さと裏腹に…  全文読む 評価する

十字屋敷のピエロ 十字屋敷のピエロ
luke/怒濤のラストへ
 呪われたピエロの人形は全てを見ていた。…十字屋敷と呼ばれる資産家の屋敷で自殺をした夫人の49日の夜に殺人事件が起きる。宿泊していたのは全て身内の人間だ。しかし、どうも犯行は外部からよりも内部の人間の可能性が高くなってくる。手掛かりを結ぶ線は何処へ向かうのか? 密室でもなければ解けない謎が有るわけでもない。誰でも犯人にも探偵にもなれる。不思議な事など何もないのだが、各々の証言、行動、そしてどの様につながるのかわからない証拠の品。何が真実で、何が嘘か、誰が犯人で、誰が被害者か、真実は全て明示されているのだ。そんなミステリーが「十字屋敷のピエロ」なのです。まあ、十字屋敷なんて題名に出てきているわけ…  全文読む 評価する

鳥人計画 鳥人計画
luke/飛べ!より高く!より遠く!
 冬季スポーツの花形、ジャンプ。ただ飛べば良いってものじゃない事ぐらいわかりますが、想像以上に厳しいジャンプです。ジャンプチームが合宿している最中に殺人が起きます。警察が介入、合宿所にあてられているホテルでの捜査が始まります。…犯人に「自首しろ」と手紙が届きます。のちに警察に同様の犯人を名指しした密告状が。調査の結果、犯人は逮捕されますが動機を語ろうとしません。警察は動機調べに……。 犯人は中盤でわかりますが、動機が掴めません。犯人探しと言うより動機探しのミステリー…と、新趣向かなと思いつつも、何故かその謎に目が離せないのですから、さすがですね。ジャンプに関しての知識も得られて勉強になりますよ…  全文読む 評価する

ブルータスの心臓 ブルータスの心臓
luke/住民としては…
 産業機器メーカーの3人が、同じ付き合っていた女性社員に妊娠したと告げられる。脅迫にも近い女性の言動に殺意を抱いた3人は共同して殺害する事を決意するが、犯行後に殺されたのは殺そうとしていた3人の内の一人だった。そして、また一人。二転三転する息もつかせない展開、そして驚愕のラスト…。 題名の「ブルータス」とは開発中の産業ロボットの名前である。人間を排除し産業ロボット中心の構造を押し進めようとするメーカー。人間とロボットの関係を問いかけつつ、奇想天外な完全犯罪が進行します。動機も犯罪も緻密に構成された第1級のミステリーです。ふむぅ、プロローグで刷り込まれたテーマに最後まで惑わされてしまいました。完…  全文読む 評価する

夢にも思わない 夢にも思わない
luke/スタンドバイミーが聞こえる
 中学生コンビが活躍する「夢にも思わない」宮部みゆきです。しかし、なんです、宮部みゆきの中学生の語り口は上手ですよね。全く、違和感がない。大人になると中学生くらいの時代の事も忘れてしまうのですが、よくよく振り返れば結構に大人びた考え方をしていたり、大人が想像する以上に大人の事がわかっていたりしますものね。子供と大人の中間とでも言うのでしょうか、そんな位置が小説の上で生かされているのだと思います。 秋の「虫聞きの会」が催されている近くの公園で、恋心をいだいている同級生の従兄弟が殺されます。従兄弟は20歳の女の子。どうやら売春組織の影が見え隠れしてます。落ち込んでいる同級生の女の子のために中学生コ…  全文読む 評価する

今夜は眠れない 今夜は眠れない
luke/中学生コンビが大活躍
中学生コンビが大活躍「<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=01680630&volno=0000" target="_blank">夢にも思わない」の前作にあたる「今夜は眠れない」宮部みゆきです。こちらの方が1年早く出版されました。ホームズを気取る島崎君とおっちょこちょいだけど、愛すべき少年緒方雅男君の中学生コンビの活躍は楽しくもあり哀しくもあり、勇気と行動力で難問を解決する姿にある種の感動を覚えたりします。二人の絶妙の会話は「夢にも思わない」の方が多くなっているようですね。 緒方雅男君の所へ弁護士が訪れるところから始まります。…  全文読む 評価する

淋しい狩人 淋しい狩人
luke/宮部ワールドを堪能
ミステリー短編集「淋しい狩人」宮部みゆきです。(1)6月は名ばかりの月(2)黙って逝った(3)詫びない年月(4)うそつき喇叭(5)歪んだ鏡(6)淋しい狩人、以上6篇が収録されています。  東京下町、荒川の土手下びある「田辺書店」という古本屋さんを頼まれて経営している岩永幸吉、通称イワさんと孫の高校生稔君コンビが活躍する短編集です。いろいろな事件が起きあがりますが、古本屋さんって起きても不思議じゃないような気がしますね。本に怨念や嘆き悲しみナドナド込められている訳じゃないですが、いろいろな所から集められた本は、それぞれ本箱や机の片隅から沢山の人生、生活を見聞きしてきた証人みたく感じられ、何かが宿…  全文読む 評価する

かまいたち かまいたち
luke/切れ味はかまいたち
 時代小説短編集「かまいたち」です。宮部みゆきの時代小説、良いですねっ。表題「かまいたち」に「師走の客」「迷い鳩」「騒ぐ刀」の4篇が収録されています。この内、「迷い鳩」「騒ぐ刀」はデビュー前の1986年、1987年に執筆されたものに加筆したものです。これらは時代小説ながら、その後の「龍は眠る」「クロスファイア」などに続く原型とも言えそうですね。本書の解説を笹川吉晴氏(文芸評論家)が書かれていますが、宮部作品を鋭く分析してあり、ファンならずとも共感を覚えるでしょう。 どの作品も十分満足して読み終えました。宮部作品の時代小説全てに言えるのですが、そのように当時の日常生活、生活習慣から社会規範、身分…  全文読む 評価する

追いつめられて 追いつめられて
luke/密度の濃い短編集
小池真理子「追いつめられて」。短編集です。(1)窓辺の蛾(2)悪者は誰?(3)追いつめられて(4)泣かない女(5)隣りの女(6)予告された罠の6篇の作品が収録されています。う〜ん、やはり小池真理子の短編は良いですね。どの作品も密度が濃いです。こんな事言うと怒られてしまいますが、手抜き無しって感じでしょうか。短編ながら伏線あり、どんでん返しありで十分堪能できます。 余分な所をそぎ落とし凝縮された短編集はどの作家も同じようなのですが、ラストに含みを持たせています。後は読者が想像して下さいって事ですね。長編ですと大円団が欲しい所を原稿用紙の枚数制限のせいでしょうか、読者にバトンを渡す、そんな感じこそ…  全文読む 評価する

プワゾンの匂う女 プワゾンの匂う女
luke/復習劇はサスペンス
小池真理子「プワゾンの匂う女」。13年前、心臓麻痺の婚約者を病院へ運ぶ途中、車の進路を妨害した3人の男女。一人殺され、一人は結婚相手をそして、今最後の一人が…。復讐は続く。 動機も解明されて、犯人もたぶんこの人だろう…と、明かされている。それなのに、この最後の一人をどの様に始末するのか、犯行をどの様に止めるのか、正体はどの様に暴かれるのか…という視点だけでサスペンス十分のミステリーに仕上がっています。殺害方法だってそれほど複雑な訳じゃない。むしろ、どの様に接近していくのかがサスペンスなのです。ちょっと視点を変えたミステリーですが、面白いです。当時は多重人格についての本も出始めた頃でしょうか。登…  全文読む 評価する

墓地を見おろす家 墓地を見おろす家
luke/日常に潜む恐怖
…どうも、ホラーっていうのは怖くてね。(^_^;) ミステリーではどんなに怖くても最後には論理的な説明が付いてどこかホッと出来るのだけど、読み終えても正体不明の出来事に何の解明も出来ず解決すら出来ない怖さも持っているホラーですからねぇ。 新築マンションに4歳の娘を持つ夫婦が引っ越してきます。格安の筈で隣が墓地、反対方向に火葬場と誰でも怖じ気づきそうなマンション。14世帯入居出来るのにまだ半分も埋まっていないマンション。それどころか、一世帯、一世帯と減っていくマンション。そんなマンションの8階に移り住んだ家族に恐怖が少しずつ広がり始めるのでした。 小池真理子のミステリーにも出てくる日常と非日常の…  全文読む 評価する

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